1.《ネタバレ》 まさか!と思いつつも、短編作品だけにその一瞬はあっという間に訪れてしまいました。
理不尽な事故や犯罪によってもたらされる悲劇は途絶えることなくニュースから聞こえてきますが、この作品を観る直前にも連続してそのような事故・事件が起きました。それだけにリアルに映像化された悲劇は衝撃的です。主人公を襲った哀しみと喪失感は到底想像出来ません。
そんな絶望の淵にあって、家族との別れを契機にそれまでの生活に別れを告げながらも、新たな職としてタクシードライバーを選んだダヨは、人との触れ合いだけは失いたくなかったのかも知れませんね。
そして、結果としてその職業を選んだからこその出会いを果たす。それは自らの家庭には決してなかった家族関係。否、あったのかも知れない。見えていなかっただけかも。更には見ず知らずの彼に助けを求める少女。泣き崩れるダヨ。
彼はこれからどうやって生きて行くのか?好ましからざる家族関係を見せつけられた彼は、自らの幸せだった日々を思い出さずにはいられないはず。それは彼に未来を見せるのか?それとも更なる喪失感をもたらすのか?
鑑賞後、様々考えさせられた佳作でした。ただし、実際にこのような事件に出遭ってしまった人には、冒頭の悲劇シーンは厳し過ぎる気がします。他の演出はなかったのか?そこも考えさせられました。