46.《ネタバレ》 なんか結局「チーム・アメリカは色々迷惑も掛けるけど、世界平和の為に必要なんです」って結論になるのに白けちゃって……
映画は勇ましい出撃シーンと共に終わるんだけど、観ている自分のテンションは低調そのものっていうギャップが印象に残ってますね。
そもそも内容が悪趣味とかブラックユーモアとか以前の問題として、単に作ってる人達が「嫌な奴ら」ってだけにしか思えなかったのが痛いです。
気に入らない著名人を映画の中で登場させ、悪人として描いて殺すのが楽しいって感性の人も世の中にはいるんだろうけど、流石にノリ切れない。
というか、単純に笑いのテンポとか間の取り方とか、そういうのが上手くないように思えちゃって「悪趣味で不謹慎な笑いである」って事以外には特徴を感じられないんですよね。
人形がセックスする場面や嘔吐する場面とか、もっと短くサラッと描いてくれたら笑えたかも知れないけど、長々と何度も繰り返し描くもんだから「長いよ」「しつこいよ」と思えちゃって、笑えない。
「自分の感性に合わないので面白くないけど、これが凄い映画だって事は分かる」って品も結構あるんですが、本作に関しては「合わないとかそれ以前の問題として、全然凄いと思えない」ってパターンであり、観ていて辛かったです。
とまぁ、そんな具合に、不満を並べ立てたらキリが無い映画なんですが……
それだけじゃ寂しいので、以下は良かった点を。
まず「素人の主人公がプロの集団に仲間入りし、成長してヒーローになる」というストーリーは王道であり、映画の軸がしっかりしていた辺りは評価すべきだと思います。
本作の売りは「メインストーリーの間に挟まれる小ネタ」の方にこそあるんでしょうけど、小ネタを楽しめなかった自分でも、そこまで退屈せずに観られるよう仕上げてあるんだから、この辺は「色んな客層に配慮した、プロの仕事」って思えて、感心させられました。
歌詞の内容には鼻白むけど、挿入曲もノリが良くて楽しい代物が揃ってるし、その使い方も上手い。
人形が人形を操ってる二重構造や、猫を黒豹と言い張る「稚拙な特撮」っぷりにも、愛嬌というか「映画としての可愛らしさ」を感じられて、憎めなかったです。
総評としては、作中で揶揄されてる「パール・ハーバー」よりは面白いと思うけど、好きな映画とは言い難い……と、そのくらいに落ち着きそうですね。
こういう尖った映画の場合「大好き」か「大嫌い」の、どちらかに振り切った方が評価する側としても気持ち良いんだけど、悪趣味を気取ってる割に、妙に優等生な面もあったりして、中途半端になってしまった感じ。
傑作にも駄作にも成り切れなかったという、そんな一品に思えてしまいました。