1.《ネタバレ》 タイトルに「組織暴力」と入っている佐藤純彌監督の映画で、シリーズ第3作目を思わせているが、実際は別物なのか、前2作とは趣を変え、戦後に出会った二人の男(安藤昇、菅原文太)が私設警察を結成し、のし上がっていくさまが描かれている。ヤクザ映画らしい作風になっていて、面白くないことはないのだが、「組織暴力」シリーズにあった社会派的な視点はなりを潜めていて、それが少し物足りない気もしないでもない。それに、舞台となる時代背景を実際の映像で出したりしているが、なにか中途半端に大作感を出そうとしているようで、ダイジェスト感も強くなり、これはいらなかった気がする。安藤昇も菅原文太も存在感がある演技を見せていて、とくに菅原文太は東映で頭角を現し始めたころで、このころから既に菅原文太らしい演技を見せているのが印象的。その菅原文太の相手役を演じているのが野添ひとみだったのは少し意外に感じたが、やはり彼女はこういうヤクザ映画よりはやっぱり大映、増村保造監督の映画でのほうが好きだな。後半の私設警察が結成されてからは暴力描写も凄まじく、見ごたえがあり、ラストもやるせなさが残るのだが、やはり個人的には「組織暴力」シリーズ2本のほうが好みだ。