《改行表示》262.《ネタバレ》 主人公は感染していませんがとても凶暴でした。兵士のめんたまのなかに指をいれてぐりぐりして絶命させています。もしゾンビが喋れるならば「やりすぎ!」と言うと思います。もしこれで主人公が感染したら恐ろしいゾンビになりそうです。ちなみに人間たちはゾンビに殺されてしまう恐怖よりも、集団から孤立している事実に怯えている。この映画の本質はゾンビとの戦いではなく、孤独との戦いだと思います。そして孤立している人間が他の人間と出会ったときの安堵感がひしひしと伝わってくるのが素晴らしい。主人公がハローと叫びながら、無人の荒野と化した街をさ迷い歩いているシーンがあり、そこから2人の男女の仲間と出会ったときなどは、観ているこちらのほうが思わず安堵してしまう。またマンションの最上階でがんばっている父娘がようやく仲間と出会えたときも、なにかとても嬉しい気持ちになれる。死ぬか生きるか?という問題よりも、いつ孤独から解放されるのか?ということに興味をもって最後まで観る事ができました。そういう意味でDVD版のラストシーンはとても満足できる。ヘルプではなくハローには大きな意味がある。主人公は常にハローと言ってきた。彼は強烈にコミニケーションを求めていたことが分かります。孤独からの脱出。これこそこのゾンビ映画の本質です。ラストシーンにカタルシスを得ることができました。孤独な世界観が素晴らしいゆえに、人と人とのふれあいの重要性を再認識させてくれます。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-05-23 21:23:41) (良:2票) |
261.少々危険な発言になってしまうが・・・何故人は人を殺してはいけないのか?いや、人は人を殺すのである。自分が生きる為には、他人を殺してでも・・・それが動物としての人間の本質である・・・と思う。じゃあ、他の動物と人間の違いである”理性と知能”はどこにあるのか?確かに、それによって人間は”社会”というものを作り、そこに”秩序”を持たせる事で”互いに殺し合う”事を抑制しているように見える。しかし、そんなものは、”自分が生きる為”という本能の前では簡単にぶっ飛ぶであろう。所詮は人間も動物。戦争も国と国がお互いに”会議室”で戦略を決め、スマートに(知的に)戦ってるように見えるが、前線に立っている兵士にとっては、まさに”やらなきゃ、やられる”極限状態なのだ。そこに、今まで社会生活で築き上げてきた理性と秩序はない。”理解できない”という人は、まだまだ秩序の中でしか生きたことがなく、そんな極限を知らないからだ。じゃあ、精神の幸福を願う宗教とは、何なのだ。それについては、またの機会で。 |
《改行表示》260.《ネタバレ》 全体を通して目立つ斜めに構えられたカメラアングル。緊迫した場面での異常なまでのクローズアップ、ぶれる画面、細かいカット割り。それらは、緊迫感や閉塞感、疾走感を表す表現なのだろうけど、自分にとってはただただ見にくく、解りずらく手段と目的が噛みあっていない印象を受けてしまった。独特の表現方法が合うか、合わないかで評価が大きく分かれると思った。 誰もいない町を彷徨う前半からは、絶望、終末感を感じたが、軍と接触してからの後半は、「死霊のえじき」で観たようなテーマ性、展開を感じたし悪く言えば小さくまとまってしまった気がした。 ただそれまでずっと固定されたカメラの俯瞰ショットで捉えられていた、ただただ町を彷徨う姿が、マンチェスターに車で向かうシーンで始めて行動に目的が生まれ、その瞬間、車の移動とカメラの動きが噛み合い、程よい距離感で車が捉えられ、タイヤの回転と共に、主人公達の中で間違いなく何かが動き出したことを暗示させる場面では、絶望の中で生まれた一時の爽快感、希望を感じた。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 6点(2016-04-06 16:18:48) (良:1票) |
259.《ネタバレ》 ボイル&ガーランドは超凡作「ザ・ビーチ」のコンビだったので不安があったのですが、本作は見違えるような素晴らしい仕上がりとなっています。終末ものの映画としては、傑作に加えてもよいほど。本作はロメロによるゾンビサーガを忠実に作り直したものなのですが、そのロメロ愛は非常に深く、本家の正式リメイクである「ドーン・オブ・ザ・デッド」やロメロ自身による続編「ランド・オブ・ザ・デッド」以上にサーガに近い仕上がりとなっています。。。本作が他のゾンビ映画よりも決定的に優れていること、それは破滅後の世界を徹底的に構築したことにあります。ロメロはゾンビを通して人間社会を描こうとしていましたが、78年の「ゾンビ」以降に製作された多数のエピゴーネンは同作の強烈なスプラッターのみに注目し、ロメロが重視していた社会性は引き継がれていませんでした。しかし唯一本作だけは、「世界がメチャクチャになった後、その中に取り残された人々はどう生きるのか?」「社会という枷が外された時、人間性はどのような形で残るのか?」というテーマを中心に据えています。破滅後の世界に生きる人々の生活は理詰めで考えられていて大いに説得力があり、そうやって世界観が丹念に作られているからこそ、その上のドラマも活きてきます。下劣な軍隊と主人公達との殺し合いがはじまる後半は見ていて気持ちの良いものではないし、またこの展開については「人間同士の殺し合いになったんじゃ、ゾンビが関係なくなるじゃないか」という批判もありますが、剥き出しになった欲望の衝突こそがロメロゾンビの真髄。これをクライマックスに持ってきたダニー・ボイルは、よく分かっている男なのです。。。さらに、本作はビジュアル面でも見どころの多い作品となっています。ダニー・ボイルはロメロよりも引き出しの多い監督なので、映像的にはオリジナルよりも本作の方が勝っています。無人となったロンドンの描写は絶望感と開放感の両方を味わわせるし、ゾンビに襲われる場面での恐怖演出も見事なものです。走るゾンビは本作が初登場となりますが、監督のビジュアルセンスに支えられてこれがインパクト大。並みの監督が撮っていれば、「これのどこがゾンビなんだよ。どう見ても人間だろ」と思われたところですが、これをきちんと「かつて人間であったが、今は人間ではないもの」として描写できています。 【ザ・チャンバラ】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-09-11 16:23:44) (良:1票) |
258.《ネタバレ》 感染者たちも28日後には死亡するという意味で終盤に2度目の「28 days later...」が表示された。ジェット機から捕捉した橋の上の死にかけた映像はそれを物語る。だから最後のHELLOが生きてくる。それは終息であり希望である。この希望に救われた気がする。 【デヘデヘ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-08-09 13:32:36) (良:1票) |
257.《ネタバレ》 感染猿は全然凶暴じゃなかったですね。目が赤くないし。あれでは動物保護団体も警告を無視して逃がすでしょうね。でも猿に人間の暴動映像を10台のモニターで見せて、どんな意味があるの?主人公ジムがヘタレなのは、非常に怖がらせて観客の恐怖を煽るためかと思いきや、表情が少なく、怖さが伝わってこなかったです。噛まれると即感染、20秒で化身、高速で走るゾンビ(感染者)は素晴らしいアイデアです。火まみれでも走るのをやめないし。何故人間を襲うのか、昼は何をしているか、普段何を食べているのかなどは不明です。ゾンビ同士は仲がよさそうなので、感染してもそんなに不幸ではないかも。死体から血が落ちる場面がありますが、血は凝固するのであれはなしです。フランクがあえて危険なトンネルを行くのに合理的説明が欲しかった。時間がないとか。途中、銃店で銃を入手すればいいのに。時折挿入される美しいショット、花畑、燃える町、何もない高速道路、馬の親子などは生死の対比をうまく表現しています。力量のある監督ですね。ただピクニックみたいにお気楽にすごしているシーンはやめましょう。おびえてないとダメです。この映画の主題は「ゾンビからのサバイバル」ではなく「人間の本質を描く」でしょうね。助かるためには仲間でも感染者は即殺さなければなりません。それが少年であっても、フランク(少女の父親)であっても。生きるためには、愛するものを殺さなければならない過酷な運命です。そんな立場に立たされたとき人間は何を考えるか、考えさせられます。そんな辛い経験をして、やっとたどり着いた避難所でしたが、そこでの軍隊が異常でした。「殺しあいは人間の本質で生存の掟。昔から変らない」という持論をもつ少佐に支配されている軍隊。兵士たちは少佐の毒に感染してしまったようです。少佐は女性を兵士たちに与えようとします。すると、これを阻止しようとジムが軍隊と闘うという無茶な展開へ突入。いやはや恐れ入りました。そっと助け出すんじゃなくて、皆殺しにします。ここでのジムの心境は十分に描かれていません。また仲間を即殺すほどクールで強気だったセリーヌが、後半弱気キャラになっているのも不自然です。ハンナはラリっちゃうし。最後はHELLOではなくSOSでしょ。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-04-04 21:11:57) (良:1票) |
256.《ネタバレ》 出だしは良かったです。たとえ身近にいた者でも、感染したら躊躇わずに殺す。凶暴になる前に殺す。正当防衛も成立しないので、それって立派な殺人ですよね。その思い切りの良さとシビアさに期待感が膨らみました。でも後半はいただけない。ストレスを感染者から軍隊にスライドさせると、ストーリーの核が無くなってしまう。それも軍人たちの女日照りの下半身問題によって。レベル低い。あくまで感染者と健常者の戦いの中で何らかの決着を付けて欲しかった。グローバルになりえる設定を無理に矮小にまとめた印象でもったいない。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-03-22 20:08:52) (良:1票) |
255.《ネタバレ》 高速ゾンビ、楽しめました。こんな事あってもおかしくない時代だなー、なんて思いながら観ました。それから、アングルやトーンなど怖さをだすディテール作りにセンスを感じました。 ハッピーエンディングの方が、映画としては綺麗に締めてて好きです。なんでマルチエンディングなのかは疑問。 【ポテサラ頂戴】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-12-10 14:57:54) (良:1票) |
254.《ネタバレ》 人の気配が無いロンドン。この殺伐さ、この異様さがかなりいい。襲い掛かってくるのは、死人が蘇るゾンビと違ってあくまで人間。未知のウイルスによって凶暴化した人間。そこにドラマが生まれる。ゾンビなら例え自分の親であろうと一度は死んでるんだから親ではない別の生き物として見ることも出来ようが、こちらは感染者、つまり狂犬病にかかった人みたいなもん。だからゾンビが人を、人がゾンビを殺しまくることにホラーとしての楽しみを見出したこれまでのゾンビ映画とは違い、愛するものを殺さなければならないという悲しいドラマを付加させる。そこを突き詰めちゃうとかったるくなるんだけど、ギリギリのところでうまく抑えている。感染者のありえない高速移動も新しい化け物ぶりを見せつけていて面白い(が、新しいという部分が面白いのであってここから生まれるスタイリッシュさはどうかと思う)。終盤、軍の生き残りと合流し、そこで繰り広げられるエゴイスティックな思惑がうずまくドラマは、なるほどこれはダニー・ボイルの映画だったと気付かされると同時にそれまでギリギリ抑えられていたかったるさが一気に押し寄せてくるのだった。前半はけっこう面白かったのになあ。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-09-04 16:04:55) (良:1票) |
253.《ネタバレ》 私見だが‥コレはロメロへのオマージュ(パクリ)を装いつつ、実は冒頭に登場した「おサルさん救出隊」を通して某グリ●ンピースといった動物愛護団体を痛烈に風刺したかっただけなのでは?「何とも偽善チックなおめーら動物愛護団体の活動も、あんまり度が過ぎるとコレみたく国を滅ぼしちゃう元凶になっちまうかもしれねーぞ(笑)」みたいな。そう考えると無人のロンドンで「Hello~!」辺り迄に殆どやりたいコトやり尽くしたカントクが急速に”やっつけ”モードにシフトしてグダグダな展開になってゆくのも妙に納得がいく。「あ~何かもうめんどくせーなぁ。後は『ゾンビ』とか『死霊のえじき』とか『バイオハザード』とかをテキトーに丸パクリしちまえやオラ」byダニー・ボイルみたいな。…6点マイナス。 【へちょちょ】さん [DVD(字幕)] 4点(2006-02-08 11:51:26) (良:1票) |
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252.《ネタバレ》 ゾンビものってあんまり恐くないです。この映画もゾンビのスピードが速い分迫りくる恐ろしさはあるけど、厳密にゾンビじゃなくて感染者だから普通の人間の耐久性で、なたで切ったり銃で撃ったりすると特に粘り無く死ぬし、飢餓で弱るし・・・、う~んって感じですね。最後は「HELLO」じゃなくて「HELP」の方が文字数少なくてよかったんじゃない?(笑) 【february8】さん [DVD(字幕)] 5点(2006-01-09 21:33:07) (笑:1票) |
251.ゾンビ映画なのにさわやか。死を対比させることで、生が輝いてみえる。 【paraben】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-12-04 22:23:31) (良:1票) |
250.新機軸を期待させながら、結局はありきたりの着地点に向かってしまうので、個人的にはかなりがっかり。人間は本質に於いて「感染者」と変わらない…なんてこと、もう言われなくても百も承知してます。同じテーマでも、もう少し話の作り様はあった筈。本当にこれじゃ「ゾンビ」のまま。クライマックスに軍人の狂気を持ってくるのも陳腐だし、感染者の襲撃も少な過ぎて恐怖感やバイオレンス感も薄い。特に気に食わないのが、感染者同士が殺し合わないこと。感染者同士が殺し合ってる横で、非感染者同士が殺し合う。この方がずっと絶望感に溢れてると思うけどなぁ…、5点献上。 【sayzin】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-06-02 00:07:05) (良:1票) |
《改行表示》249.ゾンビ系の映画としてはベストとも言える出来だと思います。イギリスらしさがプラスに働いて、高品質なスプラッタ・ホラーになっています。音楽の使い方も良いし、不条理感が押し付けがましくなく、感染者と従来のゾンビとの差異も違和感なく述べられています。ゾンビ化(ウィルス感染)がスピーディーなのも作品を締めているし、街なかの無人さも絶妙。 感染についての無駄な説明がなく、極限状態や主人公の変化・成長が無理なく語られ、回りの人物もそれなりの個性を与えられていて嫌味がありません。エンディングを含めて見え隠れするウェットな要素も昨今の殺伐としたSF映画のなかで救いを感じさせます。そこかしこにハリウッド映画には無いものが顔を出し、個人的にはそれが最高の味付けでした。 【昌兵衛】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-04-16 18:55:06) (良:1票) |
248.で、結局感染した人たちは餓死しちゃったって訳?夜に活動するなって言ってるくせに活動するから感染しちゃうんだよ。 |
247.スプラッターでもなく、グロテスクな死体でもなく、ウイルスによって狂暴化した人と正常な人間とのせめぎ合いで、恐さが大変良く演出されている。下記のレビューにある「心理映画」という批評は、まさにそのとおり。奇妙な殺人鬼なんかよりも、遥かにスリルがあり、ゾクゾクと心に響く恐さがあった。ある逃げ出せない一か所の中で、必死に逃げ回る複数のメンバーが一人またひとり、というのは恐怖映画のセオリーだが、これは襲って来る人間が間違いなく同じ人間という点、また舞台がよく知られたイギリスという点で大変リアリティがある。同時期にあった「バイオハザード」よりもこちらの方が遥かに恐いのは、そうした現実味によるものだろう。 【six-coin】さん 5点(2004-08-31 00:06:15) (良:1票) |
《改行表示》246.《ネタバレ》 凶暴になるウイルスに感染してても、してなくても人間は殺し合うもんなんだ!っていうのが言いたかった映画なんかな。 でも結局、ウイルスの謎は解けないままやし・・・最初のチンパンジーは何で感染してたの?? フランクはイイ人なんやけど、時々暴走気味。いかにも危険そうな地下道を無理矢理車で突っ走ってパンク、タイヤ交換中に感染者に追いかけられる・・・コイツは本当に生き残る気があるんか!?と思った。 感染者達は死んでる(ゾンビ)わけじゃないから銃で殺せるし走ったりできるんですねぇ^^ 光に弱いわけでもなさそうなのに、どうして昼間はどこかに隠れてるんですか?? ジムが病院で意識を取り戻して外に出てみたら感染者だらけ!とかでも不思議じゃないと思うんだけど。 あと、感染者同士が殺し合わないのも謎。 結末が2通りあったのは良かったです。 ビデオで観ててエンドロールを早送りしてたら偶然見つけました^^ 映画館だったら絶対見逃してた(^_^;) 【よしぞー】さん 4点(2004-08-28 13:37:56) (良:1票) |
《改行表示》245.もうひとつのエンディングはエマディールのオープニングみたいだった。 猿が感染元ってのはなんかの映画であったし、主人公はいきなりチンコ 丸出しで出てくるしどんな映画になるか心配だったが、楽しかった! 【わーる】さん 9点(2004-07-27 16:12:41) (笑:1票) |
244.「冒頭の侵入者の正体がわからない」という声が多いが、あれは彼の国で悪名高い過激な動物愛護団体の類だろう。また「28日」というのも,聖書のマタイ福音書第28章の"イエスの復活"を暗示させるためだろうから,「あんな短期間で疫病が広まるわけない」と非難するのは的外れなように感じる。この映画は、はっきりA・ロメロ版「ゾンビ」へのオマージュだと言えるけれど、ロメロ版「ゾンビ」が、ヒッピー思想-「既存社会からの解放」とか「自由共同体」-のような、ややもすれば理想主義的・自己中心的とも取れる主張を多分に含んでいたのに対し、このボイル版「ゾンビ(正確には違うが)」は、ロメロ版の外形を借用しつつも、「絶望的対立(冒頭でサルに見せているあの映像!)の中での人間のありかた」といった,極めて今日的なテーマを描くことに成功していると私は感じた。確かに設定その他に不可解な点はあるけれど、だからといってボイルの問いと、その答えまでもが台無しになったわけではないだろう。「人間の本能は狂気と殺し合いだ」といいたいのであれば,専制と暴力を"答え"とした少佐を破滅させ,良心と協力の人となったセリーヌを生き残らせるようなことはすまい。そう考えれば,やはりボイルの主張は明らかなのではないか。 |
《改行表示》243.《ネタバレ》 普通の「ゾンビ映画」とは一線を画する映画だ。ゾンビからの襲撃から生き残って、危機的な状況から脱することをメインに描くのではなく、危機的な状況下における人と人との繋がりをテーマにしているように感じた。「希望」がないと諦めたり、自暴自棄になるの簡単なことではあるが、主人公とヒロインの関係性が深まることにより、何かしらの「希望」が生まれることを描いているように感じられた。人と人との繋がりには、「絶望」ではなく「希望」が生まれるといいたいではないか。 また、「殺し合うこと」が人間の本能だとしても、危機的な状況下だからこそ、その本能を捨て去ることが大事なのではないか。自暴自棄になって短絡的な本能に従うよりも、どんなに危機的な状況でも「希望」を捨てないことを訴えている。 現実の社会では、ゾンビに遭遇することなどないが、災害等いつ危機的な状況になるかは分からないものだ。 さらに、旅の道中で、主人公が意味もなくチーズバーガー屋に入り、ゾンビ化した少年を殴り殺すというシークエンスが実は結構重要なのではないかという気がした。主人公は、ちょっと暇だったから、ゾンビでも殺そうかと思い、チーズバーガー屋に入ったのではないか。この行動は、遊び半分で楽しみながら銃を乱射する軍のソルジャーとさほど変わらない行為だ。「殺し合うこと」の本能に従った行為であり、ソルジャー達と何も変わらないことを知り、主人公の中で何かが変わるきっかけとなっている。 「HELLO」で始まり、「HELLO」で終わるという構成も見事だ。確かに、挨拶こそ、人と人との繋がりの一歩なのかもしれない。「HELLO」と返してくれる人のいる喜びも感じられる。 DVDにはもう一つのエンディングが収められている。もう一つのエンディングは、銃弾を浴びた主人公がヒロイン達の手当の甲斐なく、あっさりと死ぬものであり、まったく意味のなさないエンディングだ。幸いにも、日本の初版の劇場公開版は、「DVD版」がエンディングだったと記憶している(もう一つのエンディング版も後発で劇場公開されたかもしれない)。 主人公が死ぬという絶望的なものを描くことは、本作のテーマとはそぐわないだろう。 危機的な状況でも「希望」を捨てないことがテーマであるから、「HELLO」で終わる、最後に「希望」をもたらすエンディングこそ、適切なエンディングだったのではないか。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 7点(2004-06-25 15:44:39) (良:1票) |