3.《ネタバレ》 おお。予想外にいいではないか。
実を言うと私は画面に食い入るように見入ってしまった。
とにかく一瞬も目が離せない。ひさびさの釘付け状態に突入。
とりあえず映画にはいつも「釘付け」を要求して(これがなかなか得られない)いるので、第1段階クリア。
「箱」という閉じた世界の中でですね、4人(とりあえず4人)がそれぞれ「アンタッチャブル」状態である、という状況を作り出しているのですね。
ある者は銃を構えて、ある者は発作を起こして瀕死だから、ある者は臨月、そしてエイズという文字通りの「アンタッチャブル」。そう、ここにいる4人はみんながみんな、それぞれ違う意味で容易に他人と抱き合えない状態なのです。
そんな、「全員が磁石のマイナス」を抱えたような箱の中。ややもすれば「舞台臭(芝居クサー)」が漂ってしまう設定であるにもかかわらず、リアリティを損ねないようテンポを効かせた脚本はお見事、と思います。演出も、舞台臭を極力抑えた悪くない出来と思う。俳優陣もなかなかいいですね。
あのビデオは事後に撮ったものだったわけか。それで、彼が感謝の言葉を語りかけるのは、「ターニャ」ですよ。ゲイの恋人ではなく。
それが一番の「オチ」だったのではないだろうか。
今後が楽しみな監督さんです。