95.《ネタバレ》 まさか、あそこまでの性描写があるとは思いもせず、10歳の我が子も共に観たのでした~! 慌てて気まずいムードを醸すのもどうかと、夫婦ともに笑って済ませましたが、あのシーンがどこまで進むのかヒヤヒヤでした。結局映画が終わってみて、あんなシーンを、あそこまで突っ込んで映す必要があったのか、夫婦共々疑問に感じたのでした。そして、何よりもスペインの当時の事情がよく伝わらない。突然に暗転していく先生の周辺事情が、10歳の子にはさっぱりワケ分からない作りになっていて、「なんで?」「なんで?」とまくしたてる我が子に戦争とか宗教とか思想信条の問題についてとか、説明しなければならなかった。大人が観ても、状況が伝わりやすいものにはなっていないと思う。少年の母親は心が醜くすぎる。先生の服を無償で仕立てたという状況があるにしても、あそこまで積極的な嫌悪を示し、子供にまでけしかける必要があるのか? 唐突な暗転エンディングに対して「なんで?」の渦に飲み込まれた我が子に、「あの人たちと仲が良かったと思われると、命にも関わるからだよ」と説明したところ、我が子は「そうだとしても、べつにあんなことしなくたって、ただ知らんふりしてれいればいいのに!」と返した。我が子からそういう強い言葉が聞けたことが、何より嬉しかった。狂気や恐怖の中にある大人の事情が主人公の少年に理解できているなら別だが、よくわけもわからぬまま母親の言いつけ通りに恩師を罵倒できてしまうというのは、結局のところ、それまでの間に道徳的教育がいい加減だったと思えてならない。まぁ、あんな母親だからね。自分のことしか考えないような人たちが戦争を作り出してるんじゃないだろうか? 【だみお】さん [DVD(吹替)] 4点(2010-08-30 04:34:40) (良:2票) |
94.モンチョ少年が、先生や級友との交流から少しずつ自分の世界の枠を広げていきます。枠の外には、こんな世界が広がっているのかー、そこは甘酸っぱく、驚きに満ち、虚実が交錯する世界。そんな世界を美しい美術、衣装、そして光の濃淡が丁寧に投影された照明、光こぼれる自然のロケーション、そしてじっくりとした静的なカメラワークが表現していきます。そのあたりは堪能できるのですが、しかしなにかもの足りない。全編にわたる映像がどこか牧歌的である分、スペイン内戦勃発前夜の不穏な空気、思想的政治的危機感、そしてラストの罵倒・・・、それらがあまり伝わってこないのです。臓腑を鷲づかみにしてくるというより、肌を撫でてくるというような印象です。いい意味で、もう少し雑であればなー、という気がいたしました。 【彦馬】さん 7点(2004-09-05 19:59:28) (良:1票) |
93.小学生の頃に夏休みの宿題として「自分の好きなもの」を作ってくるという課題があった。私は当時昆虫が好きだったので”標本セット”を購入していろんな種類の昆虫を捕まえ「昆虫の標本」を作り9月の登校日に持っていったのでした。その「自分の好きなもの」をクラスで展示することになって最初はいろんな種類の昆虫の物珍しさに私の作品へみんな集まってくれたのですが、とある一人の同級生が「ねぇこれってどうやって標本にしたの?」と質問してきたので正直に標本セット(説明させて頂くと標本セットとは中に薬と注射が入っており、それを昆虫へ注入するとたちまち”死んでしまう+腐らない”という当時小学生の私にはかなり画期的な代物でした。)を使ってこれを作ったと説明するとそいつが「○○君は残酷だな~」とおもむろに私を批判し始めたのだ。またそいつに扇動された周りの奴らもそれに置いてかれまいと「そうだよ!そうだよ!」と批判側にまわる始末。結局私には誰一人味方がいなくなってついには1週間ほど展示する予定だったのを先生に頼んで初日に持って帰ってしまったのだった(先生は「それぐらいのことがどうした。堂々と見せておきなさい」と言ってたけど私には耐えられなかった・・・)。当然私は家に帰って大泣きしながら裏山でそれを燃やしてしまった。それから数ヶ月間は人間不信になって教室でも一人の時間が多かったような記憶がある。でもそうやって少しづつ”人間”という生き物を知り、集団社会の厳しさを学んでいったのだなということをなんとなく思い出した。モンチョ少年もああいう現実を目の当たりにして大人へと成長していったのでしょうね。 【tetsu78】さん 8点(2004-06-05 19:34:45) (良:1票) |
92.《ネタバレ》 小さい頃、誰かを傷付ける意図を持って投げた言葉、傷付ける意図もなく結果として誰かを傷付けた言葉、誰かを傷付け同時に言葉を投げ放った自分自身も傷付けた言葉、そんな言葉の数々を思い出した。ラスト直前まで続く牧歌的な雰囲気はそれとは知らないモラトリアムであり、ラストの衝撃を効果的に浮き上がらせる。グレゴリオ先生を演じた俳優はスペインでは誰もが知る名優だそうで、ラストのあの表情はもう、ただただ素晴らしいと言うしかない。「痛切」という言葉がこれ程似合うラストシーンはない。きっと観る者によって考え方は違う。私も色々考えるけれど、あまり多くを語るのはよそうと思う。 【ひのと】さん 9点(2004-02-19 17:24:20) (良:1票) |
91.衝撃的かつ感動のラストです。そう、確かに感動のラストなのですが「映画の製作者がこのラストに盛り込んだ『感動』程、今、自分は感動していないんだなあ」とか訳ワカラン事を、観ながら考えてしまったのでした。全編のエピソードが些か作為的に思える部分があったので、このラストにも少し作為的なものを感じずにはいられなかったのです。途中、例えば、唐突に「中国人娘っていいよなあ」とかいうセリフがあったと思ったら、本当に東洋人の若い女性に出会ってしまう偶然。こんな偶然無いよね(無いのは僕だけだったりして)、これは余計じゃないの、と、ちょっと醒めてしまいます。エピソードの一つ一つがちと弱い。弱い代わりにエピソード同士が連関を持っている。悪くは無いけどこれが時に作為的に思えてしまう。しかもそのくせ、なんとなく未消化のままうやむやになってしまう。というわけで、中盤の弱さが最後まで尾を引いてしまったかな、と。しかしグレゴリオ先生の人物像、こればかりはとてつもなく魅力的に描かれていて、肩入れせずにはおれません。あと、私のスペイン市民戦争に関する知識と言えば、オーウェルの「カタロニア讃歌」のみというヒジョーに片寄った状態だったので、その意味からも興味深く観ることができました。現在のスペインの人はこの戦争をどう捉えているんですかね。 【鱗歌】さん 7点(2003-11-30 16:17:51) (良:1票) |
90.これはラストのシーンが全てですね。それまでの平和で暖かい淡々とした展開も、このラストのために用意されたもの。反作用で一層心にグサッとくるんですね。あの可愛いあどけない少年が発する言葉なのでなおさらです。少年に罪はない、罪は大人が始めた戦争に・・・やさしい先生の疲れ切った顔が無言でそういっているようでした。 【キリコ】さん 7点(2003-06-20 15:00:09) (良:1票) |
《改行表示》89.最後のシーンのために作られた映画。 それまでが退屈だった。 |
《改行表示》88.《ネタバレ》 思春期にも満たない少年が主人公なのにエロス満載という不思議な映画。しかも反戦が主題。エロスと反戦はなじまないと思うが、文化の違いだろうか。終盤まで、「チップス先生さようなら」のエロス版と思っていたが、最後にどんでん返しが待っていた。全てはラストのための伏線だったのだ。 喘息持ちで、人見知りで、学校に馴染めない少年を優しく迎えてくれた先生。喘息の発作のとき、川の水で体を冷やして救ってくれた先生。蝶の舌やティロノリンコという鳥の生態を教え、自然への興味を開いてくれた先生。虫取網を買ってくれた先生。「蝶の舌を顕微鏡で観よう」と誘ってくれた先生。「本は心を豊かにする」といって「宝島」を貸してくれた先生。自由の大切さを説いて教壇を去った先生。少年と先生の心温まる交流が描かれる。少年の両親も先生を慕っていた。だが内戦が勃発し、共和派の先生が逮捕されると、保身に走った両親は思想転向し、広場で先生を面罵する。母は少年にも叫べと命じる。「不信心者!アカ!」意味もわからず叫ぶ少年。次の言葉は「ティロノリンコ、蝶の舌」だった。少年にとって両者は同格なのだ。 「あの世に地獄などない。憎しみと残酷さ、それが地獄のもととなる。人間が地獄と作るのだ」先生の語った通りの地獄が出現した瞬間、「空のベット、曇った鏡、虚ろな心」の世界が広がる。 少年はトラックの先生めがけて石を投げつける。残酷さを強調するための演出だが、やり過ぎだ。無垢な少年が命令されてもいないのに、昨日までの恩師に石を投げつけることはできないだろう。あえてやるなら石が当って血が出るくらい徹底した方がよい。それならキリストとユダに擬すこともできた。少年の親友ロケの父親も連行されてゆくが、前段階で少年とその父親の交流場面ばあればなおよかった。この場面、少年のガールフレンドのロケの妹の姿が一瞬しか見えないのは惜しいことだ。 愛と自由を教えてくれた恩師に対して裏切りと罵倒で応えなければ生きてゆけない残酷な現実。けれども少年の最後の言葉からは、裏切りや罵倒を超越した「希望」が感じられる。純粋さを失っていないのだ。 蝶の舌はゼンマイ状に巻かれ、普段は隠れている。ヒトも本心を隠すものだ。少年が蝶の舌を見ることはなかった。いつか大人になったとき、自由という甘い汁を吸うことができるのだろうか。先生の眼差しは暖かく少年を見守っているように見えた。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-06-16 23:51:22) |
87.映画は王政から共和制、内乱、そして独裁政権と進むスペイン情勢を背景に少年の目を通して語られる。大人たちが政治を議論している傍らで、少年はグレゴリオ先生の影響を受け少しずつ成長していくのだが、これが何ともほほえましい。映画の大部分がそうした進行なので、ことさらラストが急展開で衝撃的だ。戦争が恐ろしいのは、単に殺し合いだからではない。戦争は人の心までを変えてしまうものだからではなかろうか。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-06-05 21:22:26) |
86.《ネタバレ》 「蝶の舌」に、救いとやるせなさを同時に感じました。スペインの時代背景を全く知らんので、知っていたら見方が多少変わるのかも。 【ないとれいん】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-12-04 20:20:30) |
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《改行表示》85.スペイン内戦を背景に、ひ弱な少年と老教師の交流を描いたドラマ。 主人公の少年がナインティナインの岡村君に似ていて、非常に親しみやすいのだが、 それ以上に老教師役の俳優さんが良かった。顔から優しさが滲み出ているようなキャラで、 それだけにラストのシーンが映える。タイトルの「蝶の舌」はテーマとしての深みはないが、 小道具代わりとしてラストで中々うまい使われ方をしている。欠点を挙げれば、 主人公の成長にも焦点を当てているのか、老教師とのシーンが思ったより少なかったこと。 少年のキャラづけに、家庭環境や生活環境を描くのは当然のことだとしても、 ちょっと余計なシーンが多過ぎる。そこに目を瞑れば、良く出来た作品ではある。 【MAHITO】さん [地上波(字幕)] 6点(2011-09-23 07:10:01) |
【akila】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-08-27 15:43:44) |
《改行表示》83.《ネタバレ》 ラスト10分のための映画。 とはいえ、その前の80分でまったくストーリーに入り込めないと、もうどうしていいかわかりません。ひたすら長い90分です。退屈。そう、退屈です。退屈という言葉がぴったりの映画です。 本当は0点をつけようかと思ったのですが、お兄さんが世話になった楽団の人が出てきたときに、ショックを受けたお兄さんの表情が忘れられないので2点にします。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 2点(2011-07-25 00:56:22) |
《改行表示》82.《ネタバレ》 ほのぼのとしててとてもリラックスした印象があった。 人間味溢れていて昔を思い出させてくれる。 途中、何度かエロは挿んであるけど^^: ただ、ラストがキツイ。先生はショックだったけど、 言った本人はもっと辛かったかもしれない。 【将】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-09-18 21:50:15) |
81.《ネタバレ》 ラストシーンで傷つくのは先生ではなく将来の少年ですね。心に傷を負ってしまう悲しいラストです。 【東京ロッキー】さん [DVD(吹替)] 6点(2009-01-12 17:26:42) |
80.とても好きな映画。映像も音楽もきれい。全体的にいい感じなんだけど、ラストシーンが強烈過ぎていびつな印象が残ってしまうのがちょっとマイナス。良くも悪くも子供の純粋さみたいなのはよく出てると思う。 【すらりん】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-12-12 11:06:05) |
79.《ネタバレ》 とにかく救いのないラストが強烈過ぎて、それまでの瑞々しい雰囲気が吹き飛びました。少年を描いた映画の多いヨーロッパですが、そのなかにおいては若干弱い気がしました。 【色鉛筆】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-11-10 12:48:42) |
78.なんかわかんないけど、すごく好きです。ほのぼのとした雰囲気と、ラストシーンに惹かれました。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-08-26 00:17:41) |
77.内戦・子ども・昆虫というスペインお得意の三題噺。かたわらで犬が吠えてないと燃えない女とか、狼にさらわれた娘とか、四つ脚のケダモノの臭いもたちこめ、どこか民話の匂いに混ざり込む。そういう空気の中に政治がヌッと顔を出す。これはもうラストシーンのためにある映画で、安易な反戦映画だと、子どもが「大人は間違ってる」と大見得を切るところだが、政治とはそんな生易しいものではない。政治は途方もなく大きな困惑として子どもの前に立ちはだかる。怒りを描く映画は多いが、困惑を切実に描いてここまで成功した映画は少ないのではないか。怒りはまた別の戦争を肯定しかねないが、子どもをこのように困惑させるものは、ただただ否定するしかない。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-07-09 10:52:54) |
76.たったいま録画していたこの作品を観ました。で、原作のほうはだいぶ前に読んでおり、ラストがどうなるかも覚えていたので、物語の行方はだいたいつかんでおりました。映画としては先生が引退する前の、主人公モンチョとのふれあいの場面をもう少し見せて欲しかったなーという気がします。(引退後も仲良く虫取りとかしてたけど) その他は兄の恋だとか、エッチなシーンを覗き見するだとかいろいろあったものの、ひとつひとつのエピソードが弱く、「これもいれとこ、アレもいれとこ的な、こんなエピソードはいらないんじゃないの・・・」という微妙な印象を受けました。スペイン人の中でも特に、スペイン内戦を経験してその当時の世相をよく知る人なら、ノスタルジーに浸りながら涙したりだとか、いろんな思いを巡らせたりとかできる物語なんだろうけど、日本人のわたしにとってはまずよく分からない、当時の彼らの心情も今ひとつ理解しにくい、という難しい作品。鑑賞前にスペイン内戦について少し調べておくか、もしくは「アテオ」(不信心者)とか物語の中でひっかかるキーワードが出てきたときにメモしておくといいかもしれません。 【☆Tiffany☆】さん [地上波(字幕)] 4点(2007-12-11 18:54:08) |