37.《ネタバレ》 現在から過去に向けて点と線がつながる描き方は秀逸ではある。しかし退屈。 【ほとはら】さん [インターネット(字幕)] 2点(2023-04-23 16:35:11) |
《改行表示》36.《ネタバレ》 「あの頃に戻りたい」。 もう時は戻らないのに。 消えることのない後悔の中、数日前でも、数週間前でも、数年前でも同じことを言っているのだろう。 初恋の娘がくれたハッカ飴と決まったレールを走り続ける列車をキーワードに、 自殺するまでの男の20年を、アルバムを最後から捲るように遡っていく。 彼の人生には初恋の女性の幻影を常に追い求めていたように感じる。 だったら、除隊後に彼女への想いを打ち明け、成就すべきなのに。 もし、罪のない女子高生を誤って撃たなかったら… 「その手で幸せにする権利は自分にはあるのか?」と己を偽り、彼女を遠ざけ、 それでも空疎さを埋めるために他の女と寝ても、金と名誉を追い求めても一向に満たされなかった。 最終章(20年前)の幸福な時間が冒頭(現代)の悲壮さをより際立たせる。 兵役時、踏みつけにされたハッカ飴が、 当時の軍事国家によって矯正された優しい男の人格とリンクする。 後の『オアシス』で知的障害者を演じたソル・ギョングの振れ幅の大きい演技力の高さに感嘆する。 ハッピーでもバッドでもない独特の余韻に、イ・チャンドンの他の作品をもっと見てみたくなった。 【Cinecdocke】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-04-01 00:02:37) |
35.《ネタバレ》 ※ネタバレございます※ まず、主演のキム・ヨンホという男が冒頭で自殺する、という、とんでもないオープニングであり、さらに時間を逆行して彼の過去を描いていく、、という、またトンデモナイ構成となっております。 彼は最終的に自殺するワケですから、とにかくツイてない男で、どの過去にも必ず「不幸」があるんです。人生の不幸③⇒不幸②⇒不幸①⇒不幸になる前、、こんな感じで、不幸の地雷を踏む前に物語 (時代) が戻っていくワケですから、彼はただ若返るだけではなく、精力みなぎり希望に満ち溢れ生き生きと蘇ってゆきます。この感覚こそ、今までに例を見ない、新感覚だろう。 やがて物語は、見覚えのある、あの風景の中で、愛しい女性に花を摘む彼の姿にたどり着く。なるほど、だからこの場所だったわけだ。そして、彼の目の前にある (等身大の) 幸せ、それは彼の人生にとって、最も美しく幸福な瞬間であった、、と私たちは思い知らされることになる。同時に、これが時系列ならば、何気ない一場面に過ぎなかっただろうし、そういう見せ方のうまさ、をつくづく感じさせます。 これは誠実な青年が国家権力とその体制下に人格を矯正させられて、ついには砕け散った物語であり、国という体制批判の映画ではあると思う。しかし、私は韓国人ではないので、感想はただ一つ。 この映画は「幸せ」の見せ方が秀逸だった。 そのたった一言に尽きる。 このストーリーにして、自分の目の前の世界 (人生) が尊く美しく見えてくるから、不思議な映画だと思う。 【タケノコ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-03-28 23:15:32) (良:1票) |
《改行表示》34.《ネタバレ》 簡単に言えば青年時代花を愛し、それを撮っていきたいと願っていた工場労働者の繊細な男が軍隊にいき、その後警察で思想犯の取り締まりで拷問に励んだ後脱サラし、好況の波に乗って実業家として成功するも共同経営者の裏切りに遭い、没落し、最後その繊細だった頃の自分を懐かしみ命を絶つというある男の半生のお話。これだけ聞けば陳腐なドラマでしかないが、描かれる物語はキム・ヨンホという主人公個別の人生を深く描くことで世界的にも評価される名作となった。いつもながら思うのはイ・チャンドンの描くドラマはなぜ心を撃つのか考えるがやはり彼がキリスト教の「アガペー」を理解しているからではないかと個人的には思う。日本語は「愛」一語しかないので定義がバラバラで、安っぽい書家やタレントその他有象無象のそれに関する名言がありがたく消費されている状況だが、かの地ではしっかり3段階に分かれて理解されているので今後そういう安っぽい発言をする人はこの定義を当ててみてどのレベルの人間か判断するとよいでしょう。1「エロス」情欲の愛。ストーカーとか。2「フィリオ」友愛。日本でもある政治家が盛んに言っていたが自然に湧き上がる愛情。親子愛、兄弟愛とか。3「アガペー」自ら選択した愛。無償の愛。キリストが愛であるといっているのはこのこと。ひょっとしたら主人公は初恋の人ユン・スニムと除隊後愛を育むことができたかもしれない。だが、暴動制圧の任務途中に誤って無辜の女子高生を撃って殺してしまった。おそらく彼はそのことで罪悪感を持ち、ユン・スニムと一緒になって幸せになることを自ら禁じ、贖罪のために警察に奉職し、反体制派の取り締まりに邁進していく。しかしその裏で心の奥底には空虚さが巣食っており、過激な拷問をするごとに彼本来の姿から遠ざかっていったのだろう。彼を愛してくれる妻に対しても根源的な彼の心の渇きを癒されることはなく、悲しいことに彼女に対して誠実に愛することができない。拷問に明け暮れても何ら自分を救えない彼は今度は富によって自分を満たそうとするが、結局は妻も見返りのない愛に嫌気がさし浮気をし、また彼自身でも空虚かエロスかそれはわからないが女子事務員と不貞をし、最後はビジネスパートナーに裏切られて富も家庭もすべてを失う。 キリスト教では罪深い人間は仮にアガペーを目指しても、結局はエロスか良くてフィリオにとどまるということになっている。彼も今際の際のユン・スニムの枕元に呼ばれて彼の本当に戻るべき場所・本来の自分を思い出し、ユン・スニムとのピクニックの時にもう一度戻れるのならという慙愧の念がラストシーンの泪とファーストシーンの泪とリンクする。このシーンに収斂するために時系列を逆行させているのだ。もちろん各断章ごとに次の章に続く情報をリレーさせることで、観客の集中を引き付ける仕組みもあるが、やはり冒頭とラストのリンクが最大の目的なのだろう。決してイキった演出ではない。必然なものだ。光州事件という監督個人の思いも当然込められてはいるが、その知識がないとしても十分ある男の普遍的で哀切で痛切な物語になっている。 【エリア加算】さん [インターネット(字幕)] 9点(2021-01-25 17:09:06) (良:1票) |
《改行表示》33.《ネタバレ》 頭がおかしい人のつまらない一生、という事でいいですか? 過去に遡るほど内容がつまらなくなり、見続けるほどに期待がしぼんでいく。 やはり時系列は順繰りの方が好み。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 5点(2020-11-09 22:01:06) |
《改行表示》32.うーん…これは難しい。。。 イ・チャンドン作品は「オアシス」「バーニング」に次いで3作目だが…いずれも自分のストライクゾーンを通りそうで通らない。 エンタメ志向の自分にはイ・チャンドンの文学的な作品はやや合わないのか。。 おそらく自分の理解力の弱さもあるだろう。 それでも最後まで見入ってしまうのも不思議な魅力。これも作品の力か。 ソル・ギョングの七変化振りも見事でした。 【tonao】さん [インターネット(字幕)] 5点(2020-07-20 10:32:20) |
31.《ネタバレ》 ストーリーは、よく練られており、それにもまして映像センスは素晴らしいが、ある種暴力的なテーマが自分には合わない。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 5点(2019-04-05 14:36:13) |
30.《ネタバレ》 イチャンドンの比類なき作品群に圧倒される前に、何の予備知識もなく、観た記憶がある。その時は、印象に残るシーンを撮るのが上手いなぁ、話が徐々に前に戻っていく構成は面白いなぁと、やはり他の映画作品とは違う印象を抱いていた。何よりアジアの作品が注目され、大量に日本で公開された頃なので、これがアジアンテイストなのかなぁと思っていた。今回、彼の凄さを認識した上で、もう一回観た。昔に帰りたいと叫んで自殺をする青年。一体彼に何があったのか?話は、兵役の頃の女子高生誤射事件まで、その時々の女性とのエピソードを軸に、丁寧に少しづつ昔に戻っていく。イチャンドンは若くして、もう老成している感がある。これほどの完成された作品を、もう初期に発表してしまうと、作家は次に何を創ればいいのか、途方にくれるはずだ。しかし、イチャンドンはそれに耐えて、次から次へと観たことない作品を発表する。彼の凄さは、若くして、完成された作品を創ってしまったことにあったのではないか?この作品を観て、そう思い至った。 【トント】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-04-26 19:17:53) (良:1票) |
【Yoshi】さん [DVD(字幕)] 5点(2009-05-22 13:16:03) |
《改行表示》28.《ネタバレ》 物語がさかのぼっていくアイデアは、今となっては斬新さは感じられません。 「そういえば、最初どんなだったっけ?」と、もう一度見直したくなります。 純粋な青春時代が20年経って、全く違う人間に変わってしまうのは誰にでも起こりえるかもしれませんが、特に、この映画のポイントになる「光州事件」を知らない日本人には、私も含めてイマイチ心に打つものが薄くなってしまうのではないでしょうか。 若い女性を誤射してしまったトラウマと初恋の女性を、クソ真面目な性格でごまかしながら生きていく主人公の姿がとても痛々しい。行き当たりばったりで抱いた女に見せた涙がとても純粋なものに見えます。さぞかし朝食の約束を果たしたかっただろうに…。 自転車の漕ぎ方を教わった女房が、自動車の運転を教わった男と浮気していたのは、いかにも映画的で面白かったけど、そんな女房が主人の心境をどこまで知っていたのかは全く描かれていないので、ものすごく気になりました。 しかし、この映画は主人公だけを描いた一人称のストーリー。私も現在線路に立った主人公と同じくらいの年齢なので、もし自殺する時って、もうどうでもよくなっちゃうのかな…って改めて考えさせられました。 「誰かを道連れに死んでやる!」と叫んだら、その相手が初恋の相手なんだから、たまったもんじゃありませんよ。 残念ながらペパーミントキャンディーという小道具の効果はあまり感じられませんでした。 それから、BGMで、リッチーブラックモアズ・レインボーの「キャッチ・ザ・レインボー」が使われていたのは、マニアックな選曲でニヤリとさせられました。 【クロエ】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-05-19 09:03:17) |
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27.「前向きに生きよう」なんて言葉を気安く使うな、という凄味がこの映画にはある。なにしろ「後ろ向き」が中心モチーフだ。「後ろ=過去」の復権、「後ろ」の重さ、「後ろ」の開き直り。20年をさかのぼっていく旅は、そりゃ暗い。最後に光州事件に至る韓国の現代史だもん。過去へ過去へとさかのぼった記憶の旅は、最後に一個のペパーミントキャンディーに結晶する、「人生は美しい」って。だからドラマの伏線も普通の因果関係ではなく、まず「果」が現われてから、「因」に至っていくわけ。これじゃ、何もかももう取り返しがつかないわけだ。過去のどこにも選択の間違い(あるいは選択の余地)はなく、すべてはゆっくり損なわれるように決定されていた、ってことを確認するための遡行。敗北主義とか、自己憐憫なんて言葉も浮かぶが、でも人生って、自己憐憫には値するのではないか。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-09-03 12:11:26) |
26.ソル・ギョングのカメレオンぶりは、評判どおりすごいよ。妻役が、『大長今』でチャングムの師匠、医女長徳役の人だったのでへーという感じ。主人公の年齢設定は、わたしより2歳くらい上で、光州事件など、この時代と青春時代が重なっている人間にとっては、いろんな感慨を禁じえない。大学時代よく歌った「アチミスル(朝露)」という曲も、劇中で使われている。 【yhlee】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-07-27 18:13:08) |
25.時系列をだんだん過去に遡っていくという『メメント』的構成で描かれる(こっちのが先ですが)、骨太の人間ドラマ。T・H・クックの小説を思わせる素晴らしい出来ばえ。独特の長回しは脚本で上手く消化された自然な仕上がりとなっているし、暗鬱だが不思議と美しさを感じさせる映像も悪くない。終盤で明らかになる主人公の過去がほぼ予想通りだったので一時冷めかけたが、そこはソル・ギョングの熱演に救われた。本当に素晴らしい役者さんで、彼がいなければこの映画の魅力は半減していただろうと思う。あの懐中電灯の場面はすごい! 【no one】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-29 14:14:33) |
《改行表示》24.《ネタバレ》 切ない映画です。自殺を試みたある男の半生が時間を遡って描かれています。 軍事独裁政権→民主化運動→好景気とその崩壊という韓国の現代史の流れと共にストーリーは進んで(遡って?)いくので、少し予習しておくと非常に理解が深まると思います。(まあ、知ってなくても十分楽しめましたが。) 時間が遡っていくため、見ていくうちに謎や疑問が解けていきます。そのため、重く長い映画にも関わらず、飽きずに最後まで見ることができました。 【TM】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-16 21:53:26) |
23.これを観た当時、韓国映画は「シュリ」と「JSA」しか観たことがなかったので、こういった展開にはちょっとビックリしました。ちょうどへこんでいた時期だったので余計落ち込んでしまった…。でも観ておいてよかったと思う。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-10-26 22:38:07) |
22.う~ん。面白いっちゃあ面白い。ラストも「なるほどな」って思う。演出も巧い(犬の唸り声の真似なんて最高)。けどなんか物足りない・・・。 【ゆうろう】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2005-09-19 14:37:09) |
21.「オアシス」がえらく面白かった上、本作の評判もやけに高かったので期待を持って鑑賞してみましたが、私は大層退屈してしまいました。自殺した中年男の過去に溯って行くという構成が、どうにも良くない。この構成でストーリーを語るには「何故こうなってしまったのか?」という、好奇心を強力に刺激するファクターが必要だと思うんですけど、「自殺」や「銃の入手」等の非日常が過ぎてしまえば、唯の男が離婚しようが、結婚しようが、転職しようが、恋人と別れようが、その理由なんかはっきり言って私にはどーでも良い。映画から運命論的匂いがするのも気に食わん、3点献上。 【sayzin】さん [DVD(字幕)] 3点(2005-07-28 00:07:58) (良:1票) |
20.うろ覚えなので細かい数字とか間違っているのかも知れないけれど、確か二十歳を過ぎたヒトの脳細胞は一日一千万個死んでいるのだそうだ。ひょっとするとその中で記憶やある種の“感受性”も、消えていくものなのかも知れない。人間が生を営む上で「忘れる」ということ、あるいは「慣れる」ことは必要でもあるのだけれど、でもやっぱし忘れちゃいけないこと、慣れてはいけないことってあるんだな。昔ブルーハーツもそう言ってた。ブルーハーツといえば「ラインを越えて」という歌でこんな歌詞があった。「生きられなかった時間や/生きられなかった場面や/生きられなかった場所とか/口にできなかった言葉/あの時ああすればもっと今より幸せだったのか?/あの時こう言えばもっと今より幸せだったのか?(細かいとこ間違えてるかもしれん)」まさに、この映画を歌ってるみたい。取り戻せない時間の残酷さよ。 【ぐるぐる】さん 8点(2004-10-22 18:56:16) |
19.確かに、一回見ただけじゃ細部が理解できない。二回、見るべきかも。人間の弱さについて言えばとてもリアリティがあって、ソル・ギョングは演技をしているように見えない。あの人生を辿ってきた本人にしか見えなかった。それにしても……体当たり演技だよなあ……ソル・ギョングの熱さを感じる。脱帽。 【もちもちば】さん 7点(2004-08-08 22:28:38) |
18.いろいろな事情があったにせよ、ああいう風になってはいけない。平和な今の日本で暮らしている我々にも、主人公のような人生の劇的な変化はおとずれるのだろうか?最後に、ソル・ギョングの20代の時と40代の時の顔が同じに見えてしまった…。 【T橋.COM】さん 5点(2004-04-11 19:53:36) |