《改行表示》41.バティニョールおじさんは、ぼやき顔が良く似合っている。 朝5時から夜まで、働いているだけのおじさんは、家の中では影が薄い。 いろんなことに納得しているわけではないけれども、 言っても仕方がないし、奥さんその他になんだかんだ言われるのも面倒。 ま、商売がうまくいくのはいいことだし、ドイツは敵国だけど、今は逆らっても仕方ない。 だけど、目の前に居る子どもを密告するのはもう嫌だし、放っておくわけにもいかないし・・・ 世話をしているうちに、どんどん巻き込まれていく。 おじさんが良い人、正義の人かって言ったら、違うと思う。おじさんは、普通の人。 だけどおじさんは、前の戦争でドイツ軍と前線で戦った。それは誇らしい思い出。 なのに、敵国ドイツの言うがままになっている今のフランスがやっぱり腹立たしい。 気がついたらドイツの協力者として、動かされてしまっている自分だって気持ちよくはない。 そんなこんながいろいろ絡まりあって、巻き込まていくうちに、思いもよらないことをやってしまう。どこか困ったような、ぼやいた顔をしながら。 【mogu】さん 8点(2004-08-13 14:49:47) (良:2票) |
《改行表示》40. ライトコメディみたいなのを勝手に予想していたのですが、予想を覆すシリアスで結構重い内容のドラマでした。まさかナチスものだったとは。実話だというのも驚きです。 美術商に逃亡資金のために画を売りに行ったとき、事情を察した美術商は『そこまでする価値が?』と問います。すかさず答えるバティニョール。『俺にはある。』一見飄々としたバティニョールおじさんの本音、その本音の中には覚悟と信念が存在することを示す重要なシーンです。 そう、これはまさにバティニョールおじさんの罪滅ぼしの物語。 自分がハム泥棒と間違えてユダヤの一家にクレームをつけに行ったがために、ユダヤの一家は逃げ遅れてドイツへ連行されてしまいます。ドイツの強制収用所へ送られることがどういうことか。 ところが、一家の息子が駅で脱走し、バティニョールおじさんの元へとやってきます。最初は関わりを持つことをためらうバティニョール。これも重要なシーンでしょう。ここですぐに子供を匿うことが人としては正しい行いなのですが、それができないくらい逡巡してしまう、そんなバティニョールを見せることで当時のパリ市民の置かれている微妙な環境というものが非常にリアルに伝わってきます。 プロットとしては、『ライフ・イズ・ビューティフル』に似ているかもしれません。 ストーリーだけなぞれば重く息苦しく理不尽な戦争ドラマ。ですがバティニョールおじさんというキャラクターが見事にその雰囲気を中和させています。 子供達は結局両親と生涯会うことはできなかったそうですが、バティニョールおじさんが子供達の『パパ』になることを示唆するラストに一筋の希望を感じることができました。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-02-22 20:53:16) (良:1票) |
《改行表示》39.主人公のパリで精肉店を営むごく普通のバティニョールおじさんを通して、反ナチス組織でも何でもないけれど、関わることになってしまったユダヤ人を匿い、命を救いたいと奔走したナチス占領下のパリ市民が描かれる。 その一方で平気な顔で市民生活の中に入っていたナチスや密告屋の存在も描かれ、前半のバティニョールおじさんのように自身の心情とは裏腹にナチスに協力的な姿勢を演じざるを得なかった当時の多くのパリ市民が置かれた状況も伝わってきます。 重さや涙を誘う演出は控えられ軽いタッチで作られた作品ですが、ユダヤ人の子どもを匿って以降のおじさんの行動、ユーモアのあるおじさんと子ども達の触れ合いからは優しさや人情が感じられ、そんなバティニョールおじさんを演じるジェラール・ジュニョの持ち味がとてもよく出ている作品です。 【とらや】さん [DVD(吹替)] 7点(2011-03-06 17:33:09) (良:1票) |
38.占領下のパリで、進駐ドイツに日和見的な肉屋のムッシュ・バティニョールがひょんなことからユダヤ人少年を保護することに。 最初から最後までスリリングで飽きさせず、「重い題材でもできるだけ軽く描きたかった」のは結構なんだけど、「しょせん人間なんざそうキレイなモンじゃない」といった主演・監督・脚本のジュニョさんの開き直り・強引さはちょっと気になったかな。(人間を動物として描くリアリズムって当り前すぎて高級と思わないので) 俳優が本業のためか一本調子なのが印象を浅くし、子供向きでもないしウサギ好きな人にも向かないか。 けど必ずしも好人物でないオジサンが、知らず知らずのうちに子供たちに肩入れしていくのがこそばゆくも嬉しき奮戦ぶりで、「がんばれ!」と応援したくなる。 怪我をしたナチス将校をヘタレに、フランス警察をワルに描いたり、聡明さと子供らしさが共存するシモンは結構したたかと変則的な描写もおもしろい。 スイス国境でのおじさんの翻意も胸が熱くなった。 農場の少年マルタンは「ピエロの赤い鼻」の男の子。 【レイン】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-01-03 00:00:01) (良:1票) |
37.《ネタバレ》 主人公のおじさんは部長になれない課長タイプ。要領が悪く出世出来ないが働き者で面倒見がいい。そんな普通のおじさんがユダヤ人の子供をかくまいスイスに逃がす。とにかくやるときゃやるおじさんに好感がもてる。せこせこ動いたり、子供に手を焼く姿も「様」になっている。ラストは素晴らしい風景も手伝って、すごく後味がいい。類似品が多い題材だけど、なんていうかこの普通さや、軽さなんかは他の作品とは違って心地よい。序盤で「このおじさんで最後までいけるのか??」と思ったけど、なんとまぁおみそれしました。 【オニール大佐】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-09-09 22:09:12) (良:1票) |
《改行表示》36.《ネタバレ》 一昨日衛星で深夜やっているのを、ついつい観てしまいました。 こういう普通の俗っぽいオジさんが成り行きで英雄的行動をとることになってしまう話が私、大好きなんです。 多分、いかにもヒーローという力強いハンサムなお兄さんなんぞがこういうことやるってのは、ツクリモノめいてシラけるとか、コミカルな味を出すにはその辺のオジさんが最適だとかいろいろ理由はあるんでしょう。でもそういう理由以上に、このオジさん俗物ぶりが私たち観客に、自分自身と重ね合わせ易くしていること、それが大きい効果を生んでいるような気がしてなりません。 「もしも私ならどうするのだろう、オジさんのように命の危険を冒しても赤の他人のユダヤ人の子供を助けることができるのだろうか?」……多分、ぎりぎだけど、出来そうな気がするって思った人結構いるんじゃないでしょうか。娘のフィアンセ殺害もあそこまでいっちゃっていたら、ああするより他ないような気がします。だってあのままゲシュタポに通報されたらオジさんだってただじゃ澄まないでしょ。もちろん本当にできるかなんていうのは、全く別の問題なんだけれど、「こういう非常時に自分も勇気ある行動とれるかも」という錯覚を抱かせる、この映画その辺のバランスが絶妙なんですよね。 地味ながら良作。ハラハラ感やその中にもクスリとさせるユーモアのセンスも良いです。ライフイズビューティフルなんかの無理無理さに較べりゃ、ずっといい作品だと思いますよ。 【ぞふぃ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-06-26 13:17:33) (良:1票) |
35.《ネタバレ》 ナチスによるユダヤ人迫害映画にありがちなバッドエンドになっていないので後味はいい。主人公のおじさんは、最初子供を追い出そうとしたりと邪魔者扱いしているけど、見捨てられずに結局危険を冒して子供達を助けようとする。そこに人間臭さというか、どんな時代でも残る人間の良心への希望のようなものを見た。 【こまごま】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-01-04 12:07:37) (良:1票) |
《改行表示》34.《ネタバレ》 見終わった後とても爽やかな気分になりました。(まあ、決してハッピーな話ではないのですが・・・・)素晴らしい作品だと思います。 普通の肉屋のおじさんが、自分のせいでナチスに捕らえられたユダヤ人家族の子供を中立国のスイスまで送っていくのですが、様々な難関が待ち構えていて、最後までハラハラドキドキの連続です。(ただ軽快なテンポで進んでいるので、暗さは無いです) ユダヤ人の少年と主人公の関係も、最初は家族や家を奪われたこともあり、わだかまりが残っています。でも、主人公の熱意がその垣根を徐々に取り払っていきます。(完全に無くなる事はないでしょうが)。そして、おそらく親が教育熱心だったのでしょうけど、この少年が機転の効く賢い子なので、主人公といいコンビを見せてくれています。(結構小憎たらしいところもあったりしますが) とても、心が温まる作品でした。 【TM】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-04-16 22:26:42) (良:1票) |
33.ユダヤ物は基本的には嫌いなんですが、バティニョールおじさんいいですね。自分がユダヤ人一家を引き止めた事により彼らの運命、そして自らの運命をも変えてしまう。連行される彼らの目、この目から逃れるため、贖罪のために行動を起こす。危険を冒してまで行動する中で、やがて単なる贖罪から子供たちの父となることを選ぶ。おじさんの贖罪意識は当時の多くのフランス人の気持ちを代弁していると共に、今生きるフランス人に対して忘れてはならない自分たちの罪を強く訴えている。 【亜流派 十五郎】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-01-27 23:31:51) (良:1票) |
32.《ネタバレ》 「何で俺がこんなことを・・・」と言いながらも、子供たちの世話を最後まで焼いてしまうバティニョールおじさん。彼だって子供達にイライラしたり、妻子ある身でありながら、逃亡中に匿ってくれた女主人となぜかいい感じになったり・・・と、根っからの善人ではない、そこら辺にいるようなしょぼくれたオッサン(失礼!)なのがリアルでポイント高いです。それだけに、ラストで「俺も一緒に行く!」と、子供達と旅を続けることを選択した場面では彼の心の変化を感じ取ることができて、観ているこっちも優しい気分になりました。 【ライヒマン】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-05-08 20:36:38) (良:1票) |
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《改行表示》31.《ネタバレ》 ユダヤ迫害系の映画はいろいろありましたが、この映画は充分面白い部類に入る映画だと思います。主人公のちょっとした行動で、とある家族が1人を残し収容所送りに…へヴィだな。そりゃ罪滅ぼししないと、やりきれんわな…自己満足かもしんないけど。 これほど主人公に感情移入できる映画はそうそうないと思う。 【ふくちゃん】さん 7点(2004-06-14 01:57:28) (良:1票) |
30.《ネタバレ》 1942年のパリというと、他のドイツ占領下の国々と違いはなく、ユダヤ人への弾圧がまかり通り、密告などが公然と行われていたという暗い時代です。そんな中、主人公ジェラール・ジュニョ演じるエドモン・バティニョールは、時代に翻弄される不器用な精肉店主をしています。彼の目を通して描かれる当時のフランス社会は、自由・平等・博愛の精神などどこにも感じられない、その場の雰囲気に流されがちな人々が大半を占める社会です。もちろん自分たちがナチスドイツやその手下に捕まりたくないと思っているし、だからといってユダヤ人を、ナチス親衛隊やゲシュタポのようには扱わないけれど、ユダヤ人の住居を手に入れ財産をのっとるなどのことは、ごく自然なことであり、エドモンも成り行きで隣の大邸宅を手に入れます。このあたり、主人公を単なる善人に描かないところが、自然で好いですね。ドイツ軍を上手く手玉にとって儲けることしか考えていない妻や、狂信的なナチス協力者の娘婿などに囲まれ、その日その日を成り行きに任せて過ごしていた彼の人生が、隣家の息子シモンの帰宅で大きく変化します。エドモンとの会話は、当時のフランス社会がユダヤ人に対して持っていた偏見や嫌み、さらにそういうフランス人自身への皮肉も効いています。やがてシモンの従姉妹が二人増え、いつまでも隠し続けられず、秘密はバレてしまいます。その後、ある事情で家にいられなくなったエドモンは、娘と妻をノルマンディーの親戚に避難させ、自分は子供たちを連れスイスへと逃げることにするわけです。この過程で、捕まった警察署でエドモンが抗議する場面は、なかなか感動ものです。単なる一介の肉屋のオヤジが、先の戦争(第一次世界大戦)の話を出したり、納税や、社会正義、真の自由などについて説教をタレるわけですが、この辺、隣家のユダヤ人に対する謝罪の気持ちなども込められ、それをシモンに聞かせるという意味合いもあります。金持ち医者の生意気な息子であったシモンが、エドモンとの交流を通じて、人間として成長する過程も見ものです。ナチスドイツのやフランス警察などに追われて、緊迫の逃亡をしているはずなのに、ピクニックに来ているかのような綺麗な青空とのどかな田園風景、これは戦争などなかったら、世界はこんなに素晴らしいんだよということを教えてくれるのだと思います。彼らがどうなったかは、ご自分の目で確かめて下さい。 【オオカミ】さん 8点(2004-03-09 06:04:17) (良:1票) |
29.数あるナチス物の中では気分が暗くならずに見れた作品です。おじさんの勇気ある行動が3人の子供を救うのですが、おじさんは特別の善人では無くどこにでもいるただのおじさんと言う所に好感が持てます。これと同時に「アンネ・フランク」も見たのですが見終わった後に何とも言えない空しさがこの映画には無かったです。ナチス物で初めてでした。 【あずき】さん 6点(2004-01-24 14:05:06) (良:1票) |
28.舞台は第2次大戦中のドイツ占領下にあるパリ。愛や希望を失ってしまった不幸な時代にあってなお、それらに押し流されまいと人々は必死に生きようとしていた。そんな中でも、ユダヤ人を強制収容所送りにする為ナチスに密告するといった、人間の最も醜い姿がある一方で、彼等を匿ったり逃がしてやったりと、正義感を伴った人間本来の美しい姿がある。本作はこういったまさに庶民レベルでの両者の戦いの物語とも採れる。主人公を冴えない中年の肉屋の親父(=バティニョール)にしたことで、この悲劇的なテーマがユーモラスで人間味溢れる作品になり得たのだが、このあたり自作自演のJ・ジュニョは、その風体からしてまさにハマリ役。ひょんな事から匿っていた子供たちをスイスへ脱出させるという、コミカルさからスリリングさへと場面展開していくが、その筋運びには些かの誇張もないだけに、十分に説得力があり面白い。結局、人間の尊さや人間の良心への問いかけをすると共に、この愚かしい大人たちの現実世界から、未来を子供たちに託すという、祈りにも似た気持ちを感じさせる作品だと言える。陽光と緑に包まれたエンディングも実に爽やかである。 【ドラえもん】さん 8点(2003-07-26 00:19:01) (良:1票) |
《改行表示》27.《ネタバレ》 匿った理由は、小さな子供を放っておけなかったのももちろんあるでしょうが、わざとでなくても一家が連行されるきっかけを作ってしまった後ろめたさでしょうね。その後ろめたさから始まり、最後は一緒に丘を降りていく。その見下ろす眩しい風景も相まって、朗らかな感じで終わったように思います。 ユダヤ人強制連行の話で、いい終わり方をする映画ってあまり印象にないので、その点では割とおススメできるかもしません。 ただ一つ思ったのですが、あの少年が本当に賢い少年だったら、すんなりスイスに行けたような。。。 【マー君】さん [DVD(吹替)] 6点(2016-09-24 13:25:06) |
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《改行表示》25.《ネタバレ》 特別な印象には残らないが、見ていて心地よい作品。 彼らを救うことになぜバティニョールおじさんはそこまで熱くなれるのか、短い映画の中であまりよく伝わってこなかったのが残念。 【T橋.COM】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-08-06 00:46:58) |
24.ヨーロッパ映画によくあるおじさんと若者モノの中では悪くない印象。でもこれだけありふれてるとなんか普通。 【色鉛筆】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-12-11 22:01:54) |
23.全体的には一人のお肉屋さんが奮闘する様は冷酷なる人権問題を背景にしながらも、穏やかでハートフルで頼もしさすらある。後味は悪くないが、たびたび訪れる危機を乗り越えていく様がどうしてもわざとらしく感じてしまう。一貫して無償の善に走ってしまう主人公は愛すべき存在だろうが、及第点には及ばない印象。 【Andrej】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-10-09 03:40:08) |
22.《ネタバレ》 ジェラール・ジュニョがすごく良かったです。「セントラルステーション」同様に、本人が望んでいたわけではないのに巻き込まれてしまい、しかたなく子供を助けるのですが、逆にそこのところが良いと思います。こういう巻き込まれ型おせっかい映画大好きです。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-07-05 03:56:10) |