《改行表示》47.正直、「赤狩り」というアメリカ史上に残る“事件”について明るくないので、いまひとつ詳細を理解しきれなかった部分はあるが、権力による紛れもない“弾圧”に対する力強い“ジャーナリスト魂”に奮える。 「言葉の強さ」なんて言いふらされたことかもしれないが、あらためて、人間にもたらされた最大の武器は、剣でも銃でも爆弾でもなく、“発言の勇気”なんだと思った。 世界に対し自由を謳うアメリカという大国の実情は、闇と愚かさに溢れている。だがそれでも、この国が世界中から愛される理由は、どんなに闇にまみれても、いつの時代もエド・マローのような人間が力強く存在するからだと思う。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-05-27 00:37:55) (良:2票) |
46.「報道」とは何なのか。テレビというメディアの役割とは何なのか。それを改めて問いかける為に使われた素材が「アカ狩り」。この日本人には馴染みの薄い事件を話の中心に据えた事で、「アカ狩り」を知らない人には、この作品は随分と薄いものに映るかも知れない。この時アメリカで行われていた「アカ狩り」の様子は、「狂気のマッカーシー旋風」とも形容され、共産主義者を疑われた者が調査委員会の召喚を受けた時の様子などは、さながら魔女裁判のようだったという。しかしジョージ・クルーニーは観客がこれを「知っていること」として話を進めているので、この映画の中からそうした狂気はほとんど感じ取れない。この映画で描かれるのは、あくまでも報道の自由と信念を守るために、ブラウン管を通してスマートに戦う男の姿であって、事件を知っており、かつ「集団心理の狂気」みたいなものを見ることに辟易としている自分などは、この全編を貫くスマートさは歓迎すべきものなんだけれども、事件を全く知らない人には、「???」な映画かも知れない。「興味があるけど、アカ狩りは知らない」という人は、予備知識を入れておく事をオススメします。本来そういう映画はよろしくないんだけれども。最後に、自浄努力もしないまま健康番組の捏造で大騒ぎする日本のメディアと「騙された!」と憤慨する視聴者に、Good Night,and Good luck. 【C-14219】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-01-31 23:58:29) (良:1票) |
45.戦後のハリウッド界とは切っても切れない一大事件である「赤狩り」を描いた作品。そこに説教臭さはなく、マローにリンクするように、911以降の「表現の自由」に関する議論に一石を投じた、実にクルーニーらしい洒落た作品。本作でオスカーを逃したことを悔しがっていたのもよくわかる(クルーニーの演技自体も「シリアナ」より良い。)。「絶対的に公平な報道なんてない。」というマローの言葉は、現代の人々にとっても耳が痛いのではないだろうか。アメリカという国は決して「自由の国」ではないことは、誰でもよくわかっている。しかし、それでもアメリカが魅力的に映るのは、それを覆せるだけの力があること。本作からクルーニーのアメリカ、父が関わっていたマスメディア、ハリウッド、それぞれへの敬意が見えてくる。あと、デヴィッド・ストラザーンも素晴らしかった! 【こばやん】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-05-18 23:43:07) (良:1票) |
《改行表示》44.《ネタバレ》 実話なのか!? アメリカは、史実をよく映画にするね。 アメリカ人には、映画が面白いだろうね。 教養を深められるからね。 厳しい人が、厳しいとこから、闘い、世の中前に進むんですね。 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2023-12-20 21:28:05) |
《改行表示》43.多くの人々の人生を滅茶苦茶にした赤狩り。仲間や他人を売る事を強要する腐れ外道に尻込みして物言えぬマスコミの中で真っ向勝負を挑むマロー。こういう人がいたのを初めて知り、その勇敢さにひれ伏すばかりです。デヴィッド・ストラザーンに見惚れ聞き惚れました。 硬派に過ぎた作りに物足りなさも感じたところです。 |
《改行表示》42.《ネタバレ》 ~Good Night, and Good Luck.~「おやすみなさい。そして幸運を」エドワード・R・マローがTV番組の最後に言う締めの挨拶。 現代の魔女狩りと言えるほど加熱したマッカーシズムとジャーナリストの闘いを取り上げた作品。 モノクロの渋い映像。1953年のアメリカが舞台で、序盤からたくさん人名が飛び交うので、正直置いてけぼり状態になってしまった。 番組の構成を打ち合わせ、番組を流し、出来具合を話し合い、新聞の評価で判断する。美味そうなウイスキーとダイアン・リーヴスの挿入歌がホッとさせてくれる激シブい構成。 予備知識無しで観たから、どれだけ理解できたか疑問だけど、余分な説明、私たちでもついていけるくらいの時代背景を一切省いて、ロケもなく当時のニュース映像もほぼ無く、当然娯楽性は排除して、ほぼ全編スタジオの中だけで、90分台に収めたことは、なんとも凄いバランス取りだ。 今の日本の報道番組は、何でも娯楽に結びつけてしまったり、内容よりインパクトの強さでトップニュースにしてしまうような報道が多い気がする。でも深夜のドキュメント番組とか、興味深い番組も多い。ジャーナリズム、報道番組の存在意義は、視聴率ばかりでは無いことを、忘れてはいけないね。 娯楽として楽しめる作りではないけど、駄作でもない。マッカーシズム、マローについて予備知識を入れてから観るべし。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-08-17 22:17:41) |
《改行表示》41.録画してから3~4年たってやっと観賞しました。 「赤狩り」なんですけど、古き良きアメリカの雰囲気が出ていて、過剰な演出も娯楽性もなく淡々とした史実に基づいた映画という感じでとてもクールで知的。バーで談笑しながら仲間と飲んでるシーンは粋です。デヴィッド・ストラザーンがかっこいい、特に目がいいです。 「ER」のロス先生で知ったジョージ・クルーニー、あの風貌といい個人的にチャラいイメージがあるんですが、面白いとは言えなかったけど「コンフェッション」とか、映画の題材を選ぶセンスはかなりイイと思います。批評家たちにけっこうウケがいいんですよね、確か。やっぱり録画したまま未見となってる「ミケランジェロ・プロジェクト」あるから近いうちに観てみよう。 【envy】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-08 13:37:10) |
《改行表示》40.《ネタバレ》 吹き荒れる赤狩り旋風に対抗したメディア、その一箇所だけに視点を据えての舞台劇のような味わい。地味といえば地味。敵と直接対峙してのクライマックス、というありがちな場面も無いですし。 ただ、主人公のTVマン マロー氏の民主主義の理念に基づいた言葉一つ一つがとてもかっこ良いのです。思想の自由を揺ぎ無い信念と矜持を持って淡々と言葉にするエド・マローその人がまんまアメリカの理想の象徴のようでした。デビッド・ストラザーンはハマリ役です。 チャラいイメージのG・クルーニーがモノクロの色彩に意外や溶け込んで味のある脇に徹しているのも斬新です。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2018-12-03 17:11:16) |
《改行表示》39. 1950年代に全米を揺るがしたマッカーシズムと闘うジャーナリストたちの物語。表層的な再現ドラマの域を出ない印象。タバコ燻らせ上目遣いのマロー役は、ハリウッドお得意の“そっくりさん芝居”。 古い時代の空気を醸成する技法として、モノクロ映像による表現が効果的だと長らく思っていた。しかし、この手法はあくまで特定のテーマに限ると最近思うようになった。カラー化以前、映像は白黒でも現実は色彩豊かな風景なのだから、と。本作を観て特に感じるのは、記録映像の活用にこだわるあまり、マッカーシーの動きが見えないこと。カラー撮影で彼の行動をもっと掘り下げれば、歴史を学ぶだけでなく現代を学ぶことにも繋がるのではないか。硬派な題材はジャーナリズムに対する昨今の風潮にも警句を発する価値があるだけに、突っ込み不足が惜しい。 テレビの理想を語る場面は示唆に富むが、M・バール、E・サリヴァン、S・アレン等の番組、良かれ悪しかれそれらもひっくるめてテレビなのだ。まあ、テレビの現状(特に地上波)を見るにつけ「娯楽と逃避のためだけの道具」になりつつあるとは思うが……。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2018-05-27 13:51:36) |
《改行表示》38.アメリカ映画を見ていると忘れた頃にその名が出てきて嫌でもある程度知ることになる、 アメリカ映画界にも大きな影響を与えたジョセフ・マッカーシーと赤狩り。 マッカーシズムと真っ向勝負を挑んだCBSのアンカーマン、エドワード・マローを主人公としながらも、 その対決の相手となるジョセフ・マッカーシー上院議員を演じる人はいない。 マッカーシーは頻繁に登場しますが、それは全て当時のモノクロのアーカイブ映像の中に登場する本人。 そしてエンターテイメント性を徹底的に廃し作品自体もモノクロにすることで、 本作のキャストが同じ時代で当時のマッカーシズムと闘っているような緊張感を生み出しています。 ジョージ・クルーニーが映画人として骨のある所を見せつけた佳作。 作品タイトルの"good night and good luck"、これはエドワード・マローへのこれ以上ないリスペクトであると思います。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2017-06-17 20:40:25) |
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《改行表示》37.《ネタバレ》 ニューシネマ的なエンディングはいいですね。顔を正面から捉えたショット=観客に向けたメッセージが多く、ジョージ・クルーニーが現代社会をどれほど嘆かわしく思っているかが伝わってきます。 彼らのスタジオや会議室は密室です。これは彼らが権力から常に圧力を受ける弱い存在であることを示しています。そして、CBSの社長が登場するシーンでは、彼の顔には複雑な影が現われますが、マローの顔は一方向からの照明を受け、明暗がはっきりと現われます。これは彼らがどのようなキャラクターとして設定されているかを如実に表す演出ですね。わざわざ白黒映画にしたのは、照明の明暗を効果的に使いたかったからでしょう。現在ではいいイメージを持たれないタバコの煙も、マローの内面から沸き上がる善意や抵抗心を表す重要な美術装置として機能しています。 社会派監督としてのジョージ・クルーニーの力量がうかがい知れる映画だと思います。しかし、娯楽としての面白さには欠けるので、点数は低め。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 6点(2017-01-20 10:13:26) |
36.《ネタバレ》 あんましその辺の事情に詳しくないし興味もないからあんまりよく分からないまま終わっちゃった感じ?かな。モノクロ画面の美しさはわかるけど、内容は地味な感じだしね。率直な感想はそんなところでゴザイマス 【Kaname】さん [DVD(字幕)] 3点(2016-01-28 10:01:39) |
《改行表示》35.ハリウッドがこれほどなまでに民主党支持者が多いのは、この黒歴史の反動が大きいのだろう。ただ、赤狩りの知識がないとかなり厳しい映画で、全編室内のみで展開するならまだしも、淡々どころか大きな変化もないまま終わるため、マッカーシズムに対抗する記者たちの奮闘と功績を実感できなかった。インテリが好みそうなまさにアカデミー賞受けの作品だと思うが、ここまで来ると独り善がりの感じが否めない。 |
34.再現ドラマ的で、ニュースフィルムを使った部分の興奮を超えるところはなかったけど、時代の気分は味わえた。それはつまり赤狩り時代の気分であり、後世にとってはこの21世紀初頭の記録になっている(つまり赤狩り時代を検証したくなる社会情勢だったということ)。アメリカ映画はよくテレビ界をテーマにしており、単に映画界のライバルとしてのやっかみを超えて、大衆批判としての意義を持っている。あれは偉い。本作でも、ついにマッカーシーに勝った番組を持ち上げるものの、それもクイズ番組には勝てずゴールデンアワーを追われていくの。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-10-18 10:02:28) |
33.「古き良きアメリカ」という言葉はよく聞くけれども、この時代のアメリカになぜか惹かれてしまうのはアメリカ人だけではないと思う。もちろんこの時代にも様々な問題があり、黒人の人たちにはまだ選挙権もなく、女性の地位も低かった。それでもケネディ大統領までのアメリカにはまだ良心、あるいは知性といってもいいかもしれないけれども、それがあったと思う。もちろんそれがあればこその黒人の選挙権獲得、女性の社会進出があったわけだけれども。まるで少年のようなアメリカ。ベトナム以前のアメリカ。ある意味すごくピュアなアメリカが、エド・マローとともに描かれている。モノクロ画面の美しさ。デヴィット・ストラザーンのしんとするようなかっこよさ。指が焼けるのではとはらはらさせられるタバコのシーン。 【はちかつぎひめ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2013-09-19 13:09:11) |
32.《ネタバレ》 内容が内容だけに十分理解できたとは思えないが、それでもマローとその仲間たちのマッカーシズムと正面から堂々と戦う姿勢が十分に伝わってくる。これぞまさしくジャーナリズム精神だ。映画のモノクロトーンは単に雰囲気作りではない。この映画にはマッカーシー本人を初め50年代の記録映像がふんだんに使われているが、それは50年後のクルーニーらの現在の映像と見事に重なり合い、マローとマッカーシーが本当に対決しているかのように描いている。またジャズシンガーのダイアン・リーヴスも音楽だけでなく本人自身が歌っているというのも雰囲気作りに貢献している。正統派の真面目一本で作られている映画の中に一瞬笑える箇所がある。そうあのシー・イット・ナウの本番中に電話回線を切ったシーン、放送終了と同時にたくさんの電話が殺到すると思いきや何も起こらない。そして背後から「電話をつないでも?」 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-09-11 20:59:22) |
31.こういうタイプの映画が大好きで、ジョージクルーニーにも期待していたのだが、そこまで期待に応えてくれる映画ではなかった。 【みんな嫌い】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-11-13 23:23:08) |
30.実話モノとしてストーリー自体は興味深いが、アメリカ人でもなく予備知識がほとんどないため裏で自動的に流れていくストーリーについていけず、さらにこの終わり方は不満。もう少し外側からも「勝負」を描いて決着まで見せて欲しかったな 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-10-07 02:31:16) |
29.《ネタバレ》 ○予備知識がないからか、多くを語らない脚本だからか全貌が分からない作品であった。○見せ場も少なく、印象に残りづらい作品でもあった。雰囲気は良かったが。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-07-24 20:22:02) |
28.単純なアメリカ的正義で終わってないところが良い。メディアのあり方を問うメッセージ性の強い作品。映画としてはそれほど見どころがなかったがコンパクトにまとめてあって見やすい。 【さわき】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-05-14 01:29:10) |