2.《ネタバレ》 かなり面白かった。主要人物が離合集散するさまは相当なご都合主義なのですが、面白いので許す。テンポよく話が進んで、展開も飽きさせません。よくわからないのは机竜之助の性格。巡礼の老人をいきなり斬り捨てたりするので、剣の道に生きているのかと思いきや、お浜をいきなり手込めにしてしまいます。意外と俗人なのか? しかし江戸に出奔してからも俗事には関心がないようで、どうもちぐはぐしています。本人によるとお浜が「魔性の女」だったということですが、実は魔物は竜之助の心の中に住んでいて、お浜はそれを映す鏡に過ぎないのではないかと思えてきます。なにしろ机竜之助という人は、関わった人をことごとく不幸にする、疫病神みたいな人物ですからね。
出演者では、島田正吾がさすがに貫禄がありますし、見明凡太朗がいい味を出しています。雷蔵の机竜之助はクールな魅力があって、はまり役ですね。三隅研次の演出も冴えていて、見ごたえがありました。