《改行表示》188.麻薬戦争の現実をただ描いたと言えばそれまで。 それは麻薬とは無縁の生活を送っている人間にとってあまりにも非日常すぎるからかもしれない。 多くの登場人物が複雑に入り乱れるが、舞台ごとに色使いを分け、 主要三人を絡ませないことで比較的分かりやすくはなった。 今日でも耳にする麻薬撲滅を掲げ惨殺された現地要人のニュースに、 永遠に終わることのない本作の泥沼の戦いを思い起こさせた。 |
《改行表示》187.《ネタバレ》 麻薬カルテルを撲滅させるために奮闘する人間たちの重厚なクライム。 コントラストの見せ方で主に三つのストーリーを同時進行させていくが交わることがない。 一人の思惑で裏で何かが起こる。絶妙な緊張感。そして助演を受賞したデルトロがリアリティあって、かっこよすぎる。 「ボーダーライン」もそうだがあなたはなぜそんなに麻薬紛争が似合うのか。 |
《改行表示》186.《ネタバレ》 麻薬撲滅担当になった判事と麻薬に溺れて落ちていく娘。 相棒がサラザール将軍の闇の麻薬取引をサポートしていた麻薬捜査官。 麻薬関連の容疑で逮捕された夫を守るために不利な証人を殺害しようとする妻。 3つの話が並行して進んでいく。 麻薬で堕ちていく普通の女子高生がとてもリアル。一番エゴイスティックで怖いのが、夫を守るために簡単に悪に手を染めたキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。 『ボーダーライン』とはまた違ったタイプの映画だが、麻薬汚染の実態を垣間見る思い。 【飛鳥】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-09-02 10:25:49) |
《改行表示》185.《ネタバレ》 まず、麻薬撲滅担当の大統領補佐官に就任した判事とその家族の物語。本作中最大のビッグネームであるマイケル・ダグラスが主演している関係上か、はたまた観客にもっとも近いアメリカ人家族の物語であるためか、作品中もっとも力点の置かれたエピソードとなっているのですが、これがまったくのダメダメでした。何がダメかって、マイケル・ダグラス演じるウェークフィールドの行動が出鱈目なこと。彼の権力を総動員すれば失踪した娘なんて簡単に見つけ出せるはずなのに、麻薬撲滅活動のトップにいる自分がスキャンダルに晒されてはならないからと個人で問題解決に当たっているうちに、事態はどんどん悪化していきます。また、娘が見つかったら見つかったで、今度は最悪のタイミングで「個人的な問題を抱えている自分では任を全うできません」と言って職務から逃げ出してしまう。あんたは一体何がしたいんだと呆れてしまいました。 次にベニチオ・デル・トロが主人公を務めるメキシコパート。デルトロのオスカー受賞から察するに、世間的にもっとも評価されているパートがこのエピソードのようなのですが、テレビドラマ『ナルコス』などを見てしまうと、本作の描写は完璧にパンチ不足。15年も後に制作された作品と比較するのは酷と言えば酷ですが、それでもメキシカンマフィアのヤバさはかなり控えめだし、サラザール将軍を売るという危険な決断に至る過程に存在したであろうデルトロ捜査官の葛藤も不足しており、「ちゃんと描いていればもっと面白くなったはずなのに」と残念になってしまう点が多々目につきました。 最後に、夫が麻薬密輸業者であることを知った有閑マダムとDEA捜査官の攻防を描いた西海岸パート。キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、デニス・クエイド、ミゲル・フェラー、ドン・チードル、ルイス・ガスマンと知名度も演技力もある俳優が多く配置されたこのパートがもっとも勢いがあり、娯楽性も高くなっています。追う者と追われる者の双方の視点で描かれることでドラマもサスペンスも絶好調に盛り上がるし、家族を守るという絶対正義の下で悪事に手を染めざるをえなくなった有閑マダムの存在によって、作品は善悪二元論に収まらない広がりを見せます。本作で評価されるべきはデルトロではなく、ゼタ・ジョーンズであったと思います。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 6点(2017-03-20 03:18:36) |
《改行表示》184.《ネタバレ》 クライムムービーとして、社会派ドラマとして、大変完成度の高い傑作。2時間30分があっという間に過ぎます。ここまでの作品にはめったにお目にかかれません。 大きな3つのエピソード、事件が、同時進行で進んでいく様子は圧巻。 一つ一つの点にすぎなかったエピソード、人物が、線と線で結ばれ、次々とつながっていきます。ですが、よくある『最終的に一つの大きな結末を迎える』というわけではありません。それぞれのドラマがそれぞれの完結を迎える脚本が、リアルを感じさせます。 一つ一つのエピソードは、それぞれ1本の映画が撮れそうなほど、中身が濃いです。 登場人物がこれだけ多いのに、全く混乱することがありません。 エピソードも、人物描写も、細部にわたって手抜きが一切見られません。 あまりにも真面目に撮られているため、一見娯楽性が無いように見えるこの作品。確かにそーかもしれません。 ところがこーゆー作品は、ある瞬間、物語の中に入りこんでしまうと、鳥肌が立つほど面白いのです。その面白さっていうのは、『楽しい』ではなく、物語を読み解く面白さなのです。 ハビエールとマノーロは、将軍と麻薬組織のつながりを証明できるのか。ヘレーナは300万$を調達することができるのか。ロバートはキャロラインを見つけ出し救うことができるのか。レイとモンテルはルイスを証言台で証言させることができるのか。 下手なアクション映画やサスペンスより、よほどハラハラさせられたのは、きっと私だけではないはずです。 何が凄いって、これが純度100パーセントのフィクションであるということです。 これだけシリアスで重いテーマを扱っているのに、ぎりぎりのバランスで大衆向けに収めていることです。 そしてすべてのエピソードに、『救い』と『報い』の両方を用意していることです。 これぞ究極のエンターテイメントであります。 【たきたて】さん [DVD(字幕)] 10点(2016-05-17 08:19:07) (良:1票) |
183.《ネタバレ》 こういうバカ娘は観ていて腹が立つ。もしこれがアメリカの現実の一部だとすれば大変なことだよホント。デルトロはとても良かったけどあんまりこういう内容のものは好きじゃないな、時間も長いしね。まぁソダーバークさんらしい映像と構成ということデショウ 【Kaname】さん [DVD(字幕)] 3点(2015-10-30 08:18:57) |
182.すごそうな映画に見せかけて対したことない映画。 |
181.《ネタバレ》 ○いろいろなジレンマを設定に取り込んでいるが、そこまでうまく表現されていないような。○ちょっと長いのもなぁ。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-08-23 11:10:07) |
180.《ネタバレ》 麻薬をめぐる様々な人間たちの熱い群像劇。普通、こういう社会派サスペンスってもっと重たい作品になるものだけど、この監督の〝軽さ〟が良い意味で活かされていて、最後までちゃんとエンタメ映画として楽しんで観れる。それに、ドン・チードルを始め、ベニチオ・デル・トロ、キャサリン・ゼタ・ジョーンズたちの抑えた演技が随所に光っていて終わってしまうのが勿体ないと思えるほど良く出来た作品だった。特に、子供のために麻薬を売り捌くという母親の、善悪を超えて力強く生きていこうとする姿が強い印象を残す。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-04-20 16:33:01) (良:1票) |
《改行表示》179.麻薬をテーマにしているが暴力的な内容というより、映像、画質、特徴のあるカット割りで淡々と見せる映画。音楽も目立たない程度で派手さはないが、全く退屈しないで最後まで見れました。登場する人物によって、画像が青かったり、砂のような色だったり、普通の色にしたり効果がある編集だと思いました。予想以上の傑作。 【仏向】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-06-13 00:28:12) |
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《改行表示》178.《ネタバレ》 キャサリーン・ゼタ・ジョーンズって不思議な女優ですよね。善良な役よりも、こういう悪い女性を演じる方が魅力的で。 さて、内容ですが普通こういった複数のストーリーが並行する場合、なかなか内容がつかみづらいんですが、3つが3つとも非常にキャラクターがしっかりしてたのでわかりやくて楽しめました。 一番面白かったのがメキシコの警察の話かな。特に、あの拷問の後でものすごく厚遇するっていうのはナチも用いた手法で興味深かった。あれで落ちない人間いないでしょう。 ただ、面白いストーリーを三つも詰め込んだんで一つ一つが若干ダイジェスト風で薄くなったことは否定できません。 それとアメリカ人にとっては当たり前のことだから描かなったかもしれませんが、もっと、人間の精神も、身体も破壊しつくす麻薬の有害性にも触れてもらわないと。この映画だけでは、少し問題のある有害な嗜好としか受け止められない恐れはあります。 その本質性がわかれば、麻薬の輸入業者も、豊かな暮らしを守るためだけに夫を救うために奔走する妻も(こいつの大事な、大事な、大事な、息子を麻薬で植物人間にでもしてやれば、自分のやってることの有害性をちょっとは理解できるんでしょうか?)、金のためにその輸入業者を救うために小汚い法廷工作をやる弁護士も、すべて蛆虫以下の存在であることは理解できるんですが。 あと、取締本部長の話はぬるかったな。一回も娘とまともに対決することもなく、あるいは監禁するとか有効な手段も取らず、やさしくやさしく包み込むだけで麻薬中毒が治るわけがない。あの娘の中毒が再発するのに百万ペリカ。 【rhforever】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-03-28 15:00:27) |
177.気合いを入れないで寝っ転がって見ていたので、なにがなんだかわからないうちに終わった。ただ、きちんと気合いを入れて正座してみると、絶対に良い映画らしいことだけは分かった。もう一度、絶対見直そう。 【みんな嫌い】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2011-11-12 15:36:02) |
176.《ネタバレ》 頭は疲れたけれど、‘映画見たー!’という充足感でいっぱいになる。麻薬を巡る三組のドラマそれぞれがずっしりと見応えあり。特に画面が黄色く切り換わると‘デル・トロの組’だ!とわくわくする。根深い社会問題だけに重たいのだけど、時折笑える演出が粋なのもこの映画の魅力。ハビエールが米側から「どこならいいんだ」と問われて選んだ場所には大笑い。屈強な男3人がファミリー向けレジャープールかいな。(しかもちゃんと遊ぶんだ。まじめな顔して。)麻薬取締局の捜査官2人の勤務中トークもじわっと面白い。ヘレーナがレモネード持ってやってくるときのおたおたぶりは みもの。各組が自分たちの問題にとりあえず答えを出して話は一旦終わる。ハビエールの出した答が力強く、希望にあふれて素晴らしい。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2011-07-25 01:17:41) (良:1票) |
【のははすひ】さん [DVD(吹替)] 4点(2011-01-26 23:59:03) |
174.《ネタバレ》 麻薬取引を描いたゴリゴリのエンターテイメント作。ドン・チードルが良い。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 6点(2010-06-28 00:44:24) |
173.《ネタバレ》 この作品は脚本が秀逸。シンシナティ・サンディエゴ・ティファナで同時進行するストーリーですが、各エピソードの登場人物は最後まで他のエピソードの登場人物とはリンクしない(唯一画面上で交差するのが国境検問所というのがまさしく『トラフィック』)のですが、観終わるまで全然違和感が起きないところが凄い。三つの別々のお話を観せられたとは感じませんよね。重い題材の社会派映画ですが、重すぎも軽すぎもしない絶妙なタッチの演出手腕で、ソダーバーグを見なおしました。やはりそれはデル・トロが見せてくれるあの素晴らしいラスト・シーンがあるからでしょう。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-11-28 21:55:14) |
172.《ネタバレ》 麻薬捜査を扱ったクライムサスペンスではなく、ドラッグが抱える問題を、出来る限り広い視点で捉えようとしています。勉強にはなる。でも答えを言っていないので、コメントしづらい映画です。辞書によると「トラフィック」は交通や運輸以外に、不正取引という意味があるらしい。その不正取引に関わる人々をほぼ網羅しているのだろう。「製造・販売」「捜査・取締」「購買・中毒」の3つの領域に分かれてストーリーが進む。みんな必死で、それぞれに理屈もあり、当たり前だけど相容れることは無い。内通や裏切りも恒常化している。検索レベルで調べたところによると、杓子定規な取締の強化は、ドラッグ流通の潜在を促し、犯罪性を深刻化させるとのこと。そんな分析から、一部のドラッグを解禁している国すらある。この手の問題は、ニッポンの高校生が飲酒・喫煙を止めないのと同じで、いくら手を尽くしても解決することはないというのが率直な意見。少なくとも、法律や取締では解消しない。ドラッグって、健康に気を使って嗜好品をやめることと同じで、最終的には個人の意思の問題じゃないだろうか。映画の感想になっていないですね…。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-08-14 05:28:01) (良:1票) |
《改行表示》171.《ネタバレ》 秀作!! この作品を見たのは2回目だが衝撃的だった。題材が強烈な麻薬汚染なもんで、ストーリーに圧倒され初見ではこの映画で表現していることが自分の中ですべては消化し切れなかったのが2回目見てみて分かりました。。 いまいちと思った方には、ぜひもう一回見てみてほしいなぁ。平均点が低すぎるのが残念。。 この映画にはヒーローはいないし、淡々としているし、虚無感が漂うし、それらすべて脚本として計算され作られている。本当に底から這い上がりたいと思う時にたびたび見るため、DVD買います。金払う価値あり。 役者も映像もいい!ソダーバーグ監督、深いぞ! 【tutu555】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2009-07-23 00:53:45) |
170.3つの色調で区別されて描かれた3つの物語は、1つ1つを単純に分けて見るとワリと新鮮さのない物語でしかない気がします。でも、麻薬という要素だけで繋がった3つの物語がバラバラに解体され、1本の映画という形で再構築された時、そこに麻薬をめぐる現実が浮かび上がってきます。社会に深く喰い込んだ麻薬というものに対して、楽観でも悲観でもなく、ただ観客に向かって状況を突き付けてみせる映画。キーワードは「子供」。自分じゃない、その子供達の未来にどう落とし前付けるか。その選択を迫られているようです。デル・トロのこってり濃い存在感が目に焼き付く映画でした。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-06-27 13:49:52) |
169.アメリカという大国における最大の問題のひとつであるのがドラッグであろうが、その問題を非常に効果的に一流の映画として昇華させている作品だと思った。それぞれのキャラクターによるオムニバス的なストーリーを見事にリンクさせ、場面ごとに映像の色彩を変える手法がとても鮮烈で印象深い。今作でアカデミー監督賞を受賞したスティーブン・ソダバーグであるが、彼の映画監督としての力量をまざまざと見せ付けた秀作。 【鉄腕麗人】さん [DVD(字幕)] 8点(2009-06-12 23:27:59) (良:1票) |