《改行表示》75.あらゆる画面がほぼ完璧に近く、男と女の機微も非常によく捕えられていて、バカみたいに肌を露出させたりしなくとも男と女に驚くほど色気があり艶っぽいです。何気ない日常が断片的に切り取られているようでありながらも、現実と小説の世界が見事に交錯し幻想的にもなっています。もはや言わずもがなですが、トニー・レオンもマギー・チャンもとことんセクシーで惚れ惚れしてしまいます。・・・ただ気になってしまうのは、これは少々計算が立ち過ぎていて〝これ見よがし〟な印象も受けることです。 《追記》再見したのですが、やはり芸術を意識したような感じが鼻に付くところがあります。例えば、ラストのカンボジアの風景のカットをいくつか挿入し過剰なBGMをかけているところなどは、やり過ぎているように思えます。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-04-06 18:21:58) (良:1票) |
74.メロドラマとしての格調の高さは大したものだ。狭さを意識した画面、その息をひそめている感じがいい。新聞社の無表情な大時計、赤いカーテンの揺れる廊下、と舞台もふさわしい。下の屋台へポットを持っての往復で、ちらちらと意識しあう男女。そのかすかな空気の揺れのようなものがメロドラマの味わい。ここぞというときに入ってくる憂鬱なワルツ、あるいはキサス・キサス・キサス。連れ合いが不倫をしている二人は、意地でも関係を結ばない。それが全編に緊張をはらませている。時代や社会やあるいは女の生き方についての思索など、余計なものを排除して純粋な織物を織りあげたって感じ。だからこそラストのカンボジアが引っかかる。あの時代の新聞社を舞台にしながらベトナム戦争に触れずに綴ってきて、ラストで竹の文化圏から石の文化圏のカンボジアに跳ぶあの画面の質感の急変、分からないからこそ、すごく引っかかる。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-08-12 10:52:15) (良:1票) |
73.まず、映像と音楽が素晴らしくマッチしていると思います。日本で言うなら大正ロマンみたいな。その雰囲気の中にトニーレオンの古風な感じと大人の色気が交わって、いい感じでした。マギーのチャイナ姿はとてもきれいでしたが、髪形がマギーには似合っていないような…。物語としては、プラトニックな愛を遠まわしに語っているというか、私はそこがいいなと思ったんですけど。でも、最後にマギーが連れていた子はトニーの子?そこがプラトニックだったのか、実はそうでなかったのかを観る人に連想させてくれますね。内容よりも雰囲気が大好きな作品です。公式サイトも広告ポスターもアートな感じで、全体的にお洒落でした。 |
72.キワドいセリフもなければ、濃厚なベッドシーンもない。「不倫」という言葉すら一般的には浸透していなかった時代の、これはオトナの男と女の恋愛模様を、ウォン・カーウァイ監督の独特の映像センスで描ききった秀作。二人がいつから恋愛感情を持ち、どの程度の関係を結び、どうして別れたのか・・といった細やかな説明を省略している点で、ストーリーなどまったく重視されていないことは明白だ。あるのはマギー・チャンのチャイナ・ドレスの着こなし(とりわけ真赤なドレスで階段を駆ける姿を捉えたショットが素晴らしい!)と、彼女の匂い立つような成熟した大人の女の色香を見事に映像化した点だろう。 【ドラえもん】さん 8点(2001-05-13 16:51:28) (良:1票) |
71.《ネタバレ》 言ってしまえば、ストーリーはありがちなメロドラマのように思う。しかし、この映画の何という美しさ、そこに尽きる。赤ではなく、紅い色彩を基調とした映像に、雨がこんなにもよく似合うとは。 そして主演二人の、どこから撮っても「絵」になること。特に、張曼玉 (マギー・チャン) の真紅のチャイナドレス姿は、お人形さんかい? って本気で思うほど。トニー・レオンは、やはりウォン・カーウァイと相性がいいようだ。 その二人を一層華やかに際立たせた衣装、当時の香港を完璧に再現した街並み、画面の細部まで拘りが行き届いた美術、、本作は衣装や照明といった美術スタッフ、そして撮影の素晴らしい仕事にも拍手を送るべきだろう。 「花様年華」とは、花のようなきれいな時期、人生で最も美しい瞬間と言われる。本作で言うなら、香港における1960年代という「時代」のことだろう。 1960年代、香港、そこに確かに存在した一人の女、、それは記憶の中で永遠に美しい花として咲き誇るのだ。 【タケノコ】さん [DVD(字幕)] 8点(2021-05-06 20:41:51) |
70.《ネタバレ》 ウォンカーウェイの頂点。全編、スタイリッシュな映像。トニーレオンの倦怠感のある演技。ストーリーは、? 【にけ】さん [映画館(字幕)] 8点(2019-02-01 15:59:47) |
《改行表示》69.《ネタバレ》 ウォンカーウォイは目のつけどころが面白い。 この人のもつ「映画らしさ」がとてもユニーク。 共に伴侶に裏切られた男女の微妙な関係を、センスある音楽とともに描く。 「花様年華」という言葉は、満開の花のように、成熟した女性が、一番輝いてる時、のことらしい。 つまり、タイトルからして、マギーチャンを描いた映画なのだ。 難攻不落の女性が、ふと心がゆらぐ瞬間を描きたいがために、一本の映画を創っちゃうカーウォイの「映画らしさ」が興味深い。 不倫映画といえば、デニーロの「恋に落ちて」が僕なんかすぐ浮かぶ。 でもこっちの映画は、最後男性が彷徨い(さまよい)人になっちゃうとこが、そしてその役者が トニーレオンだというとこが、なんか説得力あって、面白い。 う~ん、カーウォイ面白いな。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2018-06-24 17:41:08) |
68.《ネタバレ》 展開が無さすぎる。。実質30分くらいで済む内容。常々書いていることですが、直接的であれ、間接的であれ、性描写を恋愛から完全に取り除いちゃダメ。湯豆腐の豆腐抜きみたいに不味くなる。なるべく映画の良いところを探したいが本作品については正直がっかりした。 【なす】さん [インターネット(字幕)] 5点(2018-06-04 01:20:21) |
67.《ネタバレ》 ウォン・カーウァイの映画は評価を付け辛い。'60年代の香港を舞台にしている割にはほとんど室内ロケで、屋外ロケも夜しか映さない。緑色を基調にした画には強烈な赤が差し込み、この非日常的な息苦しさが一線を越えそうで越えない不倫を際立たせている。チョウもチャン夫人も「面倒臭い」の一言に尽きる。結婚すれば身動きできなくなることは分かるのに、それでも刺激欲しさに惹かれあう遊戯にも思えなくない。チャン夫人の夫がリクエストした曲「花様的年華」が終わりの始まりだったのかもしれない。冒頭の「女は顔を伏せ近づく機会を男に与えるが 男には勇気がなく女は去る」という一節。ラストはその通りであり、唐突なカンボジアのシーンで、チョウは木の幹代わりにアンコールワットの柱に機会を失った苦しさを吐いた。男は戻れない過去を別に録って現在を生きていくのだろう。手放しで称賛はできないが、『欲望の翼』と『2046』は観なければなるまい。 |
《改行表示》66.ウォン・カーウェイ監督の「恋する惑星」「天使の涙」もダメだった。 オムニバス作品の「愛の神、エロス」はまだマシだったが、この監督とはどうにも相性が悪そう。 W不倫を変に気取って撮っただけに感じられる。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 3点(2017-08-30 00:19:04) |
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65.なんか薄汚くて気持ち悪い。もうちょっとバカやってくれれば楽しめるんだが。 |
64.《ネタバレ》 巧みな映像であるが、過ぎたるは及ばざるが如し。映画としての充実感がない。単なる自分達の妥協点しか見出せない二人、愛すことが出来ない、不倫モドキの昼メロドラマの内容。監督の自己満足で終わっている。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 5点(2016-08-28 17:33:26) |
《改行表示》63.《ネタバレ》 アート的な映像作品に近いぐらいに感じたが、筋立てに頼らず映像美と音楽だけで感覚を揺さぶられる体験は貴重だった。「差し色」を実に上手く使った映画だと感じた。全体として小汚く雑然とした環境のなかに、常に存在しているチェン夫人のドレスや調度品の鮮やかな美しさ。ぼんやりとしたシチュエーションだけが提示していき、ふたりの感情や距離感が掴みきれないなか「リハーサル」で夫人がほんの一時露わにする感情。秘めた悔悟をアンコールワットの小さな穴に託すチョウの哀感。全体が淡々としているからこそ、ビビットに際立つ部分があったように思う。 最後にテーマを明示したことだけが不満と言えば不満だけれど、自分の中ではさほどの瑕疵ではない。久々に拍手をした作品だった。 【C-14219】さん [地上波(字幕)] 10点(2016-05-06 20:56:19) |
62.《ネタバレ》 ストーリーの説明が暗示的なのでちょっとわかりにくいです。小津作品のようなカメラアングルとキスシーンもセックス描写もない恋愛ドラマが印象的ですが、チャン夫人が4年後に子連れでアパートを訪れ、子供の父親がチャウであることを匂わせています。仄めかしが随所に見られるけだるい映画でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-03-26 21:12:43) |
《改行表示》61.ああ、こういうことか。ウォンカーウェイにまたしてもやられた。 いっそ最初っから最後までずーっとスローモーションで、あの曲かけてほしいわ。 どちらも間借りしているのでそれほど裕福でもないのでしょうが、 なんだか品があるような気がする。そういう風に撮ってるのか。 最後はカンボジアである理由がよくわからんけど、香港人ならピンといたのかな? これはもう一度みたいと思う映画でした。 |
《改行表示》60.《ネタバレ》 愛は、もうはじまっている。 これ以上のキャッチコピーは考えられないだろう。まさにこの言葉の通り。憂いのあるワルツの中、よくウォン・カーワァイは2人の愛を限界まで留めたものだ。 そう。またもやテーマははじまらない愛。そして観る者誰もがこれは愛だと信じて疑わないだろう。100人がこの映画を観て、80人が退屈だと言ったとしても、私は残りの20人の中にいるのだろう。初めて、一度観た直後にもう一度観た映画。惹かれた、惹かれてしまったんだから仕方がない。 妻に浮気されている男と、妻の浮気相手の女のはじまらないラブストーリー。 わかったことがある。ブエノスアイレスも借りているのに本作から観てしまった。欲望の翼も観ていないのに。でもここにきて、どの作品から観ても構わないことに気づいた。ウォン・カーワァイ作品は時計や人間や様々な者で作品世界を共有する。パラレルワールドのように。ときにオムニバス、ときに本作のようにどっぷりとフィルムを使い撮影したほとんどの映像を捨てながら作品を仕上げる。彼の宇宙を知るのに順序は関係ない。どこから観てもウォン・カーワァイの宇宙だ。 気づいた 【JF】さん [DVD(字幕)] 6点(2015-09-13 23:37:32) |
59.《ネタバレ》 ベタベタな不倫映画を期待して鑑賞しましたが、予想外の展開でした。一線を越えそうで超えない・・・そんなもどかしさを感じる作品ですが、音楽や映像が美しく芸術的な映画でした。 【たけたん】さん [DVD(字幕)] 5点(2015-01-15 05:43:56) |
《改行表示》58."女は顔を伏せ近づく機会を男に与えるが 男には勇気がなく女は去る" この映画冒頭に登場する一節だが、まず、嘘つけ!と言いたい。 勇気がないどころかトニー・レオンてばマギー・チャンを口説きまくり、え?そんなにグイグイ行っちゃうの?と思わず笑っちゃうほどの押しの強さ。 互いの配偶者が浮気?ならこっちもしちゃうもんねと開き直り、一緒にタクシーに乗ればすかさず手を繋ごうとするし、小説を書くから手伝って欲しいと、事あるごとに部屋に呼ぶというね。「2046」でも同じキャラが出てくるがこちらは終始ニヤケ顔でさらに色男になってるので要注意! たびたび流れる夢二のテーマがとにかくこの映画の雰囲気にあってて良い。特に意味の無いシーンでも、取り敢えずこの曲を流してスローモーションにしとけば格好いい画が出来上がるので大変便利だ。この時代の雰囲気は良く再現されていたんじゃないかと思う。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-10-08 00:45:30) |
57.雰囲気の良い映画なんだけど、観るのが疲れてしまう。 【afoijw】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-01-09 23:41:33) |
《改行表示》56.《ネタバレ》 トニー・レオンとマギー・チャン。見るからに狭く暑苦しいアパートに似つかわしくない2人。互いの妻と夫の顔を徹底的に見せない。それぞれの住む部屋の間取りも見せない。 しかし狭い廊下で何度となくすれ違う2人が印象的です。「最近ご主人を見かけないね」「海外に出張よ」「最近奥さんを見かけないわね」「親の看病で実家にいる」互いの結婚相手の不倫、孤独ということ以外私生活が見えない。赤みがかったクリストファー・ドイルの映像の中の2人は熱っぽくもありますが、一線を踏み越えない2人の関係にはリアリティも感じられます。 暗がりで一人ふかす煙草、一人の夕食、人気の無い夜のオフィスの残業、雨の夜。描かれる孤独な人間模様に、平凡な生活の中にある幸せについて考えてしまった。ただ、まったりとした展開から急激に時の流れが加速する終盤からラストは色んな事を簡略化しすぎている気がします。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-09-15 20:20:28) |