1.映画のストーリーにリアリティが無いと気に食わないヒトなら間違いなく途中で怒り出すタイプの作品。こういう「んなアホな」的なファンタジー路線のミステリ、よく考えれば、いや少し考えれば、いや考えるまでもなく、フランケン師匠と相性がいいハズもないんですね。冒頭に示されるサンタの累々たる死体へ至るクライマックスとか、ダーツによる拷問とか、一種のコケオドシをいかにコケオドシて見せるか。この図々しいバカミステリをいかに強引に図々しく描くか。と来れば、相応にエキセントリックな監督さんの出番が期待される訳ですが。いやいやそうじゃない、これはミステリなんだから、いかに予想を裏切るか。まさかそんな展開とは、まさかそんなオチとは、まさかそんな展開とは。監督がフランケン師匠であるという時点ですでにミスディレクションが始まっている(笑)。レインディア=トナカイ、サンタを運んでいるトナカイとは一体誰なのか、いやそもそもトナカイに運ばれているサンタとは誰なのか。それは実はアナタ自身かも知れない、いや何と監督さん本人かも知れない。とか、まあそこまで珍作扱いしなくとも、このちょっと強引なシーソーゲームを、それなりに手堅くそれなりにハメを外した演出で楽しめば、よろしいのではないでしょうか。強引さこそバカミステリの命。ゲイリー・シニーズはひたすら意固地になり、ベン・アフレックは追いつめられつつもひたすらその挑戦を受け、そして映画は進んでいく。それでよろしい。ま、正直、私も3回目に観てようやくこんなに楽しめるようになりましたが(笑)。