380.《ネタバレ》 女性に縁のなかった30男の前に、勝手に自分を好きになってくれる女性が現れる男のファンタジー。…と普通ならありえない話なので、脚本や撮影にデフォルメ化の工夫が凝らされています。ビリーの登場からして独特で、なんとおしっこのエピソードで彼の人となりが紹介されます。「このトイレは使うな」と言われれば素直に従い、清掃中の公衆トイレに無理矢理入ったりもせず、限界に近いのに立ちションもしないという律儀な性格。ようやく入ったトイレで「俺のもん見ただろ」とブチ切れますが、幼い子供はち○こが大きいことにコンプレックスを抱き、大人になると小さいことにコンプレックスを抱くと言われており、立派なものを持っているのにこれを見られることを極端に嫌うビリーは、歳だけとっていても中身は子供なのです。ビリーが大きな子供である原因、それは両親にありました。ふたりとも100%の悪人ではなく、息子の奥さんを快く受け入れたり、お節介を焼きたがる面もあるのに、一方で息子のアレルギー体質のことも覚えておらず、ビリーやレイラがバレバレのウソをついても詮索しない。息子に対する関心が極度に欠けており、ビリーは30歳をすぎた今もこの両親を振り向かせるために必死です。人生ではじめて自分を無条件に愛してくれるのは両親なのですが、この愛情を受けられなかったビリーは自分が人から愛されるということをなかなか理解できません。そんな彼を辛抱強く待つレイラはまさに天使ですが、レイラはなぜビリーを好きになったのか?そのとっつき憎さから、多くの人はビリーの良さに気付く前に距離を置こうとします。しかし誘拐というシチュエーションにより、レイラはイヤでも彼を近くから観察することになります。またレイラ自身も変わり者で、ダンス教室でもみんながダンス用のウェアを着ている中、彼女だけは私服で踊っています。ふくよかな体型に何かを間違えたメイクと華やかな人生を送っていないことは察しがつきますが、ビリーはそんな彼女を捕まえて「奥さんになれ」と言い、また乱暴な態度の彼がレイラの見た目や性格について文句を言うことは一度もありません。これはビリーが一方的に愛情を受ける話ではなく、レイラにとってもビリーは人生で欠けていたものを補ってくれる存在であり、孤独に生きていた人生に突然現れた天使なのです。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2009-06-18 14:54:53) (良:7票) |
379.この映画に心底共感できるのって、ダメ男の証のような気もするんですが、メチャクチャ共感いたしました。ダメ男にしか分からない映画だと思います・・・ホント。実際には有り得ないストーリーだけど、「コレ、俺じゃん・・・」って思えた男は、きっと最高の評価を下すと思います。できれば、この映画の良さが分からない人生送りたかった・・・・・。 【スカーフェイス】さん 10点(2004-03-22 06:38:50) (良:4票)(笑:1票) |
378.都合のいい話と言われたらそれまでなんです。でも、そこがいい。 とことん情けないダメ男ビリー。でもレイラはビリーのダメな部分を知っていてなお、「あなたほど素敵な人はいない」と無条件に愛してくれる。大抵の人はこういう愛情を両親からもらいますが、ビリーにはそれがない。そのままの自分を受けいれてもらったことがないと、普通の自尊心を持つこともできない、心の安定を欠いた人間になってしまいます(単純な言い方ですが)。あれだけ冷たくあしらわれているのに、親の関心を買おうとするところなんかリアルで、すごく痛々しい。 そのビリーに向かって、「あなたは世界一優しい人、世界一ハンサムな人」ってレイラが言うシーン。もちろんそんな訳ないんだけど、それでもあんなふうに言ってくれる。たいしてのめり込んで観ていたわけではなかったのに、そこでポロッと泣いてしまいました。 親との歪んだ関係にとらわれてバカげた罪を犯しそうになったビリーが思いとどまったのも、あの言葉があったからでしょう。ビリーがレイラのような女性に好かれるなんて、ストーリーとしてはご都合主義と思われても仕方がありません。しかし、ビリーのような人にはそんな奇跡的な出会いが必要でした。 これはラブストーリーであると同時に、心に何かが欠けた人間が満たされるまでを描く物語でもあるのです。とても優しく、希望に満ちた映画でした。 【no one】さん 9点(2005-02-23 21:17:37) (良:3票) |
377.ヴィンセント・ギャロは、自らの腐っていく弱さと自閉していくイノセンスをギリギリのラインで救済して見せたのだと思う。この映画を「主人公にとって都合の良すぎる展開だ」ということで責めるのはちょっと違う。それはその展開こそが映画の方法論だからだ。この映画が指し示す「愛情」というテーマには切実に納得させられた。心底共感したと言うと僕もダメ人間ということになるのかな? まぁそれはいいけどね。ビリーにとってレイラが確かな存在として捉えられる、その弱さを包含したからこそ了解される「愛情」がビリーを破滅から救うことになる。ビリーというとてつもなくか弱いキャラクターをギリギリまで粗暴に扱っておいて、最終的にレイラへの「愛情」という装置に吸収してしまう方法は、一見するとなんの変哲もない物語に思われるかもしれない。ただ、僕にはその弱さの自明的な崩壊がギリギリのところで救われるというか、1周ひっくり返ってやっぱり救われる、崩壊への暴力と広範囲な救済をない交ぜにするような「愛情」という風呂敷でスッポリと包み込んで救われる、というような微妙に違和感のあるラインがとても新鮮だったのだ。ギャロが最後のシーンで描きたかったのは、個から愛への広範囲なひっくり返しの救済というイメージだったのだろうと思う。確かにイメージへの意識が強すぎて、展開が唐突な感じがしないでもない。レイラの母性を強調しすぎる点もちょっとひっかかる。しかし、今の世の中で成熟を永遠に放棄した人間たちがその内包している弱さを開放する方法など全くないのが現実なのだ。ギャロはそれをどうだと言わんばかりに開放してみせた。そこには人間の成長物語など初めから存在していないことに留意してほしい。人間の弱さこそ優しさの源泉だと僕は思う。しかし、それは腐っていくものだ。そして、それは絶対的な強さに転換などしない。僕らはそれをただ抱えていくのみで、そのことは人間の成長とは全く関係のないことだ。敢えて言えば、損なわれつつある人間が絶対的な個という「強さ」を放棄することによって回復していく、そういう可能性の物語なのだといえるのではないか。 【onomichi】さん 9点(2004-05-19 01:25:36) (良:3票) |
376.レイラがビリーを好きになるきっかけが描写されていないのに、恋に落ちてるのが理解できない。だって、ぜんぜん魅力的じゃないでしょう。どこをどう解釈したら、ビリーが優しい人になるのか、分かりません。そりゃ、ビリーにとってレイラは都合のよい女の人でしょう。誰も愛してくれなかった自分を、愛してくれる可愛らしい女の人なんですから。でも、結局自分の愚行の理由を、すべて環境に押し付けて、環境が好転したから愚考を回避した、というラストではビリー自身何ら成長しておらず、相変わらずの自分勝手な甘ったれ野郎ということになる。つまり、序盤でのあの好感の持てない人物とイコールのままなのではないでしょうか。弱さや甘えと、優しさと繊細は別物。そこはまあ、今後変わっていくとも想像することも出来ますが…。あと、中盤の盛り上がりに欠けます。 【虚学図書之介】さん 3点(2004-05-15 15:03:33) (良:3票) |
375.たまに80点取るのび太より、いつも100点の出来杉に幸せはくるべきである。 【笹】さん 5点(2004-01-30 04:40:05) (良:2票)(笑:1票) |
《改行表示》374.《ネタバレ》 退屈なストーリー、魅力に欠ける登場人物、映画として決して面白いとは言えません。ですが、なんとなく最後まで見てしまう何かがあります。『成り行きが気になってしまう』タイプの映画です。 ダメ人間をだらだら見せられてしまう前半にはかなりフラストレーションがたまってしまいますが、それもすべてラストへの前振りだとすれば一応の納得はできます。 主人公が無茶な賭けをしたり、親に見栄をはりまくったりする一連の行動が、すべて親の関心を自分に向けさせるためだとしたら、殺人→自殺を考えるビリーの心理・動機には一貫性があります。反社会的行為や自身の死は、親及び世間の関心の目を自分に向けさせる最終手段だからです。マザーテレサが『「愛情」の反対は「憎しみ」ではなく「無関心」だ』と言っていましたが、ビリーの境遇はまさにこれにあてはまるのかもしれません。 ラストの妄想シーンで、彼が殺人をし、自殺をし、両親が自分の墓参りをしています。ところが父親が『腹が減った』と言ったところで、彼は妄想から抜け出します。所詮、自分の死をもってしても、世界は変わらないことを悟ったのでしょう。そして、そこで初めて彼は、レイラの存在に気づいたのだと思います。 正直映画として面白いとは思えませんが、クリスティーナ・リッチの魅力が存分に発揮されていることもあいまって、一種の妄想映画としての面白さはあるかもしれませんね。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 5点(2014-09-14 18:05:43) (良:2票) |
《改行表示》373.《ネタバレ》 安っぽい表現ですが”人生の良し悪し”がぎっしり詰まったような映画でした。 冒頭はビリーのあまりのイライラっぷりに「こんな人間いるか?」と我慢 できずにやめようかと思いましたが、両親が出てきて納得。 あれに育てられたら・・なっちゃうよね。 環境のせいにするのは弱い人間って見方もあるかもだけど、やっぱ育った環境 が人を作るよね。極端に言えば実際、野生の狼に育てられた人間はやっぱり狼みたいに 育ってしまったりするし。全く話を聞かずバッファローしか見えない母親とすぐにぶち切れて自分中心の父親。電話の後ベッドを整えたりするビリーは両親の目を常に意識して怯えてさえいるようでした。 いい大人になっても女性と風呂さえ一緒に入れないビリーはあまりに子供のまま 育ってしまったのでしょう。大人になれる環境がなさすぎて。トイレで”生きられない”と泣いていたシーンがビリーという人間の全てを表している気がしました。 そんな中、自分の優しさと価値を心から認めてくれたヒロインに救われることで観ているこっちも救われました。彼女の手の中で眠って初めて愛情の大切さを知ることができたのでしょう。ハートのクッキーに心躍れる人間は人に優しくできるのです。 【タママにとうへい】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-03-03 00:55:36) (良:2票) |
372.これは…感性が合わなかったのかなあ…。個人的に、ストーリーがない映画って駄目なんです。詩的な映像はいいんだけど、起承転結が無い話って、のめり込めないんです。 【金子淳】さん 4点(2004-08-05 18:25:59) (良:2票) |
371.《ネタバレ》 生まれてこのかた女性と付き合ったこともなく、賭けで大負けしなり行きで5年間も刑務所に入る。全くさえない人生。刑務所に入るきっかけとなった人物を殺して自分も死のうとするんだけど、あんなでぶっちょ、殺さなくて良かったよ。だって素敵な彼女ができたんだもの。この映画はよくできた童貞喪失ファンタジーだと思うわけです。 |
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370.ああー、これって日本でいや"ヤンキー・純粋・不器用"だよな。島田紳助がよくいってるんだよね、「ヤンキーって不器用なだけやねん、けど純粋やん」みたいに。この考え方が昔から根強く残っているのは元ヤンの方々が社会に出て活躍して、その自己肯定の一つとして使用されているんだろうな。そういう考え方もあるんだなー。と、共感もせず淡々と観て思いました。この映画、元ヤンの方とかズバリはまるんじゃないですか?「虚勢・神経質・暴力的」って綺麗にダメ男を作り上げていて、ターゲットにはまったらこりゃ泣くだろうなという演出でした。(意図的ではないにしても。)共感はできないんですが、「いるいるこんなヤツ!」みたいな楽しみがあります。特にレイラがビリーに惹かれていく過程は興味深く観てしまいました。日本でも、どうしようもなくダメな男にばかり捕まってしまう女っていますよね。肉体が豊満で、露出が高くて、ちょっと勝気な女、まさにこのレイラのタイプです。アメリカにもいるんだと面白くなりました。あれを「優しい」と知覚してしまうのは、悲しい性というところでしょうか。しかし、結局ダメ男は自分で沼から這い上がれないんですね。レイラの慈悲にすがって幸福になる。なんだか悲しい物語です。幸福な結末だから悲しくはないのかもしれないけど、やっぱりなんだか悲しい。やっぱり人間ウソついちゃいかん。人に迷惑かけちゃいかん。自分をコントロールできなくなると悲惨だ、なんて思いました。音楽と映像は良し。 【fero】さん 6点(2004-05-09 03:51:49) (良:2票) |
369.《ネタバレ》 粒の揃った小振りのトウモロコシみたい。ガリガリかじって懐かしいような甘さと水気を味わった。ギャロの分身であるビリーはアメリカ映画じゃなかなか見かけないキャラクター。「あなたは優しすぎるのよ」という台詞がぴったりの気弱さとさりげない優しさがとても良い。また偶然拾った(?)女の子レイラも、とんでもない風貌なのにちゃんと母性と暖かみを備えている。変わったカップル、純で可愛いカップル、その道行きもなんだかおかしいけど愛おしくて、ハッピーエンドを素直に喜べる、素敵な映画。 【のはら】さん 8点(2004-04-03 13:06:12) (良:2票) |
368.ダメ男映画はけっこう好きな方ですが、なんかこの作品は狙いすぎた感じがして全然共感できなかった。ビンセント・ギャロの「マルチな才能」があまりにも持ち上げられすぎてしまったせいか、もうひとつ主人公が本当のダメ男に見えなかったのも一つの理由かも。おもしろいな、と思ったカットもいくつかあったが、どれも「素人が感覚的に撮った新鮮な映像」を狙ったヘンに技巧的なものに見えてしらけ気味。何より公開ルートがものすごく限定されているわりには、雑誌のタイアップなど全国規模の過剰な宣伝で、ちっぽけな劇場に連日長蛇の列を作らせた某百貨店系列のあざとさには反感というか怒りしか感じなかった。アメリカでこの映画を観たことのある人なんかほとんどいないのに、「今年最高にHOTな映画!」みたいに売りまくっちゃって、安く買って来て高く売ってるだけじゃんか。バカにすんな。と、映画とは全然違うところで評価が下がってしまった。でもクリスティナ・リッチは可愛い。 【anemone】さん 5点(2003-12-14 17:09:47) (良:2票) |
367.この映画を観るちょっと前に偶然、赤いスクエアトゥのブーツを買った。この映画を観て、銀のストラップシューズが欲しくなった。ああー、なるほどなー、これじゃあ、若い人(自分も含めて)が食いつくよなー、と思った。この映画を包む雰囲気が好きだ。ギャロが自分の趣味で作った映画だとは分かっていても、そのナルシストぶりが、この映画ではそんなに嫌じゃない。なんでだろう。でも、いいんです。これで。 【ひのと】さん 10点(2003-11-30 14:41:58) (良:2票) |
366.前半、というか両親の件があまりにも酷過ぎてもう駄目だなと思ったけど嫌いじゃないです。クリスティーナ・リッチがすごく可愛くてえろい。正直その前半が観るに堪えない内容だったからクリスティーナ・リッチのおっぱいだけが支えでした。もうこれおっぱい以外見るところねえなあと感じつつ観続けましたが後半からラストへの流れはかなりリアリティに欠けてるとは言え良い感じのロマンス映画だと思います。サブカル映画なのかな。サブカル映画好きのウケを狙ってる感じもして若干鼻につく。全体的に作りが荒々しく内容は薄っぺらいし雰囲気で押してるので人によって好みがかなり別れる映画。 【ケ66軍曹】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-04-23 08:18:01) (良:1票) |
《改行表示》365.《ネタバレ》 好き嫌い分かれるところですよね。初見のときは確かにオシャレテイストがハナについて受け入れがたいものがありましたが、レビューにあたって見直してみるとなかなかどーして、いい映画じゃないですか!情けないオシッコ漏れそう男と拉致られた女の子って出だしから、かなり壊れてる家族や初恋のエピソード、そして復讐のクライマックスへと一気に魅せてくれます。そして意外や意外なエンディングへ。究極の選択の両方を楽しめるのがこの映画の良い所ですね。 男なんざ女の子次第っすね! 【ろにまさ】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-03-31 04:11:38) (良:1票) |
《改行表示》364.《ネタバレ》 初めの方は突っ込みどころ満載だし、主人公の性格も嫌で見る映画を間違えたかなと思うほどだった。しかしどういう訳か、嫌でたまらない映画なのに何か引きつけるものがあった。こういう素直になれない人物は私の身近にもいるし、私自身も昔はこういういじけた性格だったからかもしれない。レイラと出会ってともに行動していくうち、少しずつだが彼の心が変わっていくのを感じた。最後まで辛抱して見て本当に良かったと思う。 レイラはビリーにとっては天使だったのかもしれない。映画は途中はどうであれ、最後が一番大切だと思う。それを感じさせてくれる映画だった。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-01-18 22:21:18) (良:1票) |
363.もうまるまるヴィンセントギャロ。ギャロ的オシャレ、ギャロ的アート、ギャロ的かっこよさ、ギャロギャロギャロギャロギャロギャロギャロギャロギャロギャロギャロギャロギャロギャロギャロ。ゲシュタルト崩壊。 |
《改行表示》362.《ネタバレ》 すんごい退屈だった。 女があれで素直についてくる所からして理解不能。 なんかワケあってそうしてるのかと思ったが何も無し。 クリスティーナ・リッチが太い。 ムッチムチ。けどかわいい。 【虎王】さん [DVD(字幕)] 4点(2010-09-27 13:39:58) (良:1票) |
《改行表示》361.これ観て良かった凄くオシャレで! とか言ってる人とは絶対に友達になれないダサい映画。 上っ面だけのク◯映画。 クリスティーナリッチが可愛く撮れてたのが 唯一の救い。 【Pecco】さん [地上波(字幕)] 2点(2010-07-14 22:47:09) (笑:1票) |