5.《ネタバレ》 2chオカルト板発祥の怪談をもとにした映画である。永江監督のこの手のホラーはシリーズ化していたが、今回の劇場予告編に「ネット怪談最終章」と書いてあるということはもうネタ切れで終わりになるのか。
場所はエンドロールに出ている通り瀬戸内海の白石島(岡山県笠岡市の笠岡諸島)とのことで、特に義理はないが紹介しておくと、旅館は名前を変えているが「白石島旅館 華大樹」、食料品店「あまのストア」も実在する。また地元民役として、オーディションを経た地元キャストが多数出演しているようだった。
原話を読んだことがなかったので一応内容を確認したが、題名の話だけでは長編映画にならないのを、その他の怪談も組み合わせて充実させている。具体的には「リゾートバイト」をメインにして、主人公が御堂に籠る場面から「八尺様」を前面に出す形に作っている。また旅館の2階に上中下の引出しがあったのは、その場面で文字が見えた「禁后」という題名の別の怪談に入っている要素だった。
ほか映画宣伝にある「絶対に先が読めない」展開を意図して、原話にない趣向をラストで加えた形になっている。それ自体は「きさらぎ駅」と似たような印象もあって感心するほどのものではないが、終盤の最終決戦の開始に当たり、登場人物の誰が誰だかわからなくなるのは出演者の演技力が試される場面だったかも知れない。その後のコメディ風味は結構いい味を出していたので嫌いでない。
なお主題歌は不気味な曲で好きともいえないがホラーのエンディングにはふさわしい。全体的に娯楽映画として悪くない感じだった。
出演者として、主演の伊原六花という人はよく知らなかったが、2024/3/16の大相撲中継にゲスト出演したのを見て(終盤のみ)なかなか面白い人だと思っていた。一見あまり特徴のない顔かと思っていたが、今回見るとかなり個性的で魅力的な表情をしてみせる人だった。終盤この人がヒーロー的に大活躍する場面も作ってあるのは大変よかった。