1.小津映画で親子を演じたこともある佐分利信と有馬稲子が不倫関係にある男女を演じた。物語は新津(佐分利信)の通夜に現れたきよ(有馬稲子)の回想から始まっていくが、17歳の女の子がなぜ新津のようなおじさんに惚れたのか説明は無い。「大きくなったら浮気をしようね」なんて言葉が飛び出すエロオヤジに愛情を募らせるなんて、なかなか理解しがたい訳だが、山での暮らしが始まってからはもうそんな事はどうでもいいと思えてきた。好きなものは好きなんだから仕方ないと…。そして、この暮らしがそう長くは続かないと分かっているだけに、切なさも感じられるのが良い。この手の演出がプラスに働いた好例ではないかと思う。美しい風景やきよの「通せん坊」も見所のひとつ。