1.《ネタバレ》 アマプラで観ました。
昨年上映されて、各賞にノミネートされるなどちょっと話題になってたりはしており、ただ海外のアニメ作品って上映館が少ない上に、面白そうと思ったらもう地元では終わってたり、まだ上映してても第2週目から朝一上映に切り替わったりで仕事帰りに観に行こうとしても夜にはやってなかったりで(対象年齢が子供とかだったりするのもあって)、わざわざ視聴のために県外の大都市圏に行くのも交通費だけでとんでもないとかあって、観ること自体が著しく困難だったりして先送りにしてしまうことがよくあります。逆にアマプラ等の動画配信サイトで割と早めに出てきたりするので気が付いたら観たりします。
アニメと言っても、非常に多様な表現があって、加えて海外ものだと日本の主流からするとかけ離れた様式のものが多々あるので実際観てみないと全然わからないことがよくありますが、本作はモーションキャプチャーのアニメーションに、普通のリアルな人間もいっしょに登場するという独特の表現をしており、人間どころかリアルの動物や虫なんかも登場して、虫に一体どういう演技をさせるのか!? という驚愕の表現などもされてて表現としてかなり面白かったです。自然にあるものや現実の人の家にあるものを、ちっぽけな貝の視点で見直してみると人から見えるものとは別世界が切り拓かれて非常に面白かった。スケートのシーンとか良かったです。
キャラクターの方も、タイトルの通り小さな巻貝にちょこんと2本足と手を2本をくっつけただけの簡素なもので、映像がしばしば人間スケールだったりするので大きな画面の中で、虫のようにごく小さなマルセルとおばあちゃんがチマチマ動くだけで、最初は昔の教育番組なんかでやる人形を出してやるすごいレトロな表現に近くてアニメ表現としては古めかしいあまり新しさのないものかと思ったんですけど、巻貝の穴の部分に目がついて、口のところが切れ込みが入って細かく動き、手足も表情豊かに実に繊細に動いて、加えて主人公のマルセルの声が実にかわいらしくしゃべって(吹替え版で観ました)、終わってみたらあの小さくチマチマ動く手足のついた貝たちが可愛くいとおしく見えてくるという、昔アバターっていう映画で非人間的な異星の種族たちが観てるうちにどんどん魅力的に見えてくるようになるという、同じような感覚を本作品でも味わいました。
ストーリー的にはとにかく主人公のマルセルとおばあちゃんのやりとりが終始ほほえましく、特に終盤の、大事な孫のマルセルのためにやる数々の行いに心を震わされて、ぐぐぐぐってなってしまいました。本映画は作業中に、ながら見であまり集中してみようとしたものではなかったんですけど、思わずぐっと引き込まれてしまって、これは他ごとしながら観るようなものじゃなくて、ちゃんと観た方が良いですよと書き残しておきます。