《改行表示》49.《ネタバレ》 うちの近所にも昔は河童がいたことになっていたかも知れないが今はいない。個人的にも河童に特に思い入れはない。 この映画の河童は野生動物のような存在らしいが、知能があって人の言葉を話すからには人間としても軽くは扱えない。ただ河童だけでなく犬やカラスも人並みの知能がある設定なので、対等な生き物として扱うべき対象はさらに広いことになる。人智を超えた能力としては言語によらない意思疎通の方法を持ち、さらに人類文明を超越した存在ともつながる立場だったようで、かえって人類の方がそのような世界から疎外された種族ということになる。 劇中河童は現代の文明社会で人間の保護を必要としていたが、子どもながら人格がしっかりしていて自立心もあり、見るからに哀れっぽい存在には描かれていないのがいい。非力そうに見えてちゃんと相撲が強いのも侮れないが、場合によって破壊的な能力を発揮するのはやはり人間として畏怖を感じさせる存在ともいえる。 また自然環境に関する問題意識についてはよくある普通程度の感覚だろうが、この映画では最初を江戸時代まで遡ることで、現代の都市開発だけでなく大規模な水田開発も自然環境に影響を及ぼしたとの認識が示されていた。ちなみに「やんばる」は2021年7月に周辺の他の地域とともにユネスコ世界遺産に登録され、いまだ米軍の訓練場に隣接していながらも、保全の条件は改善されていると思われる。しかしその遺産登録もそれ自体が別に強制力を持つわけでもないようで、何より守ろうとする人間の意思が大事なのだろうが、今後の国際情勢や経済・科学・軍事その他の都合でどう変わるかわからないと思えば、どこまでも人類など信じられないという思いはある。人類社会に上辺の社会正義はあっても良心は存在しないので、劇中河童には何とかうまく生き延びてもらいたい。 物語としては夏休みの出会いと別れということで、これまで特に主体性なく生きてきた少年に自立心が生まれ、初めて心の通じあう他者を認識する機会になったということらしい。ラストで河童と少女はそれぞれ新しい生活環境での暮らしを始めていたが、少年ともまたつながることのできる可能性を残していたのは救われる。 なお製作に当たって遠野市の後援を得たにもかかわらず、物語上は遠野に河童はいないと断言した形になってしまっていたが、座敷童子はいたのでまあいいかともいえる。その座敷童子の歌には少し心を打たれた。他にも心を動かされる場面の多い映画だった。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 7点(2023-09-30 10:51:02) |
《改行表示》48.《ネタバレ》 シン・ゴジラは今の日本にゴジラが出たらどうなるかを映像にしたとも取れる作品だけど、同様に河童が出たらどうなるのかを考えたのがこの作品だな。自分的には発見時に公的な機関に相談せず自宅でペットにしちゃうのはどうかなとも思ったが、もうテレビ出演時には公的機関への相談なんかあり得ない事態になってた。 もう、クゥちゃんが途轍もなくかわいいんだよね。ルックスはそうだけど、まあ、心がきれい。それと、それを囲む家族のリアリティがすごい。特に妹。他では見られない人物造形だと思ってらクレヨンしんちゃんの監督さんなのね。そういえば、作画なんかもそんな感じ。きっと、いつもリアルの子供がどんな反応をするのか観察しまくってるんだろうな。泣いている同級生の女の子を扱いきれずに逃げちゃうとこなんかなかなか描けないところだよね。徹底的にオリジナルの子供目線に拘っていますね。この辺は、クレヨンしんちゃんで鍛えたところかもしれません。クゥちゃんがマスコミに登場した後の描写もリアルを感じる。家の周りに張り付くカメラとか、見物人とか、会社からかかる圧力とか、面白いね。おっさんについては賛否あるかもそれないけど、全国のワンちゃんの尊厳の為にもよろしかったのではないのでしょうか。 人間だけが嘘をつくのなら或いは、それが為に今日の種としての繁栄があるのかもしれない。そんな風に考えるとちょっと微妙な気分になります。 【たこのす】さん [地上波(邦画)] 8点(2022-09-21 22:11:53) |
47.基本的には子供向けなんだろうが、マスコミ批判等の大人視点も入れてしまったため、全体的に中途半端。他のテーマであるイジメや環境破壊についても、曖昧なまま終わってしまい、スッキリしない。これで少年は成長できたのだろうか。何らかの変化はあったのかもしれないが。河童を好奇の目に晒す時の少年の高揚感(それに対する犬の批判)みたいなところがポイントかと思ったが、特に掘り下げもなく「人間は変わってしまう」で片付けてしまい、決着がついていない部分も残念。 |
《改行表示》46.《ネタバレ》 いやー、予想外にすごく良かった。存じ上げませんでしたが、クレしんの監督さんなんですね。 犬のおっさんの最後の扱いだけがマイナス。あれは、犬飼ってる人の逆鱗に触れるの分かりそうなものなのに、スタッフに犬好きがいなかったのかなあ? あと河童は川遊びの怖さを子供に教える役割もあるので、かわい過ぎるクゥちゃんはその年代に見せると効果が薄れそう・・・ 人間の嫌な部分が描かれてるからこそ、リアリティがあって良い。 【くろゆり】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2021-08-17 10:15:13) |
《改行表示》45.《ネタバレ》 さっき東久留米市内のラーメン屋に行ってきたばかりなので、親近感わきまくり。 西武線や田無タワーも出てくるし! ラーメンにあたって、下痢しながらの鑑賞。 最後は沖縄のヤンバルに飛ばしてサヨウナラだけど、なかなか含蓄のある内容。 自然を破壊する人間を痛烈に批判している。 でもそれはうなずける。 自然は人間だけのものではないのだから。 まだ、下痢が続いてる… さて、次はどの映画を見ようかな? 下痢なんかに負けず、これからも映画を見続けます。 素晴らしい映画との出会いを求めて。 では、また! 【にじばぶ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2021-06-25 20:15:11) |
44.《ネタバレ》 家族向けに作られても、比較的シビアな描写も少なくないため上級生からだろう。長い時を経て目覚めた河童と少年の交流を描いたファンタジーと、人間社会の醜さを描いた現実が地続きで、クレしんの主人公が大人の世界に半分片足を入れたようなセルフパロディ感があり。ところが、中盤マスコミから狙われているのに、クゥを撮影したビデオを見せたら行動がエスカレートするのは誰も想像できるはず。問題提起を意識するあまり、無理矢理悲劇と泣かせに突き進むあざとさには辟易してしまう。それでも、その醜い社会に一度絶望しながらも折り合いを付けて、少年もクゥも前に進んで生きることを選んだあたり、『オトナ帝国』から『カラフル』まで原監督らしいテイストが一貫しているように見えた。「目先の問題だけを見て、足元にあるささやかな幸せを何故見ようとしないのだろうか」と。一度別れても、いつか再会できると信じてやまない。 |
《改行表示》43.約10年ぶりに鑑賞。 初見ほどの感動はなかったけど、おもしろい。(初見は泣けました) 【へまち】さん [インターネット(邦画)] 6点(2018-01-17 21:38:49) |
《改行表示》42.《ネタバレ》 注意1! 最初に大地震のシーンがあるので、地震がこわい人は気をつけてください。 注意2! 「あらいぐまラスカル」のような、偶然見つけためずらしい生き物と少年の交流と別れのような映画と期待して、子どもと一緒にほのぼのしたいと思っている人、そんな人にはこの映画は不向きです。そういう人は、康一が遠野でクゥと遊んでいるあたりで見るのをやめて、「きっとあのあと、遠野でクゥと別れたんだな」と想像して余韻を楽しんでください。 遠野から帰ったところから、旗色が変わり、人間の醜さを見せつける映画となります。雑誌のスクープ写真、テレビ出演、そしてその後の事件により、クゥは衆人の知るところとなり大騒動となります。 細かいことを指摘するのもなんですが、事件の後、なぜクゥは警察に捕獲・拘束・殺害されなかったか不思議です。ひとにらみしただけでカラスを爆死させる威力を持っているのです。最初に出てくる地震だって、クゥの父親が起こしたように思えます。危害を加えさえしなければ、きわめておとなしい生き物ですが、そんなことを知らない人には猛獣のように危険な生き物と判断され、捕獲されるのではないでしょうか。あるいはその珍しさゆえ、拘禁されて飼育・観察されるのではないでしょうか。 また、クゥをテレビ出演させる場合、よく知らない生き物を出すわけだから、事前に打ち合わせるとか、放送事故防止のために録画放送するのが普通ではないかと思います。また、康一の父親の会社の上司の圧力でテレビ出演を決めたので、テレビ放送の後、父親の仕事はどうなったんだろうと思いました。 また、全体的に長すぎ、特にテレビ放送の後が長すぎです。 【チョコレクター】さん [インターネット(字幕)] 6点(2016-07-27 21:45:01) |
41.原恵一ということで期待したけど、ダメだった。 |
40.《ネタバレ》 長い…不快なシーンを昇華すべく河童と少年の友情物語でほっこりする映画なんだろうけど、それにしても不快で無駄な要素が多い。そのシーン必要なの?ってツッコミ入れたくなる事しばしば。父とオッサンを殺した人間は友達になったから許すけど、カラスは瞬殺!ってちょっと酷くないか河童。いちいち泣く妹もウザい。河童と少年の友情を描きたいなら少年はもっと河童を守れよ。何あっさりテレビに出演してんの。マスコミに囲まれて生活してんのに何のんびり家族揃って昼寝とか談笑とか出来るの。人間の本質だかを描きたいのは分かるけど、これがまたひたすら不快要素にしかなっていない。河童が実在した!なんて東スポみたいなネタに食い付いて大挙押し寄せる人達にも、最早家族となった河童を売る父親にも、無視したり絡んだりと忙しいいじめっこグループにも、残念ながらリアリティを感じない不快なだけの要素。ラブコメチックな終盤も残念要素。自分を庇ってくれた女が泣いてるのに、扱いに困ってキミも早く帰れよと言い放ち逃げる男気の無い主人公。子供だからなんて無駄なリアリティいらないから。肩に手を置いてやるくらいの漢を見せろよ映画なんだから。謝った事によって成長を見せたつもりなのか、しかし菊池さん宅訪問のダシにクゥを持参するとは…よく考えたとは思うが、主人公の株はダダ下がりだ。大体映画のラストで遠く離れる事になる男女は「こいつら将来再会するんだろうな」と楽しげな想像をさせてくれるもんだが、この二人は難しいかなと思っちゃった。クゥと菊池さんが可愛かったから2点、オッサンの頑張りに1点。ムカつく奴をぶん投げた主人公にもおまけで1点だ。 【にしきの】さん [DVD(邦画)] 4点(2014-06-18 10:42:15) |
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39.《ネタバレ》 登場人物がやたら泣く映画 特にクゥの号泣ぶりは時に感動的ですらある 哀しいから泣く、てらいない泣きぶりがこちらの慟哭をも誘う 反面メインキャラ以外の人間が余りにもバカに描かれているのが気になった クゥを取り巻くマスコミや観客、主人公の友達までも、クゥ達妖怪よりもわがままでどうしようもない動物という周囲のザコキャラ的描き方で安易すぎる 家の前で犯罪者に対するように詰問するマスコミとか、実際にはドラマ以外では見た事が無いし、むりやり主人公を羽交い締めにしてバックの中のクゥを撮るカメラマンとかいるはずが無いだろう オッサンを轢いた若者達も、出てきたとたんに「クソやろー」で、こいつらがオッサンを轢くぞと思ったらその通りになった この映画は日常的な生活がリアルに描かれているので、逆にステレオタイプな人間達が出てくるとそこだけが現実感が無くて違和感がある 初めての一人旅に不安もなく振り返りもしない主人公の成長ぶりに、親離れがちょっと寂しい涙を流す母親の気持ちがまったくわからない父親とか、家族の機微にはめちゃリアルなのに、家族を取り巻く人達の気持ちとのバランスが悪くてたびたび感情移入を妨げられた ラストもハッピーエンドに落とすのは難しいと思っていたが、他の妖怪が突然救いの手を差し伸べるとか安易じゃなかろうか まぁバットエンドよりはずっといいけど、ちょっと唐突すぎるかな 途中で「ああこれだったのか」と思わせる伏線を仕掛けられなかったのか? 【にょろぞう】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2014-03-10 13:58:06) |
38.《ネタバレ》 細かい理屈をガタガタ言う気がなくなるような、いい映画だった。映画の中でセルフツッコミしてるけど、「なんで分かるの?DNA検査でもしたの?」「エイリアンと同じで病原菌とか持ってるじゃないの?」なんて言うのがいかに無粋か・・・。普段映画を観て、そういうツッコミを自分もよく入れてしまうので、ちょっと反省。アニメだからただの画ではあるんだけど、頻繁に相撲をとったりして、文字通り「ふれあい」が描かれていて良かった。実写映画以上に身体性や「ふれあい」にこだわっているように感じられた。専門的なことは分からないけど、キャラ同士が触れ合うアニメーションって高度なテクなんじゃなかろうか。そういう意味ではこの絵が雑だとはとても思えない。そして、こういう感想自体も野暮な気がしてくる(笑)。座敷童やキジムナーの、どーんと余裕のある生き方も、なんだか救われる(そして笑える)。もしまた人間社会に迷い込んで困っている妖怪があらわれても、座敷童やキジムナーのように、クゥはしっかりそいつを助けてやれる河童になっているだろうな。「こんな時は相撲でもとるか!」とか言ったりして。 犬のオッサンが死んでしまう場面があるが、その後の家庭のシーンでも常にオッサンの存在が感じられるようになっている。犬小屋は片付けずにそのままにしているし、記念写真を撮る場面でも、しっかりオッサンの写真を添えている。決してご都合主義やお涙頂戴で殺したわけじゃないし、ないがしろにしてるわけじゃないと思う。クゥが別れを経験した後に、父親に「オレにも人間の友達ができたよ」と報告する姿にもカッパ泣き!映画のすべてが繋がる最高のラストシーン。たとえ離れていても、死んでしまっていても、仲間や家族の絆は繋がっている。 【ゆうろう】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-06-26 03:33:23) (良:1票) |
37.《ネタバレ》 まー…嫌いな映画ではないんだけど、ちょっと人間の嫌なところを見せすぎじゃないかな。とても夢のある話のはずなのに、夢のない小学生の陰湿ないじめなんて見たくなかった。マスコミや野次馬の描き方はもはやお決まりだから気にならないけど、オッサン(という名の犬)が前の飼い主に殴られてたとか、何なんだろうこれ。重い…。結局、康一とクゥが一緒に川を泳いでた時間が一番好きだな。あとは自然を大切にってことか。その点で自然風景の作画は良かった。人物画はそこそこ。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-06-08 13:33:46) |
36.《ネタバレ》 最初、クゥがやけにグロテスクであったことと、あまりにも健全すぎる内容で、もう観るのをやめようかと思うほどでしたが、マスコミが騒ぎ出すあたりからストーリー的に面白くなり、120分を越える上映時間も気にならないほどでした。実際、河童が存在したら、人間社会はあんな感じになるんでしょうね。マスコミは騒ぎ、興味本位で「かわいい」とかいう一般市民が増え、騒動を起こしたら「我々は安全な生活を営む権利がある。だから危険な河童は町内から出て行け」というのは、人間というか、自分だけがよければそれでいいという日本人社会の象徴シーンのような気がしました。あと、妹の瞳の描き方、わりと好きです。ブサイクで子供特有のアホぶり、あまりにリアルで笑えました。最初の子供たちの会話の中で「バリ島に行く」というセリフを入れたり、バリ島のガムランを3~4回BGMに使用するなど、かなりのバリ島好きが制作スタッフにいるようですね。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-08-19 18:10:08) |
35.興味本位でナメた姿勢で鑑賞に入り、、、感動した。クレしんは正直あのキャラデザのせいでそんなに感動した事無いんですが、今回は監督の世界観にすんなり入り込めました。でもまぁ、子供用にしてはグロかったりするので、私みたいな大きなお友達向けアニメかな。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 8点(2012-07-30 18:26:17) |
《改行表示》34.カッパと少年の友愛を描いたアニメ。 もう定番になってしまったけど、一応環境保護のテーマをさらりと含んでいるとこがニクい。 ストーリーは中盤から見飽きたあざとい展開が。ラストはベタにならなかっただけマシだけど、 他に見せ方があったような・・・。河童のキャラが良かった反面、 人間のキャラに関しては顔や体型、動きなどがガチガチで、魅力はまったく感じなかった。 やっぱりディズニーやジブリのキャラと比べると、数段落ちるのは否めない。 アニメ映画としてなら、十分及第点の作品だとは思うけど。 【MAHITO】さん [地上波(邦画)] 4点(2011-08-06 13:46:09) |
33.《ネタバレ》 「構想○○年」とうたい文句にしている映画はあまり面白くない印象があり、この映画も原恵一監督が20年ほど前からあたためていた企画を実現させた作品と聞いていたので、見たい反面、不安もあり、なかなか手が出ずにいたが、ようやく見た。ほのぼのした前半からマスコミがクゥのことを嗅ぎつける中盤あたりからシリアスになり、やがてそれが広まって報道陣が上原家の前に陣取る様子はものすごくリアルで、テレビの取材に興奮する康一の描写なども実際こういうことに遭遇すると仕方がないよねという感じでものすごくリアリティがある。ストーリーはこの後半からつらい方向にいき、自分がいることで上原家に迷惑をかけていると自責の念に駆られるクゥに感情移入し、虐待を受けていたオッサンの過去もついついウルっときてしまった。テレビに出演したクゥが父親の腕を見せられるところや、クゥを守ろうとしたオッサンが跳ねられて死んでしまうシーン、それに東京タワーのシーンはそのときのクゥの気持ちが痛いほど分かり、見ていて本当に泣けてくる。とくにオッサンが死ぬシーンはそれまでのクゥとの関係や、これまでのオッサンの生き様を考えると切なくてたまらない。全体的にはややいろいろ詰め込みすぎてしまった感はあるが、この映画の主軸はひとりぼっちになってしまった河童と現代の家族の交流を描いたひと夏の物語であり、登場するのはごく普通の平凡な家庭。中盤以降にある動物の目線から見ると人間社会はこうだというやや批判めいた描写が強烈で、マスコミや野次馬の描き方なども露骨ではあるが、でも決してそれが後半の主題になることはなく、クゥと上原家、クゥと父親、それに康一と菊池の関係がずっと主題として描かれている。おそらく「クレヨンしんちゃん」映画シリーズと同じく家族や親子、友情を描くことに原監督のこの映画に対するテーマというか、そういうものがあるような気がする。アニメの絵柄が最新のデジタルでなく、地味なアナログのような絵柄なのは原監督の意向かもしれないが、絵柄が素朴な分、映像もなんとなく優しさが感じられるものになっているのもいい。どこかで原監督は松竹大船調を受け継ぐ監督だと聞いたことがあるけど、それもよく分かる。それにしても最近殺伐とした映画ばかり見ていたような気がするのでこういうあたたかい映画を久しぶりに見ると、やっぱりこういう映画っていいなあと思える。見る前の不安はすっかり消え去り、見終わったあと、素直にこの映画を見てよかったと思えたし、原監督らしい佳作だったと思う。これからも原監督の作品はできる限りずっと見ていこう。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-31 13:31:14) (良:1票) |
32.《ネタバレ》 中盤、人の嫌なトコとばっか見せ付けられて不愉快になった。でも、実際起こるとあーなってしまうんだろうな…。おっさんの死、クゥとの別れの時一番悲しんでいたのがお母さんだったてのが印象的だった。 【みぢこ】さん [ブルーレイ(邦画)] 1点(2010-12-19 14:47:05) |
《改行表示》31.《ネタバレ》 長い割に大して何も起こらない。 超能力だとか竜だとかも話にほとんど関係ないし、どうせなら悪い妖怪とか出てきても良かったんじゃないか? あと、名もなき一般人がどいつもこいつもクソヤローって感じなのは好きじゃない。 クゥちゃんをマスコミに晒す意味もわからないし。 主人公ファミリーはいい味出しててほのぼのしたけど。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 5点(2010-08-01 21:13:49) |
《改行表示》30.《ネタバレ》 友人と鑑賞。 「妖怪は嘘をつかねぇ。」私の心にグサリときた台詞だ。 昨今のNHK教育でも見られない地味で素朴なキャラ。かわいいというより不気味さが先にたつクゥ。見始めるとそんなことはまったく気にならなくなる。丁寧な表現とほのぼのとした笑いに素直に顔が綻ぶ。そのぶん、中盤から後半の流れが辛くなってくる。思わず観ていて目をそむけたくなった。それは表現が過激なためではなく『人間はこういう生き物だ』と別の生き物達の目から淡々と見せ付けられるから。この映画に説教はない、批判もない。人間批判をしているわけでも妖怪賛歌でもない。ある少年とクゥという河童がかけがえのない一夏を過ごした思い出の映画だ。 クゥを守りきれなかった上原一家に憤る人もいたのではなかろうか。けれど上原一家はあくまでどこにでもある平凡な一般家庭。仮に別の子供の手によってクゥが復活したとしても、結末は変わらないものになったと思う。クゥのような、人間ではない小さな生き物が日本のどこかで静かに暮らしている事を願ってやまない。 余談だが、新天地で川の神様に挨拶をしてはいるクゥにはっとさせられた。この映画を観て以来、私は見知らぬ土地に出向く時は心の中で「お邪魔します」と一礼するようになった。 【どぶん子】さん [映画館(邦画)] 7点(2009-12-05 23:49:32) (良:2票) |