7.《ネタバレ》 本作の評価にはかなり面倒だが以下の行為を一通り済ませておかなければならないと思う。
1.原作の読了
2.原作及びスタジオぬえ作成のパワードスーツの挿絵が後世に与えた影響をWikipedia等で頭に入れておく
3.原作の映画化に纏わる経緯を知っておく(映画化は過去何回も企画され、1997年のバーホーヴェン版まで悉く没となっている)
4.これらを全て踏まえて過去3作を鑑賞する
上記4項目を実施しなければ本作の評価は著しく低いものになるだろう。
何の予備知識もなく鑑賞したら、髭や傷の有無・髪の色・眼帯等で違いは与えられてはいるが似た様な顔のCG俳優がカクカク動く「ゲームの合間に挿入される様な映像の羅列」を単に見せられただけと思われかねない。
1作目のバーホーヴェン版は物議を醸した原作の右傾思想を逆手に取り、アメリカ大国主義を風刺する事に重点を置いた。パワードスーツの映像化を切り捨てたのは英断。
2作目は良くも悪くもバグのSFXを担当したフィル・ティペットのヲタク魂が炸裂、マニアック過ぎる小粒作品となってしまった。
3作目でついにパワードスーツが映像化されるが、残念ながらスタジオぬえの挿絵の影響が強い私の様な原作ファンには期外れだった。
1作目の出来が白眉だったので2作・3作目の評価は低くなってしまったが、全作を通じて感じられたのは良し悪しは別として製作に携わった人それぞれの原作とパワードスーツに対する熱い思い入れだった。(皆それぞれ、自分たちの「宇宙の戦士:Starship Troopers」を作りたかったのだろう)
翻って本作、結論から書くと荒巻監督は自分自身の原作とパワードスーツに向ける熱い思いを上手く映像化したと思う。
あっさりと纏めすぎの感は有るが、パワードスーツを新解釈で映像化し、3作目で不評だった”マローダー”をAppleseedのランドメイトの様な位置付けで上手く組み合わせたのは成功だろう。
だが、前述の様に登場人物がまるでCG版キャプテン翼の如く皆同じ顔のキャラばかりであり、冒頭に記した様に若干の違いは与えられているが誰が誰なのか判らなくなり途中で混乱した。
今後、CGの俳優が実在の俳優に取って替わるとは夢にも思わないが、技術的な課題はここにあるのかと感じた次第。
ハッキリ言って脚本は大した事は無いが、製作に向けた思いに敬意を表し7点献上。