1.《ネタバレ》 監督は舞台の演出家。確かに舞台のような雰囲気があります。役者の演技が濃い。ナチュラル演技全盛のおり、演技らしい演技の印象は悪くないです。ただアクションシーンについては、それが悪いほうに出た気がします。気になったのは“記号”の表現。“殴ったふり”で殴ったことにする、ある種の決まりごと。舞台でも映画でも見られますが、映画の方がよりリアリティを演出することが可能です。見せ方に工夫ができる。でも本作では、舞台さながらに記号の表現が幅を利かせており、安っぽく見えました。役者の力量が不足しているのであれば、それをカバーすることも演出の役目だと思います。逆に、“映画的”と感じたのはクライマックス。お祭りの太鼓演奏のシーンでは、カメラワークを駆使しています。でも迫力が伝わってきません。本作はいたって真面目な人情喜劇。タイトルから感じるようなオチャラケ企画ものではありません。ただ脚本が弱く、後半はヨレヨレ。正攻法なだけに、よけいに粗が目立ちました。真面目な制作姿勢を批判するつもりはありませんが、もっとはじけて欲しかったと思います。