49.《ネタバレ》 昔に深夜TVで不完全に観てしまい、長年後悔しておりましたが、ようやくDVDを購入することができました。いま、ようやく全てを観ることができ、脳内で美化され続けた記憶を凌駕する感動をうけ、幸せです。フランチェスコの、貧者になる道を選んでからの生き方については、時代、各個人等によって賛否あるのは当たり前でしょう。でも、この映画で、幸せを感じるのは、フランチェスコを支える友人たちの存在です。彼らは、あるものはフランチェスコの身近にいて彼をささえ、あるものは命を落とし、または対極にいながらも、親友たちを心配するのです。教皇の前から引きずりだされたフランチェスコ達を追い、彼らの危機を見捨てず、自分も「仲間だ。」とパオロが言い切ったシーンは、アタマを殴られたような感動を覚えました。全編を通して、考えていたような大きな感動を受けるのではなく、「ブラザー・サン・シスター・ムーン」の歌のように、美しく静かな感動を与えてくれる作品でした。 |
48.持たざることの自由、何にも属さないが故の自由。宗教について何にも知識が無くても最後までちゃんと観て富と権力を非難する製作者側のメッセージをよく理解できる。そして宗教の汚い部分と信仰の美しい部分を示し「清貧」という言葉の意味をより解りやすく丁寧に映像で教えてくれる佳作。 【WEB職人】さん 8点(2005-03-05 22:01:16) (良:2票) |
47.フランコ・ゼフィレッリ監督といえば、どうしても「ロミオとジュリエット」ということになるが、もう一つ忘れてはいけないのが本作。史上有名なアッシジのフランチェスコを主人公にしたこの作品は、歴史物あるいは伝記ドラマである以上に、現代に通ずる平和的な愛の思想を謳い上げている。フランチェスコは自然を愛し、鳥や動物に親しみ、その無限の優しさに生きる事の意味を見出す。その思想が単なるメッセージとしてではなく、人間の優しさ、自然の優しさとして画面に純粋な実を結ぶ。絵画のようなロングショットの美しさが印象に残る作品で、賛美歌のような崇高な旋律のテーマ曲もまた素晴らしい。 【ドラえもん】さん 9点(2000-11-12 21:08:42) (良:2票) |
《改行表示》46.初見。後悔しか浮かんで来ない過去、澱みきってくたびれ果てた現在、希望が浮かんで来ない将来。 この歳で観た本作に心洗われる思いです。 とりわけ歌に。 贅を極めた聖職者の頂点たる教皇(アレック・ギネス)の神に仕える初心を思い出したかのような振る舞いは、重みがあるシーンでした。 心の拠りどころの一つとなる秀作です。 |
45.《ネタバレ》 「ロミオとジュリエット」の成功で力を得たフランコ・ゼフィレッリの、次なる青春映画。 苦手な宗教が題材ではありますが、歴史物として見応えがあります。 キリスト教はその性質から天文学や自然科学と相容れない過去を持ちますが、ジョバンニ(グレアム・フォークナー)こと聖フランチェスコは自然にとけこみその中に神の存在を見出した人、フォーク歌手ドノヴァンの歌と美しいアッシジの風景で彼の自然派ぶりを強調。 前半は富裕な商人の父と、後半はきらびやかなローマ・カソリック教会との対比で若きフランチェスコの清貧さを際立たせ、美しい金髪を落として仲間となるクララ(ジュディ・バウカー)が彩りを添えます。 ローマ教皇インノケンティウス3世(アレック・ギネス)との謁見は、金銀宝石で飾られた豪華な法衣を脱ぎ捨て純白の衣でフランチェスコに歩みよる教皇が、一瞬権力を忘れ初心に立ち返ったかのような象徴的な場面ですが、まわりの枢機卿らに再び教皇としての権威で覆われるのが、組織としてのカソリック教会の強大さを感じさせます。 【レイン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-09-04 07:00:04) (良:1票) |
44.《ネタバレ》 『法王の銀行家』という、ヴァチカン史上最大のスキャンダルといわれた題材の映画のDVDと一緒に借りたのだが、まあ、対照的な代物でした。方や聖職者の欲にまみれた醜聞、方や何もかも捨て去った聖人伝。でも、もともと宗教そのものに懐疑的な人間にとって、この『ブラザー・サン シスター・ムーン』に共感・感動するのは難しい。『法王~』の方が、人間臭さ全開で、(難解だが)正面から見ていられる。一方この『ブラザー~』は斜めになってしまうのだ。なぜか。この映画に描かれているフランチェスコの回心してからの行動は、聖人そのものだが、まったくもって「鬱陶しい」のである。それもこれも、私自身の心の裏返しなんでしょう。それだけ、私の心はねじくれまくっているのでしょう。つまり、全く感動できなかった、ということです。ラストシーン、教皇がひざまずいた後、再び金ぴかの法衣を纏い、頭上に金ぴかの帽子(?)をいただいたのは何なの? 足への接吻は、パフォーマンスか? ・・・とか、そういうことはもうどうでもよい。ただ、映像の美しさには、ゼフィレッリらしいなぁ、と感心。ドノヴァンの歌も美しい。つまり、中身など考えて見るより、その美しさを堪能すればよいのだ、と分かりました。でも、また見ることは・・・、なさそうだな。 【すねこすり】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-03-31 16:34:17) (良:1票) |
43.《ネタバレ》 最初の15分くらいは何の話なのかさっぱり分からなかったし、途中でも眠くなるところは数か所あるのだが、やはり、内なる真理に目覚めて冨を捨て去り野に出て行くシークエンスの緊張感、そしてラストの謁見の場面の力強さは強烈。こういうところでポイントをしっかり押さえられると低い点はつけられない。映像も美しいです。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-05-25 02:42:38) (良:1票) |
《改行表示》42.学校の世界史の授業でみせてもらったすばらしい映画。せつなく、やさしく、そして清らか。 これは美しい宗教映画です。世の中の矛盾に疑問を抱いた若者の情熱が彼の周りに多くの人びとを集める。富者の物となってしまった宗教を貧者に取り戻そうとするかのように。そしてその情熱がやがて大きな実を結ぶ。観終わったあとは感動の涙と共に、どこまでも崇高なテーマ曲が耳に残ることでしょう。 【シェリー・ジェリー】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2006-09-14 19:26:23) (良:1票) |
41.これまたどうなんだろう? 宗教映画と言うよりは、【やましんの巻】さんの仰られる様に、音楽共々ヒッピー映画の側面が強いと私も感じた(↑これって一応ミュージカルなんですか?)。宗教に関心の無い典型的な日本人、そして映画ファンの私には、フランチェスコがどういう人物だかさっぱりと伝わってもこなかった。小作人の一人が言った様に、この宗派(?)の開祖の人達は全員裕福の出。はっきり言って毎日が食うや食わずの人間に、花が美しいとか鳥は自由だとかほざいてる暇は無い。ましてや親の財産を勝手に捨てるなど言語道断。唯の放蕩息子でしょ、この人、4点献上。 【sayzin】さん 4点(2005-01-11 01:10:57) (良:1票) |
《改行表示》40.映画館で見たのは、1974年。生まれたままの姿になるフランチェスコ、金髪の輝くクレアの断髪シーン、教皇インノケント13世との劇的な謁見が忘れられない内容です。そして、多くの人達がコメントするあの優しい音楽。それは、シンガー・ソング・ライター、ドノヴァン・レイチがギターを奏でて唄っている主題歌。静かな曲だけれどずうーっと耳に残っている。その後、この映画をテレビで何回か見たが、清らかになる気持は同じであった。 今度DVDが出たので、早速購入。見終わって、30年前と全く変わらない感想です。<アッシジのフランチェスコ>と言えば、殆どのカソリックの人達は巡礼聖人として良く知っている。彼を支えた聖女クレアの名前と共に。でもこの映画は、クリスチャンであるかどうかに関係なく、フランチェスコとその周囲の人達が示した暖かい思いやりに心を打たれる。フランチェスコを演じたグラハム・フォークナーも、クレアになった女優ジュディ・ボウカーも新人俳優で、二人とも新鮮そのもの、そして眼の輝きが素晴らしい。昨今の若い人達に是非見て欲しい秀作だと思いますね。 【チャロ主】さん 10点(2004-09-08 18:31:06) (良:1票) |
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39.中学生の時に観て感動して以来、私にとってバイブル的存在の各品。これほど美しくて、清々しい映画は○十年経った今も見当たらない。鑑賞後は魂が洗われたような気分になるので、ことあるごとに観てますね。クレアのセリフ「理解されるより理解したい。愛されるより愛したい」は一番好きな言葉。殺伐とした今の時代にこそ、たくさんの人(特に十代の子達)にこの映画を観てほしいですね。名作として残っていってほしいものです。 【やむちゃ】さん 10点(2003-11-08 17:27:48) (良:1票) |
38.今ではこんな作品を創る人はいないだろうな。70年代前半になぜこのような映画が創られたのか?宗教というのは一つの生き方だとは思うが、あの挫折の時代(70年代)において、敢えて神の名のもとに、確信的に所有を否定する考えは、やはり一種の逃避としか思えない。この作品に見られるフランチェスコのような聖者像や彼に従って若い青春を抑圧する信者には、いまでは多くの人が共感し得ないだろう。若さ故の自意識の表出というのは、とても自然なことだ。そこでの挫折を僕らは「青春」と呼ぶが、生き難さの抑圧の中でも僕らは真っ当に生きることを目指して、社会における様々なエロスと抑圧を引き合わねばならないのだ。僕らは21世紀の高度資本主義社会に生きる者として、自明の抑圧に耐え、その中でささやかな生きていく欲望を見出だすのみである。青春を抑圧するところに哲学はない。。。と今では思うが、この映画を観た10数年前には、違和を感じながらもその清清しさに心を動かされたような気もする。実のところ。 【onomichi】さん 7点(2003-10-18 14:14:33) (良:1票) |
37.詳しいことは書かないが、自分も宗教的環境にいたことがあり、そこでは、バイブルのような映画であった。時代背景も視野に捉えて、深読みをしておられる方もいるようですが、【prado】さんが書いておられるように、素直に観たらよいのではないかと思っております。一言でいえば、清貧の思想を説いていると同時に、ドグマ主義と権威主義に陥っている旧態依然とした宗教を風刺しているように私には感じました。仮に史実に忠実でなくとも、映画の中で彼が説いたことは、人が幸せに生きる為のヒントにはなっていると感じます。映像美もさることながら、精神性の高さにおいても、良質の作品ではないでしょうか。 【すぎさ】さん 9点(2003-07-11 01:25:24) (良:1票) |
36.一貫してマタイの福音書の難しいとされる部分が、うまく解釈、描いている。「持たざることの至福感」と「(苦しみの中にも福音を見る)神への全面的信頼」は、極めてキリスト教の大事な部分である。ここが理解できない限り、「真理は汝らを自由にする」の意味がつかめない。戒律主義に陥り、哲学的苦行僧物語で終わってしまう。その至福感は、雪原での教会再建の場面、豪雨の中での托鉢の場面等の厳しい環境の場面で、「安心していろ(神が養ってくださる)」と言ってるかのように使徒・民を励まし、その時のグラハム・フォクナーの揺るぎない神への信仰を表す目力と、全ての苦しみを超越した微笑みが、多くの人の心を引きつけるのだろう。後半の迫害後、総本山の教皇に間違いを拝聴に行こう(もちろん、命がけだろうが)という考えは、通常の聖職者を描いた映画とは異なる。「苦しみも、御心」と受容し、感謝しつつ現実と対峙していく姿が描かれ、それがさらなる感動を呼び起こす(英映画「ミッシヨン」参照)。ある面で途中まで成功しているのに、詰めの甘さが致命的で、「Hippys!」「現実逃避」と批判されても仕方がない。 【prado】さん 7点(2003-07-06 12:44:44) (良:1票) |
35.辛口採点している人があまりいなかったことに驚き。マイスター・エックハルトと双璧の神秘思想家アッシジの聖フランチェスコがこんな具合にいじられては全く浮かばれないね。映像美とドラマが乖離しまくっている。思想的には当時のトレンドのようなものだったが、今見ると古くささは否定できない。こういう現実離れのユートピア的思想はフランチェスコの実像とは似て非なるものだろう。同監督の「ロミオとジュリエット」は厚い原作のおかげで足らざるところが目立たなかった(ただし、よく観ると役者の演技を強調するような演出になっていない。主役2人の未熟さも考慮したのだろう。)が、こちらの薄いシナリオではどうしようもなかったようだ。それにしてもゼッフィレッリはここでも「ロミオと~」同様、美青年のスッポンポンを巧みに映像化して、おのれの秘めたる嗜好を満足させているなー(笑)。 |
34.皆さんえらく高評価だし、感動されているみたいで…コメントやめようかとも思ったんですけど…。これって、一種の”現実逃避”じゃないか、当時のフラワーチルドレンやヒッピームーブメントあたりの「汚い現実からさっさと逃げ出そう。どこかにある”魂のユートピア”を夢見て、眼を閉じていよう」っていう、どこかとても無責任な考え方を、そのままメッセージにしたような…。ぼくの知る聖フランチェスコは(と言うより、ロベルト・ロッセリーニの『神の道化師・フランチェスコ』を見たなら)、こんなニュ-ミュ-ジック風(!)「優しさ」だけの好青年じゃなく、もっとラディカルな存在だったはず。彼は、腐敗した宗教界と社会に対して、そのアンチテーゼだったわけでしょ。つまり、当時の世の中では「危険人物」だった…。『ペイネ愛の世界旅行』と一緒に見たなら、この映画が作られたあの年代の「傾向」が、よりハッキリと分かるでしょう。そしてぼくは、あの時代のそういう「無責任さ」が大嫌いなのです。 【やましんの巻】さん 2点(2003-05-31 14:16:33) (良:1票) |
《改行表示》33.《ネタバレ》 富裕層の家に生まれ育ちながら世の矛盾に気づき清貧としてキリストの生き方にならった生き方を目指した青年の半生。宗教的な成功譚とも言える。 4K8Kでなくても雄大な自然を描くことが出来ることがよくわかる映画。 エンタメとして楽しむにはどうかな。自分が俗過ぎるのか。 当時を再現したのであろうファッションについてはなかなか面白みがある。 【ほとはら】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 5点(2023-02-26 16:05:15) |
32.《ネタバレ》 思ったよりも軽かった。戦争で病んじゃって回心したという事なのだろうが、信徒が集まる過程は説明不足。で、教皇は役者か否かが問題。そんなキレイな話でもないような。 |
31.ここまで宗教色が強いとちょっと引いてしまいます。地に足のついていない生活を送っていた主人公が聖人として開花した姿を見ても、私には何も響きませんでした。 【川本知佳】さん [DVD(字幕)] 4点(2014-05-26 22:05:39) |
30.キリスト教社会では説明の必要もないほどの人気を誇る「アッシジのフランチェスコ」の映画だそうだが、彼らには説明の必要はなくとも日本人にとってはいささか、いや、かなり説明不足だろう。フランチェスコが悟り?を開く場面、親友達やクララが彼を慕って入信する場面など、どうしてそうなるの???ということが幾度もあった。しかし、映画の美しさは特筆に値する。どこでロケをしたのか、アッシジなのか、出てくる風景がとんでもなくのどかで美しい。音楽も相まってうっとりとさせられるような場面のみが印象に残る映画であった。好み25/50、演出10/15、脚本7/15、演技5/10、技術8/10、合計55/100→6/10点 |