14.《ネタバレ》 “Adaptation”という言葉には“適応”の他には“脚色”という意味もあり、チャーリー・カウフマンが味わった既存の小説を脚色するという事の苦しみ、いわば脚本家版『81/2』というのがこの映画の醍醐味となるんでしょうね。それをスパイク・ジョーンズと組んで映像化しているのだから一筋縄でゆく訳がないです。この人の頭の中はどうなっているんだと感嘆させられるのは、双子の弟ドナルドはなんと架空の人物なんですよ。ライティング・クレジットに名を連ね、仲良くオスカ-にノミネートまでされた人物が実在していないとはちょっと凄いお話しですよね(アカデミー賞史上、架空の人物がノミネートされたのは後にも先にもこれだけ)。エンド・クレジットに“in loving memory”なんて弔辞まで出されたら、もう完璧に騙されます。 この双子をニコラス・ケイジが熱演というか怪演しており、こうやって観ると「ニコジーはヘンな奴だけど、やっぱ名優だよな」と再認識させて頂きました。性格が正反対の双子をメソッド演技で同一人物が演じる、やってるニコジーは頭がおかしくなりそうだったでしょう。ハゲで引っ込み思案のデブ中年、ハリウッド・スターでこんなキャラを演じられるのは、ニコジー、あなたしかいない! それにしても弟ドナルドが書いた『3』という脚本、なんか面白そうじゃないですか。映画化して欲しいな。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-06-19 22:53:18) |
13.こういう捻りの効いた作品は好きですよ。 ジャンルとしてはコメディというより、パロディなんでしょうね。 ハリウッド映画を小馬鹿にした後半の展開が逆に面白くなっちゃうのがいいです。 名言らしきものがちらほらあって、不覚にも終盤はちょっと泣いてしまいました。 どこまでが実話で、どこからが脚色なのかよくわからないけど、少なくともカウフマンの妄想だけは事実なわけで、よくもまあそんな脚本書けるもんだと感心してしまう。 【もとや】さん [DVD(吹替)] 8点(2013-07-01 16:32:55) |
12.《ネタバレ》 現実と虚構を絶妙に織り交ぜた構成・演出は流石。なんといっても実在しない「ドナルド」という容姿はそっくりだが性格は正反対の人物を登場させることによって見事に「adaptation(脚色・適応)」を表現していたと思います。俳優陣も素晴らしくこれは・・・と途中までは最高だったのだが後半のアクション・サスペンスで最強に萎えました。いくら皮肉を込めているとはいえあの展開は腑に落ちませんでしたね。ただそこ以外は共感できるところも多々あったので8点献上。 【すたーちゃいるど】さん [地上波(字幕)] 8点(2009-01-25 11:16:39) |
11.《ネタバレ》 ダメ男をやらせたらニコラス・ケイジの右に出るものはいないと認めます。最初のほうでスタジオの隅に座って、通りがかるスタッフにアピールしている場面、私は感動した。そんなところに感動しても…なのだがとにかく言葉で言えないすばらしさ。いやこの場合は情けなさ全開。 でケイジは全身全霊で情けないし、ドナルドを設定したことで、ドナルドがボケてチャーリーが突っ込むという安定した面白さが出ている。 そうせっかく出ていたのだが、実はカウフマンにとってそれは「くすぐり」でしかなく、ラストのドタバタですべてを台無しにして…「どうだ」と得意がっているんだよなあ。 私はその「くすぐり」がなかったら最後まで見る気がしなかったと思うし、そっちのほうをメインにするべきだとさえ思うのですが、頭の良さをひけらかしたい彼にとってはそれは単に「くすぐり」。 とにかくニコラス・ケイジの情けなさに感動しておこう。せっかくケイジががんばっているのに、花なんかどうでもいいってことを言うためにそんなに尺を使うことはないじゃあないかカウフマンよ。 追:その後何度も見るうちにアメリアとの関係は妄想ではないかと思い始めた。 【パブロン中毒】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-01-16 16:56:06) |
10.《ネタバレ》 前半すごい共感できたんですよ。心の声が聞こえる演出が。心の中で「今行かないでどうする」と思ってるのにいけないあたりとか、執筆に悩んで寝れないとことか「すごいわかるわー」と思いましたね。このままいったら面白いなーと思ってたら、最後めちゃくちゃな展開になりましたね。「現実は淡々としている」と言ってたチャーリーに、ハリウッド映画のような非現実が起こりました(笑)それにしてもニコラスケイジは大物なのに冴えないおっさんの役うまいですねー。チャーリーは、変わろうと思ってはいるけど変われなくてそんな自分が嫌いになる、の繰り返しをしてます。一方対照的に描かれるのがドナルド。彼は気さくで女にも困らない、けど大して面白いことを言えるわけでもない、まあ凡人なわけです。そして大した理由もなく脚本家になると言い出し、アイデアも陳腐なのにドナルドの方が成功する。大した才能もないのに、女にもモテて脚本も成功して、チャーリーは腹立つんですよ。大したことないくせに何でって。どちらかというと僕はチャーリーよりの人間なんでその気持ちも分かるんです。でもよくよく考えてみると、ドナルドはチャーリーと違って行動派なんですよ。「愛されるより愛するほうが大事だ」=「待つことより自分から行動することのほうが大事」という信念を持ってたんですね。チャーリーは最後にそこに気付いてドナルドのことを尊敬し、アメリアに告白する。彼はついに変わることができた。そして彼は車を走らせた、初めて希望を抱いて…。と書いてみると大したオチもなく淡々としたストーリーでしたけど、本当に現実っぽい映画ですよ。僕の周りもこんな感じです。そこにすごく共感できました。 |
9.《ネタバレ》 今まさに書かれつつある脚本について語られるメタレベルでの語り口が新鮮で面白かったです。それだけでなく、『地下室の手記』に似た主人公(あれほど絶望的ではないにせよ)が、ドッペルゲンガーともいえる兄弟の死を通じて救済、他社→自己ではなく、自己→他者への変換を提示しているのも興味深いところです。また、映画の随所に挿入される作劇論なども、物書き見習としては身につまされるところもあります。 【虚学図書之介】さん 8点(2004-08-12 01:02:42) |
8.なかなか深い映画だった気がする、上手く表現できないけど…。でもこれを観た時の自分の気持ちを素直に表すなら8点! 【miso】さん 8点(2004-08-10 02:55:44) |
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7.中盤何度も観るのを辞めようと思ったけど最後まで観てよかった~、「マルコヴィッチの穴」の感じかな?って思ったけどそうでもなくて。サスペンスちっくな終盤のほうは結構楽しめた! 【愛しのエリザ】さん 8点(2004-07-16 23:06:16) |
6.最初なんの話か全然分からなかったですが、途中から引き込まれてしまいました。現実と物語を混ぜちゃうなんて、考えはするけどなかなかやらないよなぁ。ニコラス・ケイジよかったです☆メリルはさすがって感じで演技巧かった! 【kaneko】さん 8点(2004-04-22 17:13:14) |
5.現実とか虚構とかいうのがバカバカしくなる脚本、ニコラス・ケイジの超自虐演技、メリル・ストリープの怪演、クリス・クーパーの壊れっぷり、全部まとめて1本の映画にしちゃうスパイク・ジョーンズの演出。アメリカの映画館で見たんですが、日曜の午後、平均年齢50歳オーバーしてるであろう観客がゲラゲラ笑ってました。映画の国の懐の深さを見せつけられた1本。そんな観客にのせられて、僕もすっかり楽しんでしまいました。一人でDVDで見てたら印象は違ったかな? 【ころりさん】さん 8点(2004-03-09 03:05:14) |
4.《ネタバレ》 一体誰がこんなことを思いつくだろうか。脚本のチャーリー・カウスマンは天才というか異才である。「マルコビッチの穴」以上の作品作りをしなければいけないというプレッシャーに追い詰められる自分を主人公にする辺りから相当トンでいる。脚本に悩む駄目なハゲのデブがクヨクヨするお話が最終的には銃撃、カークラッシュ、死体という展開を見せるのである。着いていくだけで精一杯というものだ。完全に観る人を選ぶ映画であり、賛否両論が分かれるのは不可避な、意地悪な映画だ。 【コーヒー】さん 8点(2004-02-23 20:04:00) |
3.《ネタバレ》 いきなり冒頭から自分のことをハゲだのデブだのと罵っている主人公に失笑。物語の奇想天外さは、さすがに「マルコヴィッチの穴」の監督・脚本コンビというだけはあります。自分を駄目人間だと思い込んでる脚本家に、その脚本家が脚色している本の原作者、そしてその本の登場人物の主人公モデルとなっている男。この主要三人の物語が、一つの蘭という花を軸に重なり合っていく辺りのコンビネーションはまさに絶妙。始終ノイローゼ状態になっている主人公を見て、きっと実際の小説家や脚本家の人たちにもああいうことがあるんだろうな~とリアルに感じました。この映画では過去・現在、さらには空想と現実までもが入り混じるので構成上分かりづらいと言えば分かりづらいです。でも個人的にはその"ややこしさ"こそが本作の最大の魅力なのだと思います。特に画面上にニコラス・ケイジが二人も出てくるという奇妙な必然性は最高に面白いです(笑)。 【かんたーた】さん 8点(2004-02-10 18:17:15) |
2.《ネタバレ》 ニコラス・ケイジのことはもともと好きであったが、さらに好きになってしまった。特にデブでハゲって言うところが好き。ストーリーにも引き込まれたし、とても新鮮に映画を見たって感じでよかった。 【miha】さん 8点(2003-11-13 04:31:47) |
1.《ネタバレ》 一卵性双生児の兄と弟。学生時代、いつも周りを気にしている兄は笑われている弟を見て自分が笑われているように思った。鏡を見ているように似ている弟を否定し小ばかにしていたが、自分とは違う優しい心と自分自身を持っている弟と共に特別な時間を過ごしようやく気付く。双子である弟は自分の一部。だから自分にも弟のような心と自分だけの自分を持てる可能性がある、それに気付かせてくれてありがとう。あの涙と"Thank you"は深い。弟に歌いかける兄は優しかった。監督、脚本家、そして俳優達の新しい世界を観れてよかった。脚色によってストーリーはいくらでも「思わぬ方向へと転がっていく」事が出来る。 【tomomi】さん 8点(2003-10-24 15:26:42) |