《改行表示》103.《ネタバレ》 積極的に比べるつもりはないが、やはり前作『たそがれ清兵衛』との差異は確認する。とりわけ決闘の経緯が似ているので、二番煎じと捉えられやすいのも解るのだが、私なら断然『鬼の爪』の方に軍配を揚げたい。 理由はいくつかあるけど、その最たるは人情の機微。活劇性重視なら『たそがれ』を好むのであろうが、私はそこにメインを置かないタイプなので、必要以上に殺陣の凄さは求めない。言い換えれば解りやすい「超人性」に今さら憧れないということ。 だから決闘後にこそ人間ドラマを求めたい私は、『鬼の爪』のラストに大きく心が満たされた。 もう一つ秀逸なのが方言。藤沢三部作の中でも重要な要素の一つに思う。『たそがれ』の真田・宮沢、本作『鬼の爪』の永瀬・松は、四者四様の魅力がある俳優なのでどちら側が優秀かを語るのは興味ないが、こと庄内弁の自然さにかけては後者の方が上である。少なくとも昨日今日初めて聴いたのではなく、地元に長年住む私の耳には峻別が付く。この方言への違和感の厚薄は、そのまま人物描写の深みにも通じるので、『鬼の爪』に描かれた情愛の方に感情移入しやすかった。やはり山田監督の学習能力の高さが発揮され、前作において不足だった点を綿密に補っているのが随所に窺える。よって本作の方が傑作に思う。 【丹羽飄逸】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-05-20 19:39:46) (良:2票) |
102.世間一般の評価、国内外での評価も前作「たそがれ清兵衛」の方が上みたいですが、個人的には今回の作品の方が圧倒的に好きです。山田洋次監督のファンであると共にそれ以上に寅さんファンの私からしたら絶対に「たそがれ清兵衛」よりも「隠し剣 鬼の爪」の方が遥に上です。前作との比較でよく耳にする。または聞いたりするけど内容が似ているとか、二番煎じで新鮮味が無いとか、それは違うと言いたい。山田洋次監督はこの作品の中に「男はつらいよ」の世界、つまり人情というものを入れて心温まる人情喜劇的な作品にしようとしたかったに違いない。私はそう思っています。主人公にしても前作よりも今回の主人公の方が人間味があると思います。ラストシーンでの松たかこ演じるきえとのやりとり、会話、これは山田洋次監督らしい優しさに満ち溢れていて、どう考えても「たそがれ」よりも今回の作品のが良いと思う。山田洋次監督らしさという意味でも今回のがある。そんな気がしてなりません。「たそがれ清兵衛」派の人には申し訳ないけど「たそがれ清兵衛」のが良いという人の気持ちが私には全く解りません。 【青観】さん [映画館(邦画)] 8点(2005-06-19 20:34:04) (良:2票) |
《改行表示》101.「たそがれ清兵衛」と話がそっくりだが似て非なる軽い娯楽作という感じがする。 なんだかお茶の間の時代劇のように見えたのは主人公片桐の言動が軽いこと(きえを婚家から救い出しに行ったりはっきり好きだと告白したり)や、松たか子のきえが百姓娘と言うには衣装共々垢抜けすぎてることもあるが、ストーリーも親友との決闘に持っていくための強引な運び方。たった一度見せられただけの技が使えるなど作品全体のリアリティにも欠けるし、 そもそも冒頭でちょっと顔を出しただけの狭間がなぜ謀反人となったのかというあたりはかなり説明不足で唐突な感じ。捕らえられろくな食事も与えられず衰弱してる様子の彼がまともに 決闘できるとも思えない、、と気になるところが多い。 キャストも個々で言えば松たか子や頑張った小澤君など悪いわけではないけれど、主役の印象は薄いし田畑智子のたすきがけはなぜちゃんと撮らなかったんだろうとか、これもまた気になるところは多々ある。 表面的で深みがないので親友と決闘するはめになる苦悩だとか抑制された恋だとかに感情を動かされることがない。5.5点といったところだけどあえて辛目の5点。 【キリコ】さん 5点(2005-01-16 20:37:50) (良:2票) |
100.《ネタバレ》 ん~、少々辛口になってしまいますがお許しを。タイトルとは裏腹に、この作品は出てくる人物人物が全てのシーンでまあなんでもかんでもよくしゃべること。会話のないシーンは皆無ではないか。幕末の時代、切腹や謀反や藩命などといった重々しい言葉などはどこ吹く風、軽々しく生ぬるい雰囲気に満ちております。真剣勝負でもペラペラ、変人であるはずの田中泯もペラペラと・・・。松が嫁いだ商家のおかみや家老は悪者すぎるしなあ。勝負が終わり、高島と永瀬がまみえるシーンは見せ場ですが、高島の表情で家老と何があったかを語っているのかと思いきや、次シーンの酒宴で家老の緒形が高島との一夜をペラペラとしゃべり出す始末・・・高島が永瀬のもとへ夫の命乞いにやって来たシーンは伏線ではなかったのか。ここは、高島の表情ですべてを悟ったことを永瀬の演技だけで見せて、そして鬼の爪を取り出すシーンへとつなぐべきだと思います。ラストも、野良仕事をする松を遠くに見ながら永瀬が去っていくシーンを想像した私を裏切り、見事に仲良く二人並んで、永瀬が松に「おまえが好きだ」・・・深みのなさにとどめを刺してくれました。山田洋次監督は「たそがれ清兵衛」の好評に時代劇を少しなめてしまったかのような印象の作品です。鬼の爪もいいが、是非“赤西蠣太”の爪の垢も煎じて飲んでいただきな~。 【彦馬】さん 3点(2004-11-11 23:49:06) (良:2票) |
99.素直に嬉しかった。韓国映画の勢いに押され気味の日本映画の中で隠し剣 鬼の爪というとんでもない作品に俺は出会えたんですから。きえ(字、忘れました。)を強引に奪い取りに来る片桐の男気は震えるほどかっこよくそれに答え旦那様の為にと健気に働くきえも愛おしい。きえを初めて海に連れて行ってあげる場面できえと片桐が海を見つめる後姿の美しさからは、今の俺達からは考えられない身分の違いが痛いほど伝わってきて堪らないものがありました。ほかにも緒方拳の憎憎しいまでの見事な悪役っぷりや江戸から来た先生による、えげれす式の戦い方の授業などもあり見応え充分。たそがれ清兵衛に続いて又しても山田洋次監督に一本取られた俺でした。しかし、映画館にはおじさん、おばさんしか居なかったのが少し寂しかったですね。これは若い女性や男性に見て欲しいな、きっと若い人達が見たら新鮮に感じるはずこの映画の美しさと切なさを、俺もその一人ですから。 【一番星☆桃太郎】さん [映画館(字幕)] 10点(2004-11-05 17:08:59) (良:2票) |
《改行表示》98.素晴らしかったのは、二人で海を見に行く場面。片桐の数歩後ろをついていく松たか子は、まさに古き良き日本の女性。どこから見ても夫婦なのに、あんなに近くにいるのに、二人の間には大きな壁がある・・・。 幕末という時代もあってか、抗うことの出来ない大き力が随所に見られた。それは身分であったり、上からの命令であったり、迫り来る近代化の波であったり。そんな流れに呑み込まれそうになっても、自分自身の「信念」に従い、自らの足で生きる姿。そんな片桐の生き様に、剣の腕だけではない人間としての「強さ」を感じたのです。 確かに『たそがれ清兵衛』と共通する部分が非常に多いけれど、なぜそれがいけないのだろう、というのが自分の正直な気持ち。むしろ、変わってもらっては困る。毎年田舎に行くように、二、三年に一度、山田洋次監督の藤沢周平時代劇を見続けていきたい。故郷に帰ったような暖かさがあるし、何より、自分の世代にはそういう映画が無いから。 【紅蓮天国】さん 8点(2004-10-30 17:29:40) (良:2票) |
97.たそがれ清兵衛を観た事がある人は、だいぶ間を置いてから見た方がいいかも。話の流れが似ているので。でも、これはこれで十分面白い。そして、非常にかっくいい。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-11-24 23:49:49) (良:1票) |
96.《ネタバレ》 隠し剣はまさに隠れていた!「鬼の爪を受け継いだのだろう。見せてみろ。」「お前との果し合いに使うような剣ではない。」うん、その通り。使えばひんしゅくものですね。で、どこで使うのだろうと思っていたら、そこかぁー。そんでそう使うのかぁ。まさに隠し剣!でも隠し剣使われちゃうほど、ひどいことをしているとも思えなかったのですが、まぁいいか。他に使うとこありませんし。「たそがれ~」を見てみようと思っています。みなさんのレビューを拝見すると、見なくても良いような気がしてきて、むしろ見ないほうが正解のような気さえしてきたので、逆に見てみようと思います。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-07-09 20:24:44) (良:1票) |
95.良かったんだけど、不満もあったな。原作が同じ作家なんだから「たそがれ・」と雰囲気は似てくるのは仕方ないとして、登場人物が特に同じでもないのに、たそがれパート2的な印象は何とかならなかったのかな。設定を少し変えても良かったと思うよ。主人公が朴とつな中にもユーモアとか志をちらっと見せると全然印象が違うよな。シリーズものにする必要性はなかったんだし。それから、松たか子の起用は疑問だな。好きな女優なんだが、百姓の娘には見えないよ。武家のお嬢さんの役だよ、彼女は。あの役は美人である必要はないから、純情で控えめであれば、顔はそれほどでもなくていいよなあ。例えば、あの妹役の人(田畑智子さんといいます。)。そういう訳で、満点にできない惜しい作品だな。喜劇っぽい演出も、無いほうがいいな。面白いけど、作品が軽くなってしまう。まあ、そこは減点要素ではないが、控えたに越したことはないと思うよ。音楽はよかったなあ。 【もがみとくない】さん [地上波(邦画)] 8点(2010-01-11 22:42:06) (良:1票) |
94.同じ原作者で同じ監督なので、どうしても「たそがれ清兵衛」と比較される事が多いようですが、僕は単作としてはいい出来だったように思います。非常に色合いの似た作品ですが、あくまで別作品ですし、ここは単作としての評価をつけておきたいと思います。しかし山田監督は藤沢文学の世界(海坂藩)を巧く表現しますね。前半のきえのエピソードは「鬼の爪」とはまた別の原作を引用しているのですが、後半の「鬼の爪」の話に入ると、前半とのストーリーの繋がりが希薄になってしまっているのが見えてしまい、ちょっと残念でした。もう少し上手く混ぜられると良かったのに・・・。むしろ原作が短いからといって、ここまで無理矢理恋愛ストーリーにせんでもよかったんちゃうかなーとも思います。しかしあの、一瞬の動作でキメてしまう「鬼の爪」は凄い格好いいですね。ホントに一瞬でしたよ一瞬。余談ですが、藤沢文学の必殺剣は地味なん多いです。 【Fukky】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-12-23 06:45:05) (良:1票) |
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93.《ネタバレ》 見終わって、映画らしい映画を観たなあと満足しました。もし「必殺仕事人」というドラマがこの世になければもっとあのクライマックスは評価されるものだと確信しております(笑) 【チビすけ】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-12-10 22:28:21) (良:1票) |
92.《ネタバレ》 退屈な日常生活の中にあるささやかな幸せ、そしてそこにある愛を感じさせてくれる映画でした。宗蔵ときえのお互いに対する思いは口に出さずとも伝わってきて、その思いを伝えたいが伝えられない2人の心持ちがひしひしと伝わってきました。普段はさえない平侍が相伝の秘剣をやむを得ない事情でふるい奔走するこのシリーズですが、三部作の中では本作が一番好きになりました。やっぱり夫婦愛を中心にわかりやすく描かれた作品だったからでしょうか。2人の幸せな未来を願いながら終われたのも個人的に評価が上がった理由かも。「臆病剣松風」もぜひ映画化を!! 【ぺこりんぐま】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2007-07-29 19:18:12) (良:1票) |
91.《ネタバレ》 緒方拳が扮する家老だが、そんなに悪い奴か?西洋式の最新の軍隊を養成したりして、なかなか先見の明がある家老じゃないか。謀反人の仲間の有無を探ったのも藩のために当然の事をしているだけだし、上意討ちを一番、腕の立つ主人公に命じたのも当たり前。謀反人の妻は、セックスで男を懐柔して藩の決定を曲げさせようとするような、武家の女にあるまじき腐れ果てた根性の女だから、それを相手に遊んでも罪は軽い。そんな、家老を殺すなんて、この主人公は殺人狂ではないか。まったく不愉快で反社会的な映画だ。 ********* ところで、「大目付」って、大名を監視する役目だから、幕府にしかいない。「果たし合い」は私的な決闘であり、主人公が藩命で行ったのは「上意討ち」。身分の違う使用人の女が、主人に気安く話しかけるなどあり得ない。言い出すときりが無いが、いくらなんでも時代考証が出鱈目すぎる気がする。清兵衛でも出鱈目だったが、山田洋次という男は観客を馬鹿にし過ぎているんじゃないのか。 【駆けてゆく雲】さん [地上波(邦画)] 1点(2007-02-26 22:57:15) (良:1票) |
90.《ネタバレ》 本作を語るうえで『たそがれ清兵衛』は避けて通れません。少し比較してみます。まずは主役2人。松たか子については文句ありません。惚れました。ハート鷲づかみです。宮沢りえと甲乙つけがたいくらい素晴らしかった。永瀬は予想以上に良かったという印象。時代劇でも十分通用することが分かりました。ただ、真田と比較すると殺陣の部分でツライものがあるのも事実。そして物語。展開は似ているものの、印象はだいぶ違います。本作の方が軽いです。意図的に笑いを入れた描写が多かったことも原因ですが、主人公に悲壮感が感じられなかったのが大きい。失うものが無いこと、迷いが無いこと。主人公の人物造形がやや薄かった気がします。鬼の爪を使う経緯にしてもやや短絡的。人を斬る(殺す)ことの恐怖、重大さを知っている主人公ですから、もう少し強い理由付けが欲しいと感じました。“鬼の爪を物語上どうしても披露したかった”という風に見えます。やはり自分は『たそがれ』の方が好きです。言葉は悪いですが、二番煎じの感は否めません。ただ元々のお茶が上質なので、二番煎じでも十分美味しくいただけます。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 6点(2006-12-25 18:25:51) (良:1票) |
89.確かに「たそがれ清兵衛」と似たようなストーリー展開で、新鮮味はなかったが、こちらのほうが山田洋次らしい映画だったように思えて、個人的には山田作品としては「たそがれ清兵衛」よりも良かった。出演している役者陣ではきえ役の松たか子が実にいい。実は芝居をしている松たか子を実はこれで初めて見たのだが、アイドルのイメージが強かった(って、何年前の話だよ。)ので、予想以上にいい演技をしているのを見て驚いた。ところで、山田監督の次回作はまた藤沢周平原作の時代劇だそうで、楽しみではあるが、主演がキムタクとのことなのでちょっと心配。 【イニシャルK】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2006-01-10 03:35:45) (良:1票) |
88.基本的にチャンバラなんていらない。観たいのはそこに住んでいた人達の生き方や生き様や、それを取り巻く町の様子や世界の様子が観たいのだ。この作品は僕が求めていたそれらにピッタリと合致し、僕に大きな感動と喜びを与えてくれた。変わり行く時代の変化、そこに住む人達の様子、そして侍の心。何もかもが日本にしかない、日本だけの匂いを感じさせ、日本と云う国の歴史や文化の原点を観させてもらったような心境。時代劇の中に登場するチャンバラは最後の最後に少しだけ見せれば良いと思う。黒澤監督の『椿三十朗』のように、ほんの一瞬で伝わる刀の強さや繊細さ。この作品はまさにそれ。美しい映像、演技、音楽。今のこの時代にこれほどまでに洗礼された時代劇を観れた事に感激。同じでも構わない、もっとたくさん観たい。 【ボビー】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-09-19 10:03:46) (良:1票) |
87.山田洋次監督クラスの新作ともなれば、映画関係者のみならず巷での関心は並々ならぬものがあり、それだけ批評の目というものも自然と厳しくなるものである。そう言う意味において本作も、「前作さえなければ・・・」という但し書きがやはり必要な作品ではなかろうか。前作とは言わずと知れた「たそがれ清兵衛」であり、私個人としても十年に一本の傑作として断言して憚らないほど惚れ込んだ作品であった。従ってあれほどの完成された作品は、いかに山田洋次といえども、そうそう簡単に作れるものではないというのは、誰しもが感じるところだろう。しかしそういったリスクを物ともせず、敢えて再び姉妹篇の如く製作に挑戦したのは何故だったのだろうか。確かに本作だけを見てみると、良く出来た作品として位置付ける事は容易いが、藤沢周平の原作を基にしている事や、多少のプロットや細かいエピソードの違いはあっても、基本的なスタンスが同じであるがために、大方の批評がどうしても比較論となってしまうのが、この映画の損なところ。仮に松竹のお仕着せ企画であったとしても、彼ほどの大人物ならばノーと言えるだろうに、よほど藤沢周平の世界がお気に入りだったのだろうか。それならそれで「たそがれ」の後に現代劇をワンクッションとして撮ってからでも良かったのではないだろうか。まぁ天才の頭の中身は、我々凡人には計り知れないということだろうか。いずれにせよ「たそがれ」とはひと世代若いカップルを主人公に、現代に通じる若侍の潔い生き方という、一種の青春モノを描きたかったことだけは間違いなさそうだが、前作のクライマックスが大立ち回りであったのに対し、今回は一瞬でカタをつけるという感触が、そのまま映画の感触となったようだ。 【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 6点(2005-05-03 18:43:49) (良:1票) |
《改行表示》86. どうなのよ?山田時代劇第二弾と思いながらもつい観てしまっていた自分。『たそがれ』と時代設定も場所も殆ど同一で寅さん化の匂いがプンプンするんですが・・・でもそれで良いんじゃないのと思えてしまう完成度です。確かにシリーズものというのは主人公をはじめとする登場人物のキャラクターによって成り立つのかもしれません。しかし単発であっても時代劇という限られた同一枠の中で、別のキャスティングを使い「同じだけど違うもの」を作ってしまう監督の凄さがジワジワ染み出す作品です。 主人公の永瀬正敏の葛藤と時代の変化に気付きながらも最後まで実直さを捨てない潔さ。それが松たか子との距離感にあらわれていて、観ていて最後までドキドキの自分。 冬ソナに熱中するオバサンを笑えないですよ・・・って、そういうことなんですよね。 純愛ブームと呼ばれる今、そういう古き良き時代を(経験したことがない僕でさえも)どこか惹かれてのめり込んでしまう2時間半。全然長く感じなかったですよ。 もちろん恋愛だけの映画ではありません。決闘が終わってそこでエンドロールと思いきや最後に出てくる鬼の爪。ああ、そういうことなのかと。 何のひねりもどんでん返しもなくあくまで王道を突き進む映画。毎回言っていることですが日本映画に求められるものは、この安心感なのかもしれませんね。 【ひろすけ】さん 7点(2005-03-22 14:51:09) (良:1票) |
85.山田監督お願いです、この路線でもう一本作ってください。三部作の格好になれば作品が「二番煎じ」と言われななくなります。 【y_osuka】さん 8点(2004-12-19 00:29:49) (笑:1票) |
84.「家族」の後に「故郷」、「幸福の黄色いハンカチ」の後に「遙かなる山の呼び声」、そして今回の「たそがれ清兵衛」の後の「隠し剣鬼の爪」。山田洋次監督には、このように傑作やヒット作が出ると、続けて同工異曲の作品が出る例が多いですね。もちろん寅さんみたいにシリーズ化される作品もありますし。その一番の理由は、やはり映画会社(松竹)の要請でやむを得ず、ということなんでしょうね。その結果、前二例と同じく、今回も前作には及ばない、厳しく言えば「二番煎じ」な作品だと思います。けれど、個人的には前作より、こちらの方が好きです。わざと寅さんメンバーを揃えたり、笑える場面が多かったり、山田監督の肩の力が抜けた遊びごころが見えて、「清兵衛」とは色合いの違う楽しい娯楽映画になったと思います。キセルの「あ、首がとんだ」の場面は、寅さん映画ですよね。 【とらおとめ】さん 8点(2004-11-18 23:05:39) (良:1票) |