191.《ネタバレ》 ハリウッドでヴェトナム戦争を初めて本格的に描いた作品というよりも、恐怖のゲーム“ロシアン・ルーレット”を世に知らしめた功績(?)の方が大でしょう。このロシアン・ルーレットはヴェトナムにもヴェトナム戦争にもなんの関係もなく、ラスヴェガスでロシアン・ルーレットが行われるという脚本があって、それをプロデューサーが無理くりヴェトナム戦争に結び付けたのがそもそもの成り行きだったみたいです。戦場の真っ只中や陥落寸前のサイゴンでロシアン・ルーレット賭博に熱狂するヴェトナム人を見せられると「どんだけロシアン・ルーレットが好きやねん、ヴェトナム人は」と誰だって嫌悪感を催すはずで、そりゃヴェトナム人が怒るのは無理ないでしょう。 ストーリーは三部構成になっていますが、ストーリーテリングは三時間も上映時間があるのにけっこう雑な感じもあります。ピッツバーグ郊外の故郷からヴェトナムの戦場への切り替わりが唐突なのはまあ編集上のテクニックかもしれませんが、戦場での三人の捕虜になるまでの経緯がすっ飛ばされ過ぎです。デ・ニーロはクリストファー・ウォーケンやジョン・サヴェージとは違う部隊(特殊部隊か)であるのは明確ですけど、三人が戦場で再会したら次の場面では捕虜になって水牢みたいなところに押し込められているってのは展開が速すぎ。この映画、前半の結婚式までのシークエンスやロシアン・ルーレットの場面はくどいほど長いのに、人間関係の描写には手を抜いているような感じがしてならないのです。 ヴェトナム戦争で人生を狂わされた三人ですが、やはりデ・ニーロの演技がいちばん光っています。スティーブンとニックは明らかにあっちの世界に足を踏み入れた感じですが、抑えた演技で通しますけどマイク=デ・ニーロがもっとも狂気に満ちている気がしました、さすが「頭のおかしいキャラを演じさせたらデ・ニーロの右に出る者はいない」です。故郷では仲間内ではもっとも紳士的ですけど、時おり理解不能な哲学的(?)なことを言い静かに怒りを爆発させる。戦場では絶えず二人を攻撃的なほど叱咤し、ロシアン・ルーレットにも恐れを見せずに挑む。ヴェトナムですっかり人が変わってしまったと言えばそれまでですが、復員してからもどこに行くにも軍服姿で通す。唯一狩りのときだけは私服に戻りますが、いわば素に戻った彼はもはや鹿を仕留めることができないのでした。ニックを連れ戻すためにサイゴンに戻るマイクですけど、もはや廃人同然のニックとロシアン・ルーレットの勝負をするというところに、マイク=デ・ニーロの訳の分からない狂気が迸ります。 20年ぶりぐらいに観返してみて、しょうじき初見のときのような感動は薄れ、なんか粗が眼についてしまいます。でも、ヴェトナム戦争の傷がまだ生々しかったアメリカ人には、名曲“カヴァティーナ”で始まりそして幕を閉じるこの物語に打ちのめされたのは理解できますね。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-10-17 22:55:36) |
《改行表示》190.《ネタバレ》 特に第一章のパートで、そして全体としてもかなり重いテンポで、所々確かにやや冗長に思える箇所も在るとは言えるだろう。ただシンプルに、この重苦しさをそのまま作品全体の空気感として取り込むための演出方針であるのは明白であり、それ自体は分かり易くシリアスな見応えを形成することにも成功しているし、決して悪くない選択だと思う。中盤から後半にかけては随所に心を穿つ様な威力・迫力のあるシーンも増えてゆき、この(反戦と言う)題材の映画としては間違い無く一級品&ある種の水準を示す傑作と言ってよいと感じる(やや、オーソドックス過ぎる感は無くも無いケド)。 ベトナム戦争、という大きなひとつのコンセプトに関して言えば、中世以前ならばともかく人道主義が普及した現代に至っては、人は守るべき人々の為にしか本気で戦うことなど出来ないのではないか、ということをひしひしと感じる。それが侵略されたベトナムが勝利した理由であり、既に個人主義化したアメリカが敗北して絶望的な虚無感を抱えた若者が大勢生み出された理由なのではないか、と。その意味では、種々のテロ組織を影で操っているのはCIAだ、なんてのも、あながち単なる陰謀論でもないよーにも思われてくる、というか。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-11-07 01:46:39) |
《改行表示》189.《ネタバレ》 戦争に行く前、戦場、戦争から戻った後の3部構成。 とても長く感じ、面白くなかった。 戦場のパートだけは緊迫感があって良かったが。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 3点(2020-11-03 19:34:10) |
188.《ネタバレ》 直接的に多くを語ろうとしない作品。背景にはベトナム戦争という有事が起こっているが、普通の若者たちの日常から始まり、若者たちの友情で終わる。若い彼らに必要なものは、どこにでもある日常。酒を飲み歌を歌い、キャデラックで遊びに行ったり。友情に似た愛情と、少しの愛国心。そんな日常が永遠に続かないという現実もちゃんと受け止めている。彼らは誰も責めない。特に反戦感情もなければ、大切な仲間を最悪な形でしか連れ戻せなかった友を責めることもしない。彼らは時代の流れに逆らうことなく、現実を受け止める(否定しない)事で今を精一杯生きている。この精一杯な姿を私たちは傍観し、戦争の悲惨さや彼らが置かれた立場の皮肉を感じ取らなければならない。鹿狩りとロシアンルーレット、ロシア系移民のベトナム戦争出征、ラストに静かに歌われる屈託のない愛国歌、普通に描かれているそれらが何とも悲しい余韻としていつまでも胸をざわつかせる。そんな青春映画。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 10点(2020-08-27 15:02:59) |
《改行表示》187.戦争に巻き込まれた青年たちの苦悩を描いている。 前半にゆっくりと日常を見ているだけに、戦闘シーンは辛い。 平和の大切さが身に染みる。 デニーロさん他俳優さんが若いと感じた。 ロシアンルーレットは私には辛すぎて下を向いてしまった。 【たんぽぽ】さん [ブルーレイ(吹替)] 8点(2020-06-20 21:01:31) |
《改行表示》186.《ネタバレ》 始めの1時間がかったるいですが、中盤から見る者をぐいぐい惹きつけていく魅力があると思います。 主役はデ・ニーロじゃなくてもよかったかなと思うくらい印象が薄いです。 クリストファー・ウォーケンの病的な変化が痛々しかったです。 最後に彼の死を悼んで「ゴッド・ブレス・アメリカ」を歌う遺族たちの姿は、ベトナム帰還兵に対して癒しを与えるもののように感じました。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-05-14 02:15:01) |
185.30年ぶりに観ました。シリアスでリアルな色調の画が素晴らしい。とくに黒い闇が秀逸。真っ直ぐに進んでいく脚本は良いが、最初の1時間のバカ騒ぎはさすがにダルかった。とにかく重い映画。生きてることは素晴らしいということが伝わってきて感動する。 【ブッキングパパ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-05-07 20:25:29) |
184.《ネタバレ》 ロシアンルーレットのシーンは圧巻、リアルで目を背けたくなる。観終わって思いだすのは長かった結婚式のシーン。観てる時は、さすがに長いなぁと思ったけど、あの場面を思い出してしまう。だってラストが葬式ですから。いつか観ようと思っていた映画だったけど観て良かった。あえて言うなら若い時に観ればもっと良かったかな。 【ラグ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-11-19 23:21:43) |
《改行表示》183.これで観たのは3度目くらいか?字幕なしの原語オンリーで挑戦。何度見ても慣れなくて、暗い気分にさせられる。言葉による説明を廃した細かな演出が至る所に散りばめられているとうことに、3度目の鑑賞で初めて気づいた。脚本家出身の監督らしさが出ている。最近、こういう演出をする監督がいなくなった気がする。 -- 今日、4Kレストア版を映画館で見て来た。俳優達の演技力すごいね。CGなしのサイゴンとかすごいね。スタントなしの川流れもすごいね。マイケルがグリーンベレーで、しかも最後まで除隊していないんだね。初めて気づいた。 【センブリーヌ】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2019-01-12 18:12:45) |
《改行表示》182.《ネタバレ》 なんとなく映画の構成が「ワンスアポンアタイムインアメリカ」に似てる気がする。 良くも悪くもロシアンルーレットのシーンのインパクトが強すぎる感じがする。 狩りのシーンなど印象深いシーンも多いが個人的にもう1つ浸れない感じがした。 音楽が良かった。 【Nig】さん [DVD(字幕)] 6点(2018-08-22 03:10:35) |
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《改行表示》181.ベトナム戦争が歴史の教科書で知るくらいで、実体験として肌で感じていないので、 ディアハンターもプラトーンもバーディも気にはなりつつも見ることなく今に至る。 で、ようやく見てみたけどやっぱりよくわからなかった。。 |
180.《ネタバレ》 田舎の若者が狩りや宴を中心に楽しい青春が戦争によって突然壊れ、戦争から帰れば心の闇を抱え体の一部を失い、精神異常をきたし人間性も壊れる。前半の光と後半の闇の落差がありすぎるこの展開こそがこの映画の魅力ではないでしょうか。戦争の悲惨さを訴えた傑作です。 |
《改行表示》179.《ネタバレ》 レビューを書きながらも、 実は、もう20年以上は見ていない映画だったりします。 先日、忘年会で映画の話になり、 忘れられないシーンの話題になった時、 ふっとフラッシュバックのように思い出したのは 引き金を引く直前のニックの、表現のしようのない微笑みでした。 小馬鹿にするかのような、懐かしむような、謝るような。 初めて見た時は子供のころで、 なんでなんでなんで、って思いながら ショックで悲しくて切なくて、ひたすら泣いたなぁ。 いろんな映画に出ているC.ウォーケンですが、 =微笑むニック が常にどこかにあって、時々困ります。 【こっちゃん】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2017-12-23 08:53:38) |
178.これは衝撃的でした。この映画はベトナム戦争を舞台にしていますが、あくまで背景としてであり、一部の方がおっしゃるとおり戦争を題材にした青春映画であると思います。この映画のタイトルはなぜ「ディア・ハンター」なのでしょうか。鹿とニックをだぶらせているのでしょうか。後半の逃げない鹿の佇まい、ロシアンルーレットを続けるニックから、お互い死を覚悟したもの同士とでも解釈したらいいのでしょうか。現段階ではまだ私にはわかりません。あと、ロシアンルーレットというのは、読んで字のごとくロシアが発祥のものです。登場人物がロシア系の設定というのも何かの暗示なのかもしれません。 【金田一耕助】さん [DVD(字幕)] 8点(2017-08-14 21:56:32) |
177.《ネタバレ》 この映画かなり僕の印象に残ってます。ロシアンルーレットの緊迫したシーンとかラストの「To Nick」とか。でも、いいシーンだけを思い出してるわけだから、そこだけでこの映画の評価を上げることはできません。何せ実際は3時間も見てるわけですから。今後もいいシーンだけ思い出して「やっぱいい映画だったかも…」と思うことはあるかもしれませんが、もう一度これを見るには相当の根気が必要ですね…。 |
《改行表示》176.《ネタバレ》 3時間超える映画は好きではないのですが、主人公たちの友情と幸福を描いた1時間、ロシアンルーレットから脱出する1時間、友達を取り戻そうとする1時間の3つに分けられて長いとは感じなかったです。 ディア・ハンターといえばロシアンルーレット?自分もロシアンルーレットから来て鑑賞したんですが、生き残っても死んでも無事ではないなと・・・ひしひしと伝わります。 【ラスウェル】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-08-12 00:12:55) |
175.3時間の上映時間が全く長く感じない。どのシーンも迫力十分で見応えがあり、クライマックスからラストシーンにかけての展開はとっても好き。 【カニばさみ】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-03-14 02:42:49) |
174.ベトナム戦争当時のことを知らない世代です。いかに狂った世界であったか、有名なロシアンルーレットのシーンが象徴しています。同じ銃を使う場面でも、戦場と故郷とでまるで違う世界です。戦場へ行った者の大変さはもちろん、残された者、迎える者の辛さも伝えられていました。当時の風潮を考えると、無視できない映画だったんではないでしょうか。 【shoukan】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-13 17:10:31) |
《改行表示》173.《ネタバレ》 非常に荒削りな映画。 鹿狩を終えバーで祝杯を上げてると思ったら、何の予告もなくベトナムの戦場に移った時には少し驚いた。 私自身はこのような唐突な「シーン」の入れ替わりを荒削りな編集として感じてしまった。 そもそもこの作品は見せたいものが多すぎる。 それにしてもこの頃のロバート・デ・ニーロの演技は神がかっている。 案外一番好きだったのは結婚式で泥酔したデ・ニーロが急に服を脱ぎながら走りだし、追いついたニックに"I must be crazy"と告げる微笑ましい一幕だ。 どうしてもこの辺りの5人の交流のシーンを長く感じてしまうが、最初の1時間があったからこそ生きる作品だったのは間違いない。 【鈴木】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-01-25 14:38:43) |
172.《ネタバレ》 ○2016年1月3日再鑑賞。○序盤が長いのは覚えていたが、やはり長すぎるかな。それがあっての戦争シーンというのは十分に理解できるが。○二度のロシアンルーレットシーンは二度目の鑑賞でも背筋が凍る思いである。各演者の素晴らしさも実感。デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケンは特に素晴らしかった。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2016-01-04 22:34:19) |