《改行表示》61.《ネタバレ》 群像劇だが、多数の人生模様が比較的分かりやすく描かれている。 それぞれの登場人物達の人生は、作為的に描かれてはおらず、ただ運命に流されるままに描かれている。 人生のシナリオは、理論めいたものではなく、突然何かが起ったりする。 ご都合主義的に登場人物達の人生シナリオを描くのではなく、運命論的に自然に描いているのが素晴らしい。 男爵の死も唐突だ。 しかし、他人に殺されるという不可抗力に、それまでの人生のシナリオなど関係はないのだ。 死は突然やってくるし、幸せや不幸も突然やってくる。 そうした悲喜こもごもを、群像劇ながら分かりやすく描いている。 しかも、登場人物達の人生シナリオも自然に描かれており、名作に恥じない出色の味わいがある。 役者についてだが、グレタ・ガルボは勿論魅力的であったし、それに負けないくらい、いやそれ以上に、ジョーン・クロフォードが献身的で魅力的な女性を演じていた。 更に又、ジョン・バリモアの紳士然とした雰囲気は群を抜いていた。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2024-04-06 14:48:25) |
《改行表示》60.《ネタバレ》 “Grand Hotel”とは、欧米において、その地域の最上級ホテルを指す…みたいです。日本では最上級=グランドとは限らないけど、まぁ、その地域の『格が高めなホテル』には違いなさそうです。 主要登場人物の5人は、たまたま同じ日々をこのホテルで過ごし、その後の人生が変わってゆく。今でこそもっともっと複雑な人間関係が絡む映画も出来ているが、90年以上も昔の映画だけにシンプル。当時斬新な作品として世に登場したこの群像劇は、今の目では目新しさはあまり感じられないけれど、それは後年、色んな作品で散々弄り倒さ(パクら)れたスタイルだからだろう。 この映画のキモとなるところは、登場したときには思いもしなかったカタチで、ホテルを後にするところ。そして全員がハッピーエンドじゃないところ。グルジンスカヤの希望からの絶望は描かれることがないけど、真相や結末はホテルを出てから、エンディングのその先の話となる。 私はこの映画のような格式高いホテルに連泊したことがないので解らないけど、泊まり客同士で、あんなに交流を持つものなんだろうか? みんな富裕層なので、同族意識のようなものがあるのだろうか? 温泉大浴場にて ??「こんにちわ!」私「あ、こんにちゎ…」 ??「地元の方ですか?」私「え?はぁ…まぁ…へへへ」 ??「私、大阪から来たんですよぉ」私「え?あ。へ、へえぇ~~・・・おおさか・・・」 大阪人「・・・」私「・・・」 大阪人「さって、先に上がりますね~じゃ!」私「あ、どうも・・・」 う~ん…ここ10年でも挨拶程度しか記憶がない。私が人見知りすぎるのかな?…恐るべし富裕層のコミュ力。 そんな私からすると、やはり庶民の代表のようなクリンゲラインが共感を得やすかった。死ぬ前の豪遊。クリンゲライン目線で、今まで見上げるだけだった富裕層と同じ目線で同じ景色を観て、ゲームや酒に興じる。その先に待つ第二の人生。 彼の寿命が伸びるとは思えないけど、残りの人生に良い変化をもたらせた一人だろう。 じゃあ、クリンゲラインが手に入れたものって?グルジンスカヤが一転して希望に溢れた理由は? 人生の価値の有る無しを感じる基準って、結局“金”と“異性”なのかなぁ…?いやあと“時間”も大事。絶対。 【K&K】さん [DVD(字幕)] 6点(2024-01-19 22:39:59) |
59.ある特定の空間に複数の人物を登場させ、人生の縮図を描き出す「グランド・ホテル形式」という手法を確立させた記念すべき作品であるため、その完成度はまさに完璧といえる。経営不振の大実業家、落ち目のバレリーナ、死の宣告をされた経理マン、早記者、紳士の心をもつ偽男爵(泥棒)の5人それぞれが少しずつ絡み合いながら織り成す人生の縮図はただただ凄いとしか言いようがない。特に感銘を受けるのが、第一に雇い主である大実業家に虐げられた経理マンが初めて心の内をぶちまける場面、第2に、その経理マンの財布を盗もうとした男爵が、(本当に)人生に絶望した彼の心の叫びを聞き、情けから財布を返す場面。思えばこの物語の中で最も過酷な運命を背負っているのは彼なはずなのに、一番光り輝いていたのもまた彼であった。死期を知るまでは本当の人生ではない、限りある命と知って初めて人生は光り輝くのだ。その人生のあり方をこの映画は見事に表現した。そしてまた“一番親しむ者”の死によって人生に浄化の効果を与え、彼を救ったのだ。これを傑作と呼ばずしてなんと呼ぼう? 【クリムゾン・キング】さん [DVD(字幕)] 9点(2021-07-30 19:18:19) |
《改行表示》58.《ネタバレ》 人生いろんな人がいる。もうすぐ死ぬ病人、経営に困った社長、踊れないバレリーナ。そんな人々が交差する所、そこはグランドホテル 。 まぁ「グランドホテル形式」なんて映画のジャンルを作ってしまうくらいの1932年、古の名画。 どんなものかと見てみたが、もうこの時点でこれがトップと言わんばかりの完成度。個性が立ちまくってるキャラクター、交錯するストーリー、全く飽きのこないテンポ、たった三日間の出会いと別れの群像劇は2019年の男が見ても面白い。 それはやはり役者の上手い会話劇の技なのか、ジョン・バリモアとジョーン・クロフォードの駆け引きのようなデートの誘いに男ながらに「イカすぜ!ガイゲルン男爵!」と思ったり、打って変わってグレタ・ガルボに対してジョンが甘すぎる台詞を恥ずかしげも無く放つシーンに「これはイケメン紳士だから言える台詞!そこに痺れる!憧れる!」とジョン・バリモアの一挙手一投足に紳士っぷりに男ながらに痺れました。 そんでもって彼の泥棒だけれど根が優しいのがまた良いですね。まぁ、それでも上手くいかないのが気の毒でしたが。 もにちんジョーン・クロフォード演じるフリムフェンの美人っぷりもたまんない!羨ましいぞクリンゲラインてめぇ!!! "グランドホテル。人々が来ては、去っていく、まるで河の流れのように絶えることはない。" そして上記の台詞で締める医者が最終的にこの映画の狂言回しというオチもナイスでした。 ある者はこのホテルで生を謳歌し、またある者はこのホテルで真実の愛を見つける。 人生は人それぞれ、様々な人々の喜びと悲しみが入り混じる瞬間を短い間でしたが垣間見る事が出来ました。 本作は古いと思って見ないと損する素晴らしい人間賛歌の名画です。 あ、俺にもルイジアナフリップを! 【えすえふ】さん [DVD(吹替)] 7点(2020-07-14 03:31:35) |
《改行表示》57.《ネタバレ》 偶然ホテルに宿泊して居合わせた五人の出会いと別れを描く群像劇。医者から余命幾許と知らされ、残りの人生を楽しむために来た老人クリンゲライン。経営悪化した会社を合併によって乗り切ろうと画策する社長プライジング。人気低迷に悩むプリマドンナ、グルシンスカヤ。薄給を嘆く秘書フレムヘン。紳士だが、借金があり盗みを働く自称男爵。 それぞれの人生が最初は精妙に、やがて濃密に絡まりあってゆく。 クリンゲラインの勤める会社の社長がプライジング、プライジングの雇って秘書がフレムヘン、フレムヘンが好意を抱いたのが男爵、男爵の盗みの対称がグルシンスカヤの真珠、グルシンスカヤが恋に落ちたのが男爵。そして最後には劇的な展開を迎える。プライジンガが男爵を殺害し、フレムヘンとクリンゲラインが一緒にパリに旅立ち、グルシンスカヤが男爵の死を知らされないまま去る。ひと騒動もふた騒動もあったのに、ホテルは何事もなかったかのように存在し、次々とやってくる新しい客を受け入れる。ホテルは神の視座だ。神の視座から、複数の人生の縮図を鮮やかに写し出して見せたのが本作の長所だ。人物描写が丁寧で判り易く、場面展開がなめらかなのも良い。 庶民の羨やむ一流ホテルに泊まる人も不幸を抱えているという視点が当時は斬新だったのだろう。このような凄まじい人生劇を見せられた視聴者は心を動かされ、自らを顧みることになる。人生を考える暗示が詰まっている。人によって、共感する人物、共感出来ない人物、様々だろうが、誰か一人には共感するだろう。それが群像劇の強みだ。 本作の肝は、男爵がグルシンスカヤに惚れることだ。真珠を盗みに入った部屋で女が絶望の淵に沈む姿を見て、正体を現し、真珠を返し、愛を告白する。これで物語が大きく動き出し、このことが最終的に男爵の息の根を止める結果になるという悲劇の端緒となる。突然の告白に戸惑いながらも、夢見るような眼差しをする女優は印象的だが、男優の演技はどこか冷めていて、情熱が伝わらなかった。中年の恋はどうしても色眼鏡で見てしまう。 最初と最後に給仕長の男子誕生の挿話がある。人生の縮図の象徴であり、本当によく出来た脚本だと思う。名作の名に恥じない。ただし、クリンゲラインの大袈裟な酔っぱらいの演技が鼻についた。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-12-09 02:14:00) |
56.ホテルを中心に色々な人の物語が同時に繰り広げられていく展開は当時としては斬新だったのでしょうね。ストーリーもそれなりに面白い映画でした。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-08-26 20:10:53) |
55.《ネタバレ》 群像劇の元祖だそうですね。面子がそれぞれ印象強烈なメンバーを揃えてきてます。覚えるのに苦労しない、これすごく大事なことなのかもしれないなあ。金欠の速記者に余命わずかの帳簿係、社長に詐欺師に詰んでるプリマ、ここに狂言回しの医師が淡々と状況を整理解説と、この配役の妙。展開するドラマはいたって地味で、まあ殺人事件は起こるけれどもそれだってさしてドラマチックにならず、やがて夜が明けて人々はチェックアウトして三々五々散ってゆく。一人訳が分からず残されたガルボもまた車に乗せられて、後に残るはいつもの日常業務に勤しむホテル従業員。と、ここで例の医師がぼそりとまとめに入る。人生こんなもの、色々あったり無かったりと達観したようなこの話、実は意外と深いのかも。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-09-26 00:09:26) |
《改行表示》54.シチュエーションドラマのパイオニア的存在として、グランドホテル形式と名づけられるほどに有名。 だが、そうした価値を脇に置いてみると今観てもそれほど惹かれるものはない。 当時としてはその形式が斬新だったろうけど、並行するストーリーにもう一つ魅力が欲しかった。 この形式でもっと完成度の高い作品が映画や舞台で幾つも出ているので、どうしても少し物足りなく感じてしまう。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 5点(2013-08-21 20:44:52) |
53.中心になるのは男3人と女2人、女優の二人は当時の大スターグレタ・ガルボとジョーン・クロフォード。クロフォードの方は3人の男性と関わってくるが、ガルボの方は男爵以外の関わりはほとんどない。そして女性二人はとなるとスクリーンに同時に登場することはまったくない。これは原作ヴィッキイ・バウムの小説がそうなのか、ガルボの存在がまったくの別格であったのかは知るよしもない。男性陣の中ではクリンゲンライン役のライオネル・バリモアに好感を覚える。他の出演作素晴らしき哉、人生!や我が家の楽園の印象が強いからかもしれないが・・・。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-10-20 07:02:02) |
52.《ネタバレ》 グランドホテルに宿泊する人々の悲喜こもごもの人生。オチが弱いですが、当時としては画期的なシチュエーション・ドラマ。「グランドホテル形式」確立の米アカデミー作品賞受賞作。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-09-12 00:56:43) |
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51.《ネタバレ》 「グランド・ホテル形式」の元祖として有名なので、ストーリーが追えるか心配だったのですが、見れば全く心配なし。前半は人物紹介でややつまらないものの、それぞれのドラマが用意されているていいです。後半への伏線にもなっていますし。次第に主要人物が重なってくるので、全体として大きな流れとなってきます。最終的には「男爵」を軸に5人をまとめたシナリオで、なかなかうまく作っていると思いました。必ずしもハッピーエンドでないのも現実的です。意外性もあって堪能しました。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-06-09 20:48:10) |
50.頽廃の匂いと言うほどではないが、アメリカがヨーロッパ・とりわけドイツに抱いている世紀末的な雰囲気への憧れが感じられた。子どもが大人に抱くような視線。滅びや衰退ってものの厳粛さへの過剰な評価。死が近づく病人、人気下降気味のバレリーナ、崖っぷちの会社、それらがウィンナワルツをBGMに旋回していく。当然のように犯罪も入り込んでくる。歴史を重ねてきた都市だけが醸し出せる「大人」の雰囲気。アメリカ映画が持てなかったヨーロッパ的なものを、とりわけ大事そうに画面に塗りこんでいるところが、いじらしくも楽しかった(ドイツの小説をアメリカで戯曲にしたのの映画化と聞いている)。この様式が拡大されたのが、アルトマンってことか。『グランド・ホテル』にはアメリカのヨーロッパへのコンプレックスが感じられるが、アルトマンがそれをより発展させ、混在国家アメリカに文化にしてしまった。最後に「事件」を置いてキュッと全体を締める手法なんか、『ナッシュビル』でより大規模に再現してくれた。そのアルトマンの映画が、ヨーロッパでより高く評価されたってあたり、旧世界と新世界の相互の「憧れ合い」が微笑ましく見えてくる。この手のドラマでは、人々がそれぞれの人生を担って同時に生きていることを示すため、当然のように長回しの手法が生かされてくるんだ。 【なんのかんの】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-18 10:02:32) (良:1票) |
49.元祖としては評価できるが今となっては物語的には厳しいかな。 【とま】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-03-17 12:11:29) |
48.複数の人間が絡み合うとのことだったので複雑な話かもと予想していたが意外に分かりやすかった。気楽に楽しめる良作だとおもう。 【ホットチョコレート】さん [地上波(字幕)] 7点(2012-03-16 23:43:24) |
《改行表示》47.群像劇というだけでもう期待してしまうのですが、期待に応えるなかなかの傑作でした。 グランドホテルの音楽が止まったって、なんてドラマティックなセリフ。 もっとばらばらの話が最後に絡み合うっというのがほんとは好きでしたが、 男爵の存在感がそれを補っていました。 また観たい一本です。 |
46.この時代にこの作品設定という発想の斬新さと洗練度には驚くが、内容的には予定されたストーリーが粛々と進んでいくだけという平坦さは否めない。キャラクターのふれ合いはあっても、ぶつかり合いがないのです。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-03-09 04:08:01) |
45.《ネタバレ》 主要キャラが5人もいると収拾つかなくなっちゃうんじゃ…って最初は思ったけど、全然そんなことなかったわ。 頑張らなくても5人それぞれのストーリーがすんなり追えたってことは、やっぱり映画自体の作り方が上手なんでしょうね。 アタシは今回が初グレタ・ガルボだったんだけど、やっぱりスゴイのね、オーラが。 情緒不安定で精神的に脆そうなグルジンスカヤの「大スター!だけどオンナ…」みたいな雰囲気…アガルわー。 これでもかってほど掛けられた紗も「往年の大女優」って感じでステキだったし。 あと現実的だけど根は優しいマテリアル・ガールのフレムヘン役がとってもよくはまってたジョーン・クロフォードも良かったし、紳士的なコソ泥男爵も、瀕死だけど豪遊中の帳簿係のオッチャンも、お猪口の裏並みに器が小さい社長さんも、それぞれちゃんとキャラが立ってて。 …すべての登場人物がほかを邪魔しない程度にちゃんと目立ってるってことが群像劇では大事なんでしょうね。 【梅桃】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-07 16:26:29) |
《改行表示》44.一流ホテルにやって来た人々の人間模様を描いたドラマ。 登場人物たちはそれぞれ悩みを抱えているという設定で、各キャラ描写に問題はないのだが、 ストーリーそのものに深みがない。取り立ててグッとくるようなシーンや盛り上がりがなく、 ほぼ、どこにでもある日常的なホテル内の風景を延々と見せているだけ。 ラストのホテルマンのメッセージから考察すれば、ホテルは社会の縮図であり、 当たり前のことを自然に描くことが狙いかつ妙味だったんだよ、ということになるのだろう。 そういう風にまとめられちゃうと、中々良く出来た作品でしたと言うしかないのだが、 個人的には率直に今一つの映画だった。 【MAHITO】さん [DVD(字幕)] 4点(2011-09-19 02:10:12) |
《改行表示》43.メインが5人という人数で、それほどテンポが早くないため、無理なくついていけました。 正直言って前半は退屈でしたが、後半に登場人物が次々と絡みだしてからはかなり楽しめました。 特に、5人の中でも最も幹になっていたと思われる「男爵」が、あのようになってしまったのは意外で、古典なのに斬新に思えました。 さりげなく流してますが、実は、かなり思い切った展開ではないでしょうか? 逆に、あのインパクトにかなり持っていかれてしまった感があります。 展開にこれといった仕掛けの妙といったものは感じませんでしたが、群集劇の元祖だけに入門テキストとしては最高ではないかと思います。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-02-16 23:20:25) |
42.当時のスターを大勢起用したということで、散文的な内容になってしまっているかと思いましたが、なかなかの良い出来に仕上がっていると思いました。各キャラクターの個性が確立されて、エピソードごとに、良くストーリーが練られていると思います。唯一貧乏くじを引いたのはG・ガルボではないでしょうか。それでもガルボの見せ場は作ってあるので、全体的には良くまとめられた映画であると言えます。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-10-03 17:33:40) |