3.《ネタバレ》 ルメートルの小説は、「その女、アレックス」を読んで以来、面白いのは承知。ただ、本作はまだ未読のため、期待値が高過ぎたのかもしれない。
疎遠になった父親や優しくも厳しい姉、そして憎たらしい上官の中尉や、人情味ありそうな警察署長?など、魅力的な脇役陣。
しかし、それがストーリーの中でポツンと点で動いている感じがして、なかなか線にならない。
エドゥアールの色鮮やかで七変化するマスクは、モノクロになりがちな暗い時代の中で大きなアクセントになっており、シュールでありながら違和感が無いという不可思議な現象を映画の中に生じさせている。この演出は見事。
一方、もう一人の主人公アルベール。
この人の感情の揺れが激しすぎる上にしかもわかりづらいときているので、ストーリーテラーとしては少々物足らなかった。
メイドとのロマンスももう少し丁寧に描いてくれていたら、ラストのどんでん返しにもっと喜べたのにという思いがして残念。
独特のカメラワークは、なかなか観ないカットもあって、その点は斬新。
原作は読まないかな。