6.《ネタバレ》 日常の中に見られるグロテスクなフェティシズム、時折かかる不協和音のようなBGM、対話の可能性を拒否したかのような無言劇、そして解釈が出来そうで出来ない不可解なシナリオなど、ヤン・シュヴァンクマイエルとデヴィッド・リンチを足して二で割ったような独特な作品。
そんな何とも言えない不気味な雰囲気は出ているが、内容は良くも悪くも「解釈お任せホラー」。見る人によって評価は大きく変わるだろうし、いくらでも否定的にも肯定的にも解釈できる。
当初、個人的に予想していた展開(主人公が殺人鬼本人で、痴呆症によって過去の記憶と現在を混同している)とは違ったが、後半に行くほどストーリー的には収束していく。むしろ、前半の方が不可解な事が多い。
ただ、それでもやはり説明出来ない部分は多く(殺人が本当なら、少女の死体が見つからないのは不可解だし、脳内妄想とすると、後半、施設で襲われるシーンが意味不明)、説明出来そうで出来ないもどかしさがある。結局、正解は見る人の解釈の数だけあるという事だろう。
まあ、それ自体は良いとしても、もう少し全体のテンポを上げて欲しい。この作品の味ではあるが、ちょっと展開がスロー過ぎるのはカンベン。
独特な世界観におまけで6点献上。