53.《ネタバレ》 たまたま“○○物語”というのを立て続けに観ました。邦画で“○○物語”というと、だいたい3パターン。
①昔話のタイトルそのまま ②偉人の伝記 ③可愛い動物モノ。
本作は③になるのは皆さんの想像通り。え?REX可愛くないって?そりゃそうでしょう、だって本作の可愛い動物=安達祐実なんだから。
当時大人気の演技のできる子役・安達祐実を、まるで子猫のように色んな角度から愛でよう。というのが本作の意図だったんだろう。
子役に恋愛モノをさせるのもアリだったけど、宮崎事件の爪痕も生々しい当時、ロリコン趣味と誤解されたら大変だろうし、無難に子供向けの冒険ファンタジーの仕上がりだ。
恐竜は二の次。犬でもシャチでも猫でも良かったろうけど、スピルバーグがジュラシック・パークを作っているし、REXの公開に合わせて恐竜が流行るだろう。という角川監督の先見の明は見事。安達祐実と赤ちゃん恐竜。チケットとグッズが売れれば万々歳だ。
だけど幸か不幸か、安達祐実の撮り方があまりに普通。表情も衣装もただの子役のソレでしかない。彼女の女優として光るもの、大人が観てハッとする表情とか、それこそ安直だけど水着姿なんかも入れない。角川監督は安達祐実をあくまで子供•可愛い小動物として見ていた結果だと思う。
安達祐実の女優としての才能は、後の家なき子から開花するけど、もし角川監督が彼女を、チャトランでなく原田知世や宮沢りえと同じように扱っていたら、この映画も化てたかもしれない。
じゃあ珍獣REXは売れそうか?同時期のジュラシック・パークを観てしまうと、どう考えても子供だましな出来映。ティラノサウルスの模型と並んだREX、頭の形がぜんぜん違う。REXが成長してあのティラノサウルスになるとは思えない。
REXってよく見ると亀っぽい。頭のカタチとか。孵化させる際にウミガメの卵を使ったって言ってたから、REXは亀と恐竜のハイブリッド生物かも知れない。…なんてカルロ・ランバルディは考えたのかも。亀だから海藻代わりに草とかピーマンとか食べるのか?うん。でもやっぱ可愛くないなぁ。
可愛いだけの小動物(安達祐実)と、可愛くない珍獣(REX)の映画。もう、監督も何を楽しみに撮れば良いのか困ったハズ。あ!・・・いや。
十勝が舞台なのに、全然北海道感がないのも酷い。立野家のロケ地、まるで雄大なアメリカの田舎みたいだけど大分県だとさ。あの神秘的なジャングルはギアナ高地なんだってさ。どうりで見覚えのない山だと思った。
でも屈斜路湖の御神渡り(凍った湖が割れる現象)っぽいのとか、今はなきグリュック王国っぽいところが出てきたのは嬉しい。
そうそう、親子ピーマン対決は見応えがあった。ほかに褒めるところを探すのが難しい映画。