《改行表示》 5.《ネタバレ》 真っ先に思い浮かんだフレーズは『この映画が邦画ホラー史を更新する』でした(注:原典は百田夏菜子の海老反りジャンプ)。控え目に言って傑作だと思います。いや少し言い過ぎました。カテゴリー的にはB級なので。でも快作であることは疑いようもありません。 始めは、完全なる「家系ホラー」でした(ラーメンか)。良くも悪くもお馴染みの味。『呪怨』の亜種です。それもあまり出来が良いとは言えません。両親ばかりか兄弟(子ども)まで殺してどうするの。主人公だけ生き残ったとしても虚しいだけじゃないかと。ところが中盤に来て急展開を見せます。一家の一大事に痴呆ババアが大覚醒!家系ホラーからババアの復讐映画に大転換です(注:ババアという言い方は品が無くて好きではないのですが、こと本作に限っては敬意を込めてババアという表記を使わせてもらいます)。悪霊の呪いから命からがら逃げきれれば御の字なんて真っ平御免。家族を奪った憎き悪霊を地獄の底へ突き落とすアクティブな復讐譚へ。さながら『フロム・ダスク・ティル・ドーン』ばりの前後半別物映画は、最高最強のババア映画でもありました。そうです。邦画ホラーばかりでなく、ババア映画史も同時に更新しているのです。長らく日本ババア映画界で女王の座に君臨してきた『大誘拐』の刀自(北林谷栄さん)を超えるキャラクターが爆誕したのです。ファンキー太極拳ババアこと神木春枝。もう好き。本当に大好き。『来る』の逢坂セツ子(柴田理恵さん)も素敵でしたが、それ以上でしょう。年齢も。なんてたって人間力が半端ないんですもの。あんなに頼もしいババア見たことありません。生命力で悪霊に打ち勝つ!は免疫力で病原菌に対抗するが如し。復讐方法も振り切っていました。命のやり取りをしている時に、犯罪かどうかなんて考えても仕方がありません。やるならとことん。腹を括るとはそういうこと。柴田ヨクサルの『ハチワンダイバー』で老い先短いババアが最強だと教わりましたが本当ですね。強いし美しい。結局サユリへの復讐ではなく、サユリの復讐を手伝うかたちになりましたが、因果応報の原則に沿う結末に救われました。ホラーで有りがちな無闇に後味を悪くするエンディングでないのも素晴らしい。続編をつくる気が一切無いのも潔いです。 邦画ホラー史における『リング』『呪怨』に次ぐエポックメイキングな『サユリ』を、最高にファンキーでチャーミングな太極拳ババア・神木春枝(根岸季衣さん)を、私は決して忘れません。「外をよく、内をよく、命を濃く」を私の座右の銘といたします。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2025-04-28 18:07:07) ★《新規》★ |
4.《ネタバレ》 原作未読。松重豊似のおばあちゃんが家族を取り殺した悪霊に孫を叱咤しながら復讐を挑む、という他では見られない展開です。後半は特に原作者・押切蓮介氏の絵が思い浮かぶ濃さです。サユリの家族を拉致してきて制裁させるとか、よくこんなこと考えるなあと(まあ、復讐ではなくなってますけど)。良い話になり過ぎない程度で終わってるのがさじ加減の見事さと思います。 【次郎丸三郎】さん [映画館(邦画)] 7点(2024-09-08 23:07:00) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 原作未読。想像してたのは、地縛霊に家族を殺された一家のばあちゃんが実はものすごく強い人で、地縛霊をフルコンタクトでボッコボコにして祓ってしまう話だと思っていた。 これが、当たらずとも遠からずではあったが、期待と展開的には大外れ。 ばあちゃんが地縛霊をボッコボコにするのではなく、地縛霊のサユリの家族を拉致してきて、そいつらをボッコボコにして、地縛霊に留飲を下げて引き取ってもらおうとするとは、ばあちゃんがホラーだ。。。 そもそも、ばあちゃんの目的はお祓いではなく、サユリに殺された家族の敵討ちではなかったのか? 本作は、前半のホラー部分が全く怖くない(弱い)ので、後半のばあちゃんの逆襲のインパクトも薄い(弱い)。 ばあちゃんのはじけ具合の演出も弱く、派手な色合いの髪型、乱暴な言葉遣い、タバコをスパスパだけじゃあね。。。 車のカセットから流れる曲も爆音のロックでガンガンに行くかと思ったけど、意外とおとなしかったし、ちょっと拍子抜け。 家族が5人も死んだのに、何故かとても明るい長男(無理している様には感じないのだが…)も違和感あり。それにこの長男の演技も、終始なんか微妙だった。 それにしても、ばあちゃんと長男が鍛錬している間はサユリが全然ちょっかい出てこなかったけど、空気を読んで遠慮していたのだろうか???一番の謎である。 【リニア】さん [映画館(邦画)] 5点(2024-09-08 16:20:03) |
《改行表示》 2.《ネタバレ》 小耳に挟まる巷の噂どおり、シンプルで純粋なホラーとは到底言い難い様な作品ですね。でも、ポジティブな言い方をするならフツーに「色々な味が楽しめる」というシンプルな良作品だとも思うのです。ホラー、コメディ、そして醜悪なグロテスク…他にもまた、友情や青春や、家族やその他諸々の間に生じる「愛と言うべきナニか」(⇒或いはもう少し下世話に、連綿たる「生命の営み」とでも言うべきナニか)等々と………誤解を恐れずに言えば、またまたそれ等は、実に「そーいう味しかしないモノ」として半ば無造作に作中に放り込まれている、と思ったりもするのですよね。ちょうど、料理でゆーたら、砂糖とケチャップとマヨネーズと焼肉のタレと刻みニンニクを使いたいダケ使って(百貫デブが)調味した…みたいな感じに思えるんだよな~と。しかし、時にその、ハナから「調和」を目指さない、全てにおける「やり過ぎ感」とゆーのが逆に奇跡的に調和をもたらして、そして既存の評価軸の限界値すらを突破してゆく…みたいな現象がこの世界では稀に発生するとは思っておりまして、今作も恐らくその手の映画=私が個人的には「ラーメン二郎みたいな」と形容しているソレなのではねーか、と思ったりなんかはしておりますね。私の中では、ホラージャンルであれば尚更に、この手の映画の金字塔として永遠に君臨しているのは彼の『ブレインデッド』だと信じて已まないのですケド、再び、私としては、今作は実に見事にあの名作と比較し得るという域に達した秀作だ、と思います。映画館で是非。 しかし、評価としては(実は)已むに已まれず1点落としておりまして、その理由はごくシンプルに、一つダケ残念ながら、ごく個人的に極めてちょっと「嫌いな」食材・調味料が含まれて居た、からなのですよね。。父親の所業……いや、コレもコレとて確かに、実に確実に「そーいう味」をもたらすモノだとは思うのです。しかし、重ねてごく個人的に、私はこの食材が大嫌い⇒否、シンプルに「安易に映画に使って欲しくない」という急所的なヤツなのですよ(⇒いくら、求めるその味を100%の確度で出せるって代物…だとしても)。ソコは少しダケ残念に思われましたかね。 ただ、コレも巷の噂のとおり、エンタメとしては十二分に優れた作品だと思います(⇒対象となる視聴者の層は決して広くはないとは思えども)。今作を以て、白石監督はたぶん更に売れに売れてゆくのでしょーね。ただ個人的には、監督はもう少し早く、あの『貞子vs伽椰子』を以て(今作のこの感じで)売れるハズだった…と思われて仕方が無かったりもします。だからむしろ、コレで売れたら次は『貞子vs伽椰子2』をごく今作みたいな感じで撮ってくんねーかな、な~んて思ったり思わなかったりもして…(また可愛い女優さん2人ゴージャスに主演に起用して貰っちゃって…) 【Yuki2Invy】さん [映画館(邦画)] 7点(2024-09-07 02:21:22) |
《改行表示》 1.原作未読。押切蓮介は割と好きだけど全作読んでいる程のファンでもないんで。 一方の白石監督はモキュメンタリー風の作品を得意とする人なんでどんなもんか不安はあった。 が、これはベストマッチと言って良いほどの出来となった。 本作はホラー的な怖さは皆無に近いが、エンタメとして充分楽しめる作品であった。 それにしてもバールって一般人が手にする最強の武器だよなぁ。。。 【ぴのづか】さん [映画館(邦画)] 7点(2024-08-23 17:36:11) |