《改行表示》86.《ネタバレ》 私は監督ピーター・バーグのファンなので、監督欄に彼の名を見つけたら迷わず見る。 ついに、こんな大作を任されたとは出世したものだバーグよ。けっこう金かかってるじゃん。 と期待に胸をふくらませ、いそいそと画面に向かうがバーグも最近のはやりに抗しきれず、一貫して揺れるカメラ大作戦になってしまっていた。目が、目が痛い。 明らかに「ブラックホークダウン」を意識した作品だが、一回りも二回りも小ぶりな仕上がりを見るとやはりリドリー・スコットは偉大な変態、変態だから偉大、彼に比べればピーター・バーグは良識の人、と言わざるを得ないかなあ…。資金面での差というだけでなく。 ただその精神は「ブラックホークダウン」を踏襲していると感じる。ピーター・バーグはバカではないので間違ってもアメリカ万歳では終わらなかった。 この架空のテロ事件については最初に国務省次官が言った「サウジにアメリカ人が居るのがテロの理由」というのが正解で、「これ以上捜査員を送り込まないで静観し、サウジ当局に任せる。」というのが大正解なのである。 それをFBIは上から下まで「仲間の報復」で一致団結し、裏の手段を使ってまでサウジに乗り込んでテロの首謀者を捕まえようと大暴れする。その過程で「ブラックホークダウン(拉致された仲間の救出のために更なる危険を冒すこと)」が発生し、無茶苦茶な市街戦の最中でもアメリカ人には一発の銃弾も当たらず、ついにFBI仲間ではなくてなんとサウジ人の警察官が死んでしまうのである。…アメリカ人はなんて自分勝手で要領が良いんでしょうか。 仲間の一人を助けるために、彼らはいったい何人の現地人を殺したでしょうか。ここから導かれる明解な論理は「アメリカ人一人の命はサウジ人一人の何倍もの価値がある」です。 というようなシビアな目線をピーター・バーグは失っておらず、テロの首謀者を殺した上FBI全員が生還したという作戦の成功を、大喜びするシーンは一切ない。 その代わりに、テロリストの孫のセリフで「テロは終わっていない」ということを示す。 …で、話は「サウジにアメリカ人が居るのがテロの理由」に戻るのであり、冒頭のラッシュにあったように「石油を分けて欲しいばっかりによその国にずかずか乗り込んで現地の有力者と癒着してきたアメリカという国のあり方」に戻るわけだ。すごく徒労感が残る映画だった。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-07-18 16:09:18) (良:5票) |
《改行表示》85.《ネタバレ》 なかなかの拾い物でした。いつまでたってもドイツ=悪者と同じ構図で中東=テロとして描き続けるのもどうかとは思いますが、歴史上それだけ大きな事件が何度か起きていますので仕方がないところでしょうか。(平和な市民には気の毒ですが) 結局動物は全て自分本位な生き物です。私は無神論者ですが、宗教というものは基本的に自分の心の中でのみ育て敬うものであるべきです。これをどんな形であっても他人に押し付けてはいけません。あくまで自身の心の支えとして宗教があるべきで、世界の人たちがこれを忠実に実践できればこの映画のような不幸で不毛な争いは起きないはずです。 全体的な緊張感や臨場感はなかなか凄かったです。特に序盤のテロシーンのリアル感は凄いです。ただ中盤のサスペンスパートが簡単に解決しすぎで、若干緊張感に欠けたシーンになってしまってます。【ネタバレ】終盤誰が死亡するか判らないギリギリの緊張感は素晴らしかったです。サウジの警官だけ死亡するのはご都合主義満載でしたが、しかしサウジが助かりアメリカが死亡してもそれはそれで偽善だとか色々叩かれそうで、難しい判断だったと思います。(エンタメ作品としては今作のラストでベターかとは思いますが、子供との握手は不愉快では?) 総じてこのテンポの良さと緊張感、誰が敵が見えない怖さはなかなかGOODです。メッセージ性があるようでない感じもライト層向きで、ラストの決めセリフも双方ともよくハマっていました。エンタメ&ちょっと社会派として見て損のない作品だと思います! 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 8点(2018-10-19 11:46:01) (良:1票) |
84.《ネタバレ》 結構楽しめましたが、ドキュメンタリー風な作りでリアリティを出しているので観ていて疲れました。サウジアラビアとアメリカの難しい関係がよく判りました。ラストシーンには、やられたらやり返すという終わりのない争いの虚しさを暗示させますが、人間とはこういうものなのだという諦めの境地も感じます。娯楽作というには、あまりにも後味の悪い映画でした。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-09-23 10:51:23) (良:1票) |
83.《ネタバレ》 最後のアクションシーンまで長いし、アクションシーンはアクションシーンでスーパーマン的で若干興ざめなのだが、こういう中東モノの映画は好きなジャンルなので、飽きずに最後まで観られた。全体的に小ぶりなイメージは払拭できず、似た系統のものとしては、「ブラックホーク・ダウン」の方が良くできていたと思う。「ワールド・オブ・ライズ」はもっとサスペンスよりだったが、あっちは「それぞれの立場」を描くことで新鮮味があった。最近、こういう分野のもので佳作が多いので、ちょっと競り負けている印象は否めない。 【枕流】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-08-10 00:23:18) (良:1票) |
82.《ネタバレ》 冒頭のテロからして、かなり衝撃的。これで俺の緊迫感指数はかなり急上昇。誰が味方なのか、いつ殺されてもおかしくない世界へたった4人で捜査に乗り込むFBIって設定からして、かなり不毛で、観てるこちらも、不安でしょーがなくなる。で、結構真実みのある描写をサラっと描きつつサスペンスタッチで映画はすすみ、クライマックスはその全てを吹き飛ばすくらいの娯楽アクション要素満載の緊迫した銃撃戦。深い問題を提示しつつ映画は終わる。みたいな感じ。しかし、にっちもさっちもいかないよーな場所で、淡々と目の前の仕事をこなす4人はすごいバイタリティーだな~って思った。俺も困難な仕事でもとりあえず目の前の事から、がんばろうって思った 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 10点(2009-02-21 03:17:00) (良:1票) |
【はりねずみ】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-11-30 15:19:09) (良:1票) |
《改行表示》80.《ネタバレ》 緊張感がラストまで途切れない。 素晴らしい映像美とハンディを適度に利用したカメラワーク。 そしてクールに感情を押し殺した演技をする出演者たち。 背景にアメリカの苦悩とテロへの憎しみと双方終わることない戦い模様が不気味にどす黒く感じられる良作。 ジェイミー・フォックスはいい役者になりましたね。 【ゆたさん】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-08-24 14:29:35) (良:1票) |
《改行表示》79.《ネタバレ》 死んだ仲間のためにと捜査を始め、現地の警察官を犠牲にして、テロリストを全員射殺。明らかにアメリカご都合主義の展開でありながら、ラストの一言でそれを引っくり返す。それまでのFBIの不死身っぷりはこのためだったのかもしれません。元は、FBIも含め全滅、という脚本だったそうで。こちらの方が物語としては納得のいく結末だったのかもしれませんが、あえてFBIを全員ほぼ無傷で帰還させたのは、こんなことしたって無意味であると訴えたかったのではないかと。自分はピーター・バーグという人をあまり知らないので、色々と解釈のしようがあります。 そういったメッセージを除いても、ジェイミー・フォックスやクリス・クーパーの演技は流石のもので、アシュラフ・バルフムは一番いい演技をしていましたし、マイケル・マン仕込み(?)の銃撃戦は大迫力で、見所はかなりありました。 最近の反戦映画の中では最もエンタテイメント性に優れた出来です。 【Sgt.Angel】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-08-05 12:51:28) (良:1票) |
78.《ネタバレ》 序盤のテロシーンの迫力に一気に惹き込まれた。二段攻撃は余りに衝撃的で、実際に真似されたらどうするのか?と思う程。そういえば自爆テロをハリウッドが真っ向から見つめた映画は始めてではないだろうか。ただ停まっているだけの車が恐怖なのである。そもそも悪いのは占領と取れる行為ばかりしているアメリカに決まっているので、どちらの味方でもなく観ていたのが本音である。アラブ人が脇役としていい味を出している。中盤までは良かったが、最後は何時ものアクション映画になってしまっている。あの自動車事故で全員ピンピンしておられたら緊迫感も糞も無い。 【まさサイトー】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-06-28 02:30:13) (良:1票) |
77.ラストに工夫を感じるも、所詮独善的な上から目線の物語。 【monteprince】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-05-27 19:07:04) (良:1票) |
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76.《ネタバレ》 FBI捜査官がサウジに降り立った瞬間から、僕は緊張の連続だった。まさに、服の下に爆弾を巻き付け、起爆装置は赤の他人が握っているかのような緊張感。街を歩くソーブを着た男達や少年、軍人、一緒に捜査を続ける大佐でさえ、全てが怪しく映る。捜査官を遠くから捉えた映像には、「これはスナイパーの視点か?」という疑心暗鬼。そんな状況を見事に作り出し、舞台をサウジにした脚本、演出、カメラワークに素直に拍手を送りたい。そして終盤の戦闘シーン。これはもう目が画面に釘付け。”ド迫力”とはこのこと。偽物のはずの銃声に恐怖すら覚えた。ただ、これだけでは佳作止まりの映画を、何が高評価へと引き上げるのか?要因として、「テロ」「宗教」「子供の兵士」「復讐」について考えさせられ、胸に残るやるせない余韻からだと気付く。歪曲された極端な信仰ってのは、時に悲劇だよなと・・・ 【マリモ125cc】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-04-11 10:14:14) (良:1票) |
75.《ネタバレ》 基本的に「マンハッタン無宿」「ブラニガン」「フレンチ・コネクション2」「ブラック・レイン」と続く、異文化交流熱血刑事アクションの系譜に位置する作品といえよう。しかし今の時代、敵がテロリストで舞台がサウジとなると、無茶やって喧嘩して事件解決して仲良くなってハッピーエンドとはいかないようだ。犯罪捜査を基本にしつつ、ポリティカル・サスペンスの要素を絡め、対テロ戦闘の火力をぶち込むという荒業をやってのけた脚本はお見事。サウジの暗部に切り込み、セリフ一つでテロ戦争の不毛を表現したあたりが「ダイ・ハード」やら何やらとは一味違うところだ。もちろん脚本に負けず劣らず演出もいい。ハイウェイを疾走する黒塗りのRVを追いかける流麗なカメラワーク。臨場感溢れるブレブレなハンディカメラ。怒涛のカーチェイスとアクション・シーンにはぞくぞくした。ハイウェイで襲撃されるシーンの滅茶苦茶な編集がもうたまらん。戦闘の恐怖、銃の恐怖、テロの恐怖をまさに体感できる。「こっちは安全ですよ~」、ボーン。大佐役のアシュラル・バルフムさんもいいですね。プロローグもおしゃれです。体感アクションと知的スリルの双方を味わえる秀作である。 【わいえす】さん [映画館(字幕)] 9点(2007-11-03 23:51:04) (良:1票) |
74.《ネタバレ》 後半の銃撃戦は圧巻。前半の捜索シーンは退屈。意図したものだろうが、カメラの手ぶれが大きくて、見づらかったのが残念。結局、何の解決にもなっていないのだが、現実をドーンと突きつけられた重みがあった。 【ジャッカルの目】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-11-01 23:26:52) (良:1票) |
73.しょっぱなから「マーシャル・ロー」のオープニングを何倍も凄くしたような感じで始まりウェズリー・スナイプスに似すぎなジェイミー・フォックスが登場して後半のヘルマン・ヨハ顔負けのカーチェイスあり、「ブラックホーク・ダウン」を凝縮したような感じのラスト20分ほどはアクション映画にはたまらん名シーンでした。でも全然FBI捜査官らしくなかったし女子供関係なしに殺しちゃう所はある意味問題作ですがテロの中では普通なんだなぁとしみじみ。ハリウッド映画らしくない映画にちょっと感動しました。 【M・R・サイケデリコン】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-11-01 18:12:35) (良:1票) |
72.「テロの世界」ツアーを大画面で体験、といった感じの映画。と言っても、悪い意味ではない。ここ10数年で、すっかり遠い国になってしまったイスラム諸国。危険でない国もあると分かっていても、余暇に出かける旅先としては敬遠する人が多いと思うし、私も近い将来に行く予定はない。つくづく戦争というのは、旅行の自由を奪うものだと思う。映画で垣間見えるイスラムの人々の生活が、私には興味深かった。銃撃シーンは文句なしの迫力。 【豆治】さん [映画館(字幕)] 6点(2007-10-27 23:16:50) (良:1票) |
71.《ネタバレ》 テロの首謀者を探しに行き、サウジ側から協力を得られないでいる中盤は少し中だるみがした。が、テロへの怒りやアメリカとサウジの関係を一気に観客に植え付ける冒頭は物語に入りやすく、激しい銃撃戦は映画の醍醐味を感じさせ、ラストでテロの本当の恐い部分を印象づけるひと言もよく作ってありました。10年後に同じテーマで映画を作ったらどうなるのかと、“今”を感じる映画でした。 【カワウソの聞耳】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-10-20 22:11:34) (良:1票) |
70.《ネタバレ》 どんな内容かもよく判らないままで見ましたが、切ない映画でした。娯楽アクション映画としてのケレン味を持ちつつ、石油で繋がったサウジアラビアとアメリカの微妙な関係が描かれ、そしてテロリスト殲滅のために政府や国の思惑を無視して動き出したFBIの動機が最後に語られ、それはテロリストと同次元での行動でしかなかったという虚しいオチ。劇中ではたったひと言だけ何気なく日本について語られていますが、それは我々もこの負の連鎖の中に既に組み込まれている事を重たく認識させます。ここに出てくるアメリカ人達は主役でありながら、不敬で、無遠慮な「人の畑を踏み荒らす」存在として描かれ、テロとの戦いを、正義と悪の二元論で片付けていいの?と疑問を投げかけてきます。メインタイトルで911をはっきりと描いた上で、なおそういう姿勢で映画を作る勇気。ただ、最近流行りのカメラ動かしまくりは、シネスコではあんまりやらないで欲しいです。大スクリーンじゃ目が回ります。アクションシーンでカメラ動き過ぎるとディティール判らなくなりますし。それにしても、出てくるなりセクシーポーズを決めまくり、ラップや音真似で暴走し、見終わった後の切ない余韻をブチ壊しまくったジェイミーの舞台挨拶は、だけど笑いました。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-10-13 14:26:01) (良:1票) |
【TERU】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2024-09-05 20:40:13) |
《改行表示》68.《ネタバレ》 “The Kingdom”『王国』。…なんだけど、自然界を三大区分(動物界、植物界、鉱物界)した『界』という意味があるんだと。 アメリカとイスラム。どっちが偉いとか、どっちが正しいとかでなく、お互いに交われない存在って意味なんだろうなぁ。 アメリカとサウジの関係を綺麗にまとめたオープニングが秀逸。情報量が多いから何度も見返したくなるけど、センス良い。 お気軽な戦闘アクション映画だと思っていたら、事件勃発がエゲツナイ。無抵抗で非武装の市民を標的にするなんて、観ていて気持ちの良いものではないわ。攻撃第2段もまたエゲツナく、被害の大きさ&観ている私の犯人への怒りがデカくて効果絶大。首謀者アブ・ハムザが安全なビルの屋上で一連の事件の経緯を孫に見せるのも、私達と彼らイスラムの住む世界の違いを感じさせる。 映画だから主人公側に感情移入するように創られているのは解るけど、イスラム側があまりに非常識な悪の世界として描かれている。 テロリストを撃ったハイサム軍曹は味方から拷問を受け、ファリス大佐はFBIの越権行為にも協力する。映画の流れからつい『イスラム教徒にもイイ奴いるんじゃん』って思ってしまう。いやいや、そもそも主人公たちの行動原理が“仲間のフランを殺された復習”で、『フランを殺した連中をぶっ殺す』っていう、個人的な恨みを晴らす戦いなんだよなぁ。 カメラワークは切り替えが激しく揺れも強めで苦手なタイプ。最初のテロの衝撃と地味だけど緊張感がある捜査。最後の銃撃戦から急にトトトンと達成フラグが立っていく。前半と後半で作品の色が結構変わる作品。 【K&K】さん [DVD(字幕)] 6点(2023-12-12 00:07:10) |
《改行表示》67.サウジとアメリカの微妙な関係や、サウジの王室の問題を描くようなリアルで社会派な映画かと思っていたら、割と普通なアクション映画でちょっと拍子抜けした。 個性的な面々の4人がドンパチやって、相手をバッタバッタとなぎ倒す。特攻野郎Aチームみたいな映画だった。 FBIの人間が揃いも揃って軍の特殊部隊ばりの戦闘力を持ってるし、四方八方を敵に囲まれ銃撃をくらっても全員無傷だったりと、んなアホなーと思ったが、要はアクション映画なわけだ。そう思えば全然オッケー。どうも最初に社会派映画なイメージがあったから、リアルな映画だと思ってしまったんだよな。気持ちを切り替えて見る必要あり。 メインで描こうとしていたのはサウジの警官と主人公の友情なのだろう。そのあたりの展開は悪くなかった。 しかし、この映画、最後の最後で強烈なカウンターパンチをかましてくれた。 事件は解決し、何だかいい感じで終わるのかと思いきや、憎しみの連鎖は続いていく、というある種のバッドエンド。なかなかこしゃくなことをしてくれる。 捕まえたかった真の犯人を自ら捕まえに行くのでなく、相手の方から来てくれたおかげで(しかもかなり偶然の結果)、倒すことができた、という展開はちょっとどうかと思った。 【椎名みかん】さん [インターネット(吹替)] 6点(2020-11-17 21:32:02) |