73.《ネタバレ》 一生のうちでひとつだけ思い出を選ぶ。自分なら何を選ぶか、ちょっと真剣に考えましたよ。好きな映画を一本だけ選ぶみたいで、とても難しい。ARATAが成仏したのは、現世で誰かと繋がっていた証を得たから。つまり本作が好ましいとする思い出とは、他者との絆の確認ということか。その考え方には素直に好感を持ちました。伊勢谷友介が伊勢谷クン役で出演していて(若い!)、その理屈に一石を投じているのが面白い。彼には良い思い出が無いという訳では無く、思い出にすがって成仏するシステムに対する反抗と受け取りました。懐古趣味的な受動態度への反発と言っても良く、その若者らしいスタンスは分かる。彼も半世紀ほど死者の相手をしてARATAとは違う答を見つけるのでしょう。その間、インストラクターとしての彼に担当される人は気の毒だけどね。ファンタジーは基本設定以外をリアルに作り込まないと曖昧な映画になってしまいますが、本作はその辺りがしっかり留意されていて、このジャンルとしては良質の見本だと思います。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-10-11 00:04:53) (良:1票) |
72.是枝監督の作品は観る人を選ぶというよりは、観るときの気分を選ぶような気がする。この映画も、レンタル店で何度か手に取ろうとしてはやめた作品だったが(私には人の生き死にについて考えることをやたら忌避してしまう時期がある)、今の私にはすっと入ってきた。静謐さのなかにほのかな温かみが滲んでおり、製作者側に人間そのものへの愛がないと作れない作品だろうと感じた。また、大学時代に専攻していた学問がきっかけで、人の「語り」に興味がある私にとっては、アドリブっぽい自分語りのシーンも興味深かった。俳優陣も見事に味のある人揃いで、特にARATAの透明感のある文学的な風貌が印象深い(年をとってちょっと寂びれた今の彼のほうが個人的には好きだが)。人生は誰にとっても物語なんだな、そんなことをしみじみ感じた日曜の昼下がり。退屈だが、悪くない時間だった。 【よーちー】さん [地上波(邦画)] 7点(2009-10-05 00:06:40) (良:1票) |
71.《ネタバレ》 ドキュメンタリー的な部分と、ドラマ部分(どうしても、劇映画としてまとめるために取ってつけた印象…)が噛みあわない気がするのは、これ以降の是枝監督作品と同様。けれど、この映画では「生前で一番の思い出を選んで下さい」と言うモチーフ、問いかけが、ドキュメンタリーのインタビュー形式とぴったり合っていて、自然に引き込まれました。是枝監督の作品では未だに一番好きな映画です。他者の思い出を再現する為にアレコレと工夫し、議論する「現場」の描写は、映画の撮影現場の暗喩を越えて「働く」ことや「暮らすこと」そのものにも思えます。「俺たち何の為にこんなこと~」ボヤく寺島進をはじめ、それぞれ内心で自問自答を繰り返す登場人物達が、みんな印象的でした。「胎児の頃の記憶が残っているケースもある」と言う雑談を聞いたあと、無愛想な小田エリカが風呂に潜る一連のシーンが好きです。選べなかった(見つからなかった?)大事な記憶を探そうとする姿に、つい感情移入…。ARATAの役職を引き継いだ、ラストでの小さな変化が、希望を感じさせます。(記憶、定かでないものを捉まえようとするモチーフには何故か弱いようで…)正直、クセが強い映画ですが、一度入り込めば、観るたびに映画の中の小ネタや自分の印象の変化を発見出来る面白さがあると思います。ARATAはじめ、役者陣も力みがなくて良かった。ざらついた建物の質感、空気が張りつめた冬の情景がキレイでした。静かで、不思議に明るい音楽もヨカッタです。 【i-loop】さん 8点(2004-09-18 02:29:50) (良:1票) |
70.柔らかな感動。この監督には無言のシーンで感動させられることが多いと思います。 【ヒロヒロ】さん 7点(2004-09-05 17:22:38) (良:1票) |
69.老婆とスタッフが面談をしているシーン、赤い服を着て踊っていた幼女時代の思い出を語ったお婆さんの所で、いきなり何の前触れもなく「ドドドドド」と感情が湧き出てきました。普通、感動する時と言えば少し前から「感動するぞ感動するぞ」というサインが頭の中で点灯していて、涙腺がちょっとウルウルなって、背筋にちょっと緊張感が走って、ジワジワジワジワと感情が高まっていくものなのですが、今回は突然何の予告もなく来ました。ビールの缶を開けたら実は炭酸が思いっきり振ってあって、いきなり発泡して慌てて「うひょー」と思ってしまうように、自分の中から溢れ出した感情をどう処理すればいいのかわからず、それよりまず第一に何故こんなシーンで感動してしまったのかわからず、ビデオを一時停止するくらい狼狽してしまいました。ホントこんな経験初めてです。「なんだったんだろう?」と振り返ってみるに、上手く言えないんですが、「生きた喜び」みたいなものをシンプルかつ素直に、真正面から表現していたからなんじゃないかな、と思います。観終わって、ぼーっとしながら考えてみると、映画全体を見てみても、ストーリーが秀逸、俳優も良く揃えてあり、映像も素敵、どれも素晴らしいものです。しかし、何よりこの映画の主役は「もし自分が死んだら・・・」ということを真剣に考えて、ちょっとテレながら思い出を語ってくれた素人の出演者の方々だと思います。彼らは、どんな俳優さんよりもリアルで、美しかったです。本当にいい映画を観たと、満足している次第です。 【fero】さん 9点(2003-12-02 14:48:36) (良:1票) |
68.《ネタバレ》 是枝裕和監督第2作目は死者の生前の思い出を動画にするというファンタジー・ドラマ。ありえねえ話を最もらしく描いているんだけど、終始暗くて入り込めなかった。主演のARATAくん、なんか見たことあると思ってたら井浦新かよ、映画観終わってから気づいたわ。若き伊勢谷くん、誰か分からんくらいに奇抜やな。映像特典「おもいでのたからもの」、エロオヤジが語る武勇伝…潜り抜けてきた修羅場の数々、肝心の映画よりもソッチの方が興味津々やな。再度申し訳ないんだけど駄作。 【獅子-平常心】さん [DVD(邦画)] 5点(2021-09-19 02:51:51) |
67.《ネタバレ》 最も幸せだった記憶とだけあの世に旅立てる。とっても心優しいファンタジー映画だと思ったのですが。しかし。我が身に振り返って考えてみると、やはり誰かと心を通じ合えた記憶にするだろうなと思うのだけれど、渡辺一朗氏のエピソードみたいにパートナーとすれ違いがあったらイヤだなあ。それなら飛行シーンにこだわった彼のように、独りの幸せの記憶を選んだ方が懸命かもね。とか、考えながらみていました。そしたら。最後の試写会はグループみんなでみるんじゃないですか。そんな究極のプライバシーを。これからあの世に行くにしても。いや、あの世にいってからもなんか気まずいじゃん。それなら、もう少しチョイスするエピソード考えたよ。(せこいよ、オレ)なんてね。1時間45分頃に、望月のしおりへの言葉、「だから 僕は消してここでのことを忘れたりしない」。このシステムの運営側としては、軽々に言ってはいけない事と思われ。ここでの事を忘れること前提で、別れを告げる方が誠実なのではないか。というわけで、優しさを装ったデリカシーのないファンタジーということで、ワタシの中では収まりました。でも、オレも誰かの幸せに参加していたいなあ。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 3点(2016-10-09 07:44:01) |
66.《ネタバレ》 ドキュメンタリー調の前半に、話に入り込めず、自分だったらどの想い出であの世に行くかなとぼ~っと考えてた。一つだけ選ぶいい思い出で、あの世に旅立つ、この世とあの世の際(きわ)の世界の話。しかし、それは一番大切なものを選ぶことでもある。親か恋人か子どもか自分か・・。選べない人も出てくる。それがこの会社の人たち。モラトリアムは次元を超えて、あるもんなんだね。・・にしても協賛にどこかの葬儀会社が入っているのかな?葬儀会社のCMにピッタシの題材。監督の、映画は夢工場ではあるけども、天国工場にもなりうるか?という問題意識を感じました。 【トント】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2016-07-31 23:27:09) |
65.是枝さんの映画はとても好きだけど、これはとてもつまらない。 |
64.《ネタバレ》 死後、人生最高の思い出とともに向こうの世界へ・・・という着想やアイディアは面白く、是枝監督らしい、味のあるヒューマンドラマを期待しましたが、ちょっと物足りませんでした。着眼点はファンタジーなのに、あれではただの再現ドラマしか生まれず、そんなもの見せられたって・・・と思うはず。内容にいまひとつ入り込めなかったため少し退屈でしたが、でも全体の雰囲気は悪くなく、この雰囲気が好きという人も多いと思います。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-02-17 13:55:28) |
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《改行表示》63.《ネタバレ》 死者が一番大切な思い出を選び、それを聞き取りしながら再現する映画をつくる。 死者はその思い出とともにあちらの世界で永遠の時を過ごす。 そこで働くスタッフは何らかの事情で思い出を選べずこちらに留まっている者たちだ。 自分だったらどの場面を選ぶだろう? そんなことをふと考えさせられる。 おもしろい素材だけど、もう少しエンタメ性があれば。 邦画の持つ嫌な面が出ているので、海外のスタッフでアレンジされたらと思わせる。 【飛鳥】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2014-04-25 22:48:06) |
《改行表示》62.海外で評価の高い(らしい)作品。 日本人の自分はあまりハマれなかったが、海外で評価される理由としては ・宗教観(死生観)の違い ・日本と違い老いのプラスイメージがある ・字幕だと演技の素人っぽさが伝わりづらい とかかなーと。 典型的な日本人の自分(笑)には、 死後の世界ねぇ… 年寄りばっかで美しくない… 演技が素人すぎる… と、3点ともマイナスに影響した。日本人向けではない作品?(笑) |
61.《ネタバレ》 天国の入り口で、人生の一番大事な場面を一つ選んで下さい、て聞かれるわけですよね。う~ん、何て難しい質問だろう。選んだ場面で、その人の人間性がよくわかりそうです。若い女の子はディズニーランドに行ったことを選ぶ子が多い。これ、よくわかる気がします。独特な空気が漂う映画でした。 【タケノコ】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-10-14 05:08:07) |
《改行表示》60.脚本自体が是枝監督なので、当然ご自分で撮られるだろうことは当たり前なのですが、ちょっと待ってください この題材、もう少し味付けして(例えば、ハリウッド的に)撮っていたなら もっと面白いものになっていたのでは? 正直、題材の良さのわりにまるで面白さがなかった もう少しエンターテイメント性が出せる別の違う監督が撮っていたなら なんて思ってみたりしました。名監督に対してあれこれ言ってしまって申し訳ないですが。 【3737】さん [インターネット(字幕)] 3点(2012-09-12 21:46:58) |
59.《ネタバレ》 うーん、あまりおもしろくなかったです。この映画を楽しむにはちょっと若すぎた気がします。たった一つの思い出の中で永遠を過ごさなければならないなんて…私にはホラーでしかなく、「いいな」と思えませんでした。また主人公たちの仕事についてもちょっと意味不明。ただの想起の手がかりなのに、わざわざ再現映画を撮らなくても!結果的に職員の癒しや発見になったかもしれないけど、システムとしては不要。“映画人”監督の自己陶酔なのでは…といじわるなことを思ってしまいます。さらに主人公含む三角関係の話も気に入りません。妻チョイスの思い出があれだなんて、夫婦の歩んだ年月は何だったのか…。とにかく、終始退屈な映画でした。すみません…。 【デルモゾールG軟膏】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2011-08-31 23:09:45) |
58.こんなファンタジックで幻想的な話で、何でこんな「ただカメラを回しただけ」みたいな撮り方をするのかね。根本的に合いませんでした。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2011-08-28 00:58:51) |
57.設定こそ奇抜だが、演出はリアルを極め、その象徴となった素人さんの起用は良い方向に転んだと思う。ただ、一昔前の邦画の悪いクセだと思うんだけど、ダラダラ感がかなりきつく、退屈。そもそも登場人物の想い出にそれほど興味を持てない。さらに、経費はどこから出ているのか?、など非常に野暮な事まで考えてしまった。ぶっ飛びコメディタッチなら気にならなかったんだろうけど…。何をどう楽しめばいいのかを、なかなか見つけ出せない映画だったな~。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2011-08-22 19:30:17) |
56.なんとなく言いたいこともわからなくはないけど、設定に無理があるのと、何より「舌滑」の悪い若手俳優が多すぎる。疲れました。 【たかちゃん】さん [ビデオ(邦画)] 3点(2010-06-11 06:26:50) |
55.豪華な俳優陣で、生死、今を大事にしなきゃと考えさせられるところがありました。面白いプロットの映画でした。 【HRM36】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-06-04 09:27:53) |
《改行表示》54.《ネタバレ》 こんな施設が本当にあって、こんな風に親身になって自分の一生を振り返る作業を手助けしてもらえるなら、孤独死も恐れることはない。再現ビデオまで撮影してもらって思い出した「生涯で一番の時」。その時の感情に包まれて「永遠」を過ごせるなら、死も怖くない。今、生きてある苦境もなんのその、だ。巷に流行る安直な「元気を貰った」発言よりずっと深いところから、人生を耐える力が湧いた。作者の人間への慈しみがうれしい。 その中で、この幸福を拒否する人物として「伊勢谷クン 21才 フリーター」が登場する。人生を振り返っても“どの場面を選べば良いのか分からない”のではなく、最初から「ボクは選びませんよ」という人物。とことんシステムに乗らないひねくれ者かと思ったが、どこを取っても辛いことしかなかった21年間だったらしい。“それはお前の考え方の問題だ”と説教するよりも、“そんなに辛かったの‥”と思わせられたのは、伊勢谷友介のキャラが大きい。 そんな人間はどうなるのかと言えば、「消滅」せずに施設の職員になる。実は職員「望月」はそんな「22才で戦死した海軍将校」だった。つまり望月は伊勢谷なのだ。フィリピンで戦死してこの施設に来て、「永遠に留まりたい時間が選べない」と言ったとしたら、これは秘やかな「15年戦争」への呪詛だろう。 その望月が留まりたい思い出を得て「消滅」し、伊勢谷クンが見習い職員になる。この世での21年間のどの瞬間を取り上げても辛いことがあった人間が、ここで様々な人の思い出再現に関わることで、辛いばかりでない時間を持つ…。こんな暖かい設定を作り出したこの映画は すばらしい! 【TAMAKIST】さん [地上波(邦画)] 10点(2010-06-03 21:25:24) |