6.《ネタバレ》 ジェームズ・キャグニー主演の凄まじいギャング映画。
サイレント期から数々のアクションやコメディを手掛けてきたラオール・ウォシュの集大成とも言える作品。
キャグニーとウォルシュが組んだ作品はコメディ「いちごブロンド」、同じくギャングものでロバート・ロッセンが脚本に参加した「彼奴は顔役だ」と傑作が多いが、この映画のキャグニーは最もぶっ飛んでて狂ってる。
ファースト・シーンの列車強盗の場面。
トンネルから出てくる列車を追うように並走する車、列車には既に仲間が潜入して事を引き起こし、橋から飛び降りて乗り込み、扉を爆弾でぶっ飛ばし、機関士も強盗も容赦なく撃たれ蒸気で大火傷を負い悲痛な叫びをあげる…あっと言う間の5分。アクション映画はこうでなくちゃ。
小柄ながらきびきびした動きで踊るように人を殺していくジェームズ・キャグニー演じるコーディ・ジャレット。
母親に “犯罪によって”教育され、冷酷、残忍、非情でオマケに超マザコンに成長してしまった男。発作のようにマザーコンプレックスの衝動に駆られて暴れまわる姿は赤ん坊のような無邪気さと凶暴性を見せつけてくれる。つうか笑顔がヤベえよコイツ…。
こんなにも狂いに狂ったマザコンはコーディ・ジャレットしかいないね。
「死の谷」で姉御肌の女性を演じたヴァージニア・メイヨは、コーディに取り巻くもその狂気で徐々に距離を置いていく情婦の妻を演じる。メイヨとキャグニーのやり取りは愛と狂気の紙一重。
彼らを追う警察との追走劇も手に汗握る。
デスマスク、靴紐、鏡と映像で見せるシーンの巧さも絶妙極まる。社内電話はまるで携帯電話の様。野外劇場の“暗示”はコーディたちの別れ道でもありました。“罪”を避けるための“アリバイ”を得る方法がえげつない。
警察の捜査を嘲笑うコーディたちだが、警察も強力な“切り札”を持ってた。スパイ映画としての側面も持っている面白さ。
刑務所でのやり取りもまたスリリング。特にコーディが“ある知らせ”を受けて発狂、泣きだして暴れ出し幼児のように警官を立て続けにブチのめす。怖すぎて笑っちまうよもう。
その後の脱獄までの流れも手馴れた見事さ。
受話器?んなもんブチ抜いちまえ!閉じ込めたまま“殺す”シーンとか本当えげつない。裏切りと報復、暴力による服従、ドア越しの銃撃。
終盤の流れもとにかく凄い。黒光りする巨大なトラックの重量がたまらない。
キャグニーにおんぶされる酔いどれメイヨが可愛いすぎる。一瞬映る太もものエロティックさ。
給油所に残す“メッセージ”、少し時代を感じる捜査方法がまた味わい深い、ショットガンの散弾描写、そしてキャグニーの絶叫!!
「やったぜママー!世界の頂点だー!」
最後の最期まで、死ぬ瞬間まで強烈な場面で締めくくられる。