3.《ネタバレ》 1962年製作、旧ソ連によるSF作品。やっぱりこう、全体的な雰囲気やデザインなどが、米国とは違いますよね。共産圏らしい色といいますか、独特なものがあって。金星に着陸すると、そこには海があり、いろんな生物がいて、という内容ですが、1962年当時は、これでも不思議じゃなかったんですよ。金星というのは、分厚い雲に覆われていてこちらから地表は見れないので、昔の人は金星の雲の下には太古の恐竜世界みたいなのがあるとか、金星人の都市があるんだとか普通に考えていたわけです。1970年のベネラ7号で、初めて金星の地表に着陸し、金星が生命の存在しない不毛な地であることが明らかになったわけで、本作は今ではもう作られることのない、いわばこの時代だからこそ製作しえた、古典としての価値があると言えます。台詞も全体として、情緒的なものがほとんどなく、ロジカルな会話に終始している。最初だって、「我々が描いたこの世界は現実とは違うかもしれないが~」という堅苦しいテロップが入るし、とっても生真面目ですよね。岩から出てきた顔と、ラストの金星人のシルエットと言い、なかなかのロマンです。ソビエトは、NASAを超える数の金星探査を行っていたけれど、彼らを突き動かしていた精神の一端みたいなものが見て取れたような気がします。