《改行表示》117.《ネタバレ》 ※原作ネタバレあり、2017年版のネタバレあり注意 原作既読。2017年版視聴後。 2017年版と比較すると、こちらの方が原作に忠実であり、原作を映像化した作品として、純粋に面白いと感じる。 冒頭のデブナムと大佐の会話をポアロが偶然聞いた場所とか、伯爵夫人に「H」について尋ねる場面は客室の中とか、本当に細かいところは原作と異なるが、これは映画の尺の都合でそうした、という理由で十分納得でき、重要な点について重要な改変は行われていないため、問題ないと感じる。 大筋、重要点、及び大部分の細部において原作どおりなこちらの作品の方が原作を読んだ者としては好感が持てる。 第一の推理(外部犯説)と第二の推理(全員が犯人説)についてどちらを採るかについては、原作では列車の重役と医師の2人の判断に任せられる。 ポアロは警察でもなければ検事でもないため、真実を探求したにすぎず、自らその後どうすべきかの結論を下すことはせず、2人に任せる。 この点、2017年版ではポアロ自身が「第一の推理を採る」的なことを言ってしまっているのはマイナス点。 一方で本作では原作にほぼ近いが、私個人としては、それまで合理的かつ理性的で、躍起になって乗客犯人説を推していた医師が、事情を知って最後に「まあ私の検死結果もたまには間違えることもあるかもね」的なことを言って第一の推理を採る、という最後の描写が非常に好みであるため、その描写が無かった点だけはちょっとだけ残念。 「実際に殺人が犯されており、犯人も特定できてはいるが、その犯人が裁かれない」という見え方もする、というのは事実であるが、原作者アガサ・クリスティーはコナン・ドイルのホームズシリーズが大好きだったらしく、ホームズ作品でもそのような結論で幕を閉じるエピソードが少なからずあるため、本作もそういうところが取り入れられているのかな、と思ったり。 また、本エピソードは実際に起こった事件を元にしているらしく、現実世界では誰の目から見ても残酷で犯人を許せない事件という世間的感情になっている中、事件に関係する12人が陪審員12人に成り代わり裁きを下す、というifの世界を描いた物語である、という点も、(これは個人の好みになるであろうが)私にとっては好みである、と感じられる作品である。 【53羽の孔雀】さん [DVD(吹替)] 8点(2024-08-24 22:12:59) |
《改行表示》116.《ネタバレ》 -Murder on the Orient Express- 邦題まま。幼少期から名前だけは知っていて、初めて観たのは高校生の頃だろうか?「犯人は誰だ?」と考えながら観ていて、この結末は驚いた。いやいや、このオチは反則だろうって。 豪華列車の旅と流れ行く異国の風景。名優たちの絡み合いが楽しめるかと思いきや、列車は雪で埋まって景色は流れない。(雪を砕いて救助に向かう除雪車の、なんか男らしさが好き。) 名優たちもポアロとは絡むけど、客同士で疑い合い、探り合い、犯人探しとかはしない(そりゃ結末があのようなカタチだと仕方ないけど)。 大女優イングリッドに「名女優の資質はない」というポアロ。「マザー、マザー」を連呼するアンソニー。アクション(?)担当はコネリーと、知れば知るほどくすりとさせられるシーンが多そう。 呼ぶ人呼ぶ人犯人呼ばわりするビアンキは、推理している鑑賞者のモヤモヤを代弁して整理させる役割として、良いアクセントになっていた。 殺害方法はもちろんだけど、モトは1934年の小説。当時これだけの人たちに、どうやって連絡を取ったのか?誰も欠けることなく、どうやって集めたのか?またどうやってあの列車に詰め込んだのか?世界を股にかける豪華列車だけに、奇跡のようなタイミングを作るに至った経緯が、とっても気になるところ。 傷の深さの違いとか、何回か観ても楽しめそう。もし結論が2案だった場合、最初の人だけが重罪になったのかな? 最後にグラスを合わせるシーン。成功を喜ぶのではなく、事を成し遂げ、もう二度と合わない顔ぶれの最後の別れとして、コレはコレでありだなって思った。(小心者なんでネタバレとは言え濁して書いてます。) 私は初めて観た時、ガウンの謎の女性が実はマックイーンで、彼が犯人だと推理していたように思う。 うん、当時サイコを観たばっかりなのがバレバレな推理です。 【K&K】さん [地上波(吹替)] 6点(2022-06-05 15:04:49) |
《改行表示》115.有名な作品なので見たつもりになってたけど、実際に見てみたら初見でした。 名探偵ポワロはドラマで見ていたので、ストーリーは知っていたけど、映画ならではの良さはあった。 超豪華なキャスティングなので、全員が怪しくて、事件の真相に説得力があったように思います。 ポワロのコミカルさも事件の深刻さを和らげていて良かったと思います。 【もとや】さん [地上波(吹替)] 6点(2021-06-04 17:29:37) |
《改行表示》114.《ネタバレ》 推理物映画はだいたい予想が外れるんだけど今回は犯人が当たった。 なので途中経過すっとばして最後だけ観たいけど我慢して視聴。 ただ偶然集まった殺意を持った犯人たちが互いを知らぬまま 様々な殺害方法で殺そうとしたのが真相かと思った。 その場合犯行二人目以降は死体を死体と気づかず犯行を行った形かと・・・。 でもその方が面白かったんじゃないかなー。 よってオチに拍子抜けした。 【Dry-man】さん [インターネット(吹替)] 4点(2019-09-23 00:01:31) |
《改行表示》113.《ネタバレ》 貸切列車内関係者集団殺人幇助事件。コミカルな演出では済まされないだろうに。 ※ショーン・コネリーって、若い頃から老けてるな~。 |
112.有名な、そして何じゃこりゃの原作の映画。日本人には、残酷に思えるトリック。封切り時、オールスター映画で、初めて当たったクリスティ映画だったと記憶してます。原作を読んでいたので、名画と世評が出てきたので、数年前に初見。うーん。面白くなかった。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 5点(2018-12-22 22:39:56) |
111.アガサ・クリスティのポワロシリーズの中でもとくに有名な一篇を映画化したシドニー・ルメット監督によるオールスター大作。最近も日本で三谷幸喜脚本によるスペシャルドラマが放送されていたが、それをきっかけに再見。雪で立ち往生した列車が舞台ということもあってか、何やら舞台劇を見ているような進行で、あまり派手さはない映画だが、あまり退屈せずにそこそこ楽しめた。しかし、アルバート・フィニー演じるポワロにあまり魅力がなく、なんかただの胡散臭いおっさんにしか見えないし、脚本的にもせっかくドラマとして盛り上がりそうな話なのに、筋を追うのに精いっぱいでドラマ性が薄く、登場人物たちにもさして感情移入できなかったのが残念だった。ただ、容疑者たちがみんな怪しく、誰が犯人かと思わせておいてのあの真相は意外性があり、うまいと思う。(でも、脚本というより原作の力が大きいような気もする。)日本語吹き替え版で見たのだが、吹き替えで出演している納谷六朗や大塚周夫が最近亡くなってしまったのが惜しい。ルメット監督と言えば「十二人の怒れる男」が思い浮かぶが、本作も「12」という数字がキーワードになっているのはたぶん偶然だろうけど、「十二人の怒れる男」を見た後になって本作を見ると、それだけではないのではとつい勘ぐってしまう。(2015年2月11日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(吹替)] 6点(2018-11-29 22:32:04) (良:1票) |
《改行表示》110.《ネタバレ》 2案の選択を突き付けられた時の皆の沈黙、 そして選択がなされた直後に全員が見せる思い思いの反応が僅かな瞬間ではあるが面白い。 こういう細かい見せ場が随所にあったので個人的には十分楽しめました。 【TAKI】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-12-20 00:03:20) |
《改行表示》109.原作を知っているせいかもしれないけど、この作品は映像で見てもイマイチ面白くないなぁというのが率直な感想だった。 この物語自体動きが少ないんだよね。殆ど止まった列車の中の出来事だし、立て続けに事件が起こる訳でもないですからね。動いているといえばポアロくらいのもんですよ。 あとはひたすら容疑者との会話会話会話に次ぐ会話。こんなん、活字で追ってる分にはいいですが、映像でひたすら見せられても飽きるってもんです。演出も単調だし、外の列車の様子と内部が全然リンクしてないし、音楽で盛り上げる訳でもないし、終始無音…。 あと、やっぱりポアロの大袈裟な演技が駄目でした。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 3点(2017-11-27 07:32:45) |
108.《ネタバレ》 これだけとてつもない原作なんだから、あとはしかるべき俳優を配置して、急行の内部をしっかり再現して、それをきっちりと撮れば、存分に楽しめる作品が出来上がるわけです。しかし、単なる原作頼みではなく、多岐にわたる登場人物を上手く整理して、全員を必然性のある存在にしています。犯行再現シーンの迫力はいうまでもありませんが、それ以外でも、冒頭で1人1人列車に乗っていくシーンなんかでも、タネを知ってみていると緊張します。ただし、最後はやっぱり原作通りの主犯のスピーチが見たかったなあ。●後で考えると、この作品は、「お客さんに楽しんでもらうこと」を徹底するために、巧妙に原作をいじっているのです。冒頭に誘拐事件をずばり提示して(しかも台詞もナレーションもなし!)後の展開を分かりやすくし、閂がどうのとか細かいトリックは潔く削除。殺害場面は、原作ではものの数行なんだけど、台詞を追加してしっかり時間をとる。最後はキーパーソン2人が立ち上がって、もろにカーテンコール。そうそう、乗車・尋問・犯行・ネタ割り・ラストで順番をいろいろ操作しているのも、オールスターキャストの強みを生かした周到な緻密さが窺えます。というわけで1点プラス。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-09-20 01:03:52) |
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107.初めて観ました。オチも知らずに観たので最後はびっくりですね。ポワロは相当怪しい気配の男ですが、段々まあ探偵に見えてくるから不思議です。まー、2時間ドラマみたいでしたが面白かったですよ。 【SUPISUTA】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-07-29 18:58:42) |
106.名作として名高い本作..推理小説ものは、あまり積極的に観るほうではないが..名作と聞けば、どんなもんかな?と気になり鑑賞..最後のオチと結末は、さすがに読めなかった..しかしながら、映画としては、時代を感じるし..脚本、演出は、決して上手いとは言い難い出来..主人公の、私立探偵 エルキュール・ポアロ に至っては、怪しい風貌のただのおっさん..知的さも、魅力も、まったく無し..観る前から半信半疑だったので、ある意味こんなもんかな.. 同時代の 「スティング」 と比べれば、月とスッポン! 比べるまでもなく 凡作..残念... 【コナンが一番】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2017-04-08 14:34:26) |
《改行表示》105.《ネタバレ》 初見、原作未読。 雪山に立ち往生する列車内での密室殺人事件。豪奢な一等客車の乗客が目も眩む絢爛豪華な大スター達で漂う重厚さを堪能出来ました。彼等彼女等を過不足なく交通整理した監督の手腕はお見事。ポアロが事情聴取をする度に友人が「犯人だ」と決めつけるのに、「この人にかかったら全員が犯人になってしまう」と友人をオトボケキャラ認定したのですが、あの結末には「お見それ致しました」 犯人は都合よく乗り合わせたのではないので、乗車前のオルソンの慄きは後になって理解できます。彼女の始終怯えた様子に一番の人間臭さを感じました。 ポアロが私怨を私刑で果たした犯人を見逃したのは刑事ではなく探偵なのでどうにか納得できますが、乾杯はやり過ぎの感がします。それと謎解きの決め手が不明瞭なのが残念でした。 |
104.《ネタバレ》 ○恥ずかしながらオチは知らなかったので驚いたが、それに至る推理が事件解決にあまり繋がっていないような。○名優たちの豪華共演を楽しむには良いか。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-05-29 09:18:58) |
《改行表示》103.《ネタバレ》 原作を読んでいないので、野暮ながら根本的な疑問を1つ。この犯行計画は、事前に周到に準備したものなのか、それともたまたま乗り合わせたポアロの目を欺くために練ったのか。おそらく前者だと思いますが、では一連の〝配役〟や小芝居は、誰に見せるために打ったのでしょうか。別に被害者に面割れもしていないはずなので、それぞれふつうに客として乗り込んで、夜中にザクザクと思いを遂げ、口裏を合わせてニセ車掌だけでっち上げればよろしかったのでは? それとも他に大勢の乗客が乗っていたという前提でしょうか。だとすれば、ピッタリ12人だけ事情聴取される意味がわからない。 あるいは後者だとすれば、短時間のうちにずいぶん精緻なシナリオを書き上げたものです。これも不自然。そんなことが気になって、ラストまでスッキリしませんでした。 それと、犯行現場は凄惨をきわめたと思います。あれだけザクザクやられたんですから。いくら憎悪の感情があっても、私にはとてもマネできません。翌日に平常心で名探偵と対峙することも、ほぼ不可能でしょう。と言いつつ、映画としてはけっこう楽しませてもらいましたが。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-04 05:37:03) |
102.初めに考えた人は流石ですが、有名なオチを知ってしまってから見直すと突っ込みどころ満載です。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-02-15 23:31:07) |
《改行表示》101.《ネタバレ》 とにかく出演者が超超豪華(若い人にとっては一人も知らないかもしれないけど)。結末があまりにも有名なため、ストーリーよりも皆さんの演技を楽しませていただきました。 インターネットがなかった時代に、関係者がどうやって集まって計画したのかなと余計なほうに関心がいきました。もっと簡単に殺せるし、ばれない方法はいくらでもあるのに、被害者への恨みが強すぎて、普通の殺し方ではすまなかったということか。 12人の陪審員の話が出てきたところで、そういえば監督は「十二人の怒れる男」のシドニー・ルメットだったなと思い出しました。この映画の進行も「十二人の怒れる男」をどこか思わせる流れでした。 名作...ではありますが、結末が結末ですから、子どもには勧められませんね。 あと、ポワロがたまたま乗った列車で殺人が起きちゃうとか、たまたま乗った船で殺人が起きちゃうとか(ナイル殺人事件)、たまたま乗った乗り物で殺人が起きるなんて経験は一生に一度も無いのが普通なので、ポワロの場合は何度も起きちゃうのがあまりにも不自然。それは映画ではなく原作の問題ですがね。 この作品の一番良い点は、被害者に殺されるべき深い理由があり、犯人にやむにやまれぬ理由があり、犯人に情けをかけて見逃すというやさしさでしょうか。そこがナイル殺人事件との一番の違いであり、この作品が有名である理由でしょう。 【チョコレクター】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-02-07 12:56:51) (良:1票) |
《改行表示》100.《ネタバレ》 クリスティの小説をオールスター・キャストで映画化する場合、これほど適したものはないでしょう。理由は、原作を読むか映画を見ればわかるので省略。ということで、トリックがどうとか犯人がこうとか言うより、名優たちの競演を楽しむべし。私のお気に入りは車掌のジャン=ピエール・カッセルと、いかにもイギリス人執事のジョン・ギールグッド。あと、アンソニー・パーキンスがマザコン気味の役なのが笑える。ミステリーの要素では、複雑な事件経過をうまく映像化していると思いますが、それでもやや駆け足気味になったことが残念。もう少し時間を長くしてもよかったのにね。 [2015年1月27日追記] 近頃NHKで放送されて、劇場にもかかっていたので両方見ました。字幕翻訳が異なっていて、興味深かったです。 この作品、いろいろな国籍の人が列車に乗り合わせていたわけですが、これがミス・ディレクションにも解決の手がかりにもなっていることに気がつきました。そういう意味では、日本語吹き替えで見たら、この映画の魅力半減(以下?)でしょう。字幕にしても、今回劇場で見たように、英語以外のセリフをカッコでくくってわかりやすくしてくれたほうがありがたいです。それによって、この作の真価が発揮されるように思います。そう考えると、日本人にとっては原作の翻訳を読むより、本作を字幕つき(なくてもいいがとにかく原語)で見るのがもっともいいのかもしれません。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-27 20:19:20) (良:1票) |
99.あの真相を知らずに観たらなあと、これほど思った作品はありません(「そして誰もいなくなった」などは二回観る楽しさがあるんですが)。 【次郎丸三郎】さん [DVD(字幕)] 4点(2016-01-16 19:54:44) |
98.《ネタバレ》 豪華絢爛たるスターたちの中にあってひときわ輝いているのはイングリット・バーグマンかな。尋問シーンのワンカットが影響したのかアカデミー賞助演女優賞受賞です。一番張り切っていたのはポワロ役のアルバート・フィニーですかね。やたら怒鳴っていたけど、原作ではどこか空気を読めない奇行が目立つ探偵だから、これはこれでいいのか。目立たないけど狂言回し役っぽいのが、寝台列車会社重役のビアンキ役のマーチン・バルサム。各乗客の尋問が終わるたびに、いちいち「こいつが犯人だ」とポアロに進言する。おいおい、単純すぎないかよ、すぐに分かったら苦労しない。まるで金田一物の何とか警部みたいだ、などと思いつつ最後の謎解きシーンへ。うーん、ビアンキ君、君が正しかった。 【パセリセージ】さん [地上波(字幕)] 8点(2016-01-13 22:09:46) |