1.《ネタバレ》 宣伝写真の印象が強烈だったので見たが、ホラーではなく真面目な映画である。映画美学校フィクション・コース第13期高等科助成金作品とのことで、商業映画ではないだろうがDVD化はされており、ネット上では評価すべき点を挙げたレビューもあって納得させられる。1979年の同名の邦画との関係は不明だが、全く無関係ということでもないらしい。
全体として昭和のスケ番映画を意識して作られているとのことだったが、そのように聞くと題名の字体や最初にクレジットを出す構成、また現代にしては違和感のある台詞や棒読みのような口調までがそういう意図だったように思われて来る。棒読みは明らかに不自然だが、そのうち耳に馴染んで来て、「甘ったれるんじゃないよ」のあたりまで来ると心地よく聞こえるようになる。この場面は発声がいいからかも知れない。
物語の内容に関しては、まず女性の心情に関わることは自分にはわからない…ということは、この映画のほとんどの部分がわからない(監督の説明は理解できる)。ほか男に関していうと幼馴染の性格付けが非常に変で、制作側の意図に合わせて都合のいい行動をするキャラクターを作っただけに見える。だいたいこういう奴が純な心で思いを寄せたくなるような外見を主人公はしていない。また最初に主人公が帰って来た動機がどうも不明瞭に感じられ、これと実際に行われたこととの関係も明確でなく、そのため納得のいく全体構成ができていなかったように思われる。
結果として、この映画が好きになれる要素がなかったのは残念だが、監督の名前は憶えた(いそがい、という読み方をするのは別人の例で知っていた)ので次に期待したい。