17.シュール、唯々シュール。日本人の私には、全てのシーンがSFの様にまるで現実感がない。しかし、これが一年前までのアフガニスタンの紛れもない現実。神の国家を標榜したこの地に神は存在しなかった。存在するものは飢餓、貧困、無知、不徳、抑圧、色とりどりのブルカ、紛争、肢欠損、そして生と死。だからと言って、退屈な社会的・政治的映画を想像したら大間違いです。サスペンスフルなロード・ムービーとして面白く、芸術的に息を飲むほど美しいショットも多数。とにかく、アフガニスタンの一日も早い正常化を願って、必見の8点献上。 【sayzin】さん 8点(2002-09-26 22:16:14) (良:1票) |
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《改行表示》15.《ネタバレ》 ■印象的なのは皆さんも書かれているように義足パラシュートのシーン。しかしあれは虚構なんですね・・・ ■義足をせびろうとする男性や、ひたすらにたかる子どもなど、言い方は悪いがロクな人間が出てこない。しかしそうした男性も例えば腕がなかったりと、一方的には責めれないところが難しい。いや順序が逆なのかな。 ■で、最後どうなったの!?描かないというのは、この流れだと監督が「逃げた」ように思える。 【θ】さん [DVD(字幕)] 4点(2010-02-10 00:14:07) |
《改行表示》14.《ネタバレ》 この映画を観て最初「退屈だな」と思ってしまった私は、すっかり平和ボケしてるのかもです。でもアフガンの現状や終盤の緊迫の取調べには手に汗握り、思わず見入ってしまいました。パラシュートで落ちてくる義足をめがけて一斉に追いかけるシーンが非常に衝撃的でした。 人形爆弾や・飢餓・強盗・義足、その全てが現実なんだなと思うと、この国に生まれた幸せを噛み締める思いです。宗教を習う場面で、上手くできないハクが一転、主人公のジャーナリストのナビ役で金銭レートも知らないのにひたすらタカリまくってるのが、生きる上の必死を感じました。 映画をあの最も危うい場面で終わらせたのはきっと、監督の意図が、同じ地球で起きていたこの現実を観客がいつまでも忘れないようにしたかった狙いだからでしょうか?ヒューマンタッチではないのがいい。しかし911テロ以前の作品なんですね。面白いとかどうとかでなく、作られて世界に配給された事自体が非常に重要。 |
《改行表示》13.冒頭からパラシュートで空から降ってくる義足とそれを追いかける地雷で足を失った人々というショッキングな映像が映し出されます。その後も、アフガニスタンの「北斗の拳」を思わせるような荒廃した社会の姿が、まるでドキュメンタリーのように描かれています。北斗の拳はマンガですが、アフガンは現実ですからね・・・・。 いま、テロ対策特別措置法問題が世間を賑わせている中で、非常に興味深い作品でした。 【TM】さん [DVD(吹替)] 7点(2007-11-11 22:31:14) |
12.この作品、テロ以前に作られたものなんですね・・・。まるで、ドキュメンタリーを見ているようで、すぐに惹き込まれました。ああいう状況下では誰の事も、言葉も、信用できない・・・悲しいことですが、それが現実でしょう。皆、自分が生きるのに精一杯ですから。他の方も書いていましたが、あえてラストを描かなかった、その事にこの映画の真髄が伺えたような気がしてなりません。 【うさぎの餅つき】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-07-22 16:58:15) |
11.《ネタバレ》 「妹と出会う」というラストを作らなかったからこそ、これはアフガニスタンの現状を伝えるための映画だというメッセージが鮮明になって分かりやすかった。それにただ悲惨な人間たちを映し出して「世界にはこんな場所があるんだよ」というだけの物語ではなく、「なぜこのような悲惨な状況が生まれたのだろうか?」という問いかけも見えてくる。 地雷によって片足を失った者たちは確かに被害者だが、この映画では、彼らはエゴイストで食わせ物の一面を持っている。 そういう汚さを監督は何度も何度も意図的に映し出している。 そして主人公に、「こういう状況になったのは他でもなく、この場所にいる人間たちに問題があるのかもしれない」と言わせている。 印象的だったのがハクという少年たちが宗教を学んでいる場面。 体をくねらせながら祈る姿は悪い新興宗教を見ているようで気味が悪い。この宗教の先生は、神さまを愛する気持ちを教えるよりも悪魔を憎む気持ちを教えていた。 悪魔とはようするに、自分たちと違う宗教や自分たちと違う民族、また違う考えを持ったものたちのこと。 そういう悪魔を憎むように教えている。 戦争の原因は「貧困」だといわれ、「宗教戦争」「民族戦争」は永遠になくならないなどと言われている。このアフガニスタンは「貧困問題」「宗教問題」「民族問題」この3つの問題がすべて揃っている。 そして子供たちは毎日、宗教という名のもとに憎しみを植えつけられている。まったく救いがたい状況だ。 この問題の解決は、「誰かが救ってやること」ではなく、「アフガニスタン自らが変わろうと努力すること」だと思う。そうしない限り永遠に続くのではないかと感じた。 【花守湖】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-02-06 13:56:44) |
10.娘のサミラの作品(『ブラックボード』)同様に、渇きを凄く感じる映画だった。そして魅せられると言うよりも、〔リアル〕を一層際立たせる映像美。ファンタジーとも思える映像の数々に、そしてラストに、「もしも更に彼方に真実があるならば・・。」と途方に暮れたのでした。 【れこば】さん 10点(2004-09-10 19:59:30) |
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9.タリバン政権下のアフガニスタンを描いた作品。どこまでがリアルで、どこまでがフィクションかはわからないが、どれもが現実なのではないかと思わせるものがあります。お話的には中途半端なところで終わっているような感じがするのですが、これはこの後主人公ナファスがタリバンに受ける仕打ちが酷すぎるので描写できないということなのでしょうか。良くも悪くも、いろいろ考えさせられます。 【tantan】さん 6点(2004-08-25 00:33:03) |
8.出来が良いとか悪いとか、面白いとか面白くないとか、そういう事を超えて迫ってくるアフガニスタンの「リアル」に、ただただ圧倒される。 【ぐるぐる】さん 8点(2004-06-05 15:47:11) |
7.《ネタバレ》 「アフガニスタンは国際社会から見捨てられた」とは元国連難民高等弁務官の緒方貞子氏の言葉である。アフガニスタンにはパシュトゥン人、タジク人、ウズベク人、ハザラ人など様々な民族が入り混じり、ソ連の侵攻後も内戦は続いていた。この映画が作られた2001年当時、世界の3分の1の地雷が埋まっているとも言われ、国内・国外難民の数はUNHCRの調べでは300万人にものぼった。そんなアフガニスタンに残した妹の自殺を止めるために姉は妹の住むカンダハールに向かう。カンダハールへの道中で映し出されるのは卑劣な人形爆弾や、飢え、強盗、義足を待つ人々など、アフガニスタンの紛れも無い現実の数々。しかし、この映画では地雷で足を失った人たちが松葉杖を付きながら、空から降ってくる義足に向かって走るという虚構のシーンも存在する。監督の意図は計り知れないが、戦争に突入後、米軍はアフガニスタンに爆弾だけでなく食料も空から落としたのだから皮肉なものだ。(その食料を広いに行く途中で地雷を踏んだアフガニスタン人も多数いたのだから、それもまた皮肉なことである。) 結末らしい結末が無いこの映画はアフガニスタンのその当時の情勢をまさに表していると思う。いつ終わるとも知れないアフガニスタンの悲惨な現実には文字通り希望のある明日は無かったのだから。そして、姉と妹がどうなったのかという結末を描いてしまったら、観客は映画が終わったらアフガニスタンという悲惨な国のことを忘れてしまうのではないか、という監督の危惧の念があったのかもしれない。姉と妹の行く末を案じると共に、アフガニスタンという国の今も気にかけて欲しいと、監督は思ったのではないだろうか。イラク戦争後はイラクの復興ばかりがニュースになるが、アフガニスタンの復興もまだ始まったばかりだという事を忘れてはならない。 |
6.《ネタバレ》 地雷はここそこにあるし、誰が信用できて出来ないのか解らないし・・・底知れぬ不安と恐怖の中、妹を助けるためひたすら前に進んでいく女性。ちょうどイラク戦争の最中に見たからいろいろリンクしてしまった。ラストの手前までドキュメンタリーを見てるように見入ってたけど・・・お願い、映画なんだからラストを頂だい! 【桃子】さん 6点(2003-10-31 19:41:24) |
5.《ネタバレ》 ドキュメンタリーなんでしょうか?で、あの義足がヘリから落下されるシーンは虚構なんですか?監督の手法なんでしょうが、ラストは、思いっきり尻切れとんぼって描き方はすっきりしないですね。まあ、映画の内容よりもあのタリバン政見下でアフガニスタンの映画を制作したってことに意味があるということでしょうか。 【ちゅんこ】さん 5点(2003-07-10 22:57:39) |
4.マフマルバフというのはいかにも「ケレン味」のある監督だ。これもその狙った感じが、嫌いな人には嫌いだろう。アフガンの現実を撮ろうとした映画ではなく、タリバーン支配下のアフガンの現実が映像化不可能だということを、世界に知らしめようとした映画。その点を間違えてはいけない。全体に、何とも言えずエロチックな映像。そこをどう見るか。 【青人】さん 7点(2003-04-27 02:36:43) |
3.日本の平和さを改めて感じた作品でした。体に傷を受ける事の悲惨さが日常となる恐さ。そして体だけではなくいろいろなものを失っていく。争っていて良い事は生まれないことを痛感しました。あちらの実情を感じるためにもオススメです。 【チューン】さん 7点(2003-01-13 21:36:39) |
2.↓これって“あの”事件以前の話だったんですね…。だけど内戦に揺れるアフガン国民の現実をまざまざと見せつけられたって感じ。地雷で四肢を失いながらも生き続ける人々の姿が痛々しく、武器を掲げる少年には胸を締めつけられる思いだった。それにしてもアフガンの人のたくましさは、いい意味でコテコテ(笑) 【びでおや】さん 7点(2002-08-08 00:11:57) |
1.ドキュメンタリータッチでありながら、ヘリからパラシュートで義足が降って来るというシュールな虚構を取り入れることにより、事実よりもより一層生々しく“アフガニスタンの現実”が伝わってくる。内戦の悲劇を一歩引いた視線で捕らえ、淡々としかし目を逸らすことなく描く。この映画が9・11同時多発テロの前に撮影されたものであり、テロゆえに注目を集めたことも観客は忘れてはいけない。話題にして終わり、という扱いは許されないはず。 【山岳蘭人】さん 6点(2002-02-09 22:10:41) |