1.《ネタバレ》 公式サイトによると、2011年4月に撮影の予定だったが震災の影響で6月に延期され、公開はさらに遅れて翌2012年の夏になったとのことである。「新スパイガール大作戦」のシリーズはこの映画で6作目とのことで前回からの出演者もおり、うち神楽坂恵という人は前作(2008年)の公式サイトでは「グラビアアイドルから女優転換を目指す」と紹介されていたが、前作からここまでの間に転換が実現したらしく、この映画では少し大物の役になっている。
ところで題名の惑星「グリーゼ」は、現地語で何か意味があるのかも知れないが、地球人にとっては地球の著名な天文学者ヴィルヘルム・グリーゼ(1915~1993)の名前の印象が強い。この学者は太陽系に近い恒星のリスト(グリーゼ近傍恒星カタログ)を作成した人で、「グリーゼ581」といった恒星の呼び名に頻繁に使われるので、個別の惑星の名前に使うということは本来考えられない。しかし日本国内では以前に「電磁波怪人 メシエ星雲人」(帰ってきたウルトラマン、1972年)のようなネーミング例もあり、この程度の非常識さは容認されていると考えられる。
劇中の惑星は地球から約20光年離れているとのことで、この惑星が属する星系の主星にもグリーゼのカタログ番号が付いている可能性がある(例:前記のグリーゼ581は約20光年、周囲に「グリーゼ581c」など複数の惑星が発見されている)。映画全体としては荒唐無稽な話だが、微妙に現代科学の知見を取り入れた内容のように見えなくもない。
また劇中ではなぜか2011年3月10日という日付が特定されているが、これがどういう意味なのかは結局最後までわからなかった。現実世界でこの日付の直後に起こった世界最大級の原発事故と、この映画に出る宇宙人が血液を欲していたことを考え合わせると、昭和特撮ファンとしては「ウルトラセブン」(1967~1968)の第11話と13話の間に放映された回(※現在欠番)との関係性を想定してしまう。しかし本当にそういう意図のもとで映画を作ると非常に不謹慎な内容になっただろうと想像されるので、この完成品のように多少気の抜けた内容でも制作中止になるよりはましだったと思われる。ちなみに題名の「反乱」の意味も不明だった。
ほか全体的には宇宙人の侵略物になっているが、超低予算らしくほとんど一つの建物内だけで撮影されたようである。笑えるところもなくはないが75分という時間に対しての密度は低く、またなぜか端役の一人ひとりに焦点を当てる場面が用意されていたりして冗長になっている。スパイガール3人は一応キャラ立ちしているが、個人的には「清純派グラビアアイドル」(映画公式サイトでの紹介)の中村静香という人がかわいいのを見ていれば満足であり、バストの大きさを強調しないのは抑制が利いていて好感が持たれる。
もしこれを見ようとする人がいれば(いないだろうが)、それぞれ何とか自分なりの楽しみ方を探すようお勧めしたい。こんな中身のない映画をネタにして長文を書く自分はえらい。