2.《ネタバレ》 本作で根底に流れているテーマは「愛の力」。
愛さえあれば、人はどんな“どん底”からでも這い上がれる。
そんな前向きで楽観的なメッセージが伝わってくる作品です。
その反面、アル中である人間が更生を夢みて前に進もうとするが、ちょっとした一言でその夢は儚くもくずれ、その後首をつってしまうという、「人生、一寸先は闇」といったシリアスな面も描いています。
また、「友情」「仲間意識」「嫉妬」「愛と金と権力」など、様々な人生に関するテーマがてんこ盛りで、人生勉強すらできてしまうという内容。
ジャン・ルノワールに対し、私はブルジョアというイメージを持っていました。
しかし、そんなルノワールが、こういった社会の底辺にいる様な市井の人々の暮らしや気持ちを、ここまで詳細に描けるなんて、とても驚きました。
ルノワールという監督は、何て幅が広いんでしょうか。
本当に驚きです。
この人間的な幅の広さこそが、ルノワールをして、巨匠と呼ばれている所以なんじゃないでしょうか。