81. 丸木橋を渡る探検隊を揺すって谷底へ落とすイヤらしさ・辛うじて崖の窪みに難を逃れた一人を手を伸ばして捕まえようとする執拗さ・ヒロインと男がロープで脱出しているのに気づき、ロープを手繰り寄せる執念深さ・原住民の村を襲い、噛み付くわ足で踏み潰すわの狼藉し放題・就寝中の女性をヒロインと間違えて掴み上げ、人違いと気付くやポイとビルから投げ捨てる無情さ!もう、こんなに目の行き届くイヤらしいモンスターは他にいないと断言!等身大ならいざ知らず、アノ巨体にコノ注意力はもう反則。襲われたくないモンスターとして私の中では不動のベスト1に君臨しております。 「コング」全編中の白眉と言えば、誰もがあのエンパイアステートビルに於ける複葉機との戦いだとお思いでしょうが、私に言わせれば髑髏島での恐竜たちとの戦いに次ぐ戦いには遠く及びません。中でもT-REXとの死闘は屈指の名場面であり、個人的にはコレを凌ぐバトルにはその後お目にかかった例しがありません!公開から70年が過ぎようとしていますが、どうにも「コング」を越える作品には巡り会えそうにないですね。ウィリス・H・オブライエンよ、永遠なれ! 【へちょちょ】さん 10点(2002-12-17 01:47:49) (良:4票)(笑:1票) |
80.愛は盲目・・・コングさん、まったくフェイ・レイしか見えていない(笑)。よってレイ点。んなわけなくて満点です。ラストで傷ついた左胸に手をあてていたのは、きっとハートが痛んでいたのでしょうね。しかしこの時代にこれだけの特撮技術が完成しているとは・・・。プロジェクトX海外バージョンでも作って、是非取り上げてもらいたいな~、「その時オブライエンは・・・」「レイは毎日叫んだ」てなナレーションが聞こえてきそうです。てなことはさておき、コングのモーションはリアルに、エモーションはちらりと描いています。コング初登場シーンでの愛嬌ある表情は、見ている者にコングへの愛着を少しだけ許し、その後のならず者ぶりで突き放し、さらにその後の盲目ぶりで、文明社会の被害者のように見せかけて実はなりふり構わぬ色欲狂じゃないのか、と思わし、コングへの過度な感情移入を許さぬ構成が、名作として普遍性を獲得しておるのでしょうね。まさにキングな映画です。 【彦馬】さん 10点(2004-11-13 23:52:51) (良:3票)(笑:1票) |
79.《ネタバレ》 無駄のない構成に感服。まずスカル島に到着するまでの序章がテンポよい。ジャングル映画監督の特異な性格が示され、運よく不遇の美女タレントがスカウトされ、恋を知らなかった荒くれ船員が美女と恋に落ちる。次に原住民との遭遇⇒美女が原住民にさらわれる⇒コングが美女を連れ去る⇒美女奪回のため島の奥地へ⇒恐竜との遭遇⇒コングと恐竜達との壮絶バトル展開⇒美女奪還⇒コング捕獲と休む暇がない。ここで終わっても冒険物語は成立する。当時流行していたジャングルもの、南洋ものと呼ばれる小説や映画の多くがそうだった。本作は、このあとコングをニューヨークに連れていくことで名作となりえた。「コングを見世物にして金儲けする」という人間の欲望、これを描くのにニューヨークはぴったりの街である。自然との調和を忘れ、欲望に溺れ、堕落した人間達に、神の使いであるコングが天罰を加える。経済発展を謳歌していた米国で世界恐慌が発生した直後の制作で、コングは当時の人が無意識に持っていた罪意識の象徴として映ったのに違いない。これが現在にも通じることで、今でも色褪せない理由の一つがここにあると思う。美女を取り戻したコングは高層ビルの天辺に避難する。だがそこに安住の地はない。文明の利器である飛行機と機関銃が襲い掛かる。スカル島では怖いものなしだったコングもこれには勝てず、墜落死する。人間を襲った罪として、今度はコングが罰せられたのだ。欲望とそれを律する心のせめぎあいを見事に表現している。もう一つの主題は恋愛という不思議さ。いくらコングが美女を愛しても、その愛が報われることはない。コングは美女の守護者であると同時に永遠の失恋者。美女に恋しても相手は振り向いてもくれない経験を持つ男性は多い筈で、身につまされる。野獣のコング相手に感情移入できる所以だ。失恋男の哀れさが憐みを誘う。美女に惚れなければこのような悲劇は起きなかった。「飛行機ではない、美女が野獣を仕留めたのだ」の詞は的を得ている。副題の「the eighth wonder of the world」はコングであり、恋愛である。鑑賞後冒頭の諺がしみじみと想起された。「預言者曰く。見よ、野獣は美女の顔を見て、殺そうとして伸ばした腕を止めた。その日以来野獣は死んだも同然となった」野獣でさえもこうだ。どんな人間でも美を愛でる優しさ、人間らしさを持つ。コングよ安らかに眠れ! 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-07-01 01:27:53) (良:3票) |
《改行表示》78.《ネタバレ》 いや、嬉しい。まさかこんなに出来の良い猿映画に いや、モンスター映画に今さら出会ってしまうとは。 76のキングコングには特別な思い入れがあってアレだったのですが、そんなこと言ってる場合と違う。とにかくこちら 33のキングコングの出来はスゴイ! しかし、思うにニューヨーク 〝登るな危険!〟とか 〝ポイ捨て禁止〟とか〝飛び出すな 電車は急には止まれない〟だとか、まだあの時代にはそんな標語が出来て無かったんだろうね かと言って、例え街角にそんな標語が貼ってあったとしても それを読む読まないはコング次第。 きっとそんなの読んでる余裕って無かったでしょうね きっとあの時、彼って〝フェイ・レイ〟〝フェイレイ〟って必死のぱっちで フェイレイ病だったから。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2011-12-27 22:11:22) (良:3票) |
77.遠い昔に見た記憶があって、2つのリメイク映画のベースである、今更語るべき事もないような古典映画だよなぁ、と思ってましたが、あらら、これはウカツ。凄い凄い。リメイク2作それぞれのファンの方には申し訳ないのですが、一体この映画のどこをどう見てああいうリメイクをしたのさ?って訊いてみたくなるような世界。フェイ・レイがね、全編ずーっと光ってるんですよ。白黒映画だけども、そこだけ煌びやかな色彩を与えられてるが如く。彼女こそがこの世界の中心で、男という性をぶら下げた生き物総てを魅了し、遂には化け物すらも滅ぼしてしまう魔性の輝きなのですよ。サクサクっと船員と原住民と野性と文明をひっかきまわしてしまった彼女、きっとあの後は世界を支配してみせた事でしょう。ラストの有名なセリフだって、だからこそ活きてるのですしね。化け物に共感してイチャついてる程度の存在じゃないのよ、と。それにしてもカッコいい映画だこと! 特撮に確固たる表現スタイルがあって、ほれぼれするようなカッコ良さ。むかしむかしの技術だけれども、そこにクリエイターの魂が「どうだ!」とばかりに炸裂してるんですよね。最近の主流であるCGはCGで別にいいんだけど、技術よりもクリエイターの意地、こだわりの表現こそを見せて頂きたいものですね。技術は進化したけれど、表現力、映像のパワーは進化してるのかいなぁ?とこの映画を見てつくづく思ってしまいました。 【あにやん🌈】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-02-21 01:40:55) (良:3票) |
76.作品の中に垣間見れる残酷性が妙に記憶に残る映画。フェイ・レイと間違えて捕まえた女性を「コレじゃない」ってな具合にポイッと捨てるシーンは本当に怖い。コングにとって彼女以外の女性は全て障害物であり、ただの餌に過ぎないのだ。コングの自分勝手な恋愛感情により、多くの罪無き命が散っていくストーリー展開は、現代のどのパニック映画よりも不条理であり、同時にそれが純粋な恐怖へと直結している。本当の意味での怪獣映画と呼べるのは「ゴジラ」と本作だけなのかもしれない。 【終末婚】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-08-20 11:58:19) (良:3票) |
75.うちのおかんおとんの記念すべき初デート鑑賞作品である。ヤングおかんおとん両者はラストを見終えてホロリ。。ヤングおとんはこの時、泣かずにグッとがまんしているヤングおかんに惚れたらしい。がヤングおかんは、途中でコングにヒロインじゃないッ!とポーーーンと投げ飛ばされた女優の名前が気になって内容はあんまり頭に入ってなかったらしい・・そんなおとんとおかんの愛の結晶が私です。 【マミゴスチン】さん 8点(2004-10-15 23:50:27) (笑:3票) |
《改行表示》74.《ネタバレ》 元祖コング氏を知るために視聴。 見所はやはり特撮。髑髏島の門を開けたが最後、凡庸なドラマはスリル溢れる非現実に直下していく。これが戦前の映画とはまぁ信じられない。 ストップモーションアニメによるコング氏と恐竜達の怪獣バトルはとにかく熱い。特にヘビ的なヤツがコング氏の首を絞めてくるシーンは冷や汗モノ。自然と「コング氏頑張れ!」と応援しちゃいます。それにあまりにも自然な合成にもビックリ。マジでコングと人間が入り混じる世界を見ているかのようだ。 しかしまぁドラマは古典的だし、ヒロインはかなりアイコン的で叫んでばかりで深みは無い。 だけどコング氏のなんと名優っぷりだろう、どこまでもエゴの塊である人間に対する怒り、惚れた女に対する紳士っぷり、そして恐怖の対象としての仕事人っぷりどれをとっても完璧。 人を潰したり、人を咥えて投げたり、人を高所から落としたりと中々エグい事をするのもなかなかです。まぁ人間が悪いからしゃーない。あとお顔も表情豊かでちょっと目が可愛い所も嬉しい。対ゴジラのはなんだったのか。 そして最後の終わり方はなんとも悲しい。 人間のエゴによってジワジワと殺されて行くコング氏の悲しい目がたまりません。なんて事をするんだ! そんなこんなで今見ても凄い本作。コング氏の華々しいデビューは90年近く経った今でも素晴らしい輝きを放つ映画でした。 【えすえふ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-09 09:57:17) (良:2票) |
《改行表示》73.《ネタバレ》 わあー、凄いなこれ、とただそう思いました。制作に携わったスタッフへの、リスペクトに近い思いです。 映像技術の拙さはもちろん隠しようもない。80年も前の作品だもの。だけどそんなことはちっぽけに感じる。画質の粗さはむしろコングやセットの作り物感を払拭し、21世紀の今となっては発掘された昔の謎フィルムでも観ているような楽しさがあります。いつの間にか観てるこちらも秘境の島でコングvs大蛇の闘いをどきどきと覗き見ている気分になっていました。 すごいものを作ろう、びっくりさせよう、という制作魂の熱き思いが全編を貫いており、その熱量の高さに圧倒されるばかりの100分です。 後のリメイク版での、美女と心通わせるコングという設定を耳にしていたので、この初版のコングの凶暴ぶりには正直驚きました。ためらいなく人間を踏み潰し、投げ飛ばし、ケダモノそのもの。ワタシはもちろん33年版のモンスターのリアル性を支持します。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2015-05-05 00:50:46) (良:2票) |
《改行表示》72.《ネタバレ》 世界恐慌直後のアメリカ。 職にあぶれた人間でごった返す当時の情勢は、その後の第二次大戦の暗い影も見えてきそうだ。 冒頭こそ淡々としすぎる映像だが、島に入ってからその面白さは加速する。 怪しげな原住民の儀式、 巨大な砦、 そしてそこに君臨する巨獣キング・コング! ねんどや人形のコマ撮りで動かしているとは思えないほどの動きと迫力! コングに掴まれたり身ぐるみ剥がされたりで叫びまくる女優の演技もリアルで凄い。 子供の頃は「何でゴリラと恐竜が戦ってんだよ」と理解に苦しんでいたが、今見るとその細かい戦闘描写に見入ってしまう。 コングからヒロインを奪還すべく追う主人公たち、ヒロインを守るコング。 そして事もあろうに、何とコングは人間の手で島からニューヨークに連れていかれるのだ! 安易な思い込みが命取りとなる。 何と愚かな事だろう。 ヒロインを見つけて拘束具を安々と外し逃げ出すコング。 コングはヒロインに惚れてしまったのだ。 セルズニックの演出には常に「愛」が存在している。 後年の「レベッカ」、「風と共に去りぬ」、「白昼の決闘」、「第三の男」における三角関係・・・心が怪獣にはあった。 人間のような感情がコングにはあった。 人間と同じように、コングも赤い血の流れた生き物なのだ。 ただ、コングの純粋な恋心も、人間には恐ろしい化物が叫ぶようにしか見えないのだろう。 コングは戦った。たった一匹で勇敢に戦い、壮絶に散って行ったのだ。 コングの遺体の傍で、コングを捕らえた男が一言漏らす。 いつの時代も、一番の原因となった悪党が生き残るのが世の常だ。 本当に恐ろしいのは、こういう人間なのである。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-12-20 20:06:44) (良:2票) |
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71.《ネタバレ》 今までずっと見たかった映画ではあったが、リメイク版2作と東宝で作られた日本版2作を既に見ていることと、80年前の特撮がいかにも古臭そうな印象だったため、なかなか手が出ずにいたが、そんなことを考えるのがバカバカしくなるほど素晴らしい映画だった。登場するキングコングや恐竜たちはストップモーションでリアルに表現されていて、恐怖感もちゃんと出てて、もうそれだけで感動的だし、着ぐるみやCGによる特撮と違ってストップモーションによる特撮は見慣れていないが、トリック撮影初期の段階でここまでのものができていたとは。これが円谷英二監督などのちの特撮映画の製作者たちに与えた影響が大きいことは有名な話だが、実際に見てみてなるほどと思わされた。リメイク版は2作ともヒロインのアンが徐々にキングコングに惹かれていく展開があり、本作でもそうだろうなと思っていたのだが、それがなく、アンはキングコングに対してひたすら悲鳴をあげるのみというのがビックリした。だが、それがかえってリアルだ。ドラマ性を極力廃したシンプルな構成なのも良かったが、それでもアンを抱えてエンパイアステートビルに登ったキングコングが無残に殺されてしまうという結末はやはり初代である本作から既にどこか哀愁を帯びていて印象に残り、なにかやるせなさを感じさせる。そしてなによりもやはり当時はゼロに近い状態から始まったに違いない怪獣のリアルな表現という命題に果敢に挑戦しそれを見事にやってのけたスタッフたちはまさに賞賛されるべき偉業を成し遂げていて、きっと裏で大変な工夫と努力と苦労があったことは想像にかたくない。また、ここから今につながる怪獣映画の歴史が始まったのかと思うと感慨深いものもある。怪獣映画が大好きな自分にとっては10点以外はつけることができない。本当にもっと早く見ればよかったと見終わって素直に思ってしまった。 【イニシャルK】さん [DVD(字幕)] 10点(2013-11-12 14:10:02) (良:2票) |
70.現代の視点から純粋に鑑賞対象として観た場合、確かに古すぎる特撮技術などに見どころは無いのだけど、製作年度である1933年から横たわる80年という歳月を意識せざるを得ないパワーを放つ作品でした。1926年の「メトロポリス」にはそんな感慨は湧かなかったけど、この「コング」にはびっくりしました。オリジナルから40年後に製作されたジェシカ・ラング版「コング」も当時の最先端の技術を注ぎ込んだ作品でしたが、本作を観た後では1970年代の撮影技術のレベルの高低よりこの第一作の頑張りを証明するような印象に変わりました。そして、2度目のリメイクはこのオリジナルへのオマージュに満ちていたことを今更ながらに知った訳ですが、ピーター・ジャクソン監督が本作を尊重する気持ちが分りますね。ジャクソン版で印象的だったコングがTレックスをやっつけた後に下あごをもてあそぶ仕草が、すでに表現されています。この作品の凄いところは、コングや恐竜たちを動かしただけではなく、その動きを「らしく」演出するために膨大なエネルギーを注いでいるところだと思います。自分たちで表現のハードルを上げて、それをクリアーするために工夫と努力を繰り返した人たちの姿がフィルムの向こう側に見える気がしました。商業映画の黎明期に、その地盤を固めた作品だったのだと思います。で、なんだかレビューの本質とは離れますが、この点数は「敬意」です。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-12-01 00:58:13) (良:2票) |
《改行表示》69.映画「ゴジラ」のヒット以来、私の少年時代にはたくさんの怪獣映画が作られた。それらは最初のうちはおもしろく思えていたが、年を重ねるうちだんだん嫌になり敬遠していた。それはキング・コングについても同様で、テレビで最初見たときはあまり良い映画だとは思わなかった。そして一番気になったのは、コングがなぜエンパイヤ・ステートビルに登ったのかだった。逃げ場はないのに・・・。 今になって、追い詰められて高いビルの頂上に登ったのでないことがようやくわかった。島のジャングルではコングにとって危険な動物がたくさんいた。自分と自分の大切なもの(美女)を守るには地上では危ない。より安全な木の上に場所を求めた。それがNYではある高いビルの頂上だった。 この映画はやはり歴史的名画だと思うし、「美女と野獣」をも思い出せる。それは、コングが単に怪獣ではなく、心を持った動物だということだろう。白人優越主義や商業主義の米国の姿が見え隠れするが・・・。 【ESPERANZA】さん [地上波(字幕)] 6点(2011-08-12 12:38:06) (良:2票) |
68.《ネタバレ》 今から70年以上前に作られたとは思えないような特撮技術には感心する。でも内容はただのコマ撮りアニメーションの怪獣映画だった。怪獣映画や特撮系に興味が薄いためか、ヒロインが怪獣に狙われ、それをコングが助けるという繰り返しが長く感じて飽きてしまった。コングが怒りにまかせて村人を噛み殺し、踏み潰すシーンはコングの恐ろしさを感じさせていいけれど、アップの顔が面白すぎるのはどうにかならなかったのだろうか。最後のセリフは、無理矢理綺麗にまとめようとしてる感じでしらけてしまう。 【MARK25】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-07-22 20:28:15) (良:1票)(笑:1票) |
《改行表示》67.《ネタバレ》 キングコング、凄いです。恐いです。他を寄せ付けない圧倒的な強さ。倒したティラノサウルスの口をパクパクさせて死を確認するなど、行動の端々に表われる用心深さ、執拗さ。そしてアンの叫び声を聞けば、どこへでも飛んでやって来る美女に対する想い。ストーリーも良いです。執念深く追いかけて来たコングのエンパイア・ステート・ビルでの最期。島の王者も文明の利器にはかなわなかったのを、「飛行機ではなく、美女に殺されたんだ」と言うのも洒落ています。サービス精神も旺盛ですね。ティラノサウルスにステゴサウルス、アパトサウルス?(何故か肉食)、プテラノドン、大蛇?(手足付き)まで登場し見所満載です。髑髏島の造型も秀逸。白黒のぼやけた感じも手伝って遠方が良く見えないのが異世界の雰囲気を醸し出し、随所に見られる円形を取り入れた構図が素晴らしいです。さらに余計なシーンは全て省いてしまっているので、実にテンポが良いです。恐竜を含むモンスター映画の中でストーリーも含めれば、この作品が最高峰でしょう。映画館で観たいと思える作品です。 近々ピーター・ジャクソン監督のリメイク作が公開されますが、私はかなり期待しております。ですがそれと同時に裏切られる事も覚悟しております。名作のリメイクは難しいものですからね。 《追記》やはり残念ながら期待していたものとは違いました・・・。映画「キングコング」(1933)は文明にもけっして負けません。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-12-02 18:19:03) (良:2票) |
66.《ネタバレ》 キングコングの表情が怖い。あまりにも豊な表情を見せてくれるコングだが、悲しい表情、怒りの表情、どのような表情を見ても恐怖を感じる。ジュラシックパークのヴェロキラプトルだろうがハンニバル・レクター博士だろうが貞子だろうが今まで映画やテレビに出てくるようなキャラクターを見て怖いと思ったことは一切、ただの一度も無かったがこいつは怖い。怪物映画としてそう思わせられたことはそれだけで10点に値する。話自体もテンポよく風刺の効いたストーリー。センスが極めてよく、そして欠点が無い。1933年でこれは無いよなあ…それにしてもこの怖さは何だろう。何か潜在的なモノな気がする。母親に似てるとか…いや、キングコングの中に人間が投影できうるからこその怖さだろう。外部からやってきた何か強大な力によって拘束され、盲目に信じる物、愛する者を追い、都会の中で迷い、そして死んでいくキングコングの姿は、ある意味、理不尽な世界の中で迷い続ける人間の人生の縮図なのかもしれない。 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-11-17 05:12:19) (良:2票) |
65.《ネタバレ》 「美女が野獣を殺したのだ」この一言で物語の幕は閉じる。恐竜だらけの天国に住んでいたのに、美女に惚れて追いかけて捕まった挙句見世物にされてしまうコング。小学校一年生の頃に、「キングコング対ゴジラ」の元ネタだと親に教えられてみました。一発で虜になってしまいました。コングの躍動感はもちろん、銃で撃たれて突進してくるステゴサウルス、縄張りを荒らされて人間を噛み殺すアパトサウルス、蛇なのか首長竜なのか分からないマンダもどき、プテラノドン!皆キャラクターとして生き生きしており、格好良い。ラスト、セスナ機との戦いで傷つき、死の直前、ヒロインを見つめるコングの顔が今でも目に焼きついています。 【クラウン】さん 10点(2004-07-02 19:00:24) (良:2票) |
64.モンスターパニック好きや冒険映画好きにはかなりオススメ。俺、白黒で昔の映画やから絶対しょぼいと思ってたけど、やっぱ名作って時代を超える力があるんやね、これ、今観ても十分おもろい、ていうかおもろすぎ。今の映画にありがちな無駄なダラダラした展開なんてなく、最初はちょっと人形っぽいモンスター達も観てるうちに、ほんまに生きてるような感じに見えてくる。CGなんてなくても、こんなに迫力ある映画が作れてまうんやけど、ま、それも古典というノスタルジックな感覚がそう見せるのかもしれん。もし、今同じように作ったとしても多分おもろないから。古いからこそおもしろい、白黒やからこそ味がある、でもそーいう映画の中では飛びぬけておもしろいとは思う。ちなみにハリウッドにあるユニバーサルスタジオでは、トラムっていう乗物があるんやけど、それでキングコングに襲われる体験ができる。これが迫力あってなかなかおもろい。この映画は最近観たんやけど、なるほど、あの場面があのアトラクションなのかと後で知った。この映画観てから乗ったほうがもっとおもろかったかも。また行ってみたくなったわ。残念ながら日本のUSJにはないんねんなー。ぜひ作ってほしいっす。 【なにわ君】さん 10点(2004-04-17 15:10:07) (良:2票) |
63.怪獣たちとコングの死闘だけでも凄いのに、後半、NYの街のど真ん中で大暴れ。「今観ても」とかいうセリフは不要、ただ一言「スゴイです」。一体、公開当時の衝撃はどれ程であったか、想像もつきません。リメイクの方を先に観てたので、なぜキングコングがこれ程有名なのか不思議に思ってたのですが、この元祖を観たら、もう問答無用に疑問が解けた訳です。 【鱗歌】さん 9点(2003-10-13 10:22:03) (良:2票) |
62.《ネタバレ》 全怪獣映画のまさに始祖にして頂点、これが1930年代に撮られた映画だというのは信じ難いぐらいです。ストーリー自体はあまりにも有名で、南海の孤島に怪獣が生息していて文明社会にまで遠征して大暴れするというプロットは東宝特撮などの日本製怪獣映画の定番となりましたが、ハリウッド製怪獣映画には類似したパターンは他に見当たらない。そういう観点からは、もっとも本作の影響が顕著だったのは日本怪獣映画だったのかもしれません、円谷英二も『キングコング』を目標にして『ゴジラ』を撮ったと述懐していますからね。またストーリーの骨幹はまさに“美女と野獣”で、怪獣が人間と美女を張り合うという言ってみればアダルトなテーマは他の怪獣映画には見られない独特なものでもあります。これにはコングが巨大なゴリラという擬人化し易いキャラだということもあるのでしょう。エンパイア・ステート・ビルの天辺で戦闘機の銃撃に倒されるラスト、その転落間際の切なささえ感じてしまう表情には、どうしても自分を受け入れてくれなかったアン・ダローへの哀切な感情すら見てしまうのは、私だけでしょうか。 全長版というかカットされたシーンを復元したバージョンには、コングが髑髏島の住人を食べたりNYで女性を窓から地面に叩きつけて殺したりする残虐シーンがあるそうです。残酷すぎるということで当初カットされたそうですが、そういうコングの獣性が薄められた現在のバージョンの方が素直にコングに感情移入できていいんじゃないでしょうか。ピーター・ジャクソンは2005年のリメイクで、“残酷コング”ではなく谷底に落ちた船員たちが蟹蜘蛛なんかに喰われるオリジナルでカットされたシーンをきっちり再現しています。そして気が付いたのは、このピー・ジャク版コングにはオリジナルを忠実に再現しているカット割りが多々あることでした。円谷英二とは世代がかなり違うけど、ピー・ジャクもまた本作をこよなくリスペクトする映画人の一人なんですね。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2021-11-04 21:03:45) (良:1票) |