1.異常にキレやすいムショ帰りの男が、刑事から身分証を奪い、娼婦を拘束して犯罪をくり返す。そして繰り広げられる、サイコパスの犯人と刑事の追跡劇…と、あら筋だけならほとんど見る気もおこらんでしょうなあ。でも、ハンサムなやさ男風アレック・ボールドウィン(まだ痩せてました)がアブナイ男を快演し、彼に拉致されて死の恐怖におびえながらもこの男を理解しようとする娼婦がジェニファー・ジェーソン・リー(ぴちぴち!)、そして身分証を奪われた刑事がフレッド・ウォード(シブイねえ)と、まずこの3人のアンサンブルが素晴らしい。加えて、適度にハードで、適度にウイットに富んでいて、適度にシリアスで…と、語り口が絶妙のさじ加減。正真正銘、これは拾い物ってやつでしょう。何せ、製作にジョナサン・デミ、撮影がタク・フジモトと、あの『未たちの沈黙』チームが絡んでるだから! いいすよ、これ!