22.《ネタバレ》 ロードムービーはどちらかと言えば苦手なジャンルです。ここでの評価がよほど高くなければ見ることはありません。
結論から言えば、素直に最後まで飽きることなく見ることができました。
ロードムービーの良さというものを堪能できた気がします。
まず第一に風景。
そして第二に、一緒に旅をする仲間との連帯感。
第三に、旅の過程において変化・成長していく一人一人の心。
第四に、宿や食事、洗濯に歯磨き、買出しなどの、旅先ならではの生活感。
そういったものが、矢継ぎ早に次々と映し出されていくスピード感と心地よいリズムが、この作品にはあります。そう、1つ1つのシーンが短いのがこの作品の特徴ですね。長い長い旅なのに、スピード感があるので、最後まで一気に見れてしまうのです。
小粒なエピソードを、軽快なテンポで見せてくれるので、まさに一緒に旅をしているような感覚になります。
三兄弟の長男社長が、『俺は最後まで旅を続ける』と言ったとき、すごく共感するんです。観ている側も同じ気持ちになれるってのは、ロードムービーとして貴重。
ただ個人的にこの作品で残念な人物が、三兄弟の中で仕事をしていないダメ人間の次男。
飲んだくれ。頭が悪い。自制心がない。人に依存する。平気で嘘をつく。自己中心的。空気が読めない言動、行動。私は、こーゆー人間が一番嫌いなんです。
そんな人間でも、例えば劇中で他人の荷物を持ってあげるとか、心の変化が見られればまだ救いがあったのですが、一切ありません。
むしろ、後半になればなるほど、彼に対するいらいらは募るばかりです。
それに、これは自分の問題ですが、『宗教』『世界史』、本当に疎いのです。
おそらく夢の世界を含め、宗教や哲学的なメッセージが発信されているように感じるのですが、その真意が知識不足でつかめず、残念。
とは言え、誰が見ても楽しめるように作られている作品ではあります。
特に、メインの9人以外の登場人物を頻繁に絡ませる演出は素敵ですね。
これによって、9人の擬似家族の絆が、コントラスト効果によって、より色濃く鮮明に浮き上がる感覚が好きです。