407.「戦争ってこんなに悲惨ですよ」という事を伝えたいのは分かるし、そう言う意味では充分悲惨さは伝わっている。しかし、節子を殺したのは、清太の「今は戦争という非常事態である」という状況を弁えない身勝手な行動によるものだという事を忘れてはならないだろう。軍事教練にも参加せず遊びほうけ、当時の厳しい状況下で出来る限りの保護と援助をしてくれる叔母の家を些細な不満から飛び出し、自分達が被害者なのだからと、当たり前のように火事場泥棒を働く清太は、権利だけを主張して、義務を果たさない「悪しき戦後個人主義者」であり、原作者の代弁者そのものである。「悪いのはすべて国家や社会で、自分達は被害者だ」と無自覚に主張する身勝手さや、想像力のなさが「悪いことではない」と、これを見る人の多くが気付かず、感動までしていることが恐ろしい。この映画のように、子供の死を殊更に強調されるだけで、その死にばかり気を取られてしまい、即思考停止状態に陥ってしまう人がいかに多いかが証明されている。こんなものを「誇りある生き方」だとして、自分の身勝手なふるまいを自己正当化する想像力の無さ、無責任さはまさに「権利のみを主張する現代人」の姿そのもの。しかもそれを「純真な子供」にやらせるといういやらしい演出。最低です。 当時の強大な帝国主義が覇権を争う弱肉強食の国際情勢の中で、「植民地にされるか、植民地を持って強国になるか」の二択しかなかった当時の日本の置かれた立場を含めた正しい歴史認識や公の論理を無視した反戦映画は、このように子供はおろか、大人までも思考停止を促す結果にしかならない。 【FSS】さん 0点(2003-09-02 11:12:26) (良:13票) |
《改行表示》406.《ネタバレ》 原作小説は未読な為、あくまでこのアニメ映画に限っての感想として。「名作」「号泣必至」といった絶賛を各所で耳にしていただけに、こんな「ただの自業自得主人公」ストーリーだったとは驚いた。 このアニメで作り手側はいったい何を訴えたかったのか?ただ首をかしげたくなるばかりの物語。 戦火で親を失った不憫な境遇とはいえ、その後の主人公の取っている行動があまりに不遜で身勝手。 感心するほど同情の余地がない。あえて「同情できない主人公」という奇抜な演出設定なのかとすら思ったが作り手はそのまま「ほら可哀想でしょう」というスタンスなのが驚いた。 戦時下を生きて死んだ子供の物語で、まさかその子供主人公に苛立ち憤りまで感じさせられることになるとは。 ジブリとしてアニメーション描写はさすがに緻密だが、そこだけしか取り得がない、話の根幹が語るに全く値しないロクでもない話。 力の入ったアニメ描写で駄話をさも悲しげに語り、一部の(雰囲気に丸め込まれやすい)人達を煙に巻いてまんまとお涙頂戴している、これぞ悪質な「駄作」。 我が国で現実にあった戦時中という間違った料理などしてはならない極めて重い題材だけに、このアニメ屋達のズレた悲劇陶酔ごっこがつくづく腹立たしく許し難い。 【Lagerfeld】さん [DVD(邦画)] 0点(2014-05-30 13:17:10) (良:7票) |
405.この物語は、戦争で死んでいったであろう多くの少年少女達の名も無き史実を、美しくも残酷な童話に仮託した一種の鎮魂歌と見るべきでしょう。だから僕らは、この物語にもっと素直に感動していいと思う。戦争という現実は、語りえる以上に悲惨なものだし、僕らがそのすべてを知ることはできない。戦争とは、歴史であるとともに、歴史の喪失でもあるのですから。世に様々な戦争を描いた物語<戦場、戦後含めて>がありますが、本来そこには戦争に関わった人々の数だけのナラティブがあり、その多くは既に失われているということを僕らは知るべきなのでしょう。そういう意味で、この「火垂るの墓」という作品は、その美しさも残酷さも含めて、失われた物語の小さな灯火として見るのが正しい姿だと思うのです。戦争映画にも様々な視点があり、様々な表現がある。しかし、僕らはそれらの作品によって、現実の一端を想起することができるだけなのです。そのことを忘れてはならないと思う。 【onomichi】さん 8点(2003-12-29 20:00:17) (良:6票) |
404.戦争の悲惨さに目を背けてはならない、という免罪符をかざして暴走することってままあります。例えばありもしない「従軍慰安婦の証言」を、なんの裏付けもせぬままポルノ小説さながら垂れ流す久米宏や筑紫哲也。うっすら浮かぶ疑問をかき消し思考停止する視聴者。「うわ・・・ひどい。けど久米さんが言うんだから間違いない。重要な意味があるんだ」--いいえ。残念ですが意味なんて無いどころか単に公序良俗に反する有害な番組でしかありません。ただちに抗議の電話をするに値するものです。この映画も同じく、トラウマになってまで直視するほどのものかどうか、その価値を一度冷静に考えてみるべきです。どこまでも純粋無垢な子供。不可解なほどなんの情もない残酷な大人。この単純な対比にヤられて「戦争ってひどい!反対!って思ってりゃ間違い無い」で終了なんて短絡的にすぎません?こういうのには常に反射的に10点つけて、子供にまた思考停止の種をまくようなことは親御さんたちしないほうがよろしいんじゃないかと。情報の選択も自分では充分にできるわけでもない、思考力も充分でない小さい子供にこれを観せるとどうなるか、まあとにかく一度冷静に観なおして考えたほうがいいですよ。どなたかが書いているように原作者の野坂氏は「〆きりに追われて必死で書いただけ」って言ってるくらいのもんなんですから・・。 【air】さん 0点(2003-05-13 17:01:04) (良:1票) |
《改行表示》403.批判する人は大抵清太の行動に対してなんだけど、私は解るなあ。愚かとは思うけど、ああするのが彼なりの自尊心だったんだろうし、14歳はやはり子供だもの。清太に決して特別なところはなく、ごく普通の少年。いや軍人の家に育っただけに、無駄な誇りもあるような。もっと賢ければ確かに節子を(そして自分も)死なすことはなかっただろう、でもあの境遇に置かれて、ちょっとばかり誇り高く育っちゃった14歳にそういう「正しい」判断が出来るものだろうか。例えばオバサンをもっと虐待でもしていたように描いて観客を強引に説得しちゃうようなことはせず、清太の愚かさも描くことで、現実味が増したと思う。彼の愚かさが戦争のせいだとは言わない、でも戦争がなかったら、命を落とさなければ、こういう「無駄に自尊心がやや強」かったり「それ故愚かなところがある」少年でも、良い意味での妥協も学習しながらやがては成人し、普通の大人になっていたと思えるのだ。 あとはやはり、なんといっても節子。幼い少女の無垢さ、それが衰弱していく様子、これを緻密に描くだけで充分反戦映画になり得るわけだけど、幼いなりに母の死を理解していて、これを語りながら蛍を埋葬する場面など、涙を禁じえなかった。声優を子供にやらせたそうだが、本当に声だけで泣けてくる。あの関西弁は反則級だ。○クマのドロップ缶がトラウマになってしまった・・・まじで・・・。 この作品は、どんなに注文をつけたところで、観る者に反戦のメッセージを確実に伝える。内容は満点だが、少年の魂に語らせる演出があまりいいと思わなかったので-1 【あっかっか】さん [地上波(邦画)] 9点(2009-01-21 13:33:09) (良:5票) |
402.旅行先で偶然見付けてDVDを購入。約20年ぶりに見たが、いつまで経っても色褪せない映像とストーリー。野坂昭如の半自叙伝はとてつもない悲劇ではあるが、兄妹にまつわる詩的な映像表現、時には残酷な戦争の描写、繊細で美しい音楽、どれをとっても素晴らしい出来。この作品によって日本アニメ界は、アニメで実写映像を超えたリアルな感動を表現できると世界に示したと言っても過言ではない。特筆すべきはアメリカのある映画サイトでは、この「Grave of the Fireflies」は総合ランキングでかなり上位に入っていて、日本よりも遥かに評価が高い。旧作のアニメとしては異例のことで「今までに見た最高の映画」と評価する人も少なくない。何かと好戦的なイメージのある国だが、さすがに映画の国だけあって、映画愛好家の良心と質の高さを感じるような気がする。 日米で多い批判が(視点が少々トンチンカンなのだが)「兄があまりにも愚かなのでこの作品は嫌い」という内容。確かに兄は愚かな行動をするのだが、だからと言って作品全体を愚かと断じてしまうのは、劇中、兄妹の生死に無関心だった軍国主義体制下の「善良な日本人たち」と同じ立場にいるのだ、ということを分かって欲しい。 【lafish】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-09-06 19:47:03) (良:5票) |
401.高畑勲監督の戦時下の日本の描き方は冷徹です。清太たちが追い詰められた一番の原因は米軍の空襲によるものなのに、いつしかその米軍の空襲にさえ快哉を叫ぶようになってしまうという皮肉。投げ捨てられるドロップ缶の遺骨、蛆が湧く母親の死体、米に換えられる母の着物(桜の花びらと米がオーバーラップする演出もえげつない)、最後の頼みの綱だった父親の連合艦隊の壊滅も大した事件でもないかのように吐き捨てられてしまいます。ここで描かれているのは自分が生きていくためには死んだ人間のことにいちいち構っていられないという状況に置かれた人間の姿です。なぜ戦時下の死が悲惨かというとこのようにまともに弔われることも哀しまれることもなく死んでいった人間がたくさんいるからです。だからこそその弔いとなるような作品が必要なのだと思います。 |
400.《ネタバレ》 毎年、夏になると全国の小中学生を恐怖のどん底に叩きつける反戦洗脳映画。と、世間では思われている作品だけど、僕はちょっと違う気がします。この作品は単純な反戦映画ではなく、戦争が本当に壊してしまうものを冷徹に見つめた作品だと思います。戦争が本当に壊してしまうもの、それは人間の社会性です。この主人公の少年は、今でいう不良少年なのです。盗んだバイクで走り出す現代の若者となんら変わりない。そんな少年でも、社会性がしっかりしていれば、相応の大人たち(例えば教師や警察や少年院)がちゃんと矯正させて、少なくとも餓死させるということなど絶対にさせない。この世界から戦争がなくなることなど絶対にあり得ないなら、せめてそれが壊してしまうものから目を逸らさず、多くの人たちから残酷で悪趣味だと非難されようとも徹底的に冷徹に描こうというこの監督(および原作者)の勇気には敬服せざるを得ません。そして、今でもアメリカはイラクやアフガンで社会性を壊し続けている。この映画が偽善にまみれた単なる反戦映画と一線を画した普遍性を持っているのは、ますます混迷する現代に通じるテーマを持った作品だからだと思います。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 9点(2013-04-20 19:16:45) (良:4票) |
《改行表示》399.1番大嫌いな映画。戦争は悲惨だと言いたいのはいいが、内容が・・。 超悪質な洗脳映画、プロバガンダの臭いしかしない。 そして、この映画を異様に持ちあげ、定期的に放映するマスコミ、テレビ局にも嫌悪感を感じる。題名を聞くだけでも腹が立ってくる。 こんなもん泣けるとか言っちゃってる人はまったく持って自分とは合わない。 むしろそういう人が居る事実に泣けてくる。洗脳としか思えない。 【のははすひ】さん [DVD(邦画)] 0点(2010-02-27 16:17:11) (良:4票) |
《改行表示》398.悲しい物語なんだけど、 当時の光景がカラーフィルムで甦ったかのような精緻な美術と、 当時の人々の生活の苦しさが伝わってくるようなディテールはすばらしいと思った。 しかし、あの兄妹にはあれ以外の道はなかったのだろうか…。 まあ、アニメといえど過激な内容なので、子供が観るべきではないとは思う。 こういう類のものを、レーティングの明示もなしにテレビ放送したり、 学校で流したりする姿勢には疑問が残る。 【且】さん [地上波(邦画)] 8点(2009-08-15 00:54:35) (良:3票)(笑:1票) |
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《改行表示》397.《ネタバレ》 子供たちにトラウマを植え付けるための作品。「裸足のゲン」で使われた手法であり、広島の原爆記念館に行った人間も同じような体験をする。 敗戦で真っ先に犠牲になるのは体力のない子供たちで、私の父も栄養不良で妹を亡くしている。街のあちこちには、戦争孤児たちの姿があった。こうした日本を体験した人たちは、あと20年もすれば日本から消えてしまう。映像という形で彼らの見たもの、聞いたものが残るのは、意味のあることだ。 だが私は、自分の子供に本作を積極的に見せたいとは思わない。本作は、やはりフィクションでしかないからだ。 苦難や苦労は死ぬための儀式なのだろうか。本作はドラマ性を優先させるため、2人を殺してしまった。私は、子供たちの感情を揺さぶり、思考を停止させ、無条件に反戦を唱えさせようとする、本作のその洗脳手段に不安を覚える。 【DONG】さん [DVD(邦画)] 2点(2008-08-08 09:10:51) (良:3票)(笑:1票) |
396.怒りこそすれ涙など出ようはずも無いヒドイ映画。友人から”お前には合わない、絶対に見ないほうがいい”とまで言われ、止められていた程のなのにも関わらず、ついに見てしまったら案の定...当時の日本に彼らのような子供は五万と居り、彼らだけが特別なわけでもない。事情がどうであれ教育を受けるわけでもなく、労働するわけでもない兄妹は扶養者の叔父叔母に従うのが当然で、自由や権利の主張には大きな犠牲が伴うね。 【亜流派 十五郎】さん [DVD(字幕)] 0点(2006-12-10 11:55:03) (良:3票)(笑:1票) |
395.戦争を理由に、身勝手な兄を正当化する物語は、見ていて吐き気がする。妹の悲惨さが尚更それを強調することとなり、ただただ後味が悪い。反戦を叫べば何でも美談になると思ったら大間違いだ。実際の戦時中は、あの兄妹と同じ環境でありながらも、もっと一所懸命生きていた人達は大勢いたはずである。とにかくこれは、日本アニメ映画史上最悪の作品だ。二度と見たくない。 【へろへろ】さん [地上波(字幕)] 1点(2005-08-05 19:38:20) (良:4票) |
394.《ネタバレ》 涙の一粒さえ出ない。何故このような作品が毎年、終戦記念日近くに放送されるのか不思議でならない。この映画のテーマは「反戦」なのか?この映画はただ「戦時下における子供の無謀な行動」の物語に他ならない。主人公達は無謀にも勝手に疎開先を飛び出し、自分たちだけで生きていこうとして勝手に飢え死んだだけである。その時代は「戦争状態」という「非常事態」であるからして、普通の生活すらままならなかった時代であるのにもかかわらず好き勝手やってその報いを受けただけの事。まぁ私にとって主人公達が「生き延びた」か「死んだ」かは問題ではないのだけれど。結局最後に主人公達が「死んだ」からみんな泣いているのか?幼い子供が死ぬのはかわいそうだけどあれは自業自得。涙はまったく出なかった。しかしこんな意味不明な作品が何故、終戦記念日近くに放送されるのか?最大の疑問である。終戦記念日には岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」を放送すべきである。それこそ大東亜戦争にて尊い命を散らした英霊達に対する供養になると私は信じる。(私は「日本のいちばん長い日」を見て毎回泣きます。) 【和魂洋才】さん 0点(2005-01-27 18:07:26) (良:4票) |
393.「戦争は悲惨だ。だからいけない。」というのは「人の頭をピストルでぶち抜くと死ぬからよくない。」というのと同じくらい単純な道徳的判断で、大人だったらわざわざ映画や小説などで説明してもらわなくてもわかっていることのはず・・・そういう意味で、私は大人なのでこの作品を見てどうこういうことはありませんでした。この作品を小中学生に見せることの是非を問われれば、困ってしまいますが、答えは「ノー」です。清太と節子の二人は海水浴やら蛍狩りやらやってから死んだので空襲で一発で死ぬよりも少しましだった・・・というのがこの作品の本質です。こうやって死ぬのも焼夷弾で焼け死ぬのも原爆で死ぬのも五十歩百歩です。もっと気になるのは、清太が皇国の勝利を信じていたことで、そういう意味で清太も悲惨な戦争の片棒を担いでいるわけです。もっとも十四歳では戦争をまともに批判することは無理ですが・・・。第二次世界大戦での敗戦から六十年間、日本では「戦争は悲惨だからいけない。」式の短絡的平和主義しかなかったようで、これから先、このままでいいのかと思います。平和主義は短絡的でもないよりはましですが、戦争を起こすのは短絡思考の人間と相場が決まっているのです。余談になりますが、私が所有している某社発行百冊の小説を収録したCD-ROMに本作品の原作と井伏鱒二の「黒い雨」が戦争の悲惨さを描いた(短絡的)反戦小説として入っています。でも、それよりも吉村昭の「戦艦武蔵」が政府や軍の責任者の常識が軍拡競争で麻痺していく過程をリアルに描いて、よほど反戦の役に立つ小説です。「戦艦武蔵」のように船が主人公では映画化は無理ですが、人を主人公にして戦争をもっと深く解析した小説が映画化されるべきです。もっともそういう作品をアニメにするのは多分無理でしょう。もう一つ余談・・・単純な反戦映画の傑作はやはり「西部戦線異常なし」だと思います。 【かわまり】さん 4点(2004-08-14 10:20:22) (良:3票)(笑:1票) |
《改行表示》392.《ネタバレ》 清太の過信、軽率な行動の数々には目に余るものが確かにあるのだけど、14歳の僕ならどうしただろうかと考えてしまう映画 。そして、もし大人なら、清太にどんな言葉をかけれただろうかとも思う。映画を見るときは、恥ずかしいことに大体自分のクズ度は棚に上げて、一々の言動に文句を垂れがちなのだけど、今作は何か人のこと言えないなぁって気分になったかな。何かそういう見方をしてしまう特殊な映画でした。経験なくして、成長なんかあり得ないってのは僕の持論なのだけど、人の痛みは痛めつけられて初めて、分かる。親心は親になって初めて、分かる。清太は節子の死をもって、自身の甘さを心の底から悔いて、思い知ったと思う。あの沈痛な面持ちは筆舌に尽くしがたい程。でも、清太も間も無く、夭折する。これが“火垂るの墓”で一番、残酷なシーンだと思った。自分を正しく知ること、置かれている境涯を知ること、そして、そこで何をするかを判断することは非常に困難だと思った。 これで、何度か観たことになるのだけど、親戚のおばさんがおにぎりを握り終わった際に、手についた米粒を舐めるシーンで、毎回胸を突かれる思いがします。 【うー】さん [地上波(邦画)] 5点(2015-08-26 17:49:35) (良:3票) |
391.思ってたのと違った。私が『火垂るの墓』を初めて見たのは小学生の頃。学校の集団映画上映会にて仰々しく上映され、見終わったら感想文を書かされた。「けっ」と思った。「いつものやつか。」私は紙に“戦争反対”と書いて提出した。2回目に見たのは高校生くらいだったと思う。夏休みのテレビで放映されていた。「けっ」と思った。「なんやこいつ、自分のせいで妹殺して悲劇のヒロイン気取りか。」いよいよ私は『火垂るの墓』に別れを告げた。大っ嫌いな映画としてカテゴライズし、二度と見ることはないと思った。そして10年以上経ち、今日、夏休みのテレビで放映されている本作をたまたま見た。ものすごく驚いた。思っていたのと全然違った。おそらく私はこの映画に、もっとも悪い形で出会ったのだと思う。このあたりは、戦争を題材にしたアニメ映画ということで安直に教材に取り上げる小学校側に文句を言うべきであろう。これは反戦映画ではない。たまたま舞台が戦時中というだけで、たとえば大災害とか、出稼ぎに行った親を待つ子とかでもこの話は成り立つ。反核映画としてしばしば取り上げられる作品『風が吹くとき』が、実はその危機的状況に瀕した夫婦の会話やあり方を描くものであるように、この映画は幼いゆえに過ちを犯し、それでも父親の帰還を信じて兄妹で必死に生きたふたりのあり方を描くものなのだ。これは反戦映画ではない。どんな感想も強いられていない。この原作者は、この作品を執筆している際「締め切りに追われて必死だった」と娘に語り、“原作者の気持ちを答えなさい”と問うテスト問題に娘が不正解をもらったという話は有名である。その程度なのだ。何の教育的思惑も裏もない、ひとつの映画として、フラットな気持ちで見るべきなのだ。私のように、幼い日に感想を強いられ、「けっ」と思ってこの映画と決別した人にこそ見てほしい。 【デルモゾールG軟膏】さん [地上波(邦画)] 8点(2015-08-15 00:17:51) (良:3票) |
390.ラース・フォン・トリアーの悪意に満ちた「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と同じぐらい自分には合わない。反戦を隠れ蓑にしたような哀れっぽく執拗な描写に憔悴するだけ。ジブリ印で国民的映画のような扱いなのも妙だ。 【レイン】さん [地上波(邦画)] 3点(2010-03-06 06:37:54) (良:3票) |
《改行表示》389.《ネタバレ》 大嫌いな映画。子供に見せたくない映画でもある。子供が妹を殺して自殺する話なんて、誰が見せられるか。戦争?関係ないでしょう。おばさんに謝って帰ればすむことなんだから。それよりも盗みや死が優先することに全く共感できない。 そもそも子供向けエンタテイメントに必要な要素は「努力・友情・勝利」で、今も昔も変わらない。この3つのうち、1つくらい違っても良い作品になることはある。しかし、この映画はすべて逆の「怠惰・孤立・敗北」。本来ならお話にならないはずなのに、反戦をチラつかせることで商業ベースに潜り込ませることに成功した。でも自分はこんなやり方で戦争を見せられても、製作者側にしか嫌悪を感じない。 【まかだ】さん [DVD(邦画)] 0点(2007-08-19 03:00:39) (良:3票) |
《改行表示》388.《ネタバレ》 反戦映画としてはある意味効果的なのでしょうが、妹が死んじゃう(殺しちゃう)のは兄貴のせい。 反戦と兄貴の身勝手(妹の死)は別物ですよ。全てを「戦争の悲劇」としてみせるのはどうかと。 初見だった子供の時より何か違和感を感じていたものの、こんな道徳的な作品で論旨のすり替えが行われているのに気付いた時、ちょっとショックでした。 【カラバ侯爵】さん [ビデオ(邦画)] 0点(2007-07-17 18:23:27) (良:3票) |