5.《ネタバレ》 ジャン・ギャバンの登場シーンがいちいちかっこ良い。相変わらず男としてのかっこ良さ、それも大人の中年男にしか出せない渋さというものが滲み出ている。冒頭の夜の街道を走るトラック、主人公ジャン(ジャン・ギャバン)ともう一人、とても十八には見えない大人の色っぽさ十分の少女ネリー(ミッシェル・モーガン)の二人が歩く後ろの風景、どれもが詩にでも出てきそうな感じの美しさ、話そのものは特別面白いとも感じないし、犯罪映画にしてはそれほど緊張感も感じない。しかし、作品全体の雰囲気、舞台設定の美しさと登場人物が皆、人間臭くて良い。あの犬もどことなく愛嬌があって良い。最後、殺されてしまうジャン・ギャバンのもとへと駆け寄る犬の姿が何とも悲しい。あの波止場の景色、タイトルにもある霧の立ちこむ美しさ、ジャン・ギャバンは「望郷」という映画でも同じように波止場によく合うそんな俳優だと改めて思ったと同時にこういう役柄、脱走者の役がピタリとはまる。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2008-08-17 18:00:30) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 ジャン・ギャバンが霧の立ち込める港町にやって来る始まりのシーンが、これから先の顛末を予見させて良いですし、登場するキャラクターたちもそれぞれが個性的で面白いです(僅かな登場では特にネリーに言い寄ってくるチンピラと一緒にいる冷静な男が印象的)。しかし本作はやっぱりジャン・ギャバンとミシェル・モルガンの映画でしょう。ミシェル・モルガンは当時なんと18歳!とは思えぬ色香がありますし、あのピカピカのコートの美しさったらないです。ジャン・ギャバンもこれが男だとばかり実に魅力的に映っていて、だからこそラストに路上で撃たれてしまうシーンではとても悲しくなってしまいます。・・・ただ一つ欲を言えば犬の使い方で、登場シーンとラストの余韻を残す部分は良いのですが、ずっとついて来るのですから中盤でも巧く使って欲しかったですね。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-07-08 18:28:52) (良:1票) |
《改行表示》3.《ネタバレ》 ジャン・ギャバンがまだ若い。 植民地帰還兵の役で、少し不良っぽくて、そのくせ惚れっぽい。 最後は安直に撃たれて死亡でFINの文字。 つまらなくもないが、なんだか物足りない。 ジャン・ギャバンを主人と慕う犬が、とても良いアクセントになっている。 主人の死を悟り、駆け出すワンちゃんが印象的! 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2020-12-22 15:41:09) |
2.フランス映画ならではの哲学的な台詞がゲージュツ的な白けるものではなく、詩情豊かで聞き入りました。ミシェル・シモンとピエール・ブラッスールの見下げ果てたゲスっぷりが際立っており、予感通りの結末に物語が導かれてゆきました。ミシェル・シモンの本質を見抜いていた(!)頑固で義理堅い犬の存在感も印象深い。脱走兵というセリフが皆無であってもそうだと分かる主人公が辿る運命を見事な演出で紡ぎあげた傑作。 |
1.女はどんな女なのか、男はどういう過去を持つのか、台詞の断片から想像はつくものの映画の中では説明はほとんどない。それこそ霧に包まれ重苦しさだけが漂う。そしてその霧が晴れようかという寸前に悲劇が起こり、恩を受けた犬が主人?の元へと走る。理屈でなく感覚で見て感じとる映画で深く印象に残る。少女にはおよそ見えない大人びたミシェル・モルガン、30代前半にして中年の渋さが光るジャン・ギャバン、この独特の雰囲気がたまらなく良い。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-06-05 21:20:00) |