《改行表示》34.《ネタバレ》 観ているとどうしても、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督と同じくカナダ出身の先輩監督の名前が浮かんでくる。ああ、これって、デヴィッド・クローネンバーグだなあ、と。 例えばあの『ザ・フライ』なんてのは妙な作品で、映画が始まったら殆ど前置きも何もなく、いきなりジェフ・ゴールドブラムが「オレって凄い研究してるんだぜ」みたいなことをジーナ・デイヴィスに吹聴している。そんでもって物語はとっとと禁断の実験へとなだれ込み、あとはひたすら、主人公の体に生じた異常が描かれていきます。登場人物がごく限られた、割と「内輪」のお話でして、これらの人物はそれぞれ、どこかイヤな部分があり倫理的な問題を抱えているにせよ、誰も悪人という程の人はおらず、なのにメチャクチャ悲惨なお話が、その特異な映像でもってこれでもか綴られていって。 ただただそこにあるのは、決して引き返すことのできない、残酷な変化。 この『スプライス』でもまるでこの『ザ・フライ』を踏襲するかのように、エイドリアン・ブロディとサラ・ポーリーはあれよあれよという間に異常な実験へと突き進んでいって、あとは、その実験がもたらした奇妙な日々が描かれます。人間に似ているけれども、人間に非ざるもの。それが、社会とどう関わるか、どう排斥されるか、などといったことはまるで描かれず、そこにあるのはただ、この3人による「内輪」のお話。ただしその中で展開される変化というものは、我々の予想を超える速度で、我々の予想ができないような方向に進んでいく。いや、マジでついていけん。と言いつつ、心のどこかに「ああ、やっぱりそうなるのか・・・」という思いもあって。こういう不条理感がまた、クローネンバーグ作品を思い起こさせます。 この「ドレン」なる生命体の描き方、幼少時の姿が登場した際は違和感ありまくりでギョッとさせられ、何だか映画が間違った方向に向かっているんじゃないか、と心配になりますが、成長すれば違和感も無くなり・・・ということは勿論無くって、違和感はずっと消えないし「間違った方向」感も消えないんですけれども、一方で、別の危うさも、何となく感じさせる・・・つまりそれが、「ああ、やっぱりそうなるのか・・・」に繋がる訳で、結局のところ映画が向かうのは、我々が予想できない方向というよりも、我々が予想したくなかった方向。 という訳で、ヒジョーに残念ではあるのだけど、「ドレン」の描写は結果的に、上手かった、ということになります。 全体的には、クローネンバーグ作品を思い起こさせること自体は悪くないとしても、その亜流止まりであるように感じさせるのは、少し残念でした。ラストもぶった切るように終わってしまう『ザ・フライ』と比べると、こちらの方がナンボがオチをつけようとはしてますが、言tっていることは同じという(笑)。変な続編が作られちゃっても知らないよ。いや、もうそれは無さそうか? それにしても、やはりというか何と言うか、エイドリアン・ブロディは役に立たんヤツを演じるとピカイチですな。演技かどうか知らんけど。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-17 07:31:01) |
33.《ネタバレ》 “むかし放射能、いま遺伝子操作”がSF・ホラー系映画でモンスターを産み出す理屈の定番ですけど、けっきょく健康被害は別としても短期的に生物を変異させるような影響が無いことが認識されている放射線と違い、DNA操作は意図せずにトンデモナイものが誕生してしまう危険性が多々あるのが怖いところです。この映画はあの『スピーシーズ/種の起源』と発想は同じくするものの、あんな無茶苦茶なお話しとは違ってじわじわ来る恐怖というか嫌悪感を追及してゆくストーリーなのは評価しておきたい。 門外漢のわたくしには新規のたんぱく質を生成するためになんであんな怪物を創造しないといけないのかは?なんですが、最初に登場する“ジンジャーとフレッド”からして気持ち悪いことこの上ない。でもほんと生理的にしんどかったのが幼年期までの“ドラン”の方で、あのドレスを着た姿なんて思わず眼をそむけたくなります。“ドラン”はサラ・ポーリーの卵細胞が使われたいわば子供のような存在だってことはバレますけど、成長するにしたがって文字を駆使したり絵を描いたりするようになるのはちょっとやり過ぎだったんじゃないかな。サラ・ポーリーの母親の精神的な問題が暗示するように、“ドラン”にもポーリーを通じて異常性が遺伝してしまったという解釈が妥当のようです。このストーリーのトンデモナイところは、エイドリアン・ブロディが“ドラン”と、サラ・ポーリーが性別転換後の“ドラン”と性交しちゃうところで、これはホントにおぞましい。まあブロディはともかくとしてもポーリーの方はもう近親相姦としか言いようがないわけですからねえ。 ラストの展開ですけど、明らかにありふれたモンスター映画に寄せてしまったのは失敗でしょう。“ドラン”に羽根のようなものが生えてくるのも意味が不明、沼地のシークエンスもほんと暗くて何が起こているのかさっぱり判らずストレスが溜まりました。けっきょくほぼ皆死んでサラ・ポーリーだけが生き残る後味の悪いバッドエンドで、とにかく禍々しさだけが印象に残りました。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2023-10-18 21:47:34) |
32.《ネタバレ》 思てたのと違う。ドレンは街に放たれて、いろんな騒動を巻き起こすのかと思ったけど、ずっとクローズドサークルの中。郊外に場所を移動した意味あったかな。 【センブリーヌ】さん [インターネット(字幕)] 5点(2023-03-05 02:43:50) |
《改行表示》31.《ネタバレ》 バイオテクノロジーや遺伝子操作のニュースを見るたびに「秘密の研究所では、きっと怪物みたいなヤバイ生物とか作ってるんだろうなぁ…」と日々妄想しているボンクラの俺なワケですが、そんな俺が【この手の映画で見たいモノ】を出し惜しみすることなくバンバンと出してくれて最高な本作。そして実はそんなキャッチーな映画の裏側には【毒親との関係性と連鎖】というシビアなテーマが見え隠れしているワケなのです。彼らがエルサの実家に行くシーンでは『フォレスト・ガンプ』でジェニーが空き家となった生家に石を投げつけ続けるシーンを連想したりしていました。 キモカワのドレンちゃんが、楽しそうにダンスを踊るシーンとか、猫を抱えてダッシュして「!?」と思わせてからの猫かわいがりとか『生まれ出づる悩み』を感じさせる切ない場面も良かったです。 それだけに、終盤にコテコテのモンスター映画的な流れになってしまったのは「うーむ…。」というカンジ。逆に言えばサービス満点だとは思いますけどね(微笑)。そしてドレンさんの最終形態は、『ジョジョ第2部』に出てきた究極生物カーズ様でしたね(笑) それにしても、こういう映画での【研究成果の発表会】はだいたい惨劇になりますね(苦笑) 【幻覚@蛇プニョ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-03-27 02:13:04) |
《改行表示》30.《ネタバレ》 不気味なSFホラー映画の体裁をとりながら、実は昨今の家庭内問題をてんこ盛りに扱った奥の深い?映画。 見る人によって好き嫌いが相当別れそうな映画です。 大人になりきれないまま親になってしまう夫婦、親から受けた虐待を結局自分の子供にも行ってしまう母親、問題児をかかえた親の苦悩と身勝手な対応、そして近親相姦、それも息子→母、娘→父の両パターンという念のいれよう。 …とまぁ家庭内問題各種大盤振る舞いで、しかもそれをなかなか気色悪く描いてるので、観ててお腹がいっぱいになります。 娘とセックスしてるとこを妻にみつかるとかなかなか修羅場ですよね笑 全体的な気色の悪さは相当なものですが、まさにそういう目的で撮られた映画だと思うので、映画として監督の狙いは成功してるんでしょうね。 【あばれて万歳】さん [インターネット(字幕)] 6点(2020-08-22 08:30:29) |
《改行表示》29.《ネタバレ》 あんだけ我を通してアホやった女性科学者が手のひら返していく様を見る映画です。 全女性に当てはめるわけでは全くないですが、少なくともこいつが短絡的にそのときの感情で動く生き物っぷりをよく再現してるのではないでしょうか。 羽根生えたんなら大空を飛び立てよとかウサギは野菜とかツッコみだしたらキリのない映画なので疲れました。 もうCUBEなんて映画は二度とこの世に出ないんやなって・・・ 【悲喜こもごも】さん [インターネット(字幕)] 4点(2020-05-05 11:00:11) |
《改行表示》28.《ネタバレ》 監督と主演女優の名前を見て、これはいけると思ったのは最初の7分くらいまで。 正直、褒めるところはサラ・ポーリー様が主演だということに尽きる。 納屋での展開はやめろやめろと思ってる間にそうなっちゃうし、新種とはいえ、羽根が生える必然性がほぼ感じられないから、途中からほとんどついて行けず、ただサラ様を鑑賞する映画になってしまった。 あの造形を愛せる、というところに科学者の狂気ぶりを表現したのだろうか。 ダメダメなサラ様を鑑賞できる珍しい映画、ということでなんとかこの点数。 CUBEの発想はもう無理なのかなあと感じる切ない感想。 |
《改行表示》27.《ネタバレ》 ストーリー展開はテンポよく飽きさせない。最後までどうなるか読めず目が離せない。 不気味な形容のドレンに愛情をそそぐ二人や、異なる種とセックスする旦那、そこに今まで味わったことのない異様なグロテスクさがあって面白い。 ただ、筋書きは残念な出来である。いいお膳立てがあったのに、それを活かせないまま終わっている。子供を早くして亡くした夫婦の悲哀、それゆに不気味なドレンに愛情を持ってしまう二人、不仲になる二人、さらに科学倫理との葛藤、そういうものを描いているのに、結局、それが全部未消化のまま終わってしまっている。ドラマが全くないのだ。 男の死に意味がない。ドレンの死にも意味がない。「ただ死んだだけ」である。女が妊娠を決意する意味もない。「ただ投げやりになった」だけである。ドラマなし、訴えたいものなし、意味なし。 題材はいいのに、何とも薄っぺらい作品になってしまった。 【椎名みかん】さん [インターネット(字幕)] 6点(2019-03-07 19:59:00) (良:1票) |
《改行表示》26.《ネタバレ》 オスカーでのエイドリアン・ブロディ(ハルベリーにキスしたシーン)を観た時から、脳裏に (この人は演技上手いけどスケベだ)と刷り込まれてしまっている私は、あの生命体が大人の女になったら 絶対やるだろうなーと冒頭の時からずっと思ってて。 案の定やってるところを彼女に見られて洋服上げながら彼女を追う情けない顔をしてて (やっぱりエイドリアン・ブロディは俺の思った通りのスケベだった) と妙に納得してしまう、そんな作品でした。 追記・レイプされた生命体との子を産むような女とやるよりまだマシという声もあります。 【まさかずきゅーぶりっく】さん [DVD(字幕)] 5点(2019-02-25 19:34:08) (笑:1票) |
25.これはやっちゃいかんでしょう。結局両性具有ということですか?女性の科学者が一方的独善的過ぎて気持ち悪くなります。最後まで彼女は反省していなかったようで。最後の方、気持ち悪くて吐きそうになります。それでも映像に目を見張るものがあったんで1点で。 【たかちゃん】さん [CS・衛星(字幕)] 1点(2013-01-15 13:36:01) |
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24.《ネタバレ》 遺伝子操作による生命を作り出し、やがて手に負えなくなるというありがちな話です。スピーシーズのようなSFホラー的なものを期待していましたので、かなりの期待外れでしたし、映像が気持ち悪く、後味も最低です。それでも間延びしなかったので最後まで観れましたので、まあ暇つぶしにはなったかな。研究発表での大惨事は面白かったです。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(吹替)] 5点(2012-11-11 17:00:38) |
《改行表示》23.《ネタバレ》 『倫理』なんてものは何の歯止めにもならないという、エルサのマッドサイエンティストぶりをもっと強調して欲しかったが、彼女はそれに近い。人間、科学者、生物学者としてそれが可能なら、間違いなくやる。止めに入ったクライブも結局誘惑に負けたのだから。劇中で「結果を考えたか?」という台詞が出てくるが、これは皮肉と受け取る。これはまさにただ巻き添えを食ったが為の、自分の身を案じているだけの外野の意見。世紀の成功を目の前にした科学者、あるいはそう考えている人間は、そういう事を考えていても、やっただろう。それが『人間』というもの。そして招いてしまう、望まぬ結果も至極当然。ドレンに対するエルサの冷たい態度は、彼女の母に知らず知らず重なっているという描写であるが、それは案外どうでもよくて、この因果関係の最大のオチはやはり身ごもってしまったドレンの遺伝子。ドレンはエルサの遺伝子を受ける、いわばエルサの分身。その想像すら恐ろしい、禁断の種の芽生えが『倫理観』などいとも簡単にぶち壊す、ぞっ、とする ラストシーンにつながるわけだ。中絶をしないエルサとその子は、地球上において、唯一無二の存在になるのだ。この結果を見ずしては、彼女は真の生物学者とは言えないだろう。 自分の遺伝子を受精された卵子。人間の思いつきとは恐ろしい。そう、本当に恐ろしいのは生み出されたドレンではなく、それが出来て、実行してしまう『人間』である。 【miki】さん [DVD(字幕)] 4点(2012-08-23 17:24:14) |
22.《ネタバレ》 製薬会社で数多の病気の治療薬に必要なたんぱく質を合成する研究者である男女2人の主人公。複数の生物の遺伝子を掛け合わせ、新種の生物からそれを取り出そうとするが、より高度なたんぱく質を合成するため(また科学者としての好奇心から)、人間の遺伝子を組み込むタブーを犯す。そして産み出された生物は、急速な成長を遂げ徐々に人間の姿と知能を獲得していく...。本当に小さく自分の思い通りになる頃の「我が子」を溺愛した女主人公が、思い通りに育てられなくなると虐待するようになる。自分が子供の頃に虐待を受けていたと思しき描写もあり深い。また、逆に最初は新生物を排除しようとした男主人公は、新生物の見た目が人間の女性に近くなるにつれ愛するようになり、最後は性的関係を持つに至る(新生物のフェロモンに負けた?)。最後は新生物の性転換(伏線あり)により、女主人公が陵辱されるに至る(自然の摂理を汚すものは報いを受けるということか?)。ありがちなバイオSFかと思いきや、自然の摂理の犯してはいけない境界線と、子育て(しかも子供は「異形」で先天的ハンデを負っている)の機微を描くとともに、うまくいかない育児に伴う身体的、性的虐待をも描く重い内容だった。 【しぇんみん】さん [DVD(吹替)] 6点(2012-08-14 23:33:20) |
21.キモかったです。嫌悪感満載でした。ストーリーもよくある様な内容でオチまで読めてしまいました。スピーシーズ並にドレンが可愛かったらまだ見れたのに。 【Kの紅茶】さん [ブルーレイ(字幕)] 3点(2012-05-13 01:46:36) |
20.《ネタバレ》 序盤は禁断の実験で新生命体ドレンを作り出してしまう恐怖を描いていますが、ドレンが成長していくにつれてまさかの展開が起こってきます。ホラーサスペンスとして非常によく出来ているんですが、キモかわいい?ドレンの造形がなんともいえない嫌悪感を生み万人受けはしないかも… 【nyaramero】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-05-09 10:32:57) |
《改行表示》19.《ネタバレ》 なんか出来の悪いジーパーズ・クリーパーズ デスカ。ヒューマン・キャッチャーでしたか? 的な。 両生類でありながら二足歩行してるわ 羽根が生えてきて好きな所に飛んで行けるわ なんでもありだな。 挙げ句、生前、エイドリアンの旦那に抱かれて結合して女としての悦びを知り (ってことはワレメがあったって事だよな) しかし、土の中から甦ってからというもの 今度は嫁さん相手に腰を振り振り (ってことはいつの間にやらチン●ンが生えてきてたって事だよな) ほんでもって種蒔き完了ってデスカ。 はは~ん とことん なんでも有りなわけだな。 はいはい わかりましたよ しかし、なんでこんなもんに時間を割いてしまってたかな~ ムッキーイ! 悔しーーい! でもまあいっかぁ。少しは職場で話のネタにはなったから 【3737】さん [DVD(字幕)] 3点(2012-03-14 20:30:35) |
18.《ネタバレ》 エイリアン風の新種の生き物を作っちゃって、育ててるうちに、恋に落ちましたって話。展開は意外性が多いので見ていて楽しめますが、なにせ新種の生き物が気持ち悪い。 【たこちゅう】さん [DVD(字幕)] 6点(2011-12-26 00:14:33) |
17.《ネタバレ》 クリーチャーの造形が、気色悪くて微妙でした。髪の毛でもあればまだ見れるんですけど。科学者夫婦の壊れたモラルもなんだか納得がいきません。翼が生えたり水中で生活できるメスは抱けないでしょ。 【真尋】さん [DVD(吹替)] 5点(2011-12-18 18:46:29) |
《改行表示》16.ちょっとだけ高尚な『スピーシーズ』っちゅう感じで、自分たちが生み出した新種の生命体によって右往左往させられとる中盤ぐらいまではそれなりにおもしろかってんけど、それ以降の展開がなんや凡庸で、最終的には陳腐な愛憎劇みたいになってしもうてたし、新種の生命体であるドレンのキャラクターはよかってんから、そこをもうちょい突っ込んで描いてほしかった。あれじゃ結局なにがしたかったんかよくわからん。 【幻の『モンスター』】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-12-18 16:17:57) |
15.パッケージがなかなか秀逸で、レンタル店に行く度に気になっていた作品。2つしか在庫が無く、いつもレンタル中なので余計に気になっていた。パッケージからはスタイリッシュなサイエンスホラーかと思っていたけど・・・。導入部分はなかなか良かった。可愛いと言いながら、見せるクリーチャーがかなり気持ち悪かったり、この後どんな事があるのかと想像を駆り立てられたけれど、進めば進む程変な展開に。最後はヤッたヤられたは、もう気持ち悪いです。 【はりねずみ】さん [DVD(字幕)] 3点(2011-11-23 22:51:20) |