162.《ネタバレ》 ボスニア紛争を題材にした作品は、一般市民の被害に焦点が当てられたものが多いと思いますが、本作品は、国境最前線の無人地帯(ノー・マンズ・ランド)を舞台にした軍人同士のいざこざのお話しなので、銃弾によって、簡単に人が死んだりしますが、湿っぽさがなく、ドライな感じで、悲壮感はあまりないです。主人公も、まあフツーに良さげな人なんだけど、よくよく考えると、これまたフツーに人殺ししちゃってます。シーンのほとんどは、塹壕の中に取り残された主人公のボスニアック兵とセルビア兵とのやりとりで、銃を相手に突きつけて命令していた一方が、気を抜いてるうちに、相手に銃を取られて立場が逆転し、というような展開で、あえて例えるならば、コント赤信号的な脚本です。紛争のバカらしさを皮肉を効かせた苦笑いをまじえて、戯画的に伝えていますが、これは紛争当事国出身の監督だからこそ許される手法だと思います。こういう毛色の変わった反戦映画もよいとは思いますが、少なからぬ脚色があることから、どこまでをリアルとして受け止ればよいか迷うところがあります。どこか、ワンクッション挟んだ感があり、今ひとつ、直接、突き刺さってこなかった気がします。 【camuson】さん [DVD(字幕)] 6点(2024-05-08 19:26:26) |
161.《ネタバレ》 さまざまな民族の対立により泥沼の内戦状態へと陥ったボスニア・ヘルツェゴヴィナ。危険な戦場に緩衝地帯として設けられた無人の塹壕に、ふとした手違いから対立する二人の兵士が取り残されてしまう。少しでも身を乗り出せば敵対する陣営から攻撃を受けてしまうという絶体絶命の状況の中、さらなる危機的状況が明らかとなる。セルビア人が仕掛けた地雷の上に置かれた、ボスニア側の兵士の死体が実はまだ生きていたことが判明するのだ。少しでも身体を動かせば三人とも即死。行くことも引くこともままならぬ状況の中、三人のストレスはどんどんと膨れ上がり一色触発の危険な状態へと向かい始める。事態を把握した国連軍も更なる紛争拡大を恐れるあまり事なかれ主義に徹し、正義を振りかざしながらも本音では刺激的な映像を求めるマスコミは事態を更なる混乱へと陥れてしまうだけだった。果たして彼らは無事にその緩衝地帯から生還することが出来るのか?シニカルな笑いとともに綴られる、そんな極限状況に追い込まれた三人の兵士たちの騒動を描いた戦争ヒューマン・ドラマ。低予算ながら、優れた脚本の力で最後まで緊迫感とブラックな笑いが途切れないなかなかの秀作でありました。三人の名もなき兵士たちの諍いをメインのドラマとしていながら、これってボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の縮図として読み取れるようになっているのですね。銃を手に取った側が銃口で相手を脅しながら代わる代わる自らの主張を宣言する微妙なパワーバランス、騒動を止めようとしながらも積極的に関与しない国連、平和の使者のように振舞いながら結局は他人事でしかないマスコミ、そして最後地雷の上に寝かされた当事者は動くことも出来ずその場に取り残されてしまう…。まさにこの紛争の本質を突いた、シニカルで深いラストでした。冷戦終結後、各地で勃発した民族紛争を考える上で真に観るべき価値のある作品と言っていいでしょう。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 7点(2022-11-13 13:15:41) |
《改行表示》160.《ネタバレ》 戦闘シーンがほとんどない、極めて限定的な舞台なのに、却って濃密になり、愚かな戦争への皮肉が効いてくる。 ユーゴスラビア崩壊から民族独立運動が始まり、泥沼の内戦に陥るも膠着状態のままモヤモヤに終わったあの感じ。 ボスニアもセルビアもマスコミも国連も、それぞれの思惑が働き、 巨大組織の特性で身動きが取れないまま、後味悪く去っていく。 除去できない地雷を背に動けない兵士を残して。 そしてカメラも彼を見捨てるブラックさが何とも。 今の世界情勢だからこそ、より強烈に響く。 無力な個人が集合しても組織とはかけ離れた大衆でしかない。 そんな大衆を扇動するモンスター組織が暴走すると性質が悪い。 【Cinecdocke】さん [DVD(字幕)] 8点(2022-09-24 14:43:16) (良:2票) |
《改行表示》159.《ネタバレ》 ネタとしてはありがちだけど戦争の縮図になってるのが面白い。 互いに戦争を始めた原因は相手にあると罵り合い優位な方が従わせる。 悲劇でありコメディ。 【Dry-man】さん [DVD(吹替)] 6点(2020-12-20 23:44:12) |
《改行表示》158.《ネタバレ》 セルビア軍とボスニア軍。両軍が睨み合う、ちょうど両軍がいない中間地点の狭い塹壕に取り残された両軍の兵士3人。 互いに憎悪をむき出しにし、どちらが悪いか言い争い、殺し合う一歩手前にまで憎悪がエスカレートする一瞬もあれば、 同じ言葉を話し分裂するまでは同じ国に住んでいた彼ら。共通の知人がいることが分かり笑顔を見せ打ち解ける一瞬もある。 ユーモアを感じさせる描写を含みながらも、この内戦の虚しさ、悲しさを感じずにいられません。 ある事情があり身動きが取れず塹壕にとどまるしかない兵士たちと、彼らと関わることになる国連軍と、TV局の取材クルーの一行。 結局何もできなかった国連軍はTV局のクルーと共に塹壕から立ち去る。そして3人の兵士達には悲劇的な結末が。 狭い塹壕の極めて限られた登場人物たちの言動を、そのままこの紛争の縮図にする独特の語り口が素晴らしい作品です。 【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2018-02-26 21:44:42) |
《改行表示》157.歴史が浅い戦争だし、旧ユーゴスラビアということもあり身近とは言い難いボスニア戦争。よってこのテーマを観る機会も少ない。 派手さは無いが戦争の無意味さを静かな構図で強烈に印象を受けた。他の戦争映画と比較すると何とも言えない違った味がある。 きっとボスニア戦争の残酷さ何億分の1の縮図なのだろう。他にも観てみたいと思いました。 |
【noji】さん [DVD(字幕)] 6点(2016-08-14 00:58:14) |
155.《ネタバレ》 一見騒がしいだけのおバカ映画の様相ですが、その騒がしさが去ったあとの突き落とされるような絶望感がたまりません。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-12-29 21:47:46) |
154.《ネタバレ》 一般的な評価は高いものの、個人的にはそこまでではないという印象。当時の情勢を知りたくて見たものだから、直接的に映し出されている映像の範囲が狭すぎた。表現として優れているのはわかるけれど。 【lalala】さん [DVD(字幕)] 4点(2014-12-07 19:30:09) |
《改行表示》153.《ネタバレ》 シリアスではないのに深く訴えかける映像 これぞ映画 見終わった後の無力感 |
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152.《ネタバレ》 紛争・戦争の愚かさ・マスコミのバカな使命感・平和より対面を優先する国連の様子などを、変にドラマティックにならず、リアルに描いていました。戦争の悲惨さを強調した内容や涙を誘う的な展開ではないのが逆にこわかったです。ラストの、地雷の上に取り残された男の存在が、関係のない民間人や、意味もわからず武器を持たされて戦っている人の象徴のように思えました。あの人は、紛争を巻き起こした国、そしてマスコミと国連、つまり「現代」という時代に命を奪われる、ということですね。 【ramo】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-12 08:53:08) |
《改行表示》151.2001年公開のヨーロッパ合作映画。ボスニア紛争の前線地帯にある無人の塹壕(=No Man's Land)で起こったとある事件を巡るブラックコメディ。ボスニア・セルジア・国連・マスコミ…様々な人間が寄ってたかってもこの小さな事件すら誰も解決できない。地域紛争・民族紛争の“どうしようもなさ”を本当にどうしようもない出来事を通して切り取った佳作だと思う。そして、事件の当事者の一人である兵士が終盤に叫んだ台詞こそがこの映画の核心なんじゃないかな。 「ハゲタカが群がって…俺らの悲劇はそんなに儲かるか!」 【オルタナ野郎】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-05-09 02:19:48) |
《改行表示》150.《ネタバレ》 ドタバタ劇の中心人物が最後にひとり取り残される、これ以上ないラスト。 ラストも含めて緊迫感や盛り上がりに欠けるのが残念。 【afoijw】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-03-21 23:37:47) |
149.《ネタバレ》 戦争という状況が生み出した悲劇をものの見事に表現した見応えある作品。一番凄いのは、監督がボスニア人で実戦経験のある人であることだ。そんな人間がこれほどまでに中立に描けるのは凄い。そして惜しいことに、日本の配給会社はこの映画をコメディとして売ろうとしていた。確かにブラックコメディだが、そこをあえて押すべきではない。どんな映画でも興収を上げるためなら何でもする日本の配給会社は、チキから見たマスコミそのものだ。でも、幸い変な邦題を付けていないだけマシかもしれない。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-11-17 16:41:22) |
148.《ネタバレ》 映画音楽が全く使用されていません。・・・・映画音楽とは何なのだろう、と考えさせられました。・・・・・地雷をセットされた兵士は、旧ユーゴを象徴させているのでしょう。「解決できない」「動いたら爆発する」というのは、旧ユーゴの民族対立でした。ラストで横たわった兵士は旧ユーゴの地図に重なります。・・・・地雷は本当に外せないわけではないでしょう。もしそんな状態なら、一連の動きの中で爆発しているはずです・・・・・最後のセリフが強烈でした。国連軍司令官「夜に塹壕に相手が進出する予定だと伝えろ」→当然、両軍とも夜になれば塹壕を激しく砲撃するでしょう。国連軍司令官は、そうやって、地雷兵士を抹殺し、証拠の隠滅をはかっていました。・・・・レポーター「塹壕の中には何もない」→世界の旧ユーゴへの無関心を象徴させていました。・・・・・争っていた二人は、セルビア人とクロアチア人なのでしょう。セルビア語とクロアチア語は、ほとんど同じで意思疎通が可能といわれていますから。・・・国連司令官がTシャツで出てくるのは、秘書との情事の後だからでしょう。ハリウッド映画だと、そういう乳繰りあうシーンを入れるのかもしれませんが、この映画には、そんなサービス精神はありません。・・・・・・全体として、良くできた大人の映画でした。ただ、これが映画として面白いのか、と考えると、どうかなー、と思えるので、1点減点です。(旧ユーゴ紛争のおおよその図式がわかっていても退屈なので、そんな10年以上も前の出来事に係わっている暇のない現代の若者には、もっと退屈な映画ではないだろうか、と思います) 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-05-20 00:24:43) |
《改行表示》147.《ネタバレ》 こういう戦争映画は今までなかった。徹底して(直接描写せずとも)残酷な戦闘シーンを描くか、あるいは徹底してコメディ化して皮肉るか、が戦争映画のセオリーだった。 だがこれは違う。ある意味で戦場の凡庸な日常と凡庸な生が描かれている。戦闘シーンと言えそうなのはオープニングだけ。あとは3人の兵士を取り囲んで時が過ぎていく。だがそこで描かれたものは重い。敵対しあう必要のない者同士で敵対しあい、最後には死んでいく。そして結局無力な国連軍と、結局金のためにひっかきまわすマスコミと。最後に一人地雷を背に残された男はいったい何を思っているのだろうか。あまりにも不条理にすべてから見捨てられた男、だがこれこそが戦争なのだろう。 【θ】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-03-10 00:23:02) (良:1票) |
《改行表示》146.《ネタバレ》 最初見たときは国連軍の無能ぶりを皮肉る映画かなと思っていたが、どうもそれだけではなさそうだ。そもそも地雷というのが非人道的な武器である上に、信管を外すことが不可能なジャンプ型地雷というものであればどうしようもない。これじゃいくら国連軍であろうと、地雷除去専門家でもどうしようもないだろう。そういうどうしようもない武器を作り出す側、使用する側の非人道さが伝わってくる。 そしてまたボスニアとセルビアといっても人種は違っていても、紛争が起こる前は一つの国、その一つの国が人種の違いや宗教の違いその他でいがみ合い対立する愚かさ。そういった諸々の戦争の愚かさが凝縮されていて考えされる映画だ。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-01-12 23:14:40) |
《改行表示》145.序盤、現場のシビアなリアリティに比べて、中盤以降の国連やマスコミの俗な側面の描き方がベタすぎてこの映画の見方がわからなくなった。国連のミニスカ秘書、あれは笑わそうとしているの?皮肉ってことなの?コメディっていうことでいいのですか? ? ラストもねえ。衝撃といえばそうですが・・鯨が岸に打ち上げられたって人間はっちゃきになって助けようとするのに あんなことあるかな。なんぼなんでも。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-11-06 16:01:45) |
《改行表示》144.ラストは本当に呆然とするほど衝撃的。 ボスニア出身の監督が実際に戦場で経験したことを、「個人」の視点から描いた、本当の意味で恐ろしい反戦映画。 ハリウッドの戦争映画では決して垣間見ることのできない、真実の「悲惨」がこの映画にはあります。 【poppo】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-08-05 17:05:18) |
143.《ネタバレ》 当事者、紛争、国連、マスコミの縮図が描かれています、ベタな感動物の方が後味がよいかもしれない。 【ないとれいん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-06-06 14:26:48) |