1.主人公はごく普通の地味な女性。彼女が巻き込まれたのは単なる事件、のはずが、不思議の国に迷い込んだアリスのようになってしまう。
まず映像からして、ガウディ建築の曲線が活かされて非現実の世界に迷いこんだかようだ。エッシャーのだまし絵かキリコの描く街でも見ているかのような幻想的な気分になる。大人の童話といった感じ。
このストーリーは、主人公が自分の、満たされないままのコドモの心に、悲しい寂しいと感じ続けてきた心に、気づき、向き合っていく、癒しのストーリーでもある。
周囲の世界に振り回され、知らず知らず事件に首を突っ込んでいくうちに、彼女の硬直していた感情は動き始める。“事件”はまったくの嵐のように通りすぎ、後には、カサンドラの素の心が無力にぽつんと残る。それが強く印象に残った。