1.まだ、名もなく貧しく(か、どうかは分からないが…)一生懸命な新進スリラー映画作家だった頃のカ-ティス・ハンソン監督作。ネタ的にはヒッチコックの『見知らぬ乗客』の亜流だけど、ヒッチ作品じゃボカされていた“主人公ふたりの屈折した同性愛ゆえの確執”というテーマが、ロブ・ロウとジェームズ・スペイダーという美形男優の起用によってより鮮明になったところが刺激的。つかり、かの名作に対する批評的オマージュになっているんだよね。とにかく、スペイダーにとことんつきまとうサイコ野郎を演じたロブ・ロウが、なかなかの気色悪さで好演。後半はほとんどホラ-映画のノリだけど、これはハンソン監督の才能を十分に伝えている快作でしょう。途中、チラリとゴダ-ルの『アルファヴィル』を映したりといった「映画青年ぶり」もご愛嬌だし。