26.仕事を奪った相手に逆ギレして、ひどい仕打ちを繰り返してきた男が、その相手が可愛い女の子と分かった途端に態度が豹変します。 最初は男のそういう態度を眉唾に思って眺めていました。 しかしその女の子に対する恐ろしいまでに不器用な、男の接し方を見ていると、思わず「おまえ、いい奴だったのか!」と微笑んでしまいます。これは紛れもなく初恋でしょう(苦笑) 「初恋のきた道」の男バージョンだと思いました。 男は夢中を通り越して、もう狂っています。男の壊れっぷりが実に見事でした。 最初に抱いていた男に対する不信感は吹き飛び、その行動に苦笑いの連続です、しかしさわやかな苦笑いという感じです。 基本的に映画とは、監督が自分の作る作品に「戦争と平和」など、何らかのメッセージを残したからといって、必ずしもそういう見方をしなくてはいけないとは限りません。 映画は公開されれば、すでに監督の手を離れ、1人1人の観客にすべての答えを委ねられるわけです。 映画とは学校の試験のように答えがあるわけではありません。 この映画は、1人の男の恋の物語。これが私の答えです。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-02 22:22:54) (良:1票) |
25.クルド人の現実を描いてるから、迫害されるパレスチナ人を描いてるから、イラン国内のアフガン難民を描いてるから、それらが即良い映画だとは全っ然限らない。私には本作の青年の行為が無償の愛とは思えなかったし、むしろ庇護者を気取った馬鹿なストーカーにさえ思えた。そもそも彼が何故、アフガン少年が少女だと判った途端に態度を豹変させたのかが解らない。本作にはそのきっかけと共に、青年の内的変化が決定的に欠けている。そんな青年の視点を通した物語なので、監督が伝えたかった筈のアフガン難民の現実が、私には全く伝わってきませんでした、4点献上。 【sayzin】さん 4点(2004-10-22 00:06:28) (良:1票) |
24.映像がとってもきれいだった。最近の邦画は、役者さんのアップばかりがやたらと多い作品が目立つ。それが悪いとは言わないが、役の心情を表情や動きでしか表さないのは、監督のウデの乏しさとしか思えない。主人公が悲しいとき、悲しい表情の顔を見せるのではなく、それを象徴する何かを見せるのが映画だと思う。そういう意味でこの監督は、間違いなく映画監督だ。ここには映画を観たという充実感がある。 【もちもちば】さん 8点(2004-04-21 22:47:28) (良:1票) |
23.M・マジディ監督の新作は今までとは趣が違い、貧困に喘ぐアフガン難民の問題に深く切り込んだ作品である。しかしその語り口はあくまでも静謐で詩情溢れるものであり、決して声高に主張したりはしない。いかにもマジディらしい暖かい眼差しを感じさせる作品である。少女へ無償の愛を捧げようとすることに懸命になるラティフ。何かを語るすべも知らぬ少女は、ただ日々生きていく事に懸命であり続ける。彼の一途さに応える気持ちの余裕などあろう筈もない彼女の姿に、ラティフの苦悩もまた深まる一方なのだが、純粋な淡い恋心というよりも、もはやこれは人間愛にまで昇華しているのである。少女との刹那的な出会いと別れ。アフガン難民の象徴が彼女なら、ラティフは監督自身ではないだろうか。「一日も早く平和が訪れますように・・・」 マジディ監督の祈りにも似た切ない願いが心に重く響く秀作。 【ドラえもん】さん 8点(2003-11-18 00:19:23) (良:1票) |
22.イラン映画だということを贔屓目に見ても少しテレビドラマ調なところが× |
《改行表示》21.《ネタバレ》 会社の食糧買い出しの代金で自分のチョコも払う、拾った硬貨はネコババ、仲睦まじいカップルを見ると羨ましい。転落事故で、運ばれる老いた労務者ナジャフをみても同情せず、自殺でもしたかとジョークを飛ばす。世間知らずで、浅慮にして喧嘩早く、どこにでもいそうな青年が主人公。ナジャフの代わりに息子ラーマトが建築現場で働くことになるが、諸事情により、青年は自分の食事関係の楽な仕事をラーマに奪われてしまう。逆恨みした青年はラートマを殴打したり、子供じみたいやがらせをする。そんなある日、ラーマトの秘密を知る。ラーマトは女だったのだ。それからは手の平返しで、滑稽なほどラーマトに夢中になる。美少女でもないのに不思議だが、恋は盲目だ。ラーマトに関心を持つと自然と彼女の置かれた、違法アフガニスタン労働者問題にも関心が向くようになる。建築現場に難民調査が入って、アフガニスタン人は全員解雇になった。親子の身を案じた青年は様子を見に行くが、そこでアフガニスタンの労働者の実態を目撃することになる。冷たい冬の川に腰まで浸かりながら重い岩を運ぶ女性達、その中にいとしのラーマトの姿もあった。青年は居ても立ってもおられず、全貯金をナジャフに渡そうとするが、頼んだ人に持ち去られてしまう。その人も急迫した事情があったのだ。仕方なく大切なIDカードを売って金を作り、ナジャフに渡すが、翌朝アフガニスタンに戻ると告げられる。ショックの余り、お茶も断り、走りに走る青年の姿が痛々しい。これで永遠の別れとなるだろう。思いを断ち切るため、少女の髪どめを捨てる。翌朝そっと見守るつもりだったが、少女が籠の荷物をこぼすと、思わず走り寄ってしまう。ぬかるみで、少女の靴が脱げると履かせてやる。無言の二人。けれど少女の表情から青年の思いが伝わっていることが読み取れる。 ラーマトの本名がバランで、これが映画の原題で、ペルシャ語で雨の意味。乾燥地イランでは、雨は春を訪れを告げる天の恵み。少女の靴跡に雨が降り注ぐラストは寓意に満ちている。「離れた友の恋の炎で燃ゆるこの心」の詩も良かった。 青年の無垢で純朴な愛が、雨が乾いた大地を潤すように、心に潤いをもたらす、そんな秀作だ。映像で感情を表現するのに長けている。ただ文化の違いのせいか、馴染めないところもあった。少女が川で転んだり、籠をこぼしたりの演出はちとわざとらしい。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-06-14 21:53:53) |
《改行表示》20.手放しの感動作とはいかないが、難民問題を扱った映画として結構良い。主人公の少年が変わったのは少女への恋心としても、こうも突然変わるものなのか。 無償の愛といえば、現実としてそうありうるものではない。映画だから許せるととしても、イランの監督のなせる業か。 まじめな映画の中で唯一笑ったのが、車をヒッチハイクするのに松葉杖を使うシーン、走り出したら車も行ってしまう。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-12-25 09:49:53) |
19.イランのアフガン難民を扱ったお話。 「運動靴と赤い金魚」のマジディは見返りを潔しとしないんですね、無償の愛こそが尊いと。(そリゃそうだけど…) なので片思いをからめたカタルシスの少ない「ごんぎつね」みたいなのです。 (「ごん」は彼の命が消える間際に兵十がすべてを悟るのが醍醐味だと思うんですが) 前半はよかったけど後半引っぱりすぎのような気もしました。(やりすぎじゃん!) ラティフが思いを寄せるバランは薬師丸ひろ子に似てませんか? 彼女がかいがいしく働く姿と最後のラティフの一片の笑みが目に残っています。 すべて報われたわけではなくても彼は満足だったんですね、謙虚。 【レイン】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-02-13 01:30:24) |
18.期待し過ぎちゃったかなぁ~青年の言動や行動に肩入れ出来ず、むしろ「ヤバい、逃げて~」とさえ思った。相手の少女が学生の頃の彼女に似ていたせいもあったかもしれない。いやそれがこの評価に大きく作用している。 【オニール大佐】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-08-08 21:38:08) |
17.献身の愛とストーカーの違いってあるのか。ただ見守るだけの愛、見守って出来るだけのことをする。自分のIDカードすら投げ出してしまう。ただただ尽くす。見返りは求めない。もう究極のストーカーで、究極の献身愛。ほとんど民話に近い物語が、難民問題というすごく現実的な背景で語られる。映画ってすごいなと思う。工事現場の監督や仲介者など、悪役になりそうな人が悪役になってないのもいい。ラスト、少女がパッと顔を隠す。強い拒絶ではない。ダメなのよ、というメッセージなのか、ともかく主人公に男として対したことを意味し、それをこれまでの献身に対する唯一の見返りとして、彼は満足の笑みを浮かべる。いい話を聴いた、という満足がこちらにも残る。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-05-16 12:20:31) |
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16.初恋がどうのこうのと言うよりも、この時代の厳しさや、国特有の貧しさについて深く考えさせられた。余計なものなどいっさいない、どのシーンがかけてもこれほどの作品にはなりえない。そういう映画。 【トナカイ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-05-28 17:19:36) |
15.《ネタバレ》 青年は愛する少女を救うため自分のIDを売ってしまう。最近「ジョゼと虎と魚たち」という映画を観たが、あの映画の青年とこの映画の青年は対照的。ジョゼの青年には好感をもてなかったが、二度と会えないであろう女性に最後まで一途に献身しようとするこの映画の青年には好感をもてた。 【こまごま】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-01-07 10:40:51) |
14.《ネタバレ》 こういうのを無償の愛って言うんでしょうね。最初は鳩に小石を投げ付けていた主人公が、純真な少女との出会いからやがては純粋な心へと入れ替わっていく。それだけに最後まで主人公に対してお礼一言言わない少女の仕打ちがちょっと酷いようにも思えるけど、本編終了後には"バラン"という名前の意味を知ることが出来て良かったです。この手の映画では本家「シベールの日曜日」よりも嫌らしさが無くて好きかもしれません。 【かんたーた】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-29 20:47:58) |
《改行表示》13.《ネタバレ》 ちなみに主人公の名前である"バラン"とはペルシャ語で"雨"のことだそうですね。雨のシーンは最後の最後。アフガニスタンへ戻る事になったバランが、ヒロインの女の子が乗ったトラックが去るのを見届けた後に降ってきて映画は終わります。 「運動靴と赤い金魚」は、妹の靴を間違って持ち去られてしまったお兄ちゃんが、運動会の景品の靴を勝ち取るために頑張る話ですが、この「少女の髪どめ」は見つめるだけの無償の愛のお話です。なんせ彼女の身辺がお金が無くて苦しんでいる事を知った彼は、自分のIDを売り、お金に換えてそれを、自分からというのではなく、勤務先の社長からだと言って渡すのです!これをストーカーというのは違うでしょう。彼女がミスをした時には庇い、アフガニスタンの人間を許可無くして雇ってはいけない会社に検問が来たときには自分が庇って彼女を逃がします。これだけ一方的にひたすら「捧げる愛」の形があってもいいのではないかな?と思いました。 ヒロインの女の子は一言も喋りません!そしてラスト。彼女が落としてしまった持ち物を一緒に拾うバランを見つめて微かに微笑む。それだけが彼女が表現した彼への気持として映像に残ります。切ないけどこんな時代ですし、こういった映画もアリですね!「ラブストーリーの1つの形」として観ると結構楽しめるかと思います!! しっかしこの監督の映画は秀作が多いですねー。素晴らしいです。 |
12.作品の感想は概ねsayzinさんに同じ。どうにも監督が伝えたかったはずの愛だの平和だのが心に響いて来ず。もう少し主張を解りやすく映像に反映させてもらえると、見ている側ももっと共感できると思います。 【wood】さん 4点(2005-03-04 10:39:59) |
【ジマイマ】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-02-10 00:51:00) |
10.戦争の犠牲になった人々を静かに丁寧に描く事によって、直接反戦を訴えるよりも強いメッセージが感じとれました。 【rexrex】さん 8点(2004-07-12 13:59:44) |
9.新卒で就職して8年間イラン向けの輸出部門で働いた。イラン人たちは何事につけマイペースでペルシャ商人らしい巧みな交渉術を持っており随分振り回されたけど、概ね人なつっこくて、誇り高く、日本人に対して大いなる共感と尊敬の念を持っていた(そして当時かの地で放映されていた「おしん」にはまっていた)。私は彼らと彼らの文化を尊敬していた。この映画はそんなイラン人気質が滲み出た誠実な良い映画だと思う。「アフガン人」とひとくくりにしてしまえば遠い存在かもしれないが、目の前の小さな少女が困っているのを見たら助けたいと思うのが人として当然だろう?想像してみてくれ。と言われている気がした。ただ、こう言う逃げ場が全然ない映画は未熟な私には見ていて苦しい。個人的に無償の愛ってやつはどうも苦手だ。なので6点にさせてください。すみません。 【黒猫クロマティ】さん 6点(2004-07-01 11:28:23) |
《改行表示》8.《ネタバレ》 少年が少女と分かった瞬間から、手のひらを返したように行動を変える主人公にゃ好感を持てなかったが…稼ぎを全て託す。ここまでできる一直線な気持ちは凄いの一言。 文化の違いを理解できなかった自分自身のせいか、 僕はこの映画として楽しむことはもう一つできなかった、けど学ぶべき事はたくさんあった。 【ふくちゃん】さん 6点(2004-06-12 17:06:28) |
7.「世界中が愛によって支配される日を願って…」という監督のメッセージがふんだんに溢れていて、見終わった後、切ないけどとても暖かい気持ちになった。もっと多くの人がこの映画と出会えることを願って。 |