《改行表示》20.《ネタバレ》 根岸吉太郎監督作品という理由で観てみたものの、私が今までに観たどの根岸作品よりも魅力を感じ得なかった。 「予定調和な作り」だったというのが、その全ての原因だと言っていいかもしれない。 ただし、ラストに関しては、伊勢谷友介のその後の復活を暗示するような締めくくり方で、なかなかの味わいを感じた。 しかしそれ以上に、棒読み口調の伊勢谷友介と、目元が気色の悪い吹石一恵、田舎がイメージに合わない小泉今日子、そして愚直さがあまりにハマっていて本当につまらない男に感じてしまった佐藤浩市など、キャスティング全般に違和感と嫌悪感を感じたのもネックだった。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2010-04-06 23:33:21) (良:1票) |
19.《ネタバレ》 昨年の東京国際映画祭で観ました。地味なこの映画が何とグランプリ受賞という結果に驚き。キャストはすごい豪華だけど、ストーリー自体使い古されて擦り切れそうなよくある展開。都会での挫折→田舎に帰って自己を見つめなおす→家族との絆を再確認→また立ち直るという本当にありふれたモノ。思うに日本映画の最大の弱点っていうのは、観客にストーリーの先読みを軽く許してしまう事だと思うんですが、この映画も残念ながらその弱点から一歩も出ていないです。正直最初の十分で、ラストまでの展開が予測できます。それをどうカバーするかが演出脚本と演技の見せ所だと思うんですが、この作品はなかなか健闘してました。ばんえい競馬場での日々の訓練風景も興味深いし、佐藤浩市はじめ出演者も達者な方ばかり。ただ、賄い婦を演じる小泉今日子は地味な格好をしてても、やっぱり目立ちすぎですね。彼女だと、もしや彼らに別の賄いを・・・?なんて不埒な考えをオイラはつい起こしてしまいました。自分のイメージだとこの役は松田美由紀あたりがベスト。ラスト、伊勢谷扮する主人公が、特に急いで切羽つまってとも思えないのに、なんで皆に別れの言葉もかけず東京に戻ってしまうのかが最大のナゾ。「結局、おめー何も変わってねーじゃん!!」ゆえにマイナス1。でも丁寧に作られた佳作である事は間違いないと思います。 【放浪紳士チャーリー】さん [映画館(邦画)] 6点(2006-04-29 11:32:47) (良:1票) |
18.《ネタバレ》 いまや世界中でも、帯広でしか行われていないばんえい競馬。それを支える人たちの人間ドラマを丁寧に描いていて面白かったです。実際、普通の競馬と違って、途中で止まるし、鼻先ではなくてそりがゴールラインを超えないとレースが終わらないので、現地で見ていても結果がよくわからなかったりして、かなり独特なのですが、そういうことも描かれているので、ばんえい競馬に興味がある方にはお勧めです。 また、幻の橋であるタウシュべツ橋梁(帯広からは1時間以上かかりますが)も見ることができます。 【TM】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-05-13 00:30:48) |
17.《ネタバレ》 「サイドカーに犬」が傑作だったので、期待しすぎたのかもしれない。けどこれはこれでよくまとまっていると思った。意外性はどこにもないが、無理なく、細部をきちんと撮りながら進んでいくので、見終わって清々しい。というと平凡なようだが、そうではなく、最後まで観客をひきつけ離さない。そしてささやかながらメッセージをしっかり伝えている。この作品が‘一般受け’したのも分かる気がする。「ばんえい競馬」というそうな…。鉄ソリを馬に曳かせ、途中二ヶ所の障害(坂)を越え、全長200mの直線を競うレースらしい。北海道の田舎のうらぶれた厩舎が舞台だ。そこに17年前、兄のカネを持ち出して逃げた弟が帰ってくるところから物語が始まる。弟は、兄をはじめ人々がみな切ない願いを持ち、けなげに生きていることに気づく。そしてもういちど都会に戻り、仲間に謝り、やり直すことを決意する。 【柚】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-07-13 23:17:02) |
16.ばんえい競馬はよくドラマに登場するが、スポーツの爽快よりもイジメに見えてあまり好きではない。精神主義的な人生論が投影されやすいからかも知れない。なんか体育教師が「根性!根性!」と気合いを入れているよう。そんな私でも湯気を立てる馬のシルエットは美しく、息を呑んだ(美しけりゃあっさり共感してしまう主体性のなさ)。映画における湯気とか煙は、なぜこんなにも美しいのだろう。光を感じさせる装置だからだろうか。いくつかの映像の美しさでモトをとったと思った。見上げる廃橋と、雪に埋もれた廃橋。撮影に手間をかけてます。厩舎でのリハビリの話でもあるわけだ。感謝の気持ちを屋根へ雪玉を載せる行為で見せるのがよい。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-10-15 09:09:48) |
《改行表示》15.《ネタバレ》 佐藤浩市と伊勢谷友介が演じる歳の離れた兄弟についてだけ書く。二人の演じる兄弟には味があった。 「母ちゃんは、歳を取ってから生まれたお前ばかりかわいがった」と思っている兄は、13年間音沙汰なしで、東京から逃げ帰ってきた弟に不満だ。弟の言い分は、「俺だって必死にやってきた!」だ。「俺や母ちゃんを捨ててか!」「そうだよ!」 で、「馬鹿たれが!!」と顔に一撃を食らって、弟はもんどり打って腰掛けから落ちる。(ここのひっくり返り方は見事だ。)弟の言った「そうだよ」は「それほど自分は必死だった」の意味だろうが、兄からすれば“肯定してはならないこと”だった。こんな風にこの二人は、およそ、言葉では意思疎通の不可能な二人なのだ。 しかし、兄は頑固だが、弟を憎んでいるわけではない。弟は頑なだが、どこかで兄になついている。ウンリュウをレースに出すと発表した食卓で、「学、テツヲ、ウンリュウを頼んだぞ。」と言われて、テツヲと見交わした後、兄を見る弟の目の柔らかさ。認められたうれしさがこぼれる。兄は弟の方を一度も見ないけど、それでイイのだ。 晴子との結婚を弟が勧めるシーンでは、「お前、人のことに口出せる身分か? かかあに逃げられたくせによ!」と言われて、「そうだった。そうだった!!」と言って立ち去る、その2回目の声を高くする伊勢谷の言い方が、なぜだか楽しい。こうやって13年間のブランクを埋めていく…。論理で話し合うのではなく…。 【TAMAKIST】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-05-21 03:22:16) |
14.《ネタバレ》 失礼なことをいいますが、この監督は凡才だなあと思いました。それも真摯に映画と向き合って自分なりに映画作りの方式を作り上げるまでに至った努力する凡才。何もかもこぢんまりとまとまってはいるものの、特にこれといって目を惹く部分もなければ大きな欠点もない。天才的な煌めきがなく、良くも悪くも教科書通りの映画しか作れないのが凡人の限界なのかなあと。方式を用いて作られた映画なので随所で計算や作為的なものを感じてしまうのでしょう。佳作ではあっても傑作ではない。まさにこの映画がそれを体現しています。こういうタイプの映画もあるとは思いますが、好んでみたいとは思いませんでした。 【kirie】さん [地上波(邦画)] 6点(2010-01-28 14:42:56) |
13.この監督、映画を撮るのが上手いですね~ 演出、編集が正統派と言うか、安心して観ていられると言うか..とにかく上手いと思います..物語の方は、それほど劇的な展開はないものの、しみじみと人生を語りかける..といった感じの良作..大人の映画です... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-02-28 12:30:09) |
12.帰るところがあることを、素直に感謝出来るようになる作品です。 【なおてぃー】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-02-11 14:59:08) |
11.話がベタでもいいけど、これは設定から展開、演出にいたるまで妙にわざとらしさを感じてしまう。もともと淡々とした作りで眠気を誘うのに、人間ドラマとしてもゆるゆるではさらに眠い。同じシーンで光の加減が大幅に変わるシーンがあったりして、雑な印象も受けます。小泉今日子が従業員のおかみさん的な役どころで出ているが、個人的にはミスキャストにしか映らないです。これが東京国際映画祭4冠とは信じ難い。ちょっとおばかな感じの同級生が良い味で唯一評価出来る。 【MARK25】さん [DVD(邦画)] 3点(2007-07-31 21:54:33) |
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10.《ネタバレ》 展開は最後まで完全に予想通り。というか、誰でも始まって30分で予想がつく。でも、朝一列になって白い息を上げながら走る馬たち、橋、所々の映像がとても美しい。さらに、序盤でかなり腹立たしい主人公が、徐々に丸くなっていく姿は、ありきたりだけど、丁寧に撮られてて、良い。最後、ウンリュウ勝てーーって思ってた時点で、もう監督に負けてます。。借りるか迷いまくってたけど、借りて損は無いはず! 【マキーナ】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-07-22 21:33:39) |
9.《ネタバレ》 田舎を捨て都会で一旗上げようとした弟と、田舎で地道に馬の調教しつつ地味な生活をする兄。都会で失敗し田舎に舞い戻ってくる弟をさりげなく迎え入れ、馬を通して信頼感を復活させていくところは心が暖かくなりました。お母さんのシーンはせつなくなりましたが、早朝に体から湯気が出る馬とか思い出の橋のたもととか、綺麗な景色が映画によく反映してたと思いました(*^_^*) 【うさぎ大福】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-04-23 16:56:53) |
8.“職人監督が丁寧に撮った”という言葉がぴったりな作品です。役者も演出も撮影も派手さは無いけれど、手堅く、じわりと胸を打ちます。邦画バブルな現在、こういう良作がどんどん増えていくと嬉しいですね。 【キタシン】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-03-14 01:44:35) |
7.おそらく日本人の琴線に触れる要素がそろっているのだろう、評論家にも受けがいい。華麗な都会でなく陽のあたらない北の雪国、どこにもありそうな変哲もない一般庶民の家庭、家族のあいだの葛藤と愛情、せりふも木訥な北日本の方言。これが名古屋弁だったり関西弁や九州弁ではこうはゆかないだろう。また、話や演出やカメラワークに少しでもけれん味があっては客がひく。実に計算された映画だ。わたしは素直でないのか、計算がすけて見えるようで楽しめず、退屈するしかなかった。 【goro】さん [DVD(邦画)] 4点(2007-02-19 00:53:44) |
《改行表示》6.故郷を捨ててまで都会へと向かったものの、仕事の行き詰まりから挫折を味わい、やがて人生に絶望した挙句、追われるように舞い戻ってくる。その故郷の暗く凍てつくような環境は、都会となんら変わる事のない厳しい現実そのものであり、寒さが殊のほか身に凍みる。人生に失敗した者だけが味わう遣る瀬無さを、凍えるような土地柄に否応なく滲ませる。地方競馬が舞台である事により、その雑然とした殺風景な佇まいは、夕暮れに鈍く光る泥濘の寒々しさで増幅され、故郷の風当たりの厳しさを痛感する男の心象風景と重なり合う。この序段の描写が圧倒的に素晴らしい。ここ帯広にも不況の影は色濃く、ばんえい競馬存続そのものが困難な状況でありながら、必死で家業である厩舎経営を守ろうとする兄。しかし、彼とて目標が定まらず迷い続けている自分の人生を、思わず吐露するシーンは、誰しもが経験する焦燥感を言い表しつつ、奔放な生き方をしてきた弟を羨んでいる事をも感じさせる。弟を許せず辛く当たるのも、鬱積した気持ちの捌け口としての行為であり、単なる恨み辛みだけではないのである。一方、反撥しながらも兄に頼らざるを得ない肩身に狭さを感じている弟。そのあたりの心の揺らぎというものを、佐藤浩市と伊勢谷友介が共に抑揚のある見事な演技を披露する。そんな荒んだ心を癒してくれるのは旧知の友であり、仲間であり、暖かく包み込んでくれるのは故郷そのものである。そっと心の支えになってくれる人がいればこそ、生きる希望も湧いてくるというものだ。凝ったカメラワークもドラマチックな展開もなく、映画は彼らの何気ない日常を点描していく。そして、人生の機微に触れたしみじみとした味わいと、その情景描写のさり気なさは、いかにも土の匂いがする極めて日本的な風土から生み出されたものだと改めて実感できる。坂を懸命に駆け上がろうとする馬の姿は、いかにも絵になる本作を象徴するシーンだが、逆境をバネに、その力強さを自らの再生として夢を託すという意味では、同じようなテーマを扱いながら「シービスケット」とは趣が異なり、あくまでも人間のドラマに力点が置かれ、その表現力の泥臭ささは、どこまでも日本映画的だと言える。 【ドラえもん】さん [映画館(邦画)] 8点(2007-01-21 17:20:15) |
《改行表示》5.舞台設定以外には特に目新しい要素は無い。 ひたすら地味に物語が展開していく退屈な作品だったけど、 ウンリュウの仕草の愛らしさにやられてしまった。 ラストはちょっと感動してしまいましたよ。 どっかの国の首相じゃないけど、再チャレンジで美しい映画作りをした感じですな。 【もとや】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-01-09 00:49:01) |
《改行表示》4.「勝負は勝たなければ意味が無い」 「勝負は勝つことだけがすべてではない」 本当はどちらが正しいのか、僕には分からない。 でも、この映画と、「ばんえい競馬」は、その両方を物語る。 人生の中で挫折し、傷ついた心を、凍てつく北の大地と「ばんえい競馬」という厳しい世界で生きる人のあたたかさが包み込む。 「勝負」に敗れれば、人は立ち止まるしかない。でも、再び歩き出すことは出来る。 そういうことを、主人公は、重いそりを引き一歩一歩を踏みしめながら「勝利」を目指す輓馬(ばんば)の馬に対して感じ入ったのだと思う。 現実問題としては、赤字負債によりその存続が限りなく危ぶまれている「ばんえい競馬」。 なんとか北海道の文化遺産として存続させてほしいものである。 これまで知りもしなかったくせに、にわかじこみの情報のみでこういうことを言うのはあまり好きではないが、凍てつく空気の中、蒸気のような鼻息を大地に吹きつけながら馬場をいく巨大な馬の姿は、他にない高揚感と感動に溢れている。 スピードだけが重視されがちな現代社会において、この競馬の持つ付加価値というものは、尚更に大きくなっていくように思う。 主演の伊勢谷友介という俳優は、最初に出演映画を見た時(確か「ワンダフルライフ」)は、「なんだこの舌足らずなモデル上がりは」という印象だったが、今やすっかり日本の映画界に欠かせない俳優になったと思う。 舌足らずなのは変わらないが、それすらも彼の俳優としての味になってきた。 【鉄腕麗人】さん [DVD(邦画)] 7点(2006-12-09 16:25:18) |
3.《ネタバレ》 朝日をバックにした輓馬の調教、寒さに白き吐息や美しきシルエットなど詩情的なショットを超えて、この映画は骨太に感じる。都会で疲れた男が田舎で癒されるといった生易しい図式ではなく、真剣に勝負に生きる人間の剣の鋭さを突きつける。佐藤浩市の殴る蹴るの暴力、女性にも容赦のない暴力、山崎努が差し出す札束。“勝ち負けにこだわる無意味”の無意味を叩きつける。そして、そこで生きる人間にのみ真の“願い”が許される。佐藤浩市の神棚への力強き2拍手。ラストの雪球こそが伊勢谷の成長、到達点・・・もはやウンリュウのレース結果は彼には必要なかった。 【彦馬】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-06-05 13:02:19) |
2.もしこれが普通の競馬場を舞台にしていたら、これほど素晴らしい映画にならなかっただろう。なぜならサラブレットはそれ自体、すでに選ばれた存在だから。ここでは輓馬という力だけが自慢の、不恰好な馬たちによる必死な競馬を背景にしているからこそ、主人公と1頭の馬が再び立ち上がろうとするその気持ちを強く感じることができた。だれでも、何度でも、立ち上がることができる。最後のレースに訪れる静かな感動に、久々に映画館で涙した。 【ぽん太】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-05-24 22:58:24) |
1.《ネタバレ》 佐藤浩市かっこよかったなあ。年々父譲りの存在感が出てきて本当にいい男ななってきた。道産子の私にとって、どこか見慣れた懐かしい風景の中で、都会で挫折して田舎に戻ってきた弟を中心に展開していく話は地味ではあるが、力強く優しい。不恰好な道産子馬が自分の馬体重以上の錘を背負って坂を上っていくばんえい競馬という競技に、心に傷を持つ登場人物たちの想いが重なって感動が倍加していった。馬の息遣いまで聞こえてきそうな映像も迫力十分だった。こういう良心的な映画がグランプリという東京国際映画祭の懐の深さを感じる。 【くらけん】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-04-30 17:43:18) |