79.《ネタバレ》 ダニー・ボイル作品にいい印象がなかったので、ハズレの疑いを持ちながらレンタルしたのですが、この作品は素直に良かったと感じました! ラストになるまで実話だとは全然知らずに観ていたので、ずっと作り話だと思いながら鑑賞していたのですが、作り話だと思っていても、あの切断シーンは身がよじれる強烈さでした。自分にとってはスプラッター映画なんて目じゃないグロさとリアリティで、これが実際にあったことと知った瞬間には呆然としてしまいました。他人に無理矢理ではなく、自分自身でやるのだからたまらなすぎる。宣伝キャッチにおいて「決断」なんて言葉が使われてるし、予測は出来ていたけど、そのうえ作り話とまで思っていたのに、決行に移した時は「マジかよ!」と思いました。自分ならきっとあれを出来る根性はなく、衰弱して死んでいく方を選ぶような気がします。この決断場面の凄さのために、誰にでもお勧めできる作品ではなくなってしまっているのは勿体なくもありますが、しっかり描いている姿勢に好感を持ちます。映画のインパクトについて、このシーンが何よりも強烈に刻まれてしまうのですが、映画の語るべきことが決してそこではなく、きちんとした人間ドラマと命が刻まれているので、良質なストーリーに仕上がっているなと感心します。軽快な音楽をバックに流れる飲料水のCM映像も力強い印象を残すし、主人公がビデオを巻き戻して初めて知る映像のエピソードや、反省の思いの中で「この岩はずっと自分を待っていたんだ」と語る心の声などがとても印象的でした。泳いだプールサイドに待つ親兄弟達の画面にはホロリとしました。幻影を見た時の子供の姿が、将来の自分の子供という希望の象徴だとは気づけず、そこがちょっとだけ残念でしたけど、とにかく力強くて良質な作品だと思います。「死ぬ気になれば何でもできる」とか、そういうセリフを本気で言ってもいいのは、この主人公のような人でしょう。 【だみお】さん [DVD(吹替)] 8点(2012-05-27 19:15:31) (良:3票) |
《改行表示》78.《ネタバレ》 映画を観終わり、映画館の外に出たとき、いつもと同じ風景が少し違って見えることがある。 歩く感触や呼吸の感覚までもが、映画を観る前と後では何か違うと感じる。 「映画を観る」ということは、人生における一つの“経験”であり、新たな経験を得たことで、自分自身の世界観に影響を及ぼす。 それが、良い映画を観れたことの最大の価値だと思う。 今日観た映画は、まさにその「価値」を与えてくれる作品だったと思う。 自身に対する少々過剰な自信から周囲の人間との関わりに執着してこなかった主人公。何もかもがウマくいくと信じて疑わなかった人生が一転、文字通りに奈落に落ち込んでいく。 突如としておとずれた人生の局面で、はじめて“自分”という人間を省みた主人公が辿り着いた心境。 この映画で描かれているものは、決して劇的なストーリーや人間模様ではない。 稀有な人生の局面に立たされた主人公に限らず、世界中のどの人間にとっても不可欠なことだったと思う。 人間として生きている自分自身の営みを客観視したとき、果たしてどれほどの人間が、その本質に揺らぎを覚えずにいられるか。 そういうことを、巧みな映画術でまっすぐに問いかけてくる。 題材自体はシンプルだ。冒険好きの男が絶体絶命の危機に陥り、奇蹟的に生還するという話だ。 重要なのは、その出来事自体に焦点を当てるのではなく、その危機の中で“生きる”人間の様々な感情を真っ正面から描き切っていることだ。 一つ間違えば極めて単調になってしまう映画世界を、監督は最高の映画術でつむぎ出し、主演俳優はその中で見事に息づいてみせた。 命を削り、大変な損失をして、「最悪」から抜け出した主人公が口にした言葉は、「Thank you…」という一言だった。 自分に巻き起こった全てのことが、自分に与えられるべき運命であったということを認め、ただひたすらに生き抜いた人間の脆さと強さに感動した。 【鉄腕麗人】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-09-04 22:48:40) (良:3票) |
77.《ネタバレ》 監督の技量や個性がよく出る映画、またはそういったモノを感じられる映画とはどういう映画だろうか。僕は「脚本が既に面白い映画」と「脚本がないような映画」かなぁと思う。誰が撮っても面白くなる映画なら、監督は自分の色を作品に入れたいだろうし、脚本が不利な映画なら監督は面白く演出しようと躍起になるハズ。いかにも素人発想だがこの場合、本作「127時間」は後者に当たるだろう。制約の多い実話物で、尚且つワンシチュエーションだから、監督にとっては技術とセンスを問われる難題に違いない。しかしダニー・ボイル監督はこの難題を巧くまとめ、力強いドラマを作り上げた。さすがアカデミー"個性派"監督。腕を切るという選択肢しかない中、それを実行に移す必然性の導き方は見事の一言だ。自分が窮地に立たされた経緯から、絶望の中で自分のこれまでの人生を静観し生への情熱を燃やし、生き残ったからこそ前へ!失ったからこそ得る!シンプルながら力強い、ポジティブな一作だ。また個人的には主人公に共感できたのも本作を楽しめた要因だろう。自分はよく一人で出掛ける方で、「単車にガソリン入れてくる。」と言い残してガソリン入れ、なんだか遠出したくなってそのまま装備無しで数日放浪することもある。映画ほど派手にやらかしはしないが、危険な目にも遭ったりするのでこの映画は僕(旅先で心細くなると確かに人生や家族や女のこと考えるんだよなぁ。)にとってはリアルで、気が気でない作品だった。以下余談ですが、僕は頭を怪我して赤黒い血がいっぱい出たのを見て以来、血が苦手で見ると気分が悪くなります。映画の流血とかは大丈夫なのですがリアル志向のヤツとかは苦手です。そういうシーンのときは、なるべく見ないように目をそらします。しかし今回は、行き先も言わずに一人旅をする僕なので「他人事じゃねぇぜ!しっかり見届けるんだ!」と腕切シーンを凝視。そして切断を見届けてホッとした瞬間、目の前が真っ暗になってそのまま数分気絶しました。ホントに。マジで。気づいたらアーロンがヘリで運ばれてたのでホントに数分と思いますが。結局は足元フラフラ、汗ダラダラながらも映画館から無事「生還」出来ました。失神モノの映画体験です。最近の3Dより刺激的でした。 【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-06-26 23:14:14) (良:3票) |
76.凄まじかったです。大自然の壮大なカット、ハンディカム、ドキュメンタリータッチ、コマーシャリズム……ダニーボイルはあらゆる映像表現を用いて主人公の葛藤を描きだしてゆく。オープニングのシークエンスが完璧にエンディングに繋がるというカタルシスも抜群。劇場を出たとき、自分の吸い込む空気の味が少しだけ変わっていた。こんな経験は年間何度もできるものではない。9点。 【j-hitch】さん [映画館(字幕)] 9点(2012-07-21 03:10:21) (良:2票) |
75.《ネタバレ》 私自身は決して一人であんな峡谷へは行かないと思うので、その意味で主人公の行動には最初から感情移入しにくかったが、「腕だけが岩に挟まれ動けなくなる」という特異なシチュエーションに惹かれ鑑賞。アーロンはアウトドアのベテランらしく、はじめは冷静に様々な脱出策を試みるが、それがほぼ不可能と悟るや次第にこの岩場に至る自分の人生を振り返り始める。そして最後は「この岩は隕石の時から俺の上に落ちてくるのを待っていたんだ」と、親不孝や、恋人へのわがままな態度、そして行き先を告げずに峡谷に出かける無用心さなどが招いた因果応報をいやというほど思い知ることになる。こうした主人公の内省プロセスは観ている者自身の生き方も省みさせるだけの効果があった。こういった題材を単調にせずに商業映画として完成させるには、シナリオやカット割、撮影の順番などが大変難しいと思うが(俳優の衰弱具合を時系列にしなければならない)、ビデオカメラを上手に使ったり、ウォーターボトルなどを容器の側から撮るところなど、いろいろ工夫されていた。またあえて他の場所にシーン転換せず、ひたすら岩場と回想・幻想のみに場面を限定したことで、観客もアーロンと共に最後まで岩場から動けない状態にさせることに成功している。人は誰しも窮地に立たされた時に初めて本当に大切な物事や普段の生活のありがたさを思い知るわけだが、本作のような映画はそのような疑似体験ができる意味で非常に有意義であると思う。 【田吾作】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-03-03 18:26:43) (良:2票) |
74.《ネタバレ》 主人公があの場を去る際に、一瞬振り返って「thank you」という言葉を口にする。そこに残した身体の一部に対して言ったようにも聞こえるが、私はその数日間に起こった出来事すべてに対しての感慨だと感じました。卒業式を終えて校門を出る際に、校舎を振り返って覚える感慨に似ている。実話がベースになっているようですが、自分の腕を切り離した直後に本当に「thank you」と言えたのかどうかは分かりません。でも、その気持ちは分かる。彼が過ごした葛藤の時間があまりに濃密だから。死の恐怖に直面しながら自己との対話を続けることで明らかになる自分自身。彼の人生の中で、最も切迫して、最も正直に、最も真摯に自身と向き合った時間だったと思います。だから、あの脱出は単純な生還とは違った意味を持つ。ひとつの出来事が価値観や人生観を変える。その究極版が本作だと思います。身動きできない状況の描写の中で、手を変え品を変えて演出される主人公の心象描写が素晴らしい。ダニー・ボイルさん、見直しましたね。私の中では彼の最高作です。でも、本作が私の人生の益になったかと訊かれるとちょっと違う。徹底した一人称視点のストーリーには痛みや渇きを感じるほどに共感するが、仮に自分があの状況に陥ったら違う感慨を持つと思うから。また、あの事故が結果的に彼を良い方向へ導いたとしても、自分で経験したいとはこれっぽっちも思わないから。私だったらどのように決断するかも考えたくない。考えるだけで痛い。そういう意味で、実はSF映画ほど距離のある映画。その距離感と感情移入のギャップが異彩を放つ作品でした。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-07-12 21:37:25) (良:2票) |
73.《ネタバレ》 現実味も何も、実際にあった出来事な訳で、アーロンもジェームス・フランコにあの「ビデオ」を見せたそうで、とてもあの状況への思いが伝わってくる演技でした。最後どうなるのか分かっていても90分見ることができるのは、そういったアーロン本人の精神状態をジェームス・フランコが伝えてくれるからこそだと思います。オープニングでいろいろなものをもっていきますが、「もっときちんと準備しろよ」って思いますが私たちは普段暮らしている中で、わざわざ重装備をして(もちろん岩に腕を挟まれることを予想して)遊びにいったりしないですよね。そういったことをしっかりと印象づける前半と、腕を挟まれてから、今までの当たり前の出来事が(そして未来が)どんなに幸せに感じることなのかを印象づける後半とがとても、うまくマッチしている。「スパイダーマン」とは違い深みのある演技を見せてくれた、ジェームス・フランコに+1点です。 【蝉丸】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2012-02-26 10:44:55) (良:1票) |
72.《ネタバレ》 「自然は人間には無関心だ」(池澤夏樹の著書より)ダニーボイル監督作品は面白いね。観ていて「イントゥ・ザ・ワイルド」を思い出した。調子に乗って、自然の中に飛び込むと、こんな事があるんですよ。この後も懲りずに自然の中に飛び込んでいくのがバカな人だったってことですね。「バカは死ななきゃ治らない」 【トント】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-01-07 23:55:59) (良:1票) |
71.《ネタバレ》 一人の男が岩の隙間に挟まれるという内容で、どうやって間を持たせるのかが気になっていたのですが、過去の思い出と妄想、夢で大半を占めるという構成になってましたね。サバイバル術みたいなものを期待していたのですが、いい意味で裏切られました。岩に手を挟まれ、食べ物や水もなくなり、このままでは絶命してしまうという状況。ダニー・ボイル監督のこれまでの作品を振り返ってみると、けっこう残酷描写が多かったりしていたので、「あぁ、これはつまりそういうことか、、、」と最初の段階で察しがつきました。それでもやはり、例のシーンでは思わず目を細めてしまいましたね。自分だったら、腕を切る勇気があるかな~なんて思いながらも、主人公の境遇や行動にはどれも共感するものがありました。ただ一点、主人公が無事に腕とおさらばした時に、現場の状況をカメラで撮影するシーンがありますよね。「うわ~、そんなことするん。自分だったらやらんわ~」ってその時は思ったんですけど、あれはやっぱり、凄く象徴的な行いだと思うんですよね。要するに、彼は自分の家族とか、あるいはガールフレンドに対して、自分の思いを率直に伝えるということが出来ていなかった。それがフラッシュバックで明かされているけれど、そういう風に本心から逃げていた自分を悔いて、初めて自分と正面から向き合った。それがあの行動なんだと思います。「なにかを得る為には、なにかを失わなければならない」という言葉がありますが、彼は自分の腕を失った代わりに、ものすごく大きいものを得たんだろうと思います。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-01-07 15:38:08) (良:1票) |
70.《ネタバレ》 内容は期待というより予想通りに進んでいきます。あとは切断までの葛藤をどう描写するかなんだけど、そこは足りなかったような。生還後のエピソードも抽象的すぎる。個人的には「運命を分けたザイル」の方がキツイなあと思った。 【noji】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-11-27 09:15:09) (良:1票) |
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《改行表示》69.《ネタバレ》 「生きるための究極の決断」って言ってるわりに、「生きる」と「決断」の間の結びつきがあまりしっかり描かれていない、というのが致命傷だなと思った。 ■軽いノリの主人公が腕を挟まれて動けなくなり、要するに切り落とすしかなくなる、という話。最初の方を見て「SAWと同じじゃない?」と思ってしまうともうどうしようもなくなる。あっちはスプラッターの要素が最初から予想されてるからいいが、この映画でそのノリでやられるとさすがに困る。 ■「これまでの人生の振り返りと後悔」の部分はカットがごちゃごちゃしていてあまり全体的なつながりや重みをもって響いてこない。何に後悔したのか、そこまで生き抜きたいのは何なのか、そういう部分が早落としの映像のつなぎでは見えてこない。 ■そして「決断」。最初からこの方法しかないのは明白なのだから「切らなきゃいけないが、でも出来ない」から「でもやるしかない」への心理の転換がポイントのはず。けど、そこの部分の描き出しは明らかに成功していないと思う。延々居続けて、ふと思ったかのように腕を切って逃げ出す、正直そう要約されても仕方ないような展開。残念 【θ】さん [映画館(字幕)] 5点(2011-11-27 01:46:07) (良:1票) |
68.《ネタバレ》 この作品は彼のみの、主観的な物語で構成されているがゆえ、感情移入がとても容易にできる作りになっている。絶対的な主観の人生に閉じ込めらている観客自身が、彼になりきった気分で、まさに岩に右腕挟まれた感覚で、物語の成り行きに身をゆだね、没頭することができる。カタルシスは絶対的な孤独の中で、人生をどう取り戻すか。そういった意味では、「キャストアウェイ」が内容的には近く、心情を吐露する対象が物語を発展させる上で必要不可欠で、キャストアウェイではボールだったのが、この作品ではビデオカメラの液晶に移る自分自身になっている。比喩的にも物理的にも、自分自身と自分自身について語り合うという構造が見事に描かれていて、とても面白い。自らの欠点を見つめ、自らの人生の反省点と改善点を、絶望的な状況下で自分自身と語り合い、見つめなおす。そして、自分がすべきだったことを液晶の自分自身に向けて語る。彼に与えられた選択肢は3つ。ただただ一日でも長く生き延び救助を待つ、岩を崩して脱出する、そして腕を切り取り、生き延びる。結局、最後の決断以外、死の予感しかしない。選ばざる終えない究極の決断にいたるプロセスは、「生きる」への熱意、希望が最高潮に達するまでを、様々な手法で描いている。人は喪失の予感を目の前にしないと、変われない。彼もそうであったに違いない。振り向き様に写真を撮った彼の最後の言葉は、つまり127時間の己との対話を設けてくれた自然への感謝の言葉だったと思う。最後に、できればもう少し死への恐怖心、緊張感を感じさせてもらえたら、脱出の時の死からの開放のカタルシスがもっと感じられたのではないだろうか。観客自身も己の人生を見つめなおすきっかけに成りえる作品の一歩、二歩手間で止まってしまっているような感じ。 【ボビー】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-07-17 20:09:59) (良:1票) |
《改行表示》67.シーンもほとんど変わらず、役者も出てこない映画なのに、最初から最後まで飽きさせない映画を作り上げたダニーボイルはさすがである。 途中、ザ・ビーチを彷彿させる、独特の世界観は好みの分かれるところだとは思うが、主人公が少し間が抜けていて、お気楽な性格がシリアスな映画でもそこまで暗くさせず、希望を持ってみることが出来る。 ノンフィクションなので、ほとんどの人は結末を知っているであろうが、十分に楽しめる映画である。 【シネマファン55号】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-07-13 15:43:25) (良:1票) |
《改行表示》66.《ネタバレ》 素晴らしい。 2011年7月8日時点で2011年度観賞作品中、ダントツのNo.1。 結末が判っている作品にこれほど迄に感動し、同時に打ちのめされるとは。 私も主人公と同様、誰にも行き先を告げずふらりとオートバイで出掛けるのが好きだ。 「一人旅は気楽だ」などと思いつつ、実際は旅先で寂しくなって意味も無く妻にメール してしまったりもする。 母親からの電話に出なきゃと思いつつ、忙しい事を理由にわざと電話に出ない事も有る。 なので、私はジェームズ・フランコの様にカッコ良くは無いが、上映開始早々の幾つかの描写だけで主人公への感情移入はかって無い程のものだった。 大部分が主人公の独り芝居だけの構成ながら、最後まで中だるみさせず作品を描き切ったダニー・ボイル監督の手腕は流石。 この監督、やっぱり潤沢に予算のある大作よりも、本作の様なある程度良い意味で小粒な作品の方が性に有っている様だ。 そして何より、主人公を演じたジェームズ・フランコの上手い事! クライマックスの例のシーンだけ妙に話題になっている様だが、彼の演技無くしてあの描写は有りえない。 並の役者なら単なる悪趣味な映像になってしまうところだっただろう。 私は映画観賞という行為は、自分の日常を意図的にリセットする「前向きな現実逃避」であると思っている。 今までも多くの作品・多くの演技に沢山の活力を与えてもらったが、本作で得られた活力はまた格別だった。 ありがとう!! (余談:サムサッカー・サムさん、私のレビューは貴殿レビューの盗作ではありません。投稿し終えて一通り他の方のレビューを読み、偶然ながら同じ様なレビューであった事を知り本当に驚きました。 同じ様な共感を得ている方が居て私は素直に嬉しいです!) 【たくわん】さん [映画館(字幕)] 10点(2011-07-08 21:52:30) (良:1票) |
65.想像するだけでキンタマがキュ~となるシュチエーションですね。主人公がバカだけどとてもイイヤツなので感情移入して見れました。一人でヘーキだも~んという主人公の慢心(?)から起こった事故だけど、たった一人の人間の生き抜く強さも教えてもらった気がします。 【ゆうろう】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-07-03 11:19:37) (良:1票) |
64.《ネタバレ》 映画の出だしが、都会の雑踏を早回し+訳の分からないスプリットスクリーンの映像から始まり、「ダニー・ボイルもオシャレ映画監督になっちゃったのか~」と思っていたのですが、これがキチンと伏線になっていて、ラストにはそれに驚きかつ、胸を打たれてしまいました。映画の内容は至極単純。所謂一昔に流行ったワンシチュエーション・スリラーってやつですね。ただそれでも十分に面白かった!主人公は最終的にあの行動に出るのですが、そこまでの過程、つまり彼がどの様な人間であり、どの様に試行錯誤したのかが、綿密に描かれているので、遂にあの行動をした時に非常に大きなカタルシスを感じられました。あの腕は彼が言っていた通り、それまでの自分一人で生きていけると思っていた彼自身だったのでしょう。だから彼は最後にあの腕を写真に収めた。それと贖罪的に決別した時に彼の人生は始まり、変わったのでしょう。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-06-25 23:24:25) (良:1票) |
《改行表示》63.《ネタバレ》 岩に腕を挟まれて身動き取れなくなったある若者の127時間。その間、彼は何を考え、何をしたか? まず良かったところから。主役のアーロンの人物造形がとてもリアルだ。隣に住んでそうだ。イケメンでいい奴なのだがちょっと変わっていてアウトドアがやたら好き。ウィークデーはアウトドア用品店でバイト。週末は車に自転車を積んでアウトドア三昧。何度も来てるブルー・ジョン・キャニオンなんてマジで俺の庭だから的なノリの軽さ(悪い意味ではない)。道に迷ってる女の子には声をかけちゃうし、ヒーロー気取りで秘密スポットも教えちゃう。この親しみやすさ(キャラクターの汎用性)が後半のドラマを盛り上げる。 あとは音楽の使い方がよい。この映画では、ぶっちゃけて言えばほとんどの時間を主人公アーロンは腕を岩に挟まれているわけだから、ジェームズ・フランコの一人芝居が延々と続くことになる。いくらアカデミー賞にノミネートされるほどの演技力と言っても、それだけで90分はさすがにキツい。だから音楽とか回想シーンの使い方が重要になってくる。回想のリアルさ(要は自分の選択に関する後悔の連続)もさもありなんという印象で面白かったが、それを盛り上げる音楽の選曲がとてもよかった。しっくり来ていた。 一方、減点要素。どうしても、取り扱ったテーマ上、どうしても退屈な部分が残ってしまう点。僕が結末を知っていて、「何だかんだやってても結局は○○しちゃうんでしょう!?早く○○しちゃえ!」と思いながら観てしまったせいもあるかもしれない。この映画を観る人はできるだけ事前に情報を仕入れずに行くことをオススメする。結末だけが面白いわけではないが、結末については何も知らずに観てほしい作品だ。 あとは、主人公の窶れぶりがイマイチ物足りない。確かに目の下の隈とか顔色の蒼白さとかはある。しかし、もっと目やにが出るだろうし、口の周りには干からびて白くなった唾液がついているはずだし、口内の水分も少なくなってもっと呂律も回らないはずだ。5日間くらい風呂に入らずに埃っぽい野外にいたら、もっともっと不潔にはなっているんじゃないか。細かい部分だがちょっと考証が甘いかな。 総合するとほんとは6点くらいなのかもしれないが、この映画のポジティブなメッセージには共感できるので少し甘めの7点。ビデオを前にしての一人ライブシーンはよかった!そのユーモア力に拍手!! 【枕流】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-19 17:51:53) (良:1票) |
《改行表示》62.《ネタバレ》 そもそも山で遭難して、一人ぼっちで・・・っていう内容なので映画にするには、ドラマ性が極めて薄い題材。世界まる見えとかの1コーナーで、ノンフィクションとして 盛り上がるには良い題材だろうけど。 それをこんなスタイリッシュな映像と、効果的な音響、あれやこれやと技巧をつくして 退屈させないような一本の上質な映画として仕上げたダニー・ボイルさんは流石。 オープニングから、タイトル「127時間」が出るまでのカッコ良さは筆舌に尽くし難い。 それでも、前半はイマイチ面白くないなー、と感じてしまった。妄想や回想にフラフラ切り替わる手法はあまり好きではなく・・・。 しかし、あのクライマックスは凄まじかった。 痛い痛い痛い!!! 数々のホラー、スプラッタで人体が破壊されていくのを観てきたが、ここまで目を覆いたくなるような事は稀。 終わるころにはグッタリ・・・。 人間の手足って、もっと簡単に取り外しできればいいのにね!! 【すべから】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-06-19 15:00:34) (笑:1票) |
《改行表示》61.《ネタバレ》 うおおお、痛い。短めの上映時間ですが、痛描写がきつくて充分長く感じてしまった。 突然「死」を突き付けられたら、人は何を思うのか。脳内映像ならいろんな形で描写してきたダニー・ボイルの真骨頂ともいえる、主人公の走馬灯。その走馬灯巡りに付き合わされる1時間半です。 痛みと絶望のためか記憶は幻想のようでもあり、そんな中でもわずかな正気でここに至るまでの人生を反省したり。 辛くて痛くて気が気でない鑑賞モードだったですが、これが実話と知らずにいたので救助が来るのだろうと思っていたんです。ですから、あの極限の場面に至った時のわたしの驚愕をご想像ください。各国の上映会で失神者が出たというのもむべなるかな。 一人の登山家の強靭な精神ドキュメンタリー的な本作。極めて制約のキツイ撮影条件下でダレることなく見せきった監督も天晴れなら、迫真の演技で肉体の痛みと意志の尊さを伝えたJ・フランコも素晴らしいです。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-06-04 23:12:29) |
《改行表示》60.《ネタバレ》 127時間…後に助かったんだな。実話ベースだそう。 アーロンは、なんか家の古いルンバ君みたいだ。 通常なら自分たちが外出中、家の中を自由に動き回り、疲れたら充電器に戻ってくる。 時々、頼んでもいない風呂場を見に行って廊下を水浸しにしたり、玄関マットを食べて力尽きていたりする。 一人で岩場に行って自由を満喫するアーロンだが、その手には常にビデオカメラがあり、自撮りをしている。 やはり、帰ってからそれを見る(誰かに見せる)為に撮っているんだろう。結局他人と関わらなければ生きていけない。 岩に挟まったアーロンは人間社会から孤立してしまうが、彼の孤独な生き方がテーマになっている。 考え事で別れた元カノのことが多く出てくる。別れた理由も束縛感とか自由が減ったとか、自分勝手な理由だったんだろう。 毎日決まった時間に上空を飛ぶ一羽のカラスを見て、孤独を紛らわせるアーロン。 でも最後、実はそのカラスはツガイだった。 当たり前だけど、独りだけで生きていけないのは、人間だけじゃなかった。 痛いからもう見ない。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-04-16 00:34:13) |